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Time Trip to Another World 〜暁〜  作者: 蒼穹の使者
第一章 起承~京都・大阪編〜
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第四十五話 年末の大掃除で癒やしてください

大阪に向けて出発するのは、年明け早々と決まった

あと、十日程したら京ともお別れだ

懐かしいなぁ、初めて来た時は不安しかなかったのに


藤堂「おーい、何ぼーっとしてんだよ。掃除終わんねえぞ」

瑠璃「ごめん、ごめん。やります、やります。」


私たちは廊下と稽古場の床掃除を任されている

左之さんと新八さんがすす払いした後を雑巾がけしている


瑠璃「ねえ、平助。キリがなくない?拭いても拭いてもすすが付くんだけど…」

藤堂「だな~すす払いしたの間違いだな。瑠璃お前顔っ、ぷ、ははは」

瑠璃「え、何?なんで笑ってんの?」


平助が顔を指さす

何か付いているのかな?手で指された頬を撫でてみる

今度はお腹を抱えて笑っている

なんなのっ、失礼な人!


瑠璃「なんなの!笑い過ぎ。意味分からないし!」

藤堂「あははは、マジで勘弁してくれって」

土方「なんだお前ら。遊んでんじゃねえぞ」

瑠璃「土方さん、遊んでません。真面目に拭いていたんですけど、キリがなくて、ほら」

土方「はっ、おまっ。ちょっとこっち来い」

瑠璃「?」


土方さんは私の手を引きよせて、懐から手拭いを出した

屈んで、私の顔を拭き始める


瑠璃「えっ?」

土方「ふははっ、こいつは頑固だな。落ちねえ。なあ瑠璃、水場で顔洗って来い。自分の手見てみろ」

瑠璃「手?あっ!うそ!やだぁ、最悪」


すすで汚れた手で顔を触ってしまったからだ

平助と土方さんの反応からして

とんでもない顔になっていると思われる


瑠璃「ちょっと洗ってきますっ」


途中誰かに見られないように手で顔を隠しながら水場に向かった

しかし皆、至る所で掃除中。避けては通れるはずもなく


新八「おう、瑠璃ちゃん。そっちは終わったのか?」

瑠璃「う、うんもう少しかな?ごめん、ちょっと急いてるから。また後で」

新八「ん?ああ。」

原田「瑠璃?そんなに急いで何処に行くんだ」

瑠璃「左之さん…ちょっと水場に」

原田「ん?顔どうかしたのか。はっ、おまっ」

瑠璃「土方さんと同じ反応…もう見ないで下さい」

原田「悪い、頑張りすぎたんだな。こっち来いよ、綺麗にしてやる」

瑠璃「え、でもさっき土方さんが拭いたけど落ちなくて、だから水場に向かってるんだけと」

原田「いいから、来いって」


いやいや、左之さんその言い方やばいって

ほら、また勝手に色気出てますよ?


瑠璃「や、でも…あっ、温かい」

原田「な?さっき湯沸かしたんだよ。ほら、綺麗になったぜ」


そう言って、左之さんは私の頬をふにふに掴んでいる


瑠璃「あひはほう(ありがとう)」


沖田「ちょっと、何遊んてるの。(はた)から見たら君たち口付けしてるように見えるんだけど」

瑠璃「ええ!違うよ、左之さんに顔拭いてもらってただけだし!」

沖田「なんで、左之さんが拭くのさ。一くんが見たら怒ると思うよ?ねえ、一くん」


振り返る総司の後ろには、一さん


瑠璃「あ…」

原田「くくっ。さあてと、掃除だ掃除」


逃げた、左之さん逃げたっ あ、総司もういない!


斎藤「…」

瑠璃「えっと、お疲れ様です!」

斎藤「ああ」

瑠璃「…」

斎藤「…」


何この空気、寒いし


瑠璃「ふっ、くしゅっ!」

斎藤「大丈夫か?寒いのか」

瑠璃「大丈夫です。でも、寒いです。めちゃくちゃ寒いです。私、冬嫌いなんです」


さっき拭き掃除を平助と競争がてらやった所為で

少し汗かいてしまった、それが今は恐ろしく冷たい


瑠璃「さっき拭き掃除で汗かいてしまって、今になってそれが寒くて寒くて」

斎藤「汗をかいたのか。直ぐに拭かないと風邪を引いてしまうぞ」


一さんは少し考えてから、こう言った


斎藤「瑠璃、こちらへ」


一さんは桶にお湯をくみ、私について来いと招いて見せる

よく分からないけどついて行くことにした

そこは一さんのお部屋


斎藤「上を脱げ、背中を拭いてやろう」

瑠璃「えっ!あ、自分で拭きます」

斎藤「俺が拭いてやると言っている。背中は届かんだろう。それとも俺には拭かれたくないか」

瑠璃「えぇ、はじめさぁん」

斎藤「…」


左之さんとの事が気に入らなかったのだろう、不機嫌だ

そして何が何でも引きそうにない気迫

この人も頑固でした…


瑠璃「ぅ…お願いします」


諦めて背を向けて肩から着物を肘まで下ろした

一さんは丁寧に背中を拭ってくれた

そして、最後に指先で背中を上からツツーって


瑠璃「ふわっ、ちょ!一さんっ!」


ビクッと反応して、思わず振り返った


斎藤「す、すまん。あまりにも美しかった故つい。無駄のない綺麗な筋肉だったからその、っ!瑠璃その手拭いをっ!」


一さんの顔が真っ赤になり、顔を背け手拭いを差し出してきた

今度は何?あ、上半身裸な事を忘れて

振り返ってしまったんだった


瑠璃「すみませんっ」

斎藤「いや、その俺が悪かったのだ」


私は慌てて着物を着た

その直後、一さんが後ろから抱きついてきた


瑠璃「一さん?」

斎藤「すまん、少しこのままでいいか。瑠璃の身体が冷えている」

瑠璃「一さん温かいから寝ちゃいそう」

斎藤「ああ」


慌ただしい日々が続く

けれどこうして時には癒やしの時間があると嬉しい


斎藤「皆も瑠璃に癒やしを求めている」

瑠璃「え?どうしてそう思うんですか?」

斎藤「土方さんや左之は何かにつけ瑠璃に触れようとするだろう?新八と平助はやたらと構いたがる。総司に至っては双子をいい事に…まったく…」

瑠璃「ははっ…それをヤキモチと言います」

斎藤「そうかもしれん」


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