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七十三話

 骨折に関して予想以上の速さで治った。

 そして今は武器について如何するかを、爺様と話をしている。


「前回は色々な武器を振ってみてから、あの形にしたんだよね」

「そうじゃの、それに長物でいこうと決めておったしのう」


 武器の形をそのままに、素材のランクを上げるのが良さそうではあるんだけど。


「色々と戦闘を経験した上に、団体で戦う事も増えてきたからのう。元々の戦闘スタイルから考えたら、ソロなら良いじゃろうが……」

「うーん、確かに合わなくなってきてるよね。イオとの連携も結構な距離をとらないといけないし」


 横薙ぎをしたりすれば、当然だけど行動の邪魔になる。美咲さんであれば、メインは弓だから何とかなるけど……イオだとなぁ。ソロを脱却してる状態だし、新しい物を考える必要があるか。


「とはいえ、あの武器は使いやすかったんだけどな」

「ソロで行動する事もあるじゃろうから、一応作っておいて状況に合わせて武器を交換すれば良いじゃろ」


 ふむ、現状もスコップやら鉄串やら剣鉈やらと、状況に合わせてチェンジしてるからな。それの延長だと思えば良いか。

 とはいえだ、どんな武器にするかだよな。


「そういえば、設計しておった……魔道具製の武器はどうなんじゃ?」

「あー……あれは燃費的な問題で現状は却下かな。ダンジョンに行ける様になってからじゃないとね」

「なるほどのう……色々種類があって良さそうだったのじゃがのう」


 可変型の武器やらモンスターにも通用するであろう銃の設計やらと……まぁ、色々と構想だけは練ってたからな。

 本当……ダンジョンに行けなくなったのは、色々な意味でダメージだったよ。


「連携用の武器かぁ……難しいな」

「まぁ、直ぐに動く訳でも無かろう? 他の装備も強化したりと時間はあるんじゃ、ゆっくり考えておくと良い」


 まぁ、当分は剣鉈やら鉄串で間に合わせるとして、色々前回みたいに振ってみるか。結構決まるまで時間掛かりそうだしな……あぁ、魔石が大量に手に入る環境になればなぁ。


「あぁ……そうだオーガについては何か解った?」

「オーガか……石川の婆さんも頭を悩ませておったのう」

「やっぱり魔石がないから調べるのも大変か」

「其れもあるみたいじゃが……骨も皮も硬すぎて大変らしいのう」


 あぁ……全力で打ち込んだハンマーですら、一切通用しなかったからな。加工するのも現状の道具じゃ厳しいのかも。


「魔力が通っておったら……傷一つ付けるのは無理じゃったろうな。最新の魔製道具でなんとかやっとるらしい」

「死んで魔力が通らないからか……現状じゃ倒すの無理だなぁ」


 武器をそろえても、今の素材じゃ無理だろう。一応オーガ製の武器を作れば……いや、オーガの魔石が無いから性能は落ちるか。

 しかし、こう話を聞くと……本当にあのオーガを一撃で倒した豆柴は、異常な存在だな。


「あぁ……そういえば、今回の戦闘から考えて防御面のアップも必要か」

「なんじゃ? 盾でも持つのか?」

「盾か、設計にあるギミック盾なら……いや、魔石がこれも必要だったな」

「まぁ、盾を持つとしても戦闘スタイルを阻害しないようにしないとのう」


 行動か、確かに基本的に動き回って、こそこそ隠れてだからな……そうなると、タワーシールドタイプは無いな。ラウンドかカイト辺りか? うーん、防御力が心許無いな。下手に持たない方が良いきがする。


「思考が行き詰っておるのう……少し休憩してきたらどうじゃ?」

「あー……うん、少し体でも動かしてくるよ」


 色々試してみるって思ってたのに、思考しだしちゃったからな。とりあえず、裏庭にでも行って適当に振り回してみますかね。




 そんなこんなで裏庭に来てみたのは良いけど……妹二人と美咲さんが、武器を振り回してる光景が目に入ってきたんだが。三人で模擬戦?


「あ、お兄ちゃん! って、危ない!」

「折角ゆいが余所見したのに、避けられちゃった」

「ほら、二人とも一旦やめて」


 うん、仲が良いのは良いし、母さんはニコニコしながら見てけど……内容が模擬戦って、訳が解らないよ。


「ほら、三人ともタオルで汗を拭いて、飲み物も用意してありますからね」

「……えっと、とりあえず何で模擬戦してるの?」


 話を聞いていくと、最初は美咲さんが訓練していて、それを黒木のおじさんが色々と指摘していたらしい。

 ただ、其処に妹達が乱入して現状になったと……うん、解らん。


「てか、なんで美咲さんは家の裏庭で?」

「あー……最初は黒木さんの庭でやってたんだけどね。ほら、様子みえるじゃない」

「なるほど、妹達が其れをみて突撃したから、色々と揃ってるこっちでやる事にしたのか」


 色々と模造武器の種類があったり、地形を弄って足場を悪くしたりと、訓練をするには良い環境つくってあるからな。


「お兄ちゃんも訓練するの!?」


 うん、ゆいそんなキラキラした目で見つめるな。お兄ちゃんは訓練じゃなくて武器選びだ。


「混ざらないよ? とりあえず動きに合いそうな武器がないかみるだけだから」

「兄さん、そこはほら……実際色々と試すって事で」


 ゆりお前もか、どうせまた三人で俺を狙いに来る事を考えてるんだう? だが、此処はスルーさせてもらおう。


「まぁ、確かに模擬戦で試すのも良いかもしれないけどね。怪我明けだからさ、リハビリついでに武器の感覚をみたいんだよ」

「むー……お兄ちゃんが遊んでくれないみたいだ!」

「兄さん、少しぐらいその武器選びを、手伝いたいと思ってるんだけど?」


 二種類の言い方で攻めてきたぞ? 美咲さんは……苦笑してるな。母さんはニコニコしてるし。ここは……そうだな。


「とりあえず、治ったばかりだからまた今度な? 今回は〝黒木のおじさん〟がターゲットになってくれるそうだぞ」

「ちょっと!?」

「おじさんが鬼さん何だね! よーし、いっくぞー!」


 うん、おじさんを生贄にしたらゆいが突っ込んで行ったな。ゆりは少し遅れたけど追いかけて行ったか。


「結弥君……うん、酷いなぁ」

「其処はまぁ、いつもやられる側だという事で」

「まったく……まぁ、黒木さんも楽しんでるから良いのかしら?」


 なんと言うか完全に追いかけっこしてる状態だな。二人が追いつくのは無理だと思うけど。


「さて、こっちは適当に素振りでもしてみるよ」

「そういえば、ポールウェポンだと間合いが広すぎてたみたいだしね」

「そうそう、イオとの連携の為にちょっと変えた方が良さそうだからね」


 さてと、適当に選んで色々試しますかね。前回の時に試したのは長物だけだったし。色々と新発見があると良いんだけどな。




――シェルター付近――


「リーダー! モンスターの気配がありません!」

「馬鹿、モンスターが居ないからといって、大声を出すな」


 周囲の明かりが月と星だけという時間帯。昼間に起きた地響きや戦闘光景について調べる為に、彼等はシェルターの外に出てきていた。


「しかし……あれだけいたはずのモンスターが一切いないとはな」

「それ以外にも、建物が崩壊している所があったりと……相当な状況だったみたいですね」


 街の一部に巨大な何かが通った。その様な形で崩壊をしている部分が存在し。また、所々にモンスターの血と思われる跡が発見できたりと、何か相当な状況が起きたのだろうと言う痕跡だけが見つかる。


「此処までくると不気味すぎるな」

「一体何があったのか……」

「とりあえずはこの状況を作り出したモノが、シェルターに来なくて助かったな」


 もしシェルターに入って来られていたらと想像してしまい、リーダー以外の人たちも恐怖で停止してしまう。


「ま……まぁ、これで地上に我々も出られるのでは?」

「馬鹿を言うな、得体の知れない〝何か〟存在するかもしれないのだぞ。危なくて外に非戦闘員を出せるか」

「たしかに、この場に戻ってきたらと考えれば……無理ですね」


 自衛隊や警官だった者達だけならば何とかできるかもしれない。だが、彼等には戦闘ができない沢山の人を抱えている状況だ。慎重にならざる得ない。


「リーダー! とんでもないものを発見しました!」

「だから、声のボリュームを下げろ!」


 大発見! と、一人の隊員が走りながら叫んでくる。それに対して、思わずリーダーも怒鳴ってしまい、すぐさま口を塞ぎながら、やってしまったという表情をしつつ周囲を警戒する。


「……ふぅ、本当に何も居ないようでよかった」

「す、すみませんでした。ただ、とんでもないモノを発見してしまいまして」

「あぁ、次からはお互い気をつけよう。で、どんなものだ?」

「それがですね……大きい足跡です」


 この隊員が見つけたのは、オーガの足跡だ。

 しかし、その姿を見ていない彼等からすれば、相当大きい足跡が、地面に残っているという情報しか手に入らない。


「足跡がはっきりと残る大きさを持ったモンスターか……」

「ゴリラですら、其処まで残りませんからね」


 自衛隊であれば、オーガと戦った事がある者も居る。だが、運が悪いのか、此処に居るメンバーでオーガを見たことがある者は、一人としていなかった。故に知っているのは情報としてだけだ。


「この足跡……戦った事があるものには無かったな。くそ、せめて基地のパソコンにアクセスできれば……」

「解る事と言ったら、大型かつ人型という事ぐらいですね」

「だめだな、このサイズとなれば危険すぎる。調査を一旦打ち切ってシェルター内部に戻るぞ」


 リーダーの決断は、調査の中止。

 彼の脳内では、ゴリラ達の群れはこの足跡の主に、やられたのではないか? と、そしてその主は何処かに移動したかも知れない。だが、此処に生きている生物が居れば、戻って来るのではないのだろうか? その様な思考で埋め尽くされていた。


 オーガが豆柴に倒されているなど知る余地もない訳で、結局はシェルターの内部へと、撤退する選択肢しかない。

 存在しない敵に恐怖し萎縮してしまう彼等は、地上に拠点を築き上げるのは当分先になりそうだ。

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