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五十二話

 初日とは言え大物を皆で狩った上に無事一日目を終了出来たので、景気付けに大広間にて熊の肉や毛皮を囲んでの大宴会だ。

 メインの肉は今日狩った熊。モンスターのお肉は熟成させる必要が無い、なのでその場で調理されていく。何故熟成させる必要が無いかは解らない。モンスターマジックだな。


「美咲さんは何を?」

「ん? 飲み物取ってきたから。林檎ジュースだって」


 そう言ってジュースを手渡してくる。林檎味だね……しかし何処から手に入れてきたんだろう? 果樹園まで行った人居たのかな。まだあそこはモンスターがうろうろして大変なのに。

 先ほどまで、二人して熊狩りの主役扱いをされてたけど、そそくさと壁際に逃げてきた。

 主役は指揮を取った、恋人同士のお兄さんとお姉さんで十分です。


「お兄ちゃん、熊鍋さん貰ってきたよ!」

「兄さん一緒に食べよう、これ私も手伝ったんだ」


 ゆりとゆいが駆け寄ってくる。後ろでは二人が転ばないように母さんが心配しながらついて来てるな。

 母さんも元気を取り戻していて、最近は妹達と料理やら裁縫やらと忙しく過ごしている。まぁ何もせず落ち込まれるより余程良い。

 実はこの村で行方不明の人は居ないし、つれて来た人達も家族や恋人が揃ってる状態だから、実質家族が居ないのは、俺達と美咲さんのみだ。まぁ、村の外に居る人達の事まで含めて無いから正確には〝のみ〟では無いかもしれないけど。


「二人とも走らないで、お兄ちゃんは逃げないわよ」

「「はーい」」


 明るい雰囲気の二人には随分と助けられてるんだろうね。まぁ自分も随分と助かってるしな。


 さて、大広間の中心では飲み比べ等が行なわれていて……って酒をそんなに飲んで、備蓄大丈夫なのか? 更に次々と運ばれてくるお肉達。


「なぁ……あれ備蓄大丈夫なのか?」

「だ……大丈夫じゃないかなぁ? 最近は猪も結構狩ってたはずだし」

「おぉ! 大きなお肉さんだ! ちょっと取ってくる!」

「まってゆい! 私も行くよ」


 空気に当てられてるのか、楽しげに突撃する妹二人。母さんも思わず苦笑してるな。


「元気だなぁ」

「あらあら、あなた達は外に出てたからお疲れかしら?」

「あはは……そうですね、やっぱり戦闘は気を張りますから」

「おうおう、壁際でまったり談笑か?」


 黒木のおじさんが来た。隣には真白さんと赤ちゃんの進だ。進と書いて〝すすむ〟らしい。呼んで字のごとく人の歩みが止らないようと思いを込めたそうだ。


「おとなしくしてますね」

「おう! 俺に似たのか器がデカイみたいだな!」

「まったく……おじさんに似たら熊と素手で殴り合いしかねない成長するんじゃない?」

「ふむ……それは頼れる男になりそうだな!」


 熊のモンスターの肉を食べながら、熊を素手で狩る男にするんだと豪語するってどうなんだ? まぁモンスターが溢れる世界になってしまったから、それぐらいの方がいいのか。


「そういえばおじさん戦闘に出てたけど大丈夫だった?」

「おう! まぁ弓を射るぐらいだからな。義手でも問題なかったぞ」


 そう言いながら、義手の腕をぐるぐると回す。婆様達が作った義手の性能が凄すぎるな。


「とは言え精密な操作が出来ないからな。ちょっとした力加減とかもな……案外義手で殴った方が早い気もする」

「壊れると面倒なので調整が済むまで止めてください」


 本当この人というか、この村の人はすぐ熊や猪を殴りに行く……まぁ流石にモンスター相手にはやらないけど。それでも武器やらを持って狩ろうとするんだよな。


「お肉さんもってきたよ! って、人が増えてる!」

「ただいま! 黒木さん達もこっちに来たんだ」

「おう! 流石に酒の場に赤ん坊を連れておくのもな」

「そっか、進君も気持ち良さそうに寝てるね」

「さっきご飯を食べたからな、お腹一杯で寝たみたいだ」


 すやすやと眠る赤子を皆で見守る。うん、こういう時間は実に良いものだよね。因みに真白さんと進君には母さんがよく手伝いをしてるみたい。まぁ三人もみてるからな、慣れてるよね。


「集まっておるのう」

「爺様、抜けて来れたんだ」

「まぁの、それに明日についてもあるからのう」

「ん? 何か予定変更でもあった?」

「予定は変わってないのじゃよ。ただし今日戦闘班に余裕があったからの、周囲をガードだけじゃなく偵察隊も出す方向になりそうじゃ」

「なるほど……で、その偵察隊に俺や美咲さんは入らないって事だよね」

「うむ、猪や熊に対して全員でやれば狩れるかもしれぬが……二人は建築班の側にいて欲しいそうじゃ」


 少しガードが薄くなる形になるって事か。その分偵察にでれば対処が早く出来るとなると……まぁやる事は変わらないよね。


「まぁ明日試してみるって事だよね。うん、ガードは任せておいてよ」

「うむ、頼んだのじゃよ」


 了承の意を伝えたら、爺様は皆とある程度会話をした後、品川さん達が居る方向に戻っていった。リーダー達は動けそうにも無いから、爺様に伝言を頼んだのか。


「さて、美咲さんそう言うことみたいだから、明日のフォローは少し気をつけてね」

「わかったよ、メインは建築班で次にガードしてる人たちでいい?」

「それでオッケー。俺の事は最後に回しておいて、というかフォローが欲しい時は呼ぶから」

「了解」


 外に全員が出た後の村防衛の基礎にもなる。それなら色々と試せるうちに試さないとな。

 さて……明日に響かないように、あの大宴会を止めに行きますかね。

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