第四十四話 王政復古の大号令
ついに薩摩の大久保利通と岩倉具視が
「王政復古の大号令」の勅書を発表した
大政奉還となったものの、徳川一族が政権を握っていたからだ
天皇のもとに中央政権が作られ徳川の土地を国へ返すよう求めたのだ
だが、徳川も黙ってはいない
これまで培ってきた土地を全て返すなど受け入れ難かった
その為、薩摩と長州を中心に新政府軍が発足され
旧幕府軍(桑名・会津)との間に戦争が始まろうとしていた
こうなることは歴史上当然の流れである
新選組が恐れているのは薩摩の夢魔部隊
この戦争にそれらが投入されるのは間違いなかった。
瑠璃「土方さん、龍馬さんからの連絡はまだですか?」
土方「今、山崎が連絡を取っている」
瑠璃「そうですか、急がないと戦争が始まってしまいす。私たちも準備が必要ですよね」
土方「ああ、だが京の治安も守る約束だからな人選が必要だな」
原田「あんまり隊士を引き連れても、怪我人を増やすだけだからな。俺たちもそれは避けてえしな」
斎藤「各隊で五名が限界だろう」
沖田「それに、本人の意思も確認しないと。家族持ちは酷かな」
そう、話によると私たち五人は神と人間のハーフ
これに対しての拒否権はない、むしろこれは私たちの仕事なのだ
だから普通の人間を引き連れて夢魔退治は無理な話
土方「近藤さんと山南さんには局長、総長として京の治安を引き続きお願いしたい」
山南「我々は留守番組、ですね」
土方「生身の人間の身体を傷つけるわけにはいかねえ。それに瑠璃の力にも限界がある」
近藤「分かっている。京は我々残った新選組が守る。安心してくれ!」
新・平「俺らは死んでも一緒に戦う!」
土方「おまえら・・・」
瑠璃「私はこの二人の参加は止められないと思います。彼らを切り離すことはできないでしょう?」
斎藤「そう、だな」
原田「ま、こいつらは殺しても死なねえよ」
沖田「そうだね、新八さんと平助くん二人なら僕らも信頼できるし。ね?瑠璃」
瑠璃(うん、この二人ならなんとかなると思う)
土方(ったく、無理するんじゃねえぞ)
瑠璃(了解です)
そんなやり取りをしていたら、山崎くんが戻ってきた
山崎「遅くなり申し訳ありません」
土方「おう、どうだった」
山崎「坂本龍馬さんから文を預かりましたがどうもそれが全てではないようです」
瑠璃「どういうこと?」
山崎「何通かあるらしいのですが、何者かに持ち去られたと」
全員「持ち去られた?」
山崎が皆の前に文を広げて見せた
конечный пункт назначения Ezo.
全員「・・・・」
全員固まったよ。見せろてみろなんて言ったけど
これは何語?エゾしか読めない
瑠璃「これ、どこの国の言葉でしょう?最後のエゾしか読めないけど」
全員「読めるのか!」
瑠璃「だから一番最後の文字だけですよ」
原田「それだけでも、すげえと思うが。俺らはどれも分からねえしよ」
瑠璃「生きてきた時代が違いますから。英語と中国語なら分かるんだけど」
斎藤「英語?中国語…とは?」
瑠璃「黒船に乗ってきた人たちが話す言葉と清の国の言葉です」
沖田「瑠璃って、何気に凄いこと出来るよね」
藤堂「すげえよ」
瑠璃「未来では普通ですよ?」
土方「エゾって読めるっつったな?」
瑠璃「はい」
土方「蝦夷は遥か北の大地だ、そこに何かあるのか」
瑠璃「蝦夷…ああ北海道か」
全員「北海道?」
まあいいや、蝦夷はそのうち北海道って名前に変わります
山崎「ならば、瑠璃くんこれなら読めるのでは?」
瑠璃「あ、これは英語ですね。全ての…自然な怪物を殺す。目的地は北の大地蝦夷。だって!自然な怪物って何?混ざりのない化け物?」
土方「夢魔が絡んでるのは間違いねえな。混ざりの無い化け物ってなんだ」
沖田「混ざりがないって、純血ってこと?」
瑠璃「はっ!純血の化け物ってまさか」
斎藤「神田たちの事か」
原田「世界征服に純血種が邪魔ってことなのか?」
山崎「残りの文の行方は坂本さんが追っています」
山南「裏に大きな影を感じますね。まさか、異国人まで絡んでいるのですかね」
井上「そう言えば、大阪に異国人がこぞって上がって来たと耳にしたな」
瑠璃「本当に?誰が引き入れたのかな。攘夷派が許すわけないのに」
土方「ちっ、大阪か。山崎、大阪で十人程度が駐在できそうな場所探してくれ!」
山崎「はっ!」
私たちは大阪へ向かうことになった
何故目的地が蝦夷なのか
本当に神田たちは狙われているのか
怪文書は何故、異国の言葉で綴らせていたのか
結局、西郷隆盛の直筆を見る事は出来なかった




