八百六十八話
今回は短めです。
あらまぁ……と、いつの間にやらというレベルで話が加速していた。まぁ、何が加速した話なのかというと、ソラとサキさんについてだ。
この二人。一体いつ結婚することになるんだ? という状況だったけど、周囲の後押しによってサキさんがその気になってから一気にスピードアップしたようだ。
「ソラ乙」
「乙じゃないんだけどなぁ。ユウも他人事じゃないと思うんだけど?」
確かに美咲さんのお母さんである美波さんが現れてからというも、うちの母親とゆいにも火が点いたのか、さりげないアピールが増えてきている。
こう、大きな独り言で「孫はいつかしら?」とか、神社が発行している結婚式のパンフレットがこれ見よがしに置いてあったりとか……うん、これ何かの漫画とかドラマでみた! と言いたくなるような工作が行われているんだよなぁ。
そう考えると……ソラの言う通りで俺も他人事ではない。
ただまぁ、まだまだソラよりも余裕があるからな。
「んー……僕はこっちに帰る前から覚悟だけはしてたからね。ただ、まだ時期じゃないって思っていただけで」
「まぁ、戻ってきてからも忙しかったみたいだしな」
「だね。研究所の人ってどうしてアレほど突っ走る事が出来るんだろう……」
「俺から言わせて貰えば、ソラも大差が無いんだけどな」
「いやいや、全く違うからね……本当に彼らはいつ休んでいるんだろう?」
あー……確かに研究員って研究をしている時間が休憩時間ですとか言うしな。
仕事も研究、休憩も研究、娯楽も研究と……どう考えても休んでいる時間なんて無いよなぁ。
「って、この話題は前にもやったような?」
「あー……そうかも。どうも仕事の疲れと周囲の慌ただしい動きで思考がおかしくなってるかな」
「考える事がいっぱいあるからなぁ……」
更に言うなら、今回俺と美咲さんが神鋼の素材を持ってきたから、ゲートの改良の話で研究所は盛り上がっている。
そうである以上、当然だけどソラも其処へ招かれる訳で……なんかすまん。俺達が協会から言われたとはいえ、仕事を増やしたようなもんだな。
まぁでも、それはこの世界に必要な事だからな。まぁ、ソラには諦めてもらうしか無い。
それにしても……これだけ忙しい中での結婚か。
当然だけど研究員達も招待するんだろうけど……来るのかなぁ? 間違いなくその日に研究が忙しいからと言って……いや、結婚式がある事自体すら忘れそうだけどな。
まぁ、研究員が来なかったとしても、探索者達とかそれぞれの役員が来るだろうから……あ、これ人が多すぎて収拾が付かなくなるんじゃないか?
ソラもソラでかなり有名になったからなぁ。主に名のある人々にだけど。
「ゆりの時みたいに周りが暴走しないと良いけど」
「それは……無理があるんじゃないかなぁ」
かなり大きなお祭りになりかねないよなぁ。
多分今頃、協会と神社とサキさんのお父さん達が、あれやこれやと式について話し合いをしているはず。
やはりあれかな? 屋台が豪華になったりするのかな。それとも、あの移動用の車がデコレーションされてしまうとか。
どうなるにしても、絶対に色々とやらかすハズ。
「やっぱりさ。ソラ乙って事だよな」
「……だから他人事みたいに言って」
「俺は〝化身〟の社だけって手段もあるから」
「なんかずるくない!? てか、僕もソッチで良い気がするけど!」
「今更だな」
周りが盛り上がって方針を決めてしまった時点で、もうどうやっても修正が出来ない。
それにソラは覚悟をしていたんだろう? それなら、しっかりと周りの祝福を受け入れるしかないよな。
「むむむ……こうなったら……」
「だから今更だって。色々考えてももう遅いって」
「いやいや。まだ今からなんとかなることも有るはずだから」
ソラは一体何を考えているのやら。
今から抗ったとしても、皆の意識が盛り上がっちゃってるからなぁ。一体何をやろうとしているのやら。
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という訳でボーイズトークでした。
ソラは一体何を企んでるんですかねぇ……。




