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五十七話

 協会で蜂に対する対策会議中。


「で、その蜂はどのタイプだったのかしら?」

「スズメバチっぽいのは解ったんですけど」

「……それは凶暴だな」


 さて、どうしたものかと皆で頭を悩ませる。ミツバチであれば此処まで問題ではなかったが、スズメバチタイプな上にサイズがとてつもなく大きい。

 よく虫のサイズが人サイズであればという話はネット上でされていた、その例題ではとんでもないレベルの能力になるとあったが、今回の蜂型モンスターは人ぐらいのサイズではないが、モンスターで約三十センチになるから大問題だ。


「村では普通のスズメバチの対策はどうしてたんです?」

「嫌がる臭いを用意したり、逆におびき寄せる場所をつくってネズミ捕りテープとかだな」

「完全防具をつけた上で、巣に眠らせる煙で燻してから排除かのう」


 しかし今回であればサイズの違いから、通常の対処方法は無理のはずだ。


「……無理ね。下手に手を出せばこちらが簡単にやられるわ」

「別の道を作りますか?」

「しかしのう、放置すれば巣は大きくなるしのう。分蜂でもすれば、生息地が広がるのではないのかの?」


 問題点が多すぎる。危険度が高すぎるモンスターだが、今の状況では手出しが出来ない、しかし時間を掛けるとモンスターはその数を次々と増やす。


「多少の犠牲を覚悟して強行突破するか?」

「いやいや、それは駄目よ。ただでさえ戦力は少ないのだから」

「そうじゃのう……ここは石川の婆さんに何か作ってもらうしかないかの」


 魔粉とPウルフの毒に、麻痺か睡眠の効果がある草か木の素材をあわせれば良いだろうか。

 そういえば、Pウルフの素材が随分少なくなってるからな。村の周囲に居るウルフタイプのモンスターはPウルフが余り居ないからな。


「兎に角! スズメバチの対策は道沿いに進まない方向で。現状維持に努めつつ監視しましょう」

「では、違う方法でダンジョンや避難所へ?」

「そうね……イオが逃走した方向であれば大丈夫かもしれませんし、そちらの調査をしましょうか」


 警戒心と操作能力が高いイオが逃げた方向であれば危険度は低いはず。お姉さんはそう判断したようだな。


「なら、俺とイオで行きましょうか?」

「そうだな、イオと君が行くのであれば大丈夫だろうな」

「防衛に関しては、熊型でも全員でいけば大丈夫だ」


 随分と戦闘班は強化されているようだ。村の周囲のトラップゾーン等も随分と増えたから、防衛に自信があるのだろうね。


「私は……」

「美咲さんは、防衛側で待機してて。できれば櫓の人員にまわってくれるといいかも」

「……うん、解ったよ」


 調査に着いて来たかったのかもしれないけど、イオが此方に来る以上は防衛の戦力は少しでも増やしておきたいからね。悪いけど残ってもらおう。


「さて! 方針はこれで良いわね。他に問題は無いかしら?」

「それなら、川の反対側に猿っぽいモンスターが出るようになってるみたいですね」

「それはまた……大丈夫なのか?」

「熊や猪のお陰でこちら側には渡ってきてないようですけど、群れて来たらどうなるか」


 ふむ……猿か。数が少ないとなれば現状は偵察部隊だろうな。本隊は何処にあるのやら。


「川向こうね、これも渡ってくるかどうかを解らないから要監視かしら」

「監視が多いな、此方から打って出るのは難しいか」

「情報が少ないからのう、下手に手を出して村が襲われたら大変じゃて」


 まぁ外に出て周囲がモンスターの楽園と化している訳だから、この手の問題が大量にでるのはどうしようもない話ではある。その為の調査だしね。


「受けの姿勢だけど仕方ないわ。とりあえず調査範囲を広げつつ監視で」


 とりあえずの方針が決まって解散する。さて明日は大調査だ。




 今日の予定は会議だけなので、マッタリと過ごす日だ。


「お兄ちゃん今日は家に居るんだよね!」

「そうだな、ゆっくりとしたいからね」

「なら今日は私達の相手をしてもらうからね」


 そんな訳で妹達の遊びと言う名の、訓練用に作った足場やらでの遊戯。

 うん何故こうも妹達は身体能力が高いのか……実に不思議だ。


「えい! とう!」

「そこ! あまい!」


 二人が安全に配慮した道具を使って、足場の悪い所でぽこぽこと叩き合っている。

 ジャンプで避ける、棒を振るう。なんでこの二人は戦闘訓練の筈なのに、楽しそうに遊んでいるのだろうか。


「うん、なんだか私が始めた時より凄いね」


 美咲さんが吃驚しながら見ている……まぁ俺から見ても凄いからなぁ。


「ハハハ、二人は私が様子を見てたからな」


 そういえば黒木さんが爺様と一緒に、様子を良く見てくれていたからな。


「ワシらの手合わせも良く見てたからのう」

「爺様……二人の前でそんな事してたのか」

「どうせじゃ、二人も一緒にやればよかろう?」

「……俺、今日休みなんだけど」

「良いじゃないか。激しく動かず、軽く動くだけでいいじゃないか」


 そんな訳で全員参加のゲームだ。

 まったく……戦闘訓練なんだけどなぁ。


「お兄ちゃん覚悟!」「兄さんいくよ!!」


 うん……二人が同時に来るかぁ。って無音で後ろから美咲さんが来た!? あれ? 美咲さん味方じゃなかったっけ? って、黒木さんと爺様もこっちに来た!


「ちょちょ!? 俺対全員っておかしいよね!」

「ははは! これはバトルロワイヤルに変わったんだ! 先ずは一番強そうなのを狙うのが定石だろう!」

「まって! 俺、爺様に一度も勝った事無いよ!」

「ふぉふぉふぉ、ワシの身体能力では勝てぬからのう」


 身体能力で勝っても技量で勝てないんだよ! 技術で完全に押さえ込むじゃないか!

 ……まぁ、こんな日も悪くないよね。こんな生活になってから、日常を体感できるタイミングなんてそうそう無いからな。

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