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Time Trip to Another World 〜暁〜  作者: 蒼穹の使者
第三章 結〜蝦夷編〜
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第百零六話 サキュバとインキュバス

今まで跡形もなく消えていた夢魔が再び現れた

刀を持つ部隊と銃を構える部隊が取り囲む


原田「何処から出てきたっ」


赤い目、白い髪、二本の牙がぎらぎら光っている

何百もの夢魔が迫ろうとしていた


神田「我らが此処を引き受ける!早く奉行所の中に突入してくれ」

乾 「間違いなく中に居ます。此処は我々に任せて下さい」

百合「皆さんは、早くサキュバを!」


三人が夢魔を引きつけている間に

奉行所に侵入し、サキュバを討てと言っている


原田「悪いが、頼めるか」

神田「容易(たやす)い事だ」


土方「奉行所に突入する!」

全員「はいっ!」


神田たちはそれぞれの形に変幻し戦う

その間を縫って、原田を先頭に箱館奉行所内に突入した


入ってすぐは普通の奉行所の造りと変わりなかった

中庭のような物があり、そこを抜けて館内に入る

役人は一人も居ない とても静かだった


山崎「此処に隠し扉があります!」


山崎が壁を軽く推すとそれは回転し、地下へ続く階段が見えた

そこから先は木造ではない、大理石の様な物で造られ

まるで異国の宮殿だ


土方「地下があるのか」

原田「此処は本当に奉行所の中なのか?」

沖田「妙に冷えるね」


地下へ続く階段を降りていると空気が冷たい

そして、自分たちの足音だけが響く


斎藤「瑠璃、大丈夫か」

瑠璃「はい、大丈夫です。それにしても不気味ですね」

斎藤「ああ」


斎藤は瑠璃の手を取り、地下へ続く階段を降りている


カツ、カツ、カツ…六人の足音だけが鳴っている

一番下まで降りると、



「ふははははっ、ここまで来るとは思っていなかったぞ」


刀に手を掛け、声のする方を向く


「お前たちだけは絶対に逃しはしないっ!」


其処に居たのは、サキュバともう一人黒服の男が立っていた

一人は間違いなくサキュバだろう

右腕が肩からなかったのだ

では、もう一人はいったい・・・


土方「なぜ、二人いる」


「知らぬのか、冥土の土産に教えてやってもいい」


サキュバではない男が甲高い声で笑いながら言う


「これがお前たちが追いかけていたサキュバだ、哀れ右腕を会津でなくしてしまってな。今日その()さを晴らすであろう。そして、私の名はインキュバス」


瑠璃「インキュバス!?」


「ああ、思い出したぞ。お前、薩摩藩邸で坂本を助けたな」


瑠璃「あっ、あの時の黒服の男が・・・」


薩摩藩邸に潜入捜査した時に夢魔を操っていた男だ

薩摩藩邸、江戸、会津で会ったのは全てサキュバだと思っていた


山崎「江戸で剣を合わせたのも貴方ですね」


「ほう、あのすばしっこいのはお前だったか。仕留め損ねたからな、今日は一思いに殺してやる」


インキュバスという男は笑いながら山崎を威嚇した


「お前!我の腕を落とした男!この手で葬ってくれるわぁ!!」


サキュバは斎藤に向けてそう叫んだ


サキュバとインキュバスは黒いマントを脱ぎ捨てる

彼らの姿を見たのは初めてだろう

サキュバは女性の姿をし、インキュバスは反対に男性の姿

二人の頭からは鬼とは違う細長い角が二本生え

目は釣り上がり瞳は真っ赤だ

口からは二本の牙が覗く

髪はサキュバが赤毛で、インキュバスは真っ黒だった

二人の放つ気は今までに感じたことがない程に大きかった


「サターンを殺したのはお前か?」


インキュバスが原田に問う

サターンとは大気を操ったあの男の事だろう


原田「それがどうしたっ!」


「我が子に代わって貴様らを地獄に送ってやる!」


インキュバスが原田、沖田と山崎を指し叫んだ


「お前たちの相手は私だよ。余所見をするな!」


サキュバは土方、斎藤、瑠璃を睨みつけ気を爆発させた

凍りつくような風が吹いた


原田「受けて立つ!」

沖田「地獄に行くのは僕たちじゃない」

山崎「貴方が行くのです!」


原田たちとインキュバスの戦いが始まった


土方「お前たちの企みは今日で(しま)いだ」

瑠璃「悪魔の世界なんて作らせないっ!」

斎藤「覚悟しろ」


土方たちとサキュバの戦いも始まった


激しくぶつかり合う音が鼓膜を刺激する

原田の槍が地を揺らすほどに振るわれ

土方の刀からは炎が立ち昇る

沖田が刀を付き出す度に氷が矢のように飛び

斎藤が一太刀振るうと疾風が駆け抜けた

休む間を与えまいと山崎が舞い飛び

瑠璃は皆の背を押すように光を放つ


この宮殿が崩壊するのではないか

そう思わせるほど激しいぶつかり合いだ



「ふんっ!四神獣めが、調子に乗りおって」

「インキュバス、あれを」

「まさか貴様ら如きにあれを使わねばならんとはな」


土方「さっさと終わらせるぞ」

原田「望むところだっ」


土方が力を込めると火柱が上りサキュバ目掛けて走り出す

原田の叫びて地が揺れ亀裂が走り

沖田の太刀がインキュバスの頭上に迫る


インキュバスにサキュバに其々(それぞれ)の刀が伸びたその時


空気の渦が巻き起こり、四神獣たちを吹き飛ばした


「ぐわっ」


バタバタと壁に、柱に打ち付けられる


「総司っ!、歳三兄さん!」

「大丈夫、だ」


二人はなんとか立ち上がる


斎藤「なにっ!」

原田「なんだ!これはっ」

山崎「!?」


見ると、インキュバスとサキュバが渦の中で


融合しようとしていた!!


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