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Time Trip to Another World 〜暁〜  作者: 蒼穹の使者
第三章 結〜蝦夷編〜
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第百零五話 二人で一つの命

地割れが黒服の男に向かって走った


黒服「貴様、これでも()るのかっ!」


男は瑠璃を片手で抱え直し自分の前に出した


  「瑠璃・・・くっ」


一番近くに居たのは沖田だ

力を振り絞り、男の膝裏に刀を刺した

その反動で男は瑠璃を離す ドサッ…瑠璃は気を失っていた


黒服「ぐっ、おのれ!まだ動ける奴が」


男は剣を沖田に向かって振り下ろそうとしている

原田が先か、男が先か!!


ブシュッ、ググググ


黒服「ガァァァー!」


原田の槍が男の後頭部を突き刺した

額に向けてそれは突き抜けている


パンッ!と、何が弾けるような音がすると体が軽くなった

大気が元に戻ったのだろう

原田は素早く槍を抜くと、直ぐに背から心臓を貫いた


男は足から崩れるように灰になった


原田「はぁ、はぁ。おいっ!皆大丈夫か!」


地面に叩きつけられていた者たちはゆっくりと立ち上がった


土方「瑠璃!」


瑠璃は起き上がれない

大量に血を流してしまったからだ


沖田「山崎くん、手当をっ」


山崎が止血を施し、傷口をさらしできつく縛る

しかし血は止まらない

瑠璃の意識がしっかりしない事には自身の治癒が出来ない


山崎「瑠璃くん!しっかりするんだ。気を整えてくれっ。皆さん、彼女に気を分けてください」

沖田「分った。っ!一くん、顔色が・・・」

斎藤「俺は、大丈夫だ」

原田「お前、まさか本当に瑠璃と」

土方「そうか、そうだったな・・・」


斎藤と瑠璃の命は二人で一つと言われていた

どこか信用できずにいたが、それは嘘ではなかった


とにかく少しでも回復させなければならない

三人は瑠璃を囲み気を分け与える

意識はなんとか取り留めることができた


山崎「瑠璃くん!分かりますか!」

瑠璃「う、うぅ」

土方「出血が多いな、どうしたらいいんだっ」

山崎「輸血、という方法があるらしいのです」

原田「輸血!?」


山崎の話では、以前知り合った未来から来たらしい男

福山から聞いた 血液が不足すると死に至ると

それを防ぐために未来では健康な人の血を補充する

しかし、この時代にまだその技術がない

ましてや、ここは戦場なのだ


土方「血を飲ませるしかないだろ」


口から飲んでどれ程が吸収されるのか

また効果があるのか分からない


原田「誰の血でもいいのか?」

山崎「それが同じ型の物でなければならない、と」


どうやっても調べる方法がない

誰のものでも許されるなら、此処に居る誰もが

望んで血を差し出すだろうに


瑠璃の呼吸が弱くなっていく

斎藤も膝をつき手を地面について、今にも崩れそうだった


沖田「僕の血だよ!僕の血なら救えるっ!!」

土方「・・・そうか!お前たちは双子だ。なら同じ型のはずだよな」

山崎「それに、賭けるしかありません」


沖田は自分の左腕に刀を当て滑らせた

腕を伝って沖田の血が指先から滴る

瑠璃の顎を引きそれを口に含ませる


沖田「瑠璃、お願いだから飲んで。今度は僕が瑠璃を助けるから」


コクっ、コクっと幾らかは喉を通っているようだ

祈るような想いで、ただそれを見守る


斎藤は瑠璃の側まで来ると手を取り握った


斎藤「瑠璃、まだ死ぬ時ではない。気をしっかり持て、戦いはまだ終わっていない。瑠璃っ!」


すると瑠璃がゆっくり目を開く


瑠璃「はじめ、さん。まだ死にません、からっ。くっ」


土方「瑠璃、もう一度俺たちの気を流す。しっかり受け取れよ」

瑠璃「はい」


今度は皆の気を体に吸収し、自分の呼吸を整える

時間は掛かったが何とか復活した

斎藤も途中から瑠璃に気を流すまで戻っていた

しかし、太腿を斬られた跡だけは消えなかった


斎藤「すまない、奴の剣を防げなかった」

瑠璃「一さんの所為ではありません。私も油断しました」


此処にはサキュバではない者がいた

もしかすると、他にもまだ居るのかもしれない


土方「おい、休んでる暇はないみたいだぞ」


見れば姿を消していた夢魔が周りを取り囲んていた


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