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八百三十九話

 方針が決まるとイオが弾丸の速さで空へと飛び出していった。

 いやはや、本当に一瞬でワイバーンの背後を取るとは……イオも成長して。と、感動をしている場合ではない。


「こっちもこっちで攻撃開始だな」

「アラクネモードでガトリングを展開だね」


 俺はアンチモンスターライフルを、美咲さんはガトリングを……って美咲さんそれはいったいなんぞ?


「えっと、ガトリングを幾つ撃つ気?」

「合計で四門かな」


 美咲さんは両手に一門ずつ以外にも、アラクネの横腹部分辺りからガトリングを展開。た、確か中央はマルチロックランチャーとかが仕込まれていたよな。……バージョンアップしてる?

 と、そんなガトリング達には弾丸の帯が繋がっているのだけど、その弾丸の行き着く先はそれぞれ別の魔法鞄。ウェポンポーチやポケットとでも言えば良いのだろうか。まぁ、そんな場所へと繋がっている。


「ガトリングが格納されていた場所にポケットが有るって感じか?」

「そだね。内部にあるよ」


 何んとも恐ろしいギミックを……もしかしてまだまだ隠してあるモノが存在していてもおかしくないな。


「おっと……それを気にしている暇はないか。ここは火力が増えた事を喜んでおこう」


 正直な話。驚愕した訳だし、研究所は何時こんな改良を? という話を研究員に聞きたい処では有るんだけどね。今はそんな状況でない事は重々承知している。

 とりあえず今は……ワイバーンをロックオンして一匹でも多く撃ち落とす事が必要だ。


『単独で移動をするワイバーンを確認。射撃予想位置を提示します』


 戦場で久々に聞くAIのアシスト。

 そしてその音声通りに、俺のゴーグルにはAIからワイバーンの移動予想位置が表示され、射撃するポイントがしっかりとマークされている。

 アンチモンスターライフルの銃口を向けると、ライフルから射撃されるだろう弾丸が行き着く先も表示される。なので後は、その射撃予想位置と弾丸到達予想位置の表示を重ねて……。


「トリガーをクリック」


 ドォン! と銃撃音が響くと銃口から弾丸が射出。

 弾丸はゴーグルが予想されたのと同じ弾道で飛んでいくと、同じくゴーグルに表示された予想地点に到達したワイバーンへ吸い込まれるように着弾。

 これはもう、未来予想と言っても良いレベルでAIの計算能力が高いという事だよな。……この距離を自分で計算しようと思ったら、もうほとんど勘での射撃になるしな。そしてその場合、命中はしてもワイバーンを的確に撃ち落とすとかは厳しいだろう。


「ど真ん中だね! って、銃撃音で数匹のワイバーンが結弥君に気が付いたみたい」

「だな。迎撃は任せても?」

「オッケー! ラーナもやる気満々だから大丈夫だよ! 「久々にワイバーンを喰らうんだ!」って言ってる」


 それはまた心強い事で。……ってか、鎧化してしまったアラクネはどうやってワイバーンを食べる気なのだろう。

 いやまぁ、そんな事を聞いてやる気をそぎ落とすような真似はしない方が良いか。


「魔剣達は……何時ものポジションか」


 美咲さんの周囲をふよふよと漂っている。ただこれってオートガードみたいなモノなんだよな。接近してきた相手は浮いている魔剣達に迎撃される……と、実に恐ろしい存在だよ。


「そしたら、俺は次々に離脱しそうなワイバーンを撃ち落として行きますか」


 一応は空を飛んでの格闘戦も出来るけど、それは颯達が居る状況でやった方が良いからな。何せ、少し休憩する時は落下しながらの騎乗が一番楽だし。それに、墜落対策にもなるから。

 という事で、俺達が上空で戦闘をするのはまだまだ後。今はこうして、地上から砲台としてワイバーン達を撃ち落としていく。


「よっと! 四門同時に一斉射!」


 四つの銃口から弾丸が空へばら撒かれて行く。

 距離を詰めて来ていたワイバーン達は、その弾幕を突然浴びる事になり逃げる事も出来ず、翼膜などの柔らかい箇所がハチの巣状態へ。


「おー……生きたままだと思うけど、地上へ次々と落ちて言ってるな。てかこれ、案外落下ダメージで死んでるんじゃないか?」

「それはどうか分からないかな。ただ、ワイバーンの上へ墜落するワイバーンもいるはずだから、衝突でってのもあるかも?」


 しかしなんというか。ガトリングが少しずつ動いているのを見ると、これって全てアラクネが計算しながら操作してるって事だよな? やっぱり、AIとしては飛びぬけているって事なんだろうな。まぁ、二門は美咲さんが自ら動かしている訳だけど、それでも俺の射撃予想や移動予想ポイントの表示みたいなのがバイザーには映し出されているだろうし。


「負けてはいられないな! AI次の目標よろしく!」

『了解しました。次の目標は……』


 さて、一体どれぐらいの数を撃ち落とせば良いかな? というか、俺と美咲さんの銃撃音でワイバーンを寄せ付けている気がしなくもないけど……これは丁度良いと言っても良いのだろうか?

 あぁでも、沢山寄って来るのであれば、マルチロックランチャーの出番もありそうだ。……って、既に美咲さんが展開しているな。てか、アラクネの計算能力って何処まであるんだろう? ガトリングを動かしながら、ランチャーも展開って。あ、しかも移動も出来るんだよな。

 美咲さんの補助のハズなんだけど……アラクネモードの時は、もうメインが逆転してないか? と思えてしまう。


 ただまぁ、美咲さんとのアラクネの仲は良好だし、特に問題視する必要も無いと思う。信頼関係がなければ〝共鳴〟なんて大技は使えないしな。


「よし、ターゲットが重なったな!」


 トリガーを引いてワイバーンへ向かって弾丸を射撃。

 ちょっと作業感がある行為かもしれないけど、これが今の遠距離戦闘の方法で、一番効率が良いというかすっごく楽。

 戦闘の感覚が! なんていう人も居るけど、アシストがある分は他の分野の感覚を伸ばせると考えた方が良いと思う。って事で、俺は気にせずAIによるサポートはフルに活用していく。

 てか、そのサポートを無しに同じような射撃が出来る人は化物だと思うよ。……実際に居るからなぁ。そんな化物時見た人。もう現代のシモ・ヘイヘと言っても良いんじゃないかな。


 と、とりあえず。俺の場合はそんなサポートを受けて超人的なスナイピングが出来る。そして、そのお陰で……。


「よし、離脱するワイバーンを撃墜! これ、後で素材回収とか出来るんかね? ダンジョンに飲み込まれたりしないのかな」

「どうだろ? ダンジョン側に回収班がいたら間違いなく素材は諦めないといけないよね」


 ダンジョン側としても、ワイバーンの死骸は自らのリソースになるからな。回収しようと思っても可笑しくない。

 ただそうなるとなぁ。撃墜しただけという結果になる。そしてそれは、弾丸を消費して相手が攻撃する時間を延長したというだけなんだよなぁ。

 何とかしてワイバーンを回収されリソースを回復される前に、此方でワイバーンの回収が出来たらいいんだけど。

 流石にこの状況だと厳しい物が有るよなぁ。さて、一体どうしたものか。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます!(o*。_。)oペコッ




という訳で、地上から動く砲台として行動をする二人でした。

イオ達はもう、戦闘機の如くと言った感じでしょうねぇ。シールドを展開しながら体当たりしつつ、通り過ぎながら双葉の鞭や銃弾が飛び交い、更にスライムによる溶解液がばら撒かれたり、スライムの触腕による一撃。

……これ、イオ達が一番凶悪な状態じゃないか? 戦闘機だけじゃなくて、爆撃機も兼ねている訳だし。しかもその爆撃は溶ける液体と……うん、恐怖だ。

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新しい話をアップしていきますよヾ(*´∀`*)ノ:孤島で錬金術師~修学旅行中に孤島に飛ばされたから、錬金術師になって生活環境を整えていく~
― 新着の感想 ―
[一言] 四門のCIWSに多連装ミサイル、射撃統制システムまで搭載しているとは・・・ これで120ミリ速射砲も加われば護衛艦も真っ青ですな。
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