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Time Trip to Another World 〜暁〜  作者: 蒼穹の使者
第一章 起承~京都・大阪編〜
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第四十一話 薩摩と長州と坂本龍馬

夜が明け、昨夜の報告を兼ねて広間には幹部が集まっていた

そこに一緒に連れ帰った坂本龍馬もいる


近藤「君が坂本龍馬くんか。若いんだな!」

山南「お噂は兼ね兼ね、伺っております」

井上「昨夜は眠れたかね?」


坂本「見ず知らずの者に一部屋与えていただき、本当に感謝しております。湯浴みまでさせてもろうて…」


龍馬はガシガシと頭を掻いている 恐縮しているのだろう

新選組の立場が変わった事と元々人が良い近藤が立派にもてなしたのだろう

龍馬が何故あの場に居合わせたのか、黒服の男を知っているのか

そして夢魔との関係などを聞いた


龍馬は各地を周り長州や薩摩の仲を取り持った(薩長同盟)

長崎で商売を起こし、新しい日本を作るために疾走していたのだ

幕府の勝海舟とも親交があると聞き、瑠璃以外は驚いた

大政奉還は双方(薩長と幕府)の協力の元、成るべくして成ったものだったからだ

非戦争派に坂本龍馬と長州の桂小五郎(後の木戸孝允)

戦争で倒幕を進めた側に薩摩と夢魔率いる黒服の男

しかし黒服は違う意図で薩摩に身を寄せている事は明らかだ

龍馬は夢魔を見たのは昨晩が初めてで、あの場に居合わせたのは夢魔の噂を耳に挟み

非人道的な行為を止めさせるためだった

長州は早々にこの夢魔計画から手を引いていたが、薩摩だけは違ったと

夢魔隊を使って倒幕を早急に進めたいと考えているようだ


瑠璃「長州は夢魔計画を止めたんですね。では、倒幕についてはどうなんですか?」

坂本「大政奉還が勅許された今は形としては倒幕したのも同じじゃ、後は力じゃなくて頭で動こうっちなったがよ。桂さんは今江戸に向かいよる」

土方「薩長同盟はどうなったんだ?話を聞くと既に仲違いしたように聞こえるが」

坂本「高杉さんが生きちょる頃は薩摩の軍隊も統制が取れちょったんじゃが」

瑠璃「え?西郷隆盛さんは?」

坂本「それが」


皆の視線が龍馬に向けられる


坂本「おらんようになってしもたがじゃ」

近藤「居なくなった、と言うことか」

坂本「同盟を組んだ後ぐらいからじゃ。あちこち探しては見たんじゃが、どうもおかしゅうて」

山南「おかしい、とは?」

坂本「生きているらしいんじゃが、姿が見えん」

土方「なんで、生きていると分かるんだ」

坂本「西郷さんの直筆の手紙が定期的に長州藩士に届くがじゃ。筆跡は間違いなく西郷さんのじゃった」

山南「何故その文が長州へ?して、その内容とは?」

坂本「それが、のう…」


龍馬は困り切った様子で首を掻いている


坂本「言葉が滅茶苦茶で何が言いたいのかが全く分からんのじゃ」

近藤「それを見せて頂く訳にはいきませんか?」

土方「俺たちは夢魔を止めるために動いている。最近、夢魔と見られる化物から町民が襲われている」

坂本「!?、そんな大変な事になちょったがか!長州宛の文じゃけんど、ちっくと頼んでみるかの」

近藤「よろしく頼みます」


取り敢えず龍馬は十分に気を付けてもらう事にし

その西郷隆盛からの文を待つことになった


沖田「無茶苦茶って、どういう事」

瑠璃「暗号だったりして」

原田「暗号?」

山崎「隠された言葉があると言うことか」

瑠璃「わっ!山崎くん。急に現れないで、びっくりした」

山崎「すまない」

斎藤「長州藩邸の方はどうだった。何か動きはあったのか?」

山崎「特に。ただ、西郷隆盛の行方を案じておりました」

原田「とにかく、その文を見ねえことにはな」

瑠璃「そうだね」


西郷隆盛の行方不明説は聞いたことがない、やはり歴史が歪んでいる

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