四十話
黒い外装を装備し、黒いフードをかぶり、黒いマスクを着用し、暗視ゴーグルを額にセット……うん、中ニ病的な物じゃないよ? 夜襲セットだ。
という訳で現在は九層に居るよ。まさかダンジョン内の時間が現実と連動してるとはね……お陰で深夜のダンジョンアタックだ。爺様と話してから調べに来てよかったよ、許可も貰えたしね。
「先ずは暗視ゴーグルが使えるかどうかだね」
暗視ゴーグルを通して周囲を見渡す、緑色的な視界が広がってモンスターの姿が……よし、確認できた!
「暗視ゴーグルが使えることが判明したんだから、此処からはスニーキングミッションだ」
基地周囲をばれないように動きながら調査だね。
メモをしながらっと……先ずは四方に入り口があると、これは逃げられ易いと捉えるか、潜入しやすいと捉えるか……。
はてさて、そこ以外に入れる場所は……木材で造られた壁を乗り越えるか壊す、もしくは地面に穴を掘って行くかな? まぁ木が素材だから幾らでも手段はありそうだ?
「はてさて……どうするかな? まぁ当初の予定通り行くか」
こそこそと、木壁に色々設置してから反対側に移動……此処からは時間の問題だ。
闇に紛れて門番二匹を鉄串で狙撃……よし、叫びも無くヘッドショットだ。
「さて、先ずは寝所付近かな? 後時間は……誤差はあるけど三分ぐらいかな?」
この時間ではゴブリンも寝ているらしいからね、此処にも設置物をしてっと……時間は残り一分ぐらいか、さぁ一度基地から逃げ出すよ!
「おー……良く燃えてるね!」
うん、先ずは位置的に反対側の壁が燃え出してるね。ゴブリン達が慌てて向かった所で、うん寝所が大炎上!
「さて、火計成功だ。魔石粉を混ぜた油は優秀だったみたいだね」
石川の婆様が作った切り札の一つだ。但し数は少ない……まぁ荷物にもなるしね。
まぁ、現状であれば最大の成果を上げれるのはありがたい話だ。
「グォォォォォ!」
どこかでボス? が叫んだようだ、ゴブリン達が慌てて動き回っているけど、寝込みを襲ったからその数は相当減ってるはず。
さて、此処からは暗い部分に潜みながらの奇襲だな。
しかしなぁ……雑魚は排除出来たみたいだけど、八層ボスだったボスゴブリンが三匹居るのか。
火傷したりしてるけど、問題なさそうだな……此処は濃縮毒の鉄串で狙撃かな?
「とりあえず……バラけるのを待ってだな」
今は集合してるから一匹でも攻撃したらバレる。なら先ずは……よくある手を使うか。
石を遠くの木壁に投げつける……カーンと跳ね返る音が聞こえると……うん、ボスゴブリンの意識がそちらにいったな。
一匹が壁に向かって移動、もう二匹は周囲警戒してるやつと調べに行った一匹のフォローかな? そちらに注視してるね。
「よし……ニ匹なら狙撃いけるか……よし!」
鉄串を二本を両手にもってから……狙撃開始! この距離であれば外す事なんてない! 狙ったとおりに二匹にヘッドショット!
「って、当たっても倒せないか! 移動だ移動! 狙撃したら移動は基本!」
周りは暗いし、装備は真っ黒だ臭いは……焼けた臭いでわからないはず、こそこそ移動!
案の定あいつらきょろきょろしてるけど、毒平気なのかな? まぁ何度か繰り返すか。
三匹目が戻るまでに高速で移動しつつ、数回は狙撃をぶち込んだけど……毒が其処まで効いてないか。ダメージは受けてるから良いけどね。
「うん、これなら三匹目も撃って良いかな? どうせ直ぐ戻ってくるだろうし」
それにしても、鉄串の貫通力が魔法でブーストしても通じてないか。これは改良が必要ってことかな? まぁ今は目の前の対処だ。
「グルァァァァァァァァ!」「ぐるぅ?」「ぎゃぎゃぎゃ!」
意思疎通してるなぁ……何を言ってるんだろう? とりあえず……バレて無いからいいけどって……あれ? 目があった? ヤバイ! とりあえず、移動だ移動!!
走る、隠れる、息を潜める、また走る! 但し相手から意識を逸らさない、そらせない!
「追いついてはいないけど……一匹こっちに来てるか、一匹ならいけるか?」
ただ、それで戦うにしても他のやつの動向もあるからな……よし罠だな。
水魔法で地面を濡らす、さらに毒マキビシを撒く、後は……隙間に隠れてから鉄串を手にする。
「さて……此処から狙撃だな」
距離を測る、狙いを定める! よし、今!
今度の狙いは足、少しでも移動力を下げれたら完璧だ。走ってきたボスゴブリンが足への狙撃で盛大に転んだな! そのまま……マキビシを撒いた泥にダイブ!
「ピタなんたらスイッチだね! 完璧だよ!」
毒マキビシを体中に受けて泥の中を滑って止る……うん、ぐったりしてるね。こっそり後ろから接近して、ポールウェポンの先端で突き刺す!
「先ずは一匹……ふぅ、各個撃破だけどきついな」
残りの二匹は……固まってるね。さてどうしようか? 同時に相手をする? 無理だよなぁ。分断させるにしても……あれだけ警戒してたら無理か。周囲はまだ燃えている……そうだな!
「あーあ忘れてたよ勿体ない。折角燃えてるんだよ? これしかないよね」
風魔法をつかって急速に酸素を火に移動させ、二酸化炭素を一気にボスゴブリン二匹周辺にかき集める。
まぁ魔石を使ってブーストさせないと出来ないけどね! まぁ切り札はこういう時に使うものだ。
「ぐ……ぐぎゃ……!?」「が!?」
二匹同時にいけたか、まぁちょっと魔石は奮発したからね。ボスウルフの魔石ブーストは如何かな? 結構なお手前だと思うんだよね!
暴れだすボスゴブリンだけど、酸欠は十分効くみたい……でも、直ぐに倒れたりしないのは流石モンスターといったところかな?
魔石を片手に持ちつつポールウェポンを準備する。
「はてさて……此処からは一気に接近戦闘かな?」
酸欠でくらくらとしてる間に……一気に潰す!
風魔法を停止した後に、身体強化とスタミナ回復を同時に使ってから突撃!
ボスゴブリンがグロッキーな状態なら問題なく……首を刈る! 一匹目! うん、ころころと首が転がったけど気にしない!
二匹目は……目があったか、でももう遅いよ? この間合いは突きの間合いだ! 連続突きで牽制、ボスゴブリンはまだ酸素が回ってないから動きが鈍い。畳み掛ける! さらに踏み込んで突きから、振り下ろし、なぎ払い! 必殺キーーーーーーーック! いや、必殺でもなんでもないけどね! 相手の膝を蹴り飛ばす!
「よし、体勢ブレイクだよ? 後はどうしようも無いよね?」
膝を地面につけたボスゴブリンを、上からハンマーで叩き潰す! よし完了!
周囲を確認する……他はどうかな? 後は雑魚の掃討か、火に対処したり色々とあちらこちらに散ってたからね、邪魔されなくてよかったよ。
ゴブリンを掃討した後は、素材の回収中々のドロップ量だね。回収が終わったら……基地中央に次への階段が現れたか。横にある鍵を回収と開放してから下の階層に向かう。
「はてさて……今回はゴールも何もかも解ってたからさくっと行けたけど、次はどうなるのやら」
次は十層だ、五層の事を考えたら難易度もおかしいレベルだろうな。とりあえず確認だよね。
階段を下りたら……あーあーこれダメじゃん、ゴブリンとオークが戦争してるよ。
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