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八十七話

 協会で話がある。そう呼び出しを受けたので協会へと足を運んでみると、石川の婆様や戦闘班の人に美咲さんと結構な人数が居た。


「何かあったのかな?」

「んー……私も朝に呼ばれただけだから、わからないかな」


 聞こえてくる会話からも内容を知ってる人は少ないようで、全員が何かあったのかと思案顔をしている。

 皆がそんな風に会話をしていると、扉が開きお姉さんとお兄さんが会議場へと入ってきた。ふむ……二人が揃って来るという事は、かなり重要な話になりそうだ。


「さて、皆集まってるわね。今回は集まってもらってありがとう」


 お姉さんが入ってくると、挨拶を始めたがその顔はかなり真剣だ。

 どうやら、かなりの案件のようだ。


「先ずは……瘴気関連から話をするわね。と言っても、これは石川さんからの要望から色々と話し合った結果ね」

「婆さんからか? 何か試作品でも出来たのなら、俺等が使うぞ」


 試作品ならばと戦闘班の一人が立候補したけど、恐らく今回は違うよな。何せ試作品なら、先ずは自分達で試すのが技術班だ。


「試作品ではないのじゃよ。今回の頼みというのはじゃな……調査班の数名を瘴気の所まで連れて行って欲しいのじゃよ」


 なるほど、ダンジョンにアタックする為に瘴気を渡る方法を、直接調べてみたいということか。


「そういうわけで、先ずは戦闘班から何名かを行ってもらうわ」

「なるほど……どれだけのメンバーが行くんだ?」

「一応だが、ニパーティーを予定しているわよ。村の防衛や通常の狩りのメンバーも必要だからね。それと一緒に、入谷君にも行ってもらうわよ」


 戦闘が出来ない人の護衛だからな、それだけメンバーが必要という事か。それと入谷のお兄さんって、ダンジョン入り口を担当してたし、結構強いからなぁ。

 指揮もお兄さんにやってもらえば、それこそ雀蜂の巣を攻略した時みたいに順調に行くだろうな。


「次は〝無の森〟についてなんだけど……残ってたデータを調べてみたら、おそらく〝トレント〟か〝マンドラゴラ〟辺りだと思うわ」

「……思うって事は、断言出来ないって事か」

「そうね、何せデータが少なすぎるのよ。〝無の森〟の調査内容以外にも残ってるデータ自体がね」


 気配も無く、大量に獲物を捕らえる。それの理由は恐らく擬態だろうという話。

 そして、その擬態を森の中で有効活用するモンスターをデータから調べたら、植物系という事になるようだ。


「それじゃ、どうします? 森……焼きますか?」


 おおう、過激な事を言う人もいるなぁ……たしか、最近ハイテンションになりながら狩りをしてるチームのサブリーダーさんだっけ。隣でリーダーが落ち着けって言いながら頭を抱えてるな。


「……それは最終手段ね。先ずはモンスターのみに効く除草剤の作成を頼んだから、それが効くかどうかかしら」

「モンスターのみですか……それは、どうやって調べたのです?」

「調べたというより、対モンスター用の毒は雀蜂の時に作ったから、それの応用ね。効果は確認してないから……いきなり実戦投入による調査になるわね」


 これは……通用しなかった時の事とかも考えておけって事だな。あの、雀蜂の巣に使った時も通用しなかった場合の対策は色々と考えてたからな。


「とはいっても、〝無の森〟に関しては調査優先だから、ついでに先ずは使ってみてもらうってところかしら」

「奥の調査に入るついでに、それをもって行けば良いって事ですね」

「そういうこと、白河君お願いね」


 〝無の森〟に関しては、俺とイオで調査してるからな。引き続きやって行くのは決まってたんだろう。

 まぁ、此処で違う人にバトンタッチする気なんて無いけどな。


「後はそうね……ダンジョンに行く人達に任せたいのだけど、街でシェルターに潜ってる人達に接触できるなら、入谷君にしてもらうつもりだから」

「なるほど、戦闘にならないように気をつければ良いんだな?」

「ダンジョンまでのルートにある街だからね……トラブルは少ないほうが良いわ」


 あの街の位置でダンジョンまでの道を封鎖されたら面倒な話だ。その為に、戦闘班には血が頭に上っても争わないようにと釘刺しか。

 最近の戦闘班はテンション高いからなぁ……喧嘩とかは無いけど、知らない相手に馬鹿にされたりすれば、どうなるのやら。あのテンションとスペックだとちょっと怖いよ。


 まぁ、話としてはだ。俺とイオが〝無の森〟に対して調査を続行しながら、魔道具が通用するかを確認する。

 戦闘班と調査班がダンジョンまで向かい、瘴気に関して様々な調査および実験をするって事だな。


 ダンジョンに関して進展があれば良いけど……そもそも、瘴気って何だ? と言う話だからな。これは、時間が掛かるだろう。

 魔道具は……雀蜂の件からすると、楽しみではあるけどちょっと気になる点があるんだよな。聞いてみるか。


「〝無の森〟に使う道具なんだけど……イオは大丈夫なのか?」

「あー……それは大丈夫のはずよ。猪・熊・ウルフ・猿・ゴブリンっと試してみたけど、効果が無かったわ」


 ふむ……それは逆に心配になるな。イオがじゃなくて、森に居るだろうモンスターに通用するかどうかという点で。

 まぁ、今回は調査と検証で討伐を目的として無いから、効果が無くて問題は無いか。


「さて、他に疑問点はあるかしら?」

「こっち無いな」

「俺は聞いたから大丈夫かな」


 現状は質問が無い。そんな答えを受けて、お姉さんが会議を一旦閉める判断をする。


「そう……なら、皆は解散後に装備のチェックや準備をしておいて。出発は三日後だから……装備を整備に出しても大丈夫よ」


 その三日後は、ダンジョンへと向かう組の話だよな。俺はどのタイミングで出れば良いのかね? それと、美咲さんは横で眉間に皺を寄せてるけど如何したんだろう?


「難しい顔をしてるけど、どうした?」

「ん……えっと、私は如何したら良いんだろう? っと、呼ばれはしたけど、組み分けとかされて無いから」


 呼ばれていた戦闘班は、ニパーティーで丁度ダンジョンへと向かう数だ。そして、〝無の森〟へと向かうのは俺とイオ……うん、なんで呼ばれたんだろうね。そんな会話を二人でしていると、お姉さんから声が掛かった。


「藤野さんにお願いがあるんだけどね」

「え、なんでしょう!」

「藤野さんは、私の護衛に回ってくれるかしら? 女性同士ってのもあるけど、入谷君が外にでるからね……村で何かあった時とか私が出ることになるから」

「あー……解りました!」


 なるほど、専属護衛の為に呼んだのか。基本はお兄さんとお姉さんがペアで行動してるからな……お兄さんは補佐兼護衛だ。まぁ、プライベートでも良い仲らしいけど。

 そのお兄さんが外にでるから、美咲さんが呼ばれた。彼女って強いからな……弓だけなら村一番じゃないか? ってぐらいに。


「あー後、白河君は出発のタイミング。自由にして良いわよ? まぁ、出来るならダンジョン組の後にして欲しいけど」

「あー〝無の森〟で何かあった時に、通れないなんてのは避けたいって事ですね」

「そうなのよ。まぁ、ダンジョン組が戻る時に、問題があって封鎖なんてもの如何かと言う話もあるけどね……」


 ふむ……それなら、川側かその先を曲がった道から調査したほうが良いか。そうすれば、村とダンジョンをつなぐ道に問題が起こる可能性は減る訳だし。

 とはいえ、少し移動しないといけないか……これは、早めに出発をしたほうがいいかな。


 さて……調査計画を立てた後に装備チェックをしておくか。婆様から道具の受け取りもしないといけないからな。

 これで、魔道具の効果が抜群すぎて攻略できたら、楽な話なんだけどなぁ。まぁ、道具が使えない前提で計画を立てておこうか。うん、常に最悪を考えておく。この方針は変わらない。


 ……そういえば、連携や森の中で戦う為の武器がポールウェポンじゃ辛いんだよな。長物以外の武器も頼んだけど、出来てるのかな? 今回の件で間に合ってたら良いんだけどなぁ。

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