四十六話
眼前に広がるモンスター同士の抗争。念入りに準備は済ませているし、僕が戦闘に介入すれば無限沸きが止る事も調べてある。
後は、攻略するだけ何だけど……先ずは穴を掘っていくよ。使うかどうか解らないけど、落とし穴を防衛ラインとして使うのは常道だよね? まぁモンスター同士で殴り合ってる場所から少し離れて、穴掘りするって
すっごいシュールな光景だとは思うけどね。
しかし穴掘りも更に凄い速度で出来るようになった。身体能力強化の魔法に、レベルなんて見れないけどレベルアップ的な能力アップ、さらに道具の強化、お陰で一時間位掛かるだろう作業が数分で終わったよ。
「さて……穴掘りは前に三メートル、横に十メートル、下に二メートル……うん、十分かな」
穴掘りが終わったら、掘った穴の手前からモンスター達が戦っている方向に水魔法で足場の悪化。オーク側には貫通強化のマキビシでゴブリン側には毒マキビシをばら撒いておく。
「これで準備完了かな? では……戦闘劇の開幕だね!」
魔石爆弾や濃縮毒散布に激辛パウダーでは、ゴブリンへの打撃が大きすぎるから初手での使用は早すぎる。
なので初手は何時も通りの鉄串狙撃。とは言えオーク相手では、致命傷にならない事は調査済みだし毒鉄串は弾かれる、ならば足……できれば膝を壊しておきたい。
風魔法の併用で投げた鉄串が、高速移動と高速回転しながらオークの膝や太腿に突き刺さって……初めて此方に気がついたね。
「まぁ四本投げて、膝破壊が一匹で太腿が二匹に脛が一匹と中々幸先のいいスタートかな」
ブモォォォォ! と叫びながら僕を指差してるけど、横に居るゴブリンは良いのかな? とりあえず三つ巴の図だね。
ふむ足を破壊されたオークは其のまま固まってゴブリンに対抗か、僕の方に来るのはオークが四匹とゴブリンが二部隊分の二十匹で合計二十四匹かな? まぁ問題は無いね……だって彼等の移動先って足場が悪いんだよ?
「とは言っても、まだ魔石爆弾とか使うのは早いかな? 先ずはオークもブタって事は嗅覚鋭いよね?」
ぽいぽいっと向かってくるモンスターに四個ほど激辛パウダーボムをプレゼント。足場の所為で速度が落ちてるから実に狙いやすい。
爆破と同時に撒き散らされる粉がモンスターの目や鼻を刺激して……うん、オークが二匹だけど凄い暴れてるよ? 仲間のオーク殴ったり、ゴブリン蹴飛ばしたり。マキビシもあるから転がって……実に悲惨な事に!
「爆破物をピラニア魔石にしたから威力も少々あるし……とんでもなく脅威的になってるな」
それでも、僕の方に来る奴は居る訳で……ボスゴブリンとオークが其々一匹ずつだ。他は……オークに殴られるか蹴られる、もしくは毒マキビシで駄目になったのがゴブリン。オークは……お互いが殴りあいでダウン。
「嫌な二匹が僕の方に手を組んで来たとも言えるけどね」
ポールウェポンを構えて二匹を迎える。直接戦闘の定石、身体強化とスタミナ回復の魔法を使用してから……あえて二匹の真ん中に突っ込む!
突っ込んだ後は……オークに向かって突きを放ちながら移動は停止。あえてボスゴブリンを無視して挑発。
狙いはボスゴブリンの剣による横薙ぎ……まぁ振り下ろしが来たんだけどね! 斧でオーク相手になぎ払いをしながらのサイドステップ! 徹底的にオークを攻撃してボスゴブリンを挑発! オークは自由にさせれないしね。
位置を微調整しつつ数回オークと切り結んでいたら……ボスゴブリンの横薙ぎ! よし、上手く合わせて、バックステップをしてからハンマー部分で横薙ぎの剣を追うようにしながら打ちこむ! 位置とタイミングぴったり!
「完璧だね! ボスゴブリンの剣で腕をざっくりと切られたオークは如何するのかな?」
うん、オークはボスゴブリンに向かって吠えてる。まぁそうなる様に仕向けたんだけどさ、二匹同時とか防戦する位しか出来ないしね。
これで戦闘状況が、僕対オーク対ボスゴブリンに出来た。さっきの僕対二匹よりずいぶんと楽になる。
オークがボスゴブリンに殴りかかって、ボスゴブリンが剣でそれを受け……僕がオークの足を槍で突く! オークが僕に裏拳で反撃、僕がバックステップで回避して、ボスゴブリンがオークに斬りかかり……そこを僕がハンマーでボスゴブリンの背中を打ちつける!
うん、実にいいポジションで戦ってるきがするよ! まぁ結果はボスゴブリンの剣がオークに突き刺さって、ボスゴブリンは背中を強打されてうつ伏せで倒れてる。
さくっと止めを刺しておこうか。
「さて、こっちは先ず大丈夫かな? あっちの戦況や? のた打ち回ったオークはどうなったかな?」
戦況はっと、足を破壊してなかったオークは暴れていて、やられた奴は……うん三匹やられて一匹は追い込まれてるか。ゴブリン側かなり優勢になってる感じかな? ゴブリン側の損害がノーマルゴブリン十一匹か、ボスゴブリンやられてないね。
パウダー喰らったオークは……仲間同士で殴りあいしてマキビシも突き刺さりぐったりだ? まぁそれでも三匹とも残ってるけど、あれなら時間の問題レベルか。
「この場合は……ゴブとオークの戦闘に介入して少し調整するべきか? ボスゴブリンが残りすぎだし」
という事で、両手に魔石を持って魔力を送り込む。過剰供給による暴発寸前になってから両軍中央に投げつける! 当然二つの魔石が大爆発。
「さて……できれば全滅してて欲しいナーなんて?」
風魔法で砂埃を吹き飛ばし視界を回復させると……やはり敵が残っちゃっている。
残ってるオークの内訳が大怪我一匹・無傷一匹・のた打ち回ってた奴等が更に転がって傷口を広げた三匹。ゴブリンはボスゴブリン二匹健在でほぼ無傷、ノーマルは……四匹残して壊滅か。
まぁ大爆発を起こした僕を両方とも敵視するよね? うん、でも前回と違ってバランスよく削ってる上に、敵さん傷だらけだよ? まぁ此処は落とし穴の向こうに戦線下げて狙撃モードかな?
とりあえず、速度はバラバラだけど一気に向かってくるモンスター相手だ……先ずは更に足並みをばらばらにしようか。
ねらい目は怪我をしているオーク。奴等に毒鉄串をぶち込んで移動能力を更に落す。
次に、ゴブリン相手に最後の激辛パウダーボムを投げつける。
必然的に……最初にたどり着くのは無傷なオークだ。
「だけどさ……そこ落とし穴なんだよね?」
綺麗に落ちていくオーク。まぁオーク相手だ二メートルぐらいは問題ないだろう……でも、落ちて体勢崩してる上に頭が低い所にあるんだよ? 当然攻撃チャンスだよね?
「ではでは……さようなら?」
思いっきりハンマー部分を振り下ろしてのもぐら叩き! 結果は予想出来るから穴の中は見ない! 少し穴から距離を取って他のモンスターを待つ。
「まぁ落とし穴に落ちたの見たんだよね? 警戒するよね……でも其れなら僕にとっては楽な話になるんだよね」
貫通型の鉄串でボスゴブリンの頭を狙撃。落とし穴を警戒してたから簡単に当てれたよ? まぁ一匹やられたからか、焦って動き出したけど。お陰でノーマルゴブリンは……穴に落ちてったね。これでゴブリンは残りボスゴブリンのみかな? オークが四匹残ってるけど……大怪我な上に毒でどうしようもない状態だ。
「まぁ後は消化試合かな? とは言え……油断はしない様にしないと」
一足飛びでボスゴブリンに接近してから斧部分で切り捨てる。其のまま一気にダッシュしながら、魔石爆弾で大怪我をしたオークの心臓を突き刺し! 残りはっと……なにやら倒れて転がってる? あぁ……マキビシが突き刺さった所に毒マキビシと毒鉄串くらって、完全に回りきっちゃったのか。
「……うん、残り三匹は毒でHPが無くなったって所かな?」
少し待ってみるても……次の階層への扉が出てこない? あれ? 予想間違えた?
とりあえず生きているモンスターが居ないかどうかの確認、念入りに突き刺していくけど……数も問題なさそうだ? どういう事だろうか。
「もしかして何かやらかした? どっちかの味方しなきゃいけなかったとか?」
うん……解らん。とりあえず周囲を探索するも、何も無いんだよなぁ……回収した物にも特別な物が無いみたいだしね。謎が多すぎだな? とりあえず散策をっと……
グォォォォォォォォォォォ!
「な! 何事!?」
叫び声の後にズシンと重そうな足音が接近してくる? あれ? もしかして此処から本番なの!?
バックパックを下ろして、ホルダーに道具を補充してから音がする方向を警戒。
「おいおい……ボス的なの居なかったなとは思ったけど、此処でなの? 一回り大きいオークとかずるくない?」
ゲーム風に言うならオークリーダー? オークジェネラル? まぁそんな感じなのかな? まぁリーダーさんとでも言っておこうか……しっかし疲労した所にこれはマジで酷いんじゃない?
ポールウェポンを相手に向けて構えつつ、まぁ通じるか解らないけど話かけてみるか。
「で、なんで今更きたのさリーダーさんは」
「ブルォォォォォォ!」
「まぁ通じないよね! あのコボルトが特殊すぎたんだ!!」
問いかけは通じないし行き成り持っていた剣を振り下ろしてくるとか! 兎に角回避!
攻撃の跡をみると……うへぇ、地面抉れてるなえげつない。はぁ……この武器でも打ち合うのは無理かな。
振り下ろしに合わせて、横に回避しながら斧の部分で斬り付けて行く……うん、切傷が其処までつけれないか、このポールウェポン相当な武器になってるはずなんだけどな?
「とはいえ、このままじゃ追い込まれるだけだから……」
ポールウェポンを一旦置いて、魔石爆弾とパウダーボムを同時にぶち込む!
顔面側で大爆発を起こし……あーうん、パウダーを爆破が後押ししたからか、リーダーさんすっごい咽てるよ? ダメージは……其処までは無いけど、お口が確り開いちゃってるね?
「さて、焼き鳥はついてない鉄串でも召し上がれ!」
両手で貫通型と毒型の鉄串投擲! 綺麗に口の中に入り込んで……よし! たぶん弾かれたりはしてないはず!
「さて……どうなるかな?」
「グ……ガッ…………」
あら? 毒も通用してる? ふむ……口内であれば柔らかかったという事かな? ワニと同じだな!
まぁ、動きが鈍ってるなら……一気に攻める!
身体強化を攻撃特化にして、移動速度と武器を振る力にブースト。すぐさまポールウェポンを回収して、オークリーダーの後ろに回りこむ。
斧の部分で後ろから首目掛けて、振り下ろす! む……斬りつけれたけど、落せはしなかったか。
「ガァァァァッァァァ!」
後ろにいたからか、オークリーダーの裏拳が飛び込んでくるけど……バックステップで回避! 向き合う形になったオーク相手にハンマー部分の振り上げ! ……あ、当てたらいけない部分にあたっちゃった!?
「ブオォォォォォ!」
悶絶するオークリーダーさん……ごめん、其処を狙ったつもりは無いんだ、男だったら辛いよね? うん、今介錯してあげるよ。
オークリーダーが何処となく潤んだ目で見上げてくるしね。
「こんな結末になるなんてね……もう少し普通に倒してあげたかったよ」
力んだ場所が下半身だったからか、首側にはいる力もなく……斧が綺麗に首を落したよ。
とりあえず、両手を合わせて……オークリーダーが次は争いの無い何かになる事を祈ろう。
後は……オークリーダーの剣やドロップ品を回収。周囲を警戒しつつ出てきた鍵を手に入れた後、扉の開放をして今日は終了だ。
十一層の確認だけど……あらーフィールドが草原じゃなくて、木々がある感じ? でも林や森といった空間でもない、どちらかと言うと入り口的な雰囲気だね。
調べてみたい気はするけど、ショッキングな出来事があったし今日は戻ろうか。
あー……そうそう、かえったらファウルカップの強化でも頼もうかな。急所攻撃怖いよ!
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