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五十三話

 簡易壁の建設は勢い良く進んだ。

 途中でモンスターの襲撃はあったけど、ウルフ系では壁は壊せず、猪型のモンスターであれば突撃して来ても壁の前に掘った穴に突っ込んで行き、落ちた所に止めを刺すという作業で終わる。

 熊型モンスターは初日以来は出てきて居ない。

 村周囲で確認されているモンスターで、この簡易壁を破壊できるのは熊型のみのはず……新しいタイプさえいなければだが。


「堀も良い感じに出来ておるのう、壁の方もそろそろ一周しそうじゃな」

「何度かウルフがぶつかってたみたいだけど、一度も壊されて無くて安心したよ」

「次が内側に本命の壁じゃったな」

「そのはずだけど、素材足りるの?」


 本命の壁には、コンクリートに魔粉やモンスターの骨粉やらを混ぜるそうだけど。圧倒的に数が足らなくないかな?


「実験はしておって、其処まで素材は使わんそうじゃ」


 一体どれだけの量が要るのか解らないけど、どうやら二年間溜めた素材で計算上は足りるようだ。まぁ念の為に時間がある時に猪や熊を狙うのもありだろうね。


 そんな会話をしてる中でも壁と堀は次々と出来上がり、今は丁度ラストスパートのようだ。


「残ってるのが、出入り口に作る四箇所の跳ね橋だっけ。物見櫓は完成してるみたいだしね」

「そうじゃのう、とは言え本命を作り出すまでしか使わぬからの」


 外に出るのも重い物を移動させる事など、現状は無いから数人が通る程度だ。それも、ダンジョンに潜ってた人たちぐらいしか出ない、となると跳ね橋いるのか? 全員が堀ぐらい跳んで渡れそうだけどな。


「外から誰か来るかもしれんしのう。用意というのは必要じゃて」

「まぁそれもそうか」


 簡易壁が出来れば、戦闘班はサイクルで行動するようになる。主に、周囲の探索と村の防衛だ。

 村の防衛はそのままの意味だから省略。

 探索は、今まで以上の範囲と精度でモンスターの分布を調べたり、ダンジョンが村の付近に発生してないかの再チェックがメイン。

 他の場所にある避難所や俺達が通ってたダンジョンへ足を運ぶのは、村の安全が確保されたと言える本命の壁が出来てからだ。


「はぁ……私的になるけど早くダンジョンには行きたいけどね」

「気持ちは解らんでもないがの、義手もあるのじゃし緊急性は低いと言えるのじゃよ」

「まぁその点は婆様に感謝してるけどね、緊急性は低くても個人的な優先度は高いよ」


 やっと外での活動が広がるから少しだけ気持ちが先走ってる。

 まぁ一つの悲願が達成されると次も! となるのは仕方ない。ダンジョンに潜っていた目的は一切変わらないから。


「さて……反対側ではウルフと戦闘してるみたいだね」

「そうじゃの、まぁ人数的に足りるじゃろうて。緊急時には合図があるからのう」


 ウルフ型や猪型が大群が来た時や熊型が出た時などは、緊急で知らせる方法を決めている。

 合図が無いという事は、上手く戦えば村人でも戦えるという事だ。とは言え基本スペックが高いと言う話は横に置いておく。


「それに、向こうには美咲さんも居るしね」


 基本ペアで動いてるけど、今回みたいに分かれて行動する時もある。熊が二匹出た時や群れが二つ攻めてきた時や、他の街やダンジョンを目指した時に片方残る場合の予行練習だ。

 常にペア以上で行動が取れるようになるのは、どうかとは思うが村人達が連携したり、戦闘班が一つのパーティーで熊を狩れるようになってからだ。


「まぁ現状分かれても上手く回せてるみたいだしね」

「戦闘班もどんどん強くなっていってるしのう、防衛の為の装備や装置も開発されていってるからの」


 魔法の分析も出来れば良いんだけど、現状は本以外での習得が見つかっていない。習得難易度が下がれば色々と楽になるのに。


「無いものねだりと言うやつじゃの。早々に魔法が覚えれるのであれば、今頃このような状況ではないじゃろうな」

「自衛隊や警察も覚えてたみたいだしね、本無しで覚えれるなら全員習得しててもおかしくないか」


 まぁ深度が深い所のアイテムを探すしかないか、覚えた数を考えれば被りも出てきそうだ。

 ただ、手に入れた場合誰に覚えて貰うかだな……防衛で考えるのであれば、戦闘にも参加してる村人だけど、ダンジョンアタックや探索を考えれば、今戦闘班に所属している誰かだろう。


「爺様は被った魔本手に入れたら、誰に渡すのが良いと思う?」

「誰にとな、美咲ちゃんではないのじゃな?」

「全体をみればね、被った魔本次第では彼女以外の方が良いと思うけど……」

「そうじゃのう……身体能力や回復系であれば戦闘班じゃな。属性魔法であれば誰でも良かろう?」

「誰でも良い!?」

「うむ、誰が覚えても活躍できるじゃろうからのう。それこそ村に売って……と言っても物々交換になるかの? まぁソレは置いておくとして、村全体で決でも採るのがよかろうて」


 確かに、現状であれば全体の利益を考えるべきだから、全員に相談で決が一番だよね。まぁその前に手に入れる事が先なんだけどさ。


 おっと、そんな話をしている間に向こう側では戦闘が終わって、簡易壁の設置が完了したみたいだね。

 さて、これでやる事が増えるわけだ。さっき話をした探索等以外にも、農業やら家畜も出来ればやりたいから、ニワトリ等の動物の探索も必要だ、望みは薄そうだけど。

 まぁ俺は美咲さんと分かれて、探索がメインになるのかな? 弓をメインにしている彼女であれば防衛の方が良いだろうしね。


「簡易の跳ね橋も出来たから全員集合!」


 お姉さんの号令だ。きっと明日からの行動方針の話だろう。

 予想通りなら良いんだけどな、まずは中央広場に向かいますかね。

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