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八百四十話

 一匹ずつ丁寧に撃墜していくと、途中から空から落ちて行くワイバーンの数が増えていく。

 落ちて行くワイバーンは結構バラバラな位置だが、一つだけ法則性があり、その落ちるワイバーンの全てが群れの外周部分に居る奴等と言う事だ。


「第二陣の到着が思った以上に早かったって事かな」

「でもどれだけ来たんだろうね?」


 どれだけ来ているかは全く予想すらつかない。

 そもそも今回はワイバーン狩りだからな。一定ライン以上のレベルが必要で、そのラインをどう判断しているかは協会次第。

 なので割とそのラインを超える事が出来る探索者は少ないかも? なんて考えもあるけど、今回は対空砲撃がメインだと考えれば、ある程度頭数を用意するだけでも良いという発想も出来る。

 協会の判断がどういったものなのか、それ次第でがらりと送ってくる人数は変わるはずで……。


「弾幕が薄く無いって事を考えると……結構な数を送り込んで来ている可能性もありそうだなぁ」

「んー……言われて見れば?」


 美咲さんが疑問に思うのも仕方がない。

 その弾幕自体が割と単調と言うか……探索者が動かずに位置を固定したまま砲撃するか? と思うような撃ち方なんだよな。

 ガトリングを撃っているからとはいえ、拠点からの砲撃ならまだしも、そうでない場所でも皆さん足を止めていらっしゃる。

 いやいや、スナイパーじゃないけども! こういった拠点からの固定射撃でもない限りは、普通射撃ポイントを移動しながら撃つでしょうに。あれではただの良い的になるぞ?


「その場にいる人が見えないから何とも言えないけど……あれって本当に大丈夫なのか?」


 俺や美咲さんが見ているのは弾の軌跡から予想しているものなんだけどね。間違いなく誰一人として動いていないんだよ。


「私達も移動しながらなのにね。そうじゃないと、四方から一斉にワイバーンが飛んで来たら対処が大変すぎるよ」

「だな。特に俺なんてアンチモンスターライフルだからなぁ。ガトリングより厳しい状態になる」


 そして勿論だけど、アンチモンスターライフルを撃っている人も居ると思われる。ガトリングとは違った音や威力の弾が飛んで行っているみたいだからな。


 ただ、彼等の武器全てが俺や美咲さんのと違って量産型なんだよなぁ。だから、武器の威力自体が結構違っていたりするんだよね。テスター武器が恐ろしい改造をされているってだけなんだけど。

 とは言え、そんな量産型の武器でぼっ立しながら、ただただ上空に射撃をする。これ、どう考えても狙ってくださいって言っているようなものだよね。




 なんて考えていたんだけどなぁ……。




 いやはや。事実はかなりえぐい物だった様で。


「何時の間にそんな物を……」

「囮として優秀って事なんだろうね」


 一人を立たせて囮にする……なんて事は無く、研究所で開発されていた無人の銃座。しかも恐らくAIによる連動式なのかな? 上手く囮として敵を寄せ付けた場合は、更に周辺に隠していた銃から集中砲火。

 な、なるほど。人の手が足らない分はこういう形で補っているという事か。


「第二陣の人達はまず設置からしていったんだろうね」

「本人達はどうしているんだろうね?」

「そこはほら……上空に居るペガサスが答えじゃないかな?」


 ペガサスに乗った人がワイバーンを警戒しながら地上に降り、少ししたら上空へと戻って来る。そんな行動を繰り返していた。

 ワイバーンの狙撃に集中していた時は気が付かなかったんだけどな。注意してみれば直ぐにわかる動きをしているな。


「しっかし、AIによる攻撃ってアラクネやらガーディアンやら戦車の事を考えたら、普通にやっている事だったけど……まさか銃オンリーで作るとか考えて無かったなぁ」

「そう言えば確かに。ラーナもガトリングを撃っているんだから、完全にAI任せも出来るんだよね」


 ただそれを、銃座兼囮として用意するとは……もしかして、最悪あの囮は自爆機能も付いているのではないだろうか? いやでもなぁ。それってAIに自縛しろって言うようなモノだから、流石に無いよな。


「え? あー……そっか。なんかラーナが「小型の脱出装置でも有れば自爆させる事ぐらいはするはず」って言ってるよ」

「……脱出装置か。車みたいな感じとかそんなんかな」


 確かにAIのコア部分さえ逃がす事が出来れば、皮とも言える銃の部分は爆発させても何ら問題が無いからな。

 それに、以前AI搭載型の鎧に爆発機能を付けようと考えていた研究員も居たそうだからな。……流石にそれは人が纏うモノだからと却下されたんだけど。今回の様なパターンは自重しないよなぁ。絶対「自爆はロマンだ!」とか言って押し通すハズ。

 さらに言うなら、鎧時に却下した理由である〝人に危険がある〟という内容は、無人と言う時点で条件をクリアしているからなぁ。


「ま、少しでも多くのワイバーンが落とせるなら何でも良いか」

「そういえば、固定砲台は双葉ちゃんの植物もやってるよね」

「あー……でも今回は植えてないみたいだな。なんでだろ……忘れてんのかな?」


 空での戦いに夢中で頭から抜け落ちている。その可能性が一番高そうだよなぁ。ただ、それでも大活躍中な事に変わりは無いけどな。


 そんな会話をしながらも、一匹、また一匹とワイバーンをライフルで撃ち落としていく。

 てか本当に楽だな。美咲さんがガードしてくれているお陰で、次から次へと撃墜数を稼ぐ事が出来る。……まぁ、上空を見ればそれでも雀の涙程度の数でしかないんだけど。


「てかさ。禁止されているから撃ってないけど、広範囲系の魔法とかもう使っちゃっても良いんじゃないかなぁ? って思うんだけど」

「使ったらダメな理由って、音や魔力で島に居ると思われる存在を起こす可能性があるからだよね? だったらやっぱりダメなんじゃない?」

「ただなぁ……ここまでダンジョンが暴走? して、ワイバーンを大量排出した時点で魔力は乱れに乱れまくっているだろうし、銃撃音とかも結構な爆音だと思うんだけど? なんなら、ワイバーンが合唱みたいに鳴いている次点で、くっそ五月蠅いし」


 これ、広範囲魔法を封じておく理由あるのかな? って思ってしまう。

 むしろ問答無用でぶっ放し、ワイバーンの数を一気に減らした方が良いまで有るんじゃないかなぁ。


「とりあえず打診だけはしてみるけど……絶対そっちの方が楽だと思うんだよなぁ」

「でも、現状はその〝何か〟は行動して居ないんだよね?」

「そう言われたらその通りなんだけどね」


 ただ、この状況を考えると、そもそもそんな存在など居なかったのか。それとも、魔力の乱れも爆音も全く気に留めない存在なのか。

 そんな可能性が高くなるんじゃないかなぁ。そしてその場合は魔法をぶっ放しても、何ら問題が無いよね? 居ないか気にしないのどちらかな訳だし。


「っと、どうやらダンジョンは息切れ中か」

「ワイバーンを排出しなくなったね。って事は、今はリソース不足なのかな?」

「かもな」


 今の内にワイバーンを叩けるだけ叩いておこう。ワイバーンの死体を回収してリソースを回復するにしても、結構タイムラグは有るはずだしな。


 それにしても……ダンジョンと言い、島側と言い、ワイバーンと言い、一体どうなっているんだろうな? 何か裏で起きているのだろうか。

 とりあえず、まずはワイバーンの数を減らして、その後ダンジョンに突入って形になるのかな。……まぁ、まだまだ空にはワイバーンが大量に居るんだけどな。

 あれを全部撃ち落とそうと思ったら、どれだけの時間と弾が必要になるのやら。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます(o_ _)o))




ラップトップなモノが大量にばら撒かれたようです。しかも、トラップ機能ともしかしたら自爆機能付き。

もしFPSで実装されたら、絶対に装備したい(≧▽≦)マテ

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新しい話をアップしていきますよヾ(*´∀`*)ノ:孤島で錬金術師~修学旅行中に孤島に飛ばされたから、錬金術師になって生活環境を整えていく~
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[一言] さてどんなのがでてくるやらw だたのドラゴンならいいねー 上に古とか神とかついてないことを祈っても無理臭いw
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