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六十五話

 双眼鏡から確認できたモンスターは、ゴリラサイズのモノが五匹、戦闘した事がある小型の猿が三十匹にウルフが二十匹ほど。


「建物の中とか裏とかは見えないから、もっと居そうだな」

「確認できるだけでも面倒だと思うけど……」


 ウルフシリーズから考えれば、あのゴリラサイズのはボスという事になるのだろうか? ただ、それにしてはサイズが大きいというか、まったく種族が違う気がするけどな。


「さて、あの大きい奴……まぁゴリラって言っておくか。あのゴリラの能力が解らないと、手の打ち様がないな」

「見た目からして強そうだもんねぇ。それに、ウルフと猿が居るってことは、またウルフライダーかな」

「ゴリラを一匹だけ釣り出して、調査してみたい気もするけど難しそうだしな。まぁつり出せたとしても先ずは、ウルフライダーが出てくるだろうな」


 それにしてもウルフライダーか……ゴリラが正面に立って、ウルフライダーが遊撃でもしたらかなり面倒だ……よ……ってウルフライダー? あぁ、これやばいよな。


「美咲さん、直ぐこの場から離れるよ」

「え……私達あの猿達に見つかった?」

「違う、恐らくだけど、俺達が倒したあのウルフライダーの部隊は周回してた斥候? 警備? そんな役割だと思う」


 そうだとしたらかなり不味い。時間が経っても戻らないとなればあのゴリラ達が動く可能性も出てくる。

 ウルフライダーと同時に一匹とかならまだ良いと言うか、むしろ性能が測れるしな。ただ複数出てこられたら、未知のモンスターだから勘弁して欲しい。


「そういう事、だから一先ずは川向こうまで撤退」

「了解」


 音を立てず、それでもスピードを出しながら移動して行き、何とか橋を渡ることに成功。


「とりあえず、隠れられそうな場所から反対側を少し監視しよう」

「なら、私はイオと一緒に周囲の警戒するね」

「ミャン!」


 警戒は任せろ! か、実に頼もしい話だ。とりあえず双眼鏡を取り出して、川の向こう岸にある道の更に奥を監視。


「さて、如何いうルートで移動してた? ウルフライダーの斥候はあのチームだけか? 時間をどれだけかけて周ってるんだ?」


 もし、幾つも調査する部隊があれば……周回時間が短くなるだろうし、戻ってこない場所もすぐ特定できるはずだ。もし、直ぐ現れるようなら、そういった部隊が沢山いる可能性が高い事になる。もしくは、直ぐ動けるモンスターが大量にあの場所に居ることになるか。

 なるべく、こっちに直ぐ来ないで欲しいね……短ければ短いだけモンスターの数が多い事になるだろうから。


「ミャ!」


 イオが川の向こうを見て鳴いた? まだ、双眼鏡では認識出来てないけど……こっちに来ている奴が居るって事か。やはり、短いタイミングで来れるって事は、モンスターの数がどちらにしろ多いってことか。さて……ゴリラは来るのかな? 来る様なら何匹くるのやら。


「美咲さん、イオの反応的にモンスターが移動して来てるみたい、注意しておいて」

「さすがイオちゃんだよね……うん、了解だよ」


 そんな話をしていると、双眼鏡にゴリラ達の姿が映った……ふむ、ゴリラは一匹とウルフライダーが四組かな。他にある可能性は……森の中を移動している奴が居るかどうかだな。


「イオ、森の中って移動してる奴はいそう?」

「……ミャー」


 ふむ……解らないって事か。

 さて、どうするかな? 一匹なら能力調べたいな……釣るか。であれば、先ずは下準備だ。


「ゴリラを釣ろうと思う」

「どうするの?」

「橋を渡られる前に遠距離攻撃で、ウルフライダーのウルフを一気に殲滅。落ちた猿は放置でもいいかな? 川を泳いでくるなら、一方的に攻撃出来るだろうしね。」

「なるほど、四組なら前回と大差ないか」

「そういうこと、それで次に橋を渡った先に罠を仕掛けるよ。土魔法でデコボコにしたうえで泥沼を作り出す。まぁそうなるとイオの機動力が活かせないけど……イオは気配消して奇襲の一撃を狙ってくれる?」

「ミャン!」


 説明だけならこんな物で良いか、後はどんどんと地面を操作して行こう。高低差が一メートルぐらいは有る部分もつくって、へこんでいる部分は基本泥沼状態に。後は、マキビシも撒いておこう。


「そうだ、遠距離武器は美咲さんに任せるよ」


 魔石爆弾とパウダーボムは美咲さんにお任せする。と言うより彼女には接近戦は無理だろう。


「投げるタイミングは任せる」

「うん……とりあえずコレを渡してくるって事は、絶対接近するなって事だよね」

「そういうこと、ゴリラは身体能力を上げていかないと無理だろうからね」


 さて、準備は完了かな。後は釣るだけだ……そろそろゴリラ達がポイントに到着するはず。


「ウルフが居るから血が流れたのが解るんだろうね、戦闘した位置を念入りに調べてる」

「武器の更新とかのお陰でぎりぎり届く位置だけど……大丈夫かな?」


 今の武器の性能や美咲さんの能力なら、五百メートル辺りなら余裕だろうか。彼女のいうぎりぎりは命中率が八割超える範囲だからなぁ。まぁこの距離なら俺も鉄串に魔法使えば十分狙える。


「それじゃ、奇襲しますか」


 矢と鉄串が調査をしているウルフ達に到達する前に次の矢を放つ。狙いつつの連射だ。


「ガァ!」


 ゴリラが叫ぶとウルフ達は回避行動を取ろうとしてるけど遅い。綺麗に最初の三本はウルフ達の体を撃ちぬいて行った。

 ただ、二度目の攻撃は鉄串が一本ウルフに刺さっただけで終了。まぁ合計これで四匹のウルフは潰した事になるな。


「よし、これで猿の陸地でも脚は潰したから狙うのはゴリラだな」

「わかった!」


 先ずはゴリラに向かって毒鉄串と毒矢。こっちに走ってきながらも鉄串も矢もステップで上手く避けていく……ふむ、前方への速度と反応は相当いいみたいだな。


「川を泳がずに橋を移動か……足に自信があるのかな」

「このまま毒矢でいい?」

「毒が通じるかどうかも見たいしね」


 とは言え、上手く避けてくれるんだよな。まぁ接近すればするほど余裕がなくなるはずだ。

 そうしていると、何度目かの投擲がゴリラに当たる……が、弾かれたか。


「鉄串のほうはだめだな、貫通狙うよ」

「それなら、矢も貫通にするね」


 鉄串は魔法で強化されてるからな、実は矢と威力に差が無い。そうなると、鉄串が弾かれるとなると、矢も弾かれる結果になるって事で、美咲さんも貫通矢に変更したか。


「グルァ!」


 ゴリラが叫ぶと同時に突進速度を上げてきた。橋を一気に渡りきる気だな。


「美咲さん指定位置まで下がって。俺は武器をそろそろ変えるから」


 美咲さんを下がらせてから、ポールウェポンを装備。貫通型の鉄串が通じるか調べれなかったけど、まぁ美咲さんの矢があるから大体の事は解るはずだ。予定通りにいこう。


 突進したゴリラはそのままの勢いでデコボコの道へと到達し、悪路なのを確認するとソレを避ける為にジャンプをした。


「飛び越える気か……でもその先って俺の目の前だよね? たださ、綺麗に目の前に飛び降りた心算だろうけどさ、其処埋るよ?」


 着地したゴリラが、膝の辺りまで泥沼に嵌った。綺麗に泥沼に入って行ったから一瞬笑いそうになったよ。


「まぁ、これで動けないわけだ!」


 くるりとポールウェポンを回してから、ハンマー部分で振り下ろしの一撃。


「ガァァァァッァ!」


 それを、ゴリラがアッパーモーションで受け止めって、弾かれる!?


「ちょ!」


 軽く吹っ飛ばされた!? 身体強化した上で、上から思いっきり振り下ろしたのは、重量があるポールウェポンだぞ!?


「大丈夫!?」

「問題ないけど……これ美咲さん絶対に接近は駄目だ!」


 ゴリラの顔に向かって矢を撃つ事で、泥沼から直ぐ出れないようにしてくれてるか。

 しかし、パワー負けするとは思わなかった。いやモンスターでゴリラなのを考えるべきだったな。


「とりあえず注意はこっちに向いてるけど、貫通矢でも刺さりすらしないのか」

「どうしよう! 毒矢も貫通も無理だよ!」


 とりあえず、泥沼から出ないようにしないと! もう一度くるりと手でポールウェポンを回してから、斧の部分で攻撃出来るように向きを変える。


「斬撃ならどうだ!」


 今度は横からなぎ払い攻撃をするが、ゴリラが腕を使ってガード。

 ちっそれでもこの腕に切傷すら付かないのか!


「少し下がって!」


 そういって、美咲さんが投げたのは魔石爆弾。斧をガードした為に顔面が露出した所を狙った投擲。

 ドォォォォォン! とゴリラの顔の前で爆破し、ゴリラがその威力で後ろに仰け反った。


「ミャン!」


 後ろに仰け反ったタイミングで、イオがゴリラの顔面に爪を振り下ろし! 防ぐ暇もなくゴリラの顔面が切裂かれた。


「タイミングがばっちりな奇襲だな」


 それでもゴリラを倒すことが出来なかったのか、体をすぐさま起こして苛立ちを腕を振り回しながら表現している。


「ダメージが大きいかどうかわからないけど、怒ってはいるな」

「イオちゃんの一撃で傷は付いたみたいだけどね」


 とりあえず、まだ泥沼から脚は出て居ない。ならば一気に攻撃するべきだけど手がないぞ。


「とりあえず魔法ぶち込みまくるか」

「私はえっと……ボム投げる?」

「ソレは少しとっておこうか」


 風玉から石玉に水玉を次々と打ち込んで行く。そうしていくとどうも、このゴリラは水を嫌がってるみたい? 水の玉をぶち込んでる時だけ必死に手で払いのけているな。


「水が弱点? だから泳がなかった? とりあえず水浸しにしてみるか」


 地面の泥沼も更に酷いことになるだろうし、弱点ならば一石二鳥だな。どんどん打ち込んでいこう。


 水の玉を浴びるたびに嫌がるそぶりが増して行き、泥沼も強化されて嵌って行く。

 それでも、ゴリラにダメージが入っている様子はない……どういう事だろうか?


「うーん……このまま水魔法ぶち込んでても倒せる気がしないんだけど」

「……そうだ、矢撃ってみて良い?」


 美咲さんの話を了承すると、彼女が貫通矢をゴリラに向かって放った。


「ガァァァァッァ!」


 ゴリラは腕でガードしたものの、その矢はゴリラの腕を貫いてしまった。


「……もしかして水で防御力が落ちるとかそういう事か」

「おぉ、やってみたけど自分で吃驚したよ」


 そういう事なら、水浸しのゴリラは今まで見たいな防御力は無いだろう……総攻撃だな!


「顔面に向かって攻撃開始!」


 美咲さんが矢を放ってから、ソレに続くようにイオが飛び出す。先を越された! まぁ速度でイオに勝てる訳がないからな、三番手で行こう。

 矢がゴリラのもう片方の腕に刺さり、微妙に怯んだ所にイオの切裂き攻撃がゴリラの腕を切り落とす。


「片腕が落ちた!? そこまで防御力さがるのか!」


 なら、狙えるだろうな! 魔法で強化した身体能力で一気に加速して、一気にゴリラの視界外へ移動。そのまま何時もの様に、一気にギロチンアタック!

 ザン! と斧の部分で首を刈ると、ゴリラの頭はコロリと地面に落ちた。


「ふう……これで終わりか?」

「反対側の猿は……あぁイオちゃんが先に倒してたのかな」

「ミャン!」


 どうやら俺等がゴリラに対して遠距離攻撃をしてる間に、川を飛び越えて討伐してたようだ。


「これなら、援軍も呼ばれないだろうな。イオは良い仕事するな」

「ミャーン」


 褒められて嬉しいのか、楽しそうに鳴いてるなぁ。っと、先ずはゴリラを回収しないとな。


 後は……村まで戻るべきだろうな。街の現状にゴリラとウルフライダーについての説明もしないといけない。まぁ水で防御力が落ちるという事が解ったのはラッキーだったけど。

 村にもどれば、街の地図とかもあるだろうし……先ずは相手に有利な状態だから、地の利だけでもイーブンにしておかないと。色々と対策を考えないとな。

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