第二十七話 そして、それから、それから
隊士たちが言うには、土方さん、総司、左之さん、そして一さんはこれまでに無い圧倒的な力で、相手の隊士をひれ伏したとか。
見たかったな、きっと恰好よかったんだろう。
屯所につくと、百合ちゃんが出迎えてくれた。
「百合ちゃん!」
私は百合ちゃんをぎゅうっと抱きしめる。
私の癒しです。一さんとは別物です。
女同士なのに百合ちゃんはまだ慣れなくて少し顔を赤くする。
それがまた、堪らなく可愛い。
皆のひどく疲れた様を見かねて全員での報告は仮眠後になった。
近藤さん、ありがとう。
でも、人から化け物になった男の人が頭から離れない・・・
最期は灰になった。
「瑠璃、眠れそうか?」
「一さん、体は眠りたいんですけど、頭が少し働きすぎて」
「来るか?」
「え?」
「俺の部屋へ来るか」
「お邪魔でなければ」
一さんは、ふっと笑い「たまには素直な瑠璃も悪くない」と言い部屋では布団を敷いてくれ、横になれと言う。
「一さんだって疲れているから」と言えば、「なら、一緒に寝るか」って。
たったそれだけの言葉に激しく照れてしまった。
布団に入ると、お互いの体温で温まりすぐに眠ることが出来た。
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そして日も頂点に昇った頃、
土方「なるほどな、普通なら信じ難いところだが瑠璃の件もある。何が起きてもおかしくはねえ。山崎、少しその黒服の男を調べてくれ。」
山崎「はい」
沖田「はあ、眠い。眠くても、お腹は空くんだよね」
原田「・・・だな」
沖田「あれ、一くん瑠璃ちゃんは?」
斎藤「まだ、寝ている」
斎藤は自分の部屋を見ながらそう言った。
藤堂「あいつ、寝るの好きだよなぁ。そういうところガキじゃん」
永倉「平助が言うんじゃねえよ」
沖田「・・・もしかして」
原田「まさか、な」
永倉「なっ、斎藤、まさか疲れた瑠璃ちゃんにお前っ!」
斎藤「っ!?新八!さ、さすがにそれはないっ!」
永倉「ぬおっ、すまん。総司と左之がそっち方面に誘導すっから」
沖田「え、誘導した?左之さん?」
原田「知らねえな」
永倉「なんなんだよ、お前らずりいぞ」
藤堂「ははは、新八っつぁんバッカだなあ」
土方「てめえら!煩せえぞっ!!」
「・・・はっ、」 ガバッ!
目が覚めた 誰か怒られた?
すぐに身なりを整え広間に向かうと皆は昼餉を食べていた。
瑠璃「おはようございます」
土方「おう、起きたか」
沖田「誰かさんの怒鳴り声で目が覚めたとか?」
瑠璃「やっぱり誰か怒られたんですね!」
原田「くくっ、さすがの瑠璃も土方さんの怒号には敵わねえか」
土方「悪かったな」
瑠璃「ふふふ」
斎藤「・・・」
瑠璃「一さん?どうかしたんですか?」
永倉「おい斎藤、まだ怒ってるのかよ」
藤堂「もう許してやってくれよ」
瑠璃「え?」
原田「気にすんな。飯食えよ、取られちまうぞ」
瑠璃「は、はい・・・いただきます」
沖田「よく寝れた?」
瑠璃「はい、とっても」
沖田「そ、」
瑠璃「・・・百合ちゃん、何?この空気」
百合「えっ、あ、その・・・」
瑠璃「百合ちゃん、どうしたの顔真っ赤だよっ」
土方「百合、おまえ余計な事を想像するんじゃねえぞ」
瑠璃「は?」
土方「あーあれだ。百合はその辺まだ初心なんだよ。あんまり刺激してくれるな」
瑠璃「は?意味が分からないんですけど。ねぇ、百合ちゃんどうしたの?」
百合「瑠璃さん・・・私に聞かないでくださいっ(赤面)」
瑠璃「土方さんっ!」
土方「あ?俺が言うのかよ、だからお前が起きて来ねえのは斎藤に可愛がられ過ぎたんじゃねえかって」
瑠璃「なっ!し、してませんよっ!!」
全員「ぶっ・・・」
斎藤「瑠璃っ!」
一さんは耐えられなくなったのか、私の手を引いてその場から離れた
何なの?イライラする!
沖田「ちょっと土方さん。何やってるんですか、瑠璃ちゃんまで一くんに怒られちゃうでしょ」
土方「ああ?あぁ・・・」
原田「ほうっとけ。俺らが行くと余計にこじれる」
沖田「はあ・・・」
「一さんっ、私まだご飯食べてないんですけど!」
「す、すまん。あらぬ誤解の中に瑠璃を置くわけにもいかぬ故、では外に出るか」
「はい!私、お蕎麦が食べたいです。御馳走してください」
「ああ、承知した」
前日の大捕物の翌日がこれですよ?
信じられません。。。。。




