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三十七話

 念願の、回復魔法を手に入れたぞ! 魔本の解読が終わったからね、とは言っても、回復魔法はそんなに効果は高くない。低層の時点で察してたけどね! ゲームみたいに使ったらその場で回復! 何て事は無く。少しずつじわじわと治して行く、怪我の具合で掛かる時間が変わる。人や年齢で差が出るだろうけど、全治に子供で一週間ぐらいかかる傷が一時間で治る感じだ。魔法と捉えたら遅いんだけど、治癒と捉えればかなり早い。怪我の酷さが一定値を超えると回復する事すらない。便利だけど魔法と見たら使いにくいって感じかな?

 解毒効果もあるけどこれも似たようなもので、結局どちらも時間の余裕がある時にゆっくりと使う系の魔法だな。

 予想以上に使えるのはスタミナ回復系、常に走り続けれるよ! まぁ……後々の筋肉痛とかが恐ろしい事になりそうだけど、逃げる時や戦闘中には良さそうだ、強化系魔法と併用すれば……更に安全な撤退ができるかな?


「まぁ、出来ればゆりを治せるだけの効果があったら嬉しかったんだけどね」


 とは言ったものの、そんな物が手に入るなんて思っては無いけどさ。

 まぁダンジョンアタックには便利使い出来そうだから、使いこなしていこう!




 八層で石川の婆様印の除草剤を散布する。広範囲に撒かれたソレが大量の草を消し去りながら、隠れてるモンスターにも被害を出してるよ……お陰で殲滅が楽だよ。


「いやいや、凄い副産物だね。確かにPウルフの毒素材で作ってる除草剤だけど、ウルフ系やゴブリンにも効くなんてなぁ」


 これで行動が阻害されてないのはPウルフだけだ。まぁ自分の毒で動けなくなるとかどんな笑い話だって事になるんだけど。

 それでもかなりの時間短縮だ。真当にダンジョンアタックをしている人から見たら……うん、チートだ! って言われるレベルだな。


 二個目、三個目と除草剤を使っていくんだけど足りるかな? 一応来た方向もちらちらと確認をして、草が復活してないか見てるけど……まぁ、幾つかは残しておかないとダメだろうな、無理して特攻した後で草に囲まれたら危険すぎる。


 それにしても何も無い、いや草とモンスターは居るけどね? 川も山も無いんだよ? 視界に入る範囲だけでなく、双眼鏡も使ったけど……草しかないんだよ。

 これではヒントになる物すらない、六層の時は川を目指して大群と遭遇したし、七層なら先ず川を渡ってみようから始まってそれが正しかった。だけど八層は何にも無いんだよ。


「トンネル恐怖再び? いや此の場合砂漠現象になるのかな?」


 砂漠だと方位を見失い、右足と左足で微妙に進む長さが違うからぐるぐると回るんだっけ。草を排除して進んでなければ、恐らくグルグルと草原の中を回りながらモンスターに襲撃されただろうね。




 何やら伏せてるモンスターの数が増えている? あれこれ既視感? 五層と一緒なのか? まぁあっちは進む方向性だけは決まってたけど。

 五層はゴールが見えずにモンスターに襲われる、しかもその数が進むと増える……であれば、ここでもゴールに近づけば、必然とモンスターの数が増えていく?


「そうだとしたら……モンスターが転がってる数が多い方向に行けば!」


 やっと見つけたヒントだ、罠で逆かも知れないがどちらにしても確認しないと解らない……という事で、転がってるモンスターが多い方向の草原に向かって除草剤を投げてから歩を進めるよ。

 うんうん、止めを刺す作業が大変だけどモンスターの数が増えていっているよ、何と十匹単位で転がってる所に遭遇したよ! Pウルフだけは元気だけどね!


「これは正解かもね!」


 楽しくなってくる、パズルが全部埋めれそうになってきた時に似た感じかな? まぁパズルと違って達成感も危険度も段違いだけどね。とはいえ、少し落ち着かないとな、これは危険な精神状態とも言える、周囲への警戒が疎かになりやすいからな。


「とりあえず……すってーはいてー、すーはー」


 深呼吸をして一先ず気分をリセット。当然、除草剤を散布した範囲外でやってるよ? 回復魔法があるとはいえ毒を吸えるか!


 順調に行ってると思うんだけど……ボス的なモノは何処だろうか? 何かこう……シンボル的なものないですかね?


「うーん……モンスターは増えるけど、九層へ行く何かが無いんだよ? これは五層攻略を前提とした誘導か? 実は逆だった?」


 だとすれば、除草剤が足らない。圧倒的に足らない、此処までくるのに使いすぎている。

 一旦帰るか? 限界ぎりぎりまで調査するべきか? とりあえず、後一個二個は行けるか。


「まぁ……こっち側であればそろそろだよな? モンスター密集率が上がってるし」


 っと、そんな事を考えたらお出ましなのかな?


「プルァァァァァァァァ!」


 さぁて、出てきたのはでっかいゴブリンかー……リーダー? いや、サブカル風にいうならジェネラル? まぁ確実に上位だな。とりあえずボスゴブリンと言っておこう。


「さてはて……行き成り怒ってるのは毒の効果かな? 少しは行動が阻害出来てると良いけど……無いよね?」


 うん見た感じ十分に動けている、とりあえず強化魔法を掛けながらスタミナ微回復もしておく。

 とはいえ、正面衝突は確実に負けるな……ポールウェポンを握りながら足を止めずに移動だ!


「どうくる? その大きな剣が相手ならハンマー側でいいかな?」


 ポールウェポンを短く持って、取り回しを楽にする。ハンマーの部分を盾変わりだ。

 振ってきた剣を弾く、避ける、受け流す! ちぃマジで重過ぎる! 弾いたり、受け止めるのはダメだな! 押し込まれかねない!

 距離をとって突きながら振り上げ! 狙ったのは胴体だけど避けられるよね! でも、此処で前に飛び込みながらハンマー部分を振り下ろす!

 

「まぁ、剣で防がれるよね!」


 でも、それだけなら……武器の重さと振り下ろしの速度で!

 キーーンと高い音がが耳に痛い、それでもその剣……折れたね? さぁ如何するのかな?


「がぁ? ……ぐるぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 武器を失って激昂したのかな? それとも焦ってる? まぁそれでも剣を盾に出来なくなったから楽になるよね。


 魔法を武器に纏わせながらかな? 風魔法で風を螺旋状に纏ってから……連続突き!


「ガードしてる腕が大変な事になるよ? 受け流しても高速で回転する風が切裂いていくよ?」


 目に見えて解るほどにボスゴブリンの腕が傷ついていってるね。ガードが外れるのも時間の問題かな?

ガチバトルに為ったけど何とかなりそう? いやいやまだまだ気を抜いちゃダメだ。証拠に奴の目が何か狙ってる。


「それでもね? 何かをさせるつもりは無いんだよ!」


 水魔法でボスゴブリンの足元を泥に変えて踏ん張りを悪くする。

 次に一時的に強化魔法でダッシュ力を上げてから突撃! よし、行き成り上がった速度について来れないみたいだ。


「これで……フィニッシュ!!」


 下からハンマー部分を腕にぶつけてガードクラッシュ、からの斧部分で首を刈る!

 よし、完全ではないけど切裂けた!


「さて……まだ生きてるみたいだけど、もう動けないんじゃないかな?」


 肩を揺らしながら此方を見ているけど……その首ぎりぎりで繋がってるだけだよね? 動こうとしてるけど……回復したりする? とりあえずまだ警戒は解けないな。武器を構えておこう。


「ぐる……げふぅ…………」


 何か此方に飛ばしてきた……鍵? 九層への鍵かな? まぁありがたく受け取っておこう、悪い感じもしないし。

 鍵を渡したボスゴブリンは……うん、光の粒になりながら消えて行ったな。黙祷。


「とりあえず、色々と回収してっと」


 ドロップ品を回収してたら、大岩が地面から上がってきたな。あれ? 岩の階段横に鍵がある……ボスゴブリンの鍵は何だったんだろう?

 とりあえず、階段の横の扉に鍵を入れてみて……うん、ボスから貰ったのは回らないな。階段横から回収したほうは回る。ボスさんこれなんでしょうか?


「しかしガチバトルは辛いんだよなぁ、出来るなら狩りをしたいよ」


 うん、罠を作って待つ精神的な物の方が僕としては楽だからね。

 さてはて……九層を見てから帰るか、九層は草原だけじゃなければ良いんだけどな。

 



 ……うん、確かに草原じゃなければ良いと言ったけどさ。これは無いんじゃない? 少し遠くに見えるの、ゴブリンの集落だよね?

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