七話
現政府はやはりと言うべきか、椅子にしがみ付いている様。其の所為で、一向にダンジョン対策が進んでないようだ。野党が案を出すも聞く耳を持たない、一体何をしたいのやら。
本に関してはモノクルを通して解析が終わり、結果あの本は魔法に関するものだった。解析した瞬間に本が光の玉になり体に入り込んできたんだけど、魔法の使い方がインストールされた感じ? 最初からそうしろよ! と言いたい所だけど、どうやら本が入ってスイッチがONになるみたい、本を確りと読み解かなければONになっても魔法は使えない感じがする。まぁここら辺は考察しても仕方ないだろう、なんせ解読しなきゃ取り込めないから。
本は二冊手に入れていて、一冊は初級の風魔法について、もう一冊は初級の水魔法についてだった。解読した結果だけど、魔法は何でも出来る! という訳じゃなく本によってアンロックされた物のみが使え、火を使いたかったら火の本を手に入れろって事みたい、自分じゃ如何頑張っても使えるようにはならない様だ。
今回アンロックされたのは風と水の初級で、呪文によって何かするとかではなく、初級だと魔法に使える魔力の上限が此処まで! みたいな感じで決まってるっぽい。ぽいって言うのもステータス見れないからだ。大体こんな感じー? 的に自分で探っていくしかない様。特訓だ!
特訓特訓また特訓と日にちが経っていく。色々試した結果、魔法の大きさを大きくすればするほど威力が減る。圧縮すればするほど威力は上がるが……上限魔力が決まっているからチート魔法だ! ミタイな事は出来ない。少しがっかりだけど、まぁ使いこなせば万能武器になるな。色々と使えそうな魔法も開発したし!
僕とゆいの夏休みの課題をさくっと終わらせ、日常を楽しむ。早々にダンジョンの閉鎖が解かれる訳も無く、まぁ冬休みまでに解禁されれば早いほうなんだろうなっと予想。
「お兄ちゃん、今日もデモさんが凄いみたいだよ! TVで国会前中継映ってて、行列さんになってた!」
「あー……被害者の会と閉鎖を解けって言ってる団体が謎の合流もしてるみたいだしねぇ」
「人の欲は限りないのじゃろうて、被害者側にしても生きていて怪我を治したいからポーションを取りに行って欲しい人達もいるんじゃろうな」
「其のうち内部分裂しそうだなぁ」
「役所にも人が一杯だって! 自衛隊さんや警察さんが頑張ってダンジョンに行ってるのはポーションの為なのかな?」
「んーまぁ色々あるんじゃないかな? まぁ何事も無ければ良いんだけどね」
魔石の研究もする。モノクルのお陰で魔力が見えるからどういう変化をするのかも解りやすい。 魔石は硬いから削ったり砕いたり出来ないだろうって? 魔石同士でぶつけ合えば良いのだよ! って事で、其の方法で削ってみたり、砕いてみたり、火にかけてみたり、水につけてみたりと色々やってみる。
法則が分からん、まぁ犬とボス犬と毒犬の魔石しかないから……データが集まらなさすぎなんだろう。爺様もサンプルがたらんのうと言ってた。
ただ毒犬の魔石を粉状にした物を水にいれたら変色した。怖いからネズミに飲ませてみたら軽い中毒症状……あかんこれヤバイヤツだ。まぁお腹下した程度で終わったみたいだけど。粉を吸わないようにしなくては。上手く作れば……秘密道具の一つになるかも、少し期待。
夏休みも終わりが近づき、宿題が終わってないと慌てている学生が大量に居るだろう。後一週間程で如何する心算なのか? 計画的に終わらせようね!
そんな日常の中一つのニュースが駆け巡る。某県にてダンジョンからモンスターがあふれ出したっと。
――某県――
「何故だ! モンスターはダンジョンに住んでるだけでは無かったのか!」
「現状を見てください! 今、町が、モンスターに襲われてるんですよ!」
「えぇい! 国は何をやってる! 自衛隊の派遣は!?」
「既に連絡済みです! 市長ももう少し落ち着いてください!」
この市長、事もあろうかダンジョンの封鎖が決まった後、一切自衛隊や警察の介入を避け、自分の子飼数名だけを潜らせていた。
結果、ダンジョン内でモンスターの間引きが行われず、溢れかえってしまった。
「何がどうなっているのだ……ダンジョンに行ってた奴らはどうした」
「一切の消息が掴めていません……恐らくはもう」
「何てことだ……もうおしまいだ……」
欲望のまま行動したこの市長とメンバーの行為は、ダンジョンの危険性を再び世間に広めた。
ダンジョンは放置して良いものではないと。
そして、この件を切っ掛けに停滞していた国会が動き出すことになり、一般への開放も予想より早くなる事になるだろう。




