表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/574

第五十四話

本日二話目の更新です。

53話を見ていない方はまずそちらを読んでください。

 ハルファがウサトとその仲間達を連れてきた。

 あたしとキョウが魔法の訓練をしている最中に現れた彼は、あたし達に手を振って来た。

 キョウは勿論手を振り返しはしなかったが、あたしは周りにばれない程度に手を振り返した。何でここにいるのか?とは思ったが授業前にカーラ先生が事前に客人が見学しに来ると言っていたのを思い出し、その客人がウサト達なんだとすぐに理解した。


 ウサト達を紹介したカーラ先生は、ウサト達をあたし達学園の生徒よりも実戦慣れしていて強いと挑発的に言った。反発するのは目に見えていただろう、うちのクラスはとびきりそういうのが多い。

 他の二人の実力は分からないが、ウサトに関しては勝てるかどうか分からないと思った。あたしと同等かそれ以上の力、どんな怪我でも一瞬で治してしまう魔法。風の魔法でどんなに切り刻んでも魔力が続く限り立ち上がり、獣人を上回る怪力で攻撃してくる相手なんて悪夢以外の何物でもないだろう。


 でも、話題の最中、昨日の街中でウサトに拳を振るってしまったあたしの話が出てきた。そのせいでウサトに疑いの目が行ってしまったし、あたしにもカーラ先生の鋭い視線が飛んで来た。自業自得だから怒られるのは良いのだけど、あたしのせいで下級生クラスの問題児―――ミーナを調子づかせてしまったのは誤算だった。

 あの性悪お嬢様はとてつもなく性根が腐っている。

 ウサトと同じ治癒魔法使いを数年に亘って取り巻き達と共に嬲っているのも彼女だし、学園側も彼女の家柄のせいで処罰することを戸惑っている。

 そんな彼女は意地の悪い笑みで言った事、それは単純に『実力を示す事』。


 彼女の事だ、大したことが無かったならさらし者にするつもりだったのだろう。周りも彼女の思惑は分かってはいた様だが、ウサト達の実力も知りたいが為か誰も止めようとはしなかった。

 あたしは……止める事も、できなかった。

 この終わっているクラスの奴等と話そうとは思わなかったし、唯一話の通じるハルファもこういう場合(・・・・・・)は何もしようとしない。


 しかし、ウサトの二人の仲間の魔法で彼等とあたしの予想は大きく覆された。

 今まで見た事の無い程の破壊力を有する雷系統の魔法を扱う少女。

 希少魔法である光系統の魔法を巧みに操る少年。

 ―――度肝を抜かれるとはまさにこのことを言うのだろう。なにせ、ウサトと一緒に居た二人はアマコの言っていた二人の勇者だったのだから。


 そこで終ればよかった。

 皆、勇者二人に納得して黙って訓練に戻らせてくれれば良かった。


『僕はリングル王国、救命団に所属する治癒魔法使いだ』


 その言葉で周りの意識が変わった。

 勿論、悪い方に。隣に居たキョウが頭を押さえた、勿論あたしもだ。


 あたしのクラスは火力バカの集まりだ。

 一人の例外を除いて、何かどうにも魔法が強ければそれで良いと思っている。治癒魔法をバカにするつもりは毛頭ないが、彼の事をしらないクラスメートにとって治癒魔法を使う者は貧弱という印象が定着している。


『何だ治癒魔法かよ……俺でも勝てるわ』

『逃げ回ってたんじゃねぇの?』

『私達より強いとか、嘘でしょ』


 案の定、火力バカ共がこき下ろしにかかる。

 そしてあの性悪お嬢様がこの絶好の機会を逃すはずが無く―――。


『えー、治癒魔法?本当に強いんですかー?私でも勝てちゃいそうなんですけどー』


 と、そんな事を言いだした。

 その言葉にウサトは変わらず笑顔を保ったまま「あはは、困ったなぁ」と抑揚のない声で返した。しかし隣に居る光魔法の使い手はもう一人の勇者を突然後ろから羽交い絞めにしだした。

 隣に居るウサトが一切表情を変えないせいか、何が起こっているか分からない周りだが、耳の良いあたしとキョウはウサトと二人の勇者の会話が微かに聞こえてしまった。


『気持ちは分かりますが落ち着いてくださいッ』


『カズキ君、ちょっとだけ、ちょっとだけバチって……焦がす程度に……』


『駄目ですってッ』


 ………光魔法を使う勇者が寛容じゃなかったらミーナは今頃大変な事になっていたようだ。

 だが鈍い性悪お嬢様がその程度で気づく筈も無く、サッと手を挙げて前に一歩前に出る。


「カーラせんせーい。私、このお方と魔法での模擬戦をしてみたいのですが、よろしいですかぁ?」


「……模擬戦だと?」


「はい、魔族と戦える治癒魔法使いのお人との模擬戦なら怪我の心配もないじゃないですか?」


 ……胸糞悪い小娘だ。

 つまりウサトには体の良い『的』になれと言っているようなものだ。

 彼女の扱う火系統の炸裂魔法は、対した威力はないが人を適度に痛め付けるのにはうってつけの魔法、彼女の腐った性根が表わされたような魔法に違いない。


「成程、模擬戦か……いいだろう。やっていいぞ」


「え?」


「ウサト、魔法を使った模擬戦闘だ。できるな?」


「え、えぇ……まあ、できますけど……」


 ―――だが、今回は喧嘩を売った相手が悪かった。

 彼女の知る治癒魔法使いと、ウサトという治癒魔法使いは文字通り次元が違い過ぎているのだ。普通の治癒魔法使いが真っ向からあたしと戦おうとも思わないし、ましてや獣人のあたし以上の力を有しているはずがない。


「姉ちゃん、あいつ大丈夫なのかよ?」


 ―――やっぱり弟は根が優しい子だ。

 複雑そうに場を見守る弟に「ウサトは大丈夫」と言う。威力ではあたしの風魔法にも劣る程度の炸裂魔法がウサトに効くとは思えない。

 相手が短絡的なミーナでよかったと安堵しながらも、この場の成り行きを見届けようとする……が、あたし達のクラスから、誰かがウサト達とカーラ先生の前に歩み出てきた。


「すいません、その模擬戦の相手、私が代わってもいいでしょうか?」


「なっ!?」


 思わず、驚きの声を上げてしまったが無理はないだろう。

 出てきたのはあたし達のクラスの例外、唯一攻撃的な魔法を用いない魔眼の優男―――ハルファが突如、ウサトとミーナの模擬戦へと名乗りを上げたのだ。









 あれよあれよと言う間に模擬戦をすることとなった僕。

 本当にどうしてこんな事になってしまったのだろう。僕を挑発するような眼で見て来るツインテールの少女との模擬戦らしいけど、正直、どの程度手加減したらいいか分からない。

 しかも、次はハルファさんが模擬戦に参加したいと言ってきた。


「あ、あの……ハルファさん……代わるって……」


「……ああ、安心してください。貴方と戦う訳ではありません。もとより――その価値もありませんので」


 怯える様にハルファへ質問したツインテールの少女に冷たくそう言い放った彼の瞳は薄い紫色に怪しく光っており、その目は真っ直ぐ僕へと向けられていた。


「ウサトさん、構わないでしょうか?」


「……うーん、まあ……お手柔らかに?」


 相手は魔力の流れを見る事が出来る魔眼だっていうし、特に強い魔法とかは使ってこないだろう。

 適当に逃げ回ってれば乗り切れる。最悪、治癒パンチで殴って気絶させればいいし。


「模擬戦ってどこでやればいいんですか?」


「訓練場の真ん中あたりでやれ、的が邪魔になるかもしれないが……そこは我慢してくれ」


 先程まで意地の悪そうな笑みを浮かべていたカーラさんだが、今では面白いものが見れると言わんばかりのわくわくとした表情なのはなにか理由があるのだろうか。

 ハルファさんが出てから、明らかに学生たちがざわついていたし……。結構安請け合いしちゃったけど、もしかして僕って何かヤバい事でもしてしまった?

 ……やってみれば分かるか。


「じゃあ二人とも、とりあえず模擬戦行ってきます」


「頑張れよ、ウサト」


「頑張ってウサト君、私の為に」


「ありがとうカズキ」


「あれ?」


 先輩のボケをスルーした僕は団服の袖をまくり軽い準備運動を始める。

 ……ちょくちょくボケを挟まなくちゃ生きていけない先輩にいちいち反応していられるか、僕だってどう反応していいか分からない時があるんだぞ。

 腕と足を伸ばしながらハルファさんの方に目を向けると彼は模擬戦に使う武器を選んでいる。

 僕は武器は必要はないな、槍とかは一度使った事はあるけど刺して怪我させたら危ないし。


「おい!」


「ん?……あれ?」


 学生達の集団の中から、キョウがズンズンと足音が聞こえそうな歩調でこちらへ詰め寄ってきた。クラスメートから注目を集めているようだけど……大丈夫なのか?


「僕に話しかけて大丈夫なの?」


「本当は嫌だけど……わざわざ忠告しに来たんだよ!」


「……忠告?君が僕に?」


 どういう風の吹き回しだろうか、彼には嫌われてると思っていたのだけど。後ろから遅れてついてきたキリハに何事かと視線を向けるも彼女もキョウと同じく真剣な表情をしていた。

 二人そろってどうしたんだ?


「お前が今から戦うハルファって奴は、外面は良い奴に見えるが内面は違う手加減なんて一切しないとんでもないイカレ野郎だ」


「もしもの事があったらアマコが困る、ウサト……悪い事は言わないからハルファとの模擬戦はやめるんだ。ハルファは模擬戦の相手としては危険すぎる」


「んなこと言われても……」


 やめられるならそうしたいけど、ここでやめるという訳にもいかないだろう。

 リングル王国の救命団っていう所属を名乗った僕が学生との模擬戦に臆してやめたという話が広がれば、救命団の名は失墜し、この先の旅にも支障が出るかもしれない。

 何より、隣国にいるローズに僕がビビって模擬戦を逃げ出してしまったなどということが知れれば、間違いなく死ぬより酷いお仕置きをされる。それは絶対に嫌だ、ローズに怒られるのもお仕置きされるのも、失望もされたくない。


「二人とも……折角の忠告だけど、僕はやめないよ。この団服を着ている限り僕に負けは許されない」


 お仕置き的な意味で負けられない……ッ。


「………あいつの人を区別する基準は強いか弱いかのどちらしかねぇ。手心も何もなく魔法使いを再起不能にまで追い詰めちまうんだぞ?分かってんのか?」


「大丈夫、僕の師匠程じゃない」


 人を何十メートルも殴り飛ばせるくらいじゃなきゃ僕は倒れない。

 それに二人の話を聞いて、ハルファさんの事について合点がいった。

 初めて僕に声を掛けた時の背を這うような粘着質な声も、僕を救命団の治癒魔法使いと知ってからの態度も、僕が訓練に参加せず残念そうにしていたのも―――僕が彼のお眼鏡に適うかどうか観察されていたという事か。


「さあ、ウサトさん。準備はできましたか?」


 キリハ達から離れ訓練場の真ん中あたりに移動した僕の前に、ハルファさんがゆっくりとした足取りでやって来る。その手には身の丈ほどの木の棒……いや、棍が握られており、それをくるくると回しながら依然として変わらない笑みを浮かべている。

 今ではその笑みが獰猛なものに見えてしまうよ。


「……大丈夫、やれるよ」


「そうでしたか……カーラ先生、開始の合図を」


 カーラさんが頷き、僕らは向かい合う。こちらは肩幅分足を広げるだけだがハルファさんは手を添えた棍を前に突き出し、体勢を低くするように構えた。

 彼の瞳で薄らと光っていた紫色の魔力の光が徐々にその強さを増していく。

 怪しくも輝くその瞳にどこか薄ら寒いものを感じながらも、僕も何時ものように治癒魔法を体に纏う。

 慣れない模擬戦でうまく力の加減が出来ればいいけど、まずはこれまでの訓練を生かす動きをしよう。まずは攻撃の回避、避けれる攻撃は全て避けよう。そしてあわよくば、この数日間で僕が何処まで治癒魔法の魔力濃度を上げられたかを試す。


「よ~し、合図を出すぞ~」


 何で貴方はそんな楽しそうなんですかね。

 開始の合図を告げるかの如く片手を挙げ僕とハルファさんを交互に一瞥したカーラさんは、その場から一歩踏み出し―――その挙げた腕を振り降ろした。




「始め!!」




 張りつめた空気を震わせる彼女の声が鼓膜を震わせたその瞬間、僕は力の限り後方(・・)へ跳んだ。

 僕が跳ぶと同時に、先程まで僕が居た場所に模擬戦開始と同時に跳び出したハルファさんが棍を振り降ろしていた。


「っ!?こっちの方が早く飛び出したんですけどね……!」


「逃げ足には自信があるからね!」


「ならば、捉えて見せます!」


 十メートル程後方に着地した僕へ棍を突き出すように構え飛び出すハルファさん。速い、魔族でも獣人でも、ましてや勇者であるカズキや犬上先輩のような例外でもないのにこれだけの脚の速さをみたのは初めてかもしれない。

 ローズに強面共?あれは例外過ぎるから比較対象に挙げない。


「フッ!!」


「おわっと」


 首目掛けて突き出された棍を体の向きを変えるようにして避ける。

 容赦なく首目掛けて棍を突き出してくる、か。当たり所が悪いと悶絶してしまう。

 連続して突き出される棍の連撃を身を翻しながら横に跳ぼ―――


「させませんよォ!」


 ―――うとしたのだが、まるで分かっていたと言わんばかりにくるりと回転した棍が跳ぼうとした僕の脚の間に差し込まれ、足払いを掛けられる。

 このままじゃ手痛い一撃を貰う……。

 体勢が崩れた状態からそのまま転がり、地面に手をつき腕力だけで飛び上がり着地する。


「想像以上にやりにくい……」


「私も同じことを思っています……よっ!!」


 こちらに休ませる隙を与えない為か、続けて棍を繰り出してくる。

 これもさっきと同じように横に向きを変えて避けようとする……のだが、どういう訳か僕の顔面へ突き出す突きが寸でで止まり横に身を翻した僕への薙ぎ払いへと変わった。

 まるで動きを先読みされてるみたいだ、本当にやりにくいなぁ!


「!」


 慌てて棍での薙ぎ払いを身を屈め避けると、次に待っていたのは僕の顔面へ向けられたハルファさんの膝。


「狙いがえげつなすぎるッだろ!」


 膝が鼻先に当たる寸前に、身体をねじり膝蹴りを避ける。

 何から何まで急所狙い、これはキリハもキョウも止めようとするわ。危なすぎるわッ、ローズに訓練されてなかったらゴリ押しでハルファさんを気絶させにいっていたぞ……ッ!!


「それに―――」


 さっきから僕の動きが先読みされてる。最初の攻撃から初動がいやに速かったのと何か関係があるのか?どっちにしろ、面倒だ。ローズから回避の訓練をされてはいるが、避ける先に攻撃が繰り出されていたらかなり避けにくい……。

 ハルファさんの追撃をギリギリではあるものの避けながら、考えてはみるものの動きが予測されている理由が分からない。


「恐ろしい人だッ……本当にッ……これだけやっても無傷ですか……ッ!!」


「埒が明かないな……」


 ハルファさんは、それでも棍を繰り出し続けている。

 僕も棍のせいでハルファさんに迂闊に近寄れないが―――


「フゥ―――……」


 ローズの言葉だけに縛られるのは駄目だ、僕は言われた通りにだけ動くのではなく、臨機応変に行く!

 ゆっくりと息を吐いた後に掲げた両腕に治癒の魔力を集中させ、振り下ろされた棍をクロスさせた腕で受け止める。

 多少の痛みはあるが、剣や槍じゃないから大丈夫!


「……魔力が手に……!?っ!!」


 僕の両腕を見て驚愕するように声を上げたハルファさんに上段の蹴りを放つ、が、あっさりと後ろへ跳ばれ距離を取られてしまう。

 でも、今度は僕が追う番だ。

 後ろへ退がったハルファさんが棍を構える前に一跳びで距離を詰め、跳び蹴りを放つ。


「くっ……」


「避けたかァ!!」


 蹴りが当たる寸前に回避されてしまう。

 やっぱり、動きを読まれている前提で行動した方が良いか。さっきからハルファさんの目が不自然に僕だけを捉えているし……。まあ、アマコの未来予知程の反則的な精度じゃないことを祈って――― 


「力押しで行かせて貰います!」


 懐へ飛び込むという目的は達成することができた。

 ハルファさんもすぐに平静を取り戻したのか、引き戻した棍を僕へ突き出す。流石の判断と言いたいところだけど、今度の僕は攻撃を避けない。予測できるものならしてみろ、僕はそれすらも構わず攻撃するぞ……ッ。

 魔力を纏わせた拳とは別の拳で顔目掛けて突き出された棍棒を弾き、その向きをずらす。ずらされた棍の先が頬を切り裂き頬から血が噴き出るが、気にする程の怪我じゃない。

 僕は構わず拳をハルファさんの腹部目掛けて振りぬいた。


「がッ……!?」


 ハルファさんの腹部へ繰り出した拳は何か硬い物に阻害され防がれたが、そのまま拳を振りぬく。

 拳の勢いで宙を舞うハルファさん……飛距離とか遠く及ばないけど、僕もローズに殴られていた時は今見た様な光景だったんだ―――って……あ……。


「やば……」


 僕はバカか!?

 何でローズ基準!?

 気絶する程度でいいのに何でわざわざ殴り飛ばした僕!?


 いくら治癒魔法で殴ったとはいえ、これは流石に駄目だ。またアマコにドン引きされる武勇伝を増やしてしまうッ。

 地面へ落ちようとするハルファさんを慌てて助けに行く。しかし、僕の焦燥を裏切るかのように空中で体勢を整えたハルファさんは、危なげなく地面に着地しそのまま膝をついた。


「ははは……模擬戦で死ぬかと思うのは初めてですよ……」


「すいません!ちょっと手加減を間違えたというか、人が飛ぶことに慣れてしまったというか……」


 あれ?今、視界の端に見える学園の生徒達とキリハとキョウが「嘘だろ」と言わんばかりの表情で顔を青くしたのが見えたような気が……。


「これがなかったら危なかった……」


 彼はその両手に持った、真っ二つにされた棍を僕に見せた。

 ……成程、当たる寸前に戻した棍で僕の拳をガードしたのか。よく防御が間に合ったなぁ、少なくとも木端魔族よりは格段に強いんじゃないか?

 密かに感心していると、真っ二つに折れた棍を双剣のように振るったハルファさんが、それらを再び僕に構える。


「まだ終わりじゃないですよ。終わりにできる筈がない……貴方は私の想像以上に強く、そしてあまりにも魅力的な強さを持っている―――幸い、貴方の治癒魔法のおかげで大したダメージもありませんので」


 ここで終わりにできればいいのだけど、ハルファさんはまだやる気のようだ。僕としてはもうやめたい所なんだけど……そうはいかないのがキツイとこだな。


「はぁ……」


 治癒魔法を集めた拳を開き、先程切り裂かれた頬にあてがい傷を治す。綺麗さっぱり傷がなくなったのを確認した僕は、何故かその笑みを引き攣らせているハルファさんに拳を構えた。



次話もすぐさま更新いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ