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三十話

 爺様に転がされて、ダンジョン潜って、開発した道具のテスト……色濃い一週間だったな。爺様との訓練に関しては横に置いておくとして、ワニに関していくつか解った事が、あいつ等の頭は別に弱点じゃなかった、何故潰せたかと言うと、どうやら体力と魔力を削った事により身体強化に使ってた魔力が切れて守備力が無くなったって事。

 しかしまぁ削るまでが大変なわけだ、血を大量に流した事によって削れたのがかなり大きい部分を占めてるからね。

 道具に関しては魔石が面白い反応をした、魔力を込めて一定以上のラインを越すと爆発するみたい。もしかしてこれが自衛隊や警察の使い方じゃないかな? 婆様も「そうかもしれんのう」と判断してた。

 でもこう消耗品扱いで使うの勿体無いよね、色々素材として使えるのに……まぁ切り札には良いかもしれないけど。

 魔法にもブーストとして使えるみたいだけど、これも使い捨て。どうにか調整しながら使えば何度も使えそうだけど、魔石の質がそれぞれ違うから調節がつらい。前の魔石は大丈夫なラインでもオーバーしてしまうのが良くある。これも特定状況下においての切り札だろうな。


「まぁそれでも使い捨てとはいえカードが少し増えたのは良い感じだよね」

「そうじゃのう、鉄串みたいに魔石用のホルダーを用意するべきじゃろうな」

「取り出しを少しでも楽にしたほうがいいか……」


 爺様と相談しつつ魔石の効率的な使い方を模索する、切り札の一つになる物だからいざという時に使えないと話にならないからね。




 さてと、準備はしたし七層攻略チャレンジ行ってみますか! まずは何時もの様にワニを引き込むんだけど、血袋と大量の肉を用意してあるからこれを川縁に投げると……わらわらとワニが集まってくるんだけど、それと同時にウルフも集まるわけで。


「前の階層と同じネタであれだけど、使えるからねモンスター同士のにらみ合いは……とりあえずワニが七匹にウルフ系が十匹か」


 幾らウルフが集まっても、川縁がワニのフィールドである以上ウルフが不利なのには変わらない。それなら、ここで魔石を使った魔法を試すべきかな、どこかで実戦使用しなきゃいけないんだから。

 使うのはDウルフの魔石、ケチったわけじゃない安い魔石での威力が実戦だとどれ位か知るためだ。使うのは風魔法で酸欠、どうせダメージ系は増幅した所で初級だから無いに等しい。窒息魔法であれば、何度も使用しているから効果の差がわかるはずだ。


「狙うのは中央のワニ、魔石は消費していいから全力で……いくよ」


 ターゲットの周囲を狙って風魔法で酸素濃度を一気に下げる。魔石を使ったからかその効果は増幅されていて、何時もより口を開けるのが早い上に、両隣も同じように口を開けだした……ラッキーだな。という事は三匹同時に討てるという事だ! って事で鉄串三連射! 狙いは上々、綺麗に三匹の口の中に入って行ったから後は時間の問題だろう。残りのワニが四匹! 代わりに手元の魔石が砕けて消えたけどね。


 ワニもウルフも一体何が起きたかわかってない様子だな。問題はウルフの損害が意外と早いことか、既に六匹まで数を減らしてるな。まぁ予想以上にワニを惹きつけてくれてるから楽だけどね。

 頭数調整しながらウルフを支援する……ウルフには悪いが二匹ほど狩られたらワニを狙撃、ちょこちょこ魔法でワニの行動を阻害しつつだ。


「これは思った以上に狩りだな」


 正々堂々? ガチバトル? そんなものやってられるか、物語の主人公であればその方が良いかも知れない。選ばれて力を貰うか最初から力がある、もしくは最初にピンチになって力が覚醒するなり転がってくるなりする。でも僕はそんな主人公になれる人間じゃない、もちろん憧れが無いわけじゃないけど、やったら死んじゃうよね? この世界にそんな人物は居ないって証明されちゃったし。


「なら……此処で前に出たい気持ちを抑えて徹底的に狩るしかないよね」


 水球・風玉でワニやウルフの足を狙う、徹底的に調整しながら……ここ! ワニに狙撃が入った! 後ワニが二匹とウルフ四匹。

 ん? モンスターの動きが変わった? あれか、自分達以外の存在を確信して索敵モードかな? 息を潜めて観察しようか……視線は注視しないようにしながら、全体を見る感じで、バレ易いかどうか変わるみたいだしね。


「まぁ此処まで上手く行き過ぎてたんだ、本番は此処からって事かな?」


 狩猟の基礎は待つことだ、獲物の習性を理解する時間、罠を設置して掛かるのをを待つ、獲物を見つける時間そして其処から隙が出来るタイミングを待つ。こう行った行動は大切だと脳内で何度もリピートさせ、逸る気持ちを徹底的に押さえていく。


「まだだ……まだ早い」


 武器を握る手に力が入る……音を出すな、存在感を出すな、奴等はそれに直ぐ気が付く。野生の動物を甘く見るな、爺様達が言ってた事だけど、モンスターは更にそういった気配に敏感だ。

 あの警戒では鉄串も魔法も撃てない、撃てば忽ちすぐさま位置がばれる。もどかしい! おっと……落ち着かないと、爺様達に怒られる。てか怒られる前に行方不明だ。


 手を考える……水で地面を濡らして足を奪う? 駄目だワニがいる。窒息させる? 突撃してくるモンスターの数がまだ多い。魔石を使う? 次の使い道が決まってるから此処で消費はしたくない。調味料ボム? うん、使い方次第で使えそうだけど。鉄串狙撃は二匹が限度だな、それ以上は此方に接近される。魔法に関しては、即効性が無いから直接使用は駄目だ、武器に纏わせて使うのがベストだろう。身体強化からのポールウェポンで接近戦は最終手段。

 モンスターとの距離や向き、武器の使い方を思考して組み立てる……よし!


「これで上手く行ってくれれば!」


 鉄串二本に風魔法を纏わせてから投擲、一つはこちら側に顔を見せてるワニ、もう一つは僕から一番遠いウルフ。


 ギャン! キーン!


 予想通り、ウルフにはヘッドショット! ワニは顔面に当たったけど無傷、それでも顔を反らせることに成功! よしよし、ワニよりもウルフ達が先に僕に気が付いて走ってきたな。

 タイミングを計って……三・二・一、此処で一気にサイドステップ!


 ドーン!


 ウルフ達が居た場所で爆破、足元に激辛ボムを二個ほど転がしておいたから、タイミング的にばっちりだ。


「ウルフは全て巻き込めたかな? 今のうちにだな」


 とはいえ室外空間だ、調味料が散るのも早いはず、必然的に行動阻害の時間が短い訳だが、今僕が接近したら僕も激辛調味料の餌食になってしまうな。


「って事でワニさん遊びましょ!」


 魔法を使って牽制攻、主に顔面に向かって風玉を撃ち込む。やっぱりこういった攻撃は嫌うよね。

 嫌がるワニの横っ腹を鎚の部分で下から掬い上げるように殴りつける! ホームラン! とは行かないけど飛ばされたワニがもう一匹にぶつかっていく。うん成功だ!


「さてとワンモア打撃だよ!」


 重なったワニへ上段に構えた鎚側を振り下ろす! ガァ! と二重奏だな。此処で窒息魔法発動! 二匹重なってるんだから魔石を使わなくても同時に掛かってくれると良いな! 取り合えずターゲットは上に居る奴だ。窒息魔法の最中でも暴れすぎないように何度か打撃を入れるのも忘れない。


「ふむ、幾ら密着してるとはいえ魔石を使わないと一匹にしか効果がないのか」


 窒息魔法でお口を開けたのは一匹、口を開けた瞬間に鉄串をご馳走してから、側面に移動してワニの頭上に鎚の振り下ろし!


「一匹は、これでOKかな? 下のヤツはじたばたしてるけど、抜け出せるほどの力がない? まぁ突き刺せばいいかな? もう十分に体力と魔力削れてそうだし」


 ガゥ!!


 ちぃ! 横からウルフの奇襲か! バックステップで回避! くそぅ、折角ワニに止めさせると思ったのに。まぁでも横からで良かったよ、後ろからだったらやばかったな。


「それにしてももう回復したんだ……やっぱり外だと効果時間が短いな?」


 とは言え四匹同時は面倒だ……なら先に来たやつから! 正面に向いてるのが鎚側なら、ワニに向かってバッティング! そのまま返す様に斧側でもう一匹を断つ! これで残り二匹! うん、最初にワニに飛ばした奴は……何故か食われてるよ。


「まぁでも、止めを刺し損ねたワニも微妙ながら復活しちゃったね」


 残りがワニ一匹とウルフ二匹か丁度半分になった訳だな、問題は僕へのヘイトが高いことか、両者共警戒しながらも僕を窺う行動が多い。

 ガチバトルは嫌なんだけどなぁ……まぁ戦わないとね!


 ワニの側面に移動開始! ウルフが追いかけてくるけど……駄目だよ? 足元不注意何度やれば良いのさ、其処には大きな水溜りがあるよ?


「そうなると当然転ぶよね!」


 水に濡れて泥と化した地面に足を奪われて転ぶウルフを放置してワニの側面へ。まぁ正面に捉えようと動くのは何時もの事だけど……ダメージが抜け切ってないからか動きが悪いよ? 風玉を連続で顔にぶつけつつ一気に接近……からのハンマープレス! 足を止めずにそのまま離脱! 離脱してから立ち上がろうとしてるウルフを鉄串で狙撃! 後は動くかどうか確認ってワニの生命力たけぇ……。


「まだ、微妙に動いてるか……まぁそれでも時間の問題? 他のモンスターはもう動かないみたいだな」


 ワニの横から全体重を乗せて突撃からの突き! 鱗に弾かれる事無く突き刺さったな。ワニも動きがなくなったし……素材回収しよう。


「とりあえずこれで一時的だけどあの川縁にはワニが居ないわけだ」


 さてピラニアタイムだ、とはいえ実はこっちの方が対処が楽だったりする。


「まずは、手に入れたウルフ肉と血を川中央に投げ入れます」


 幾つかの肉塊を少し間隔を離してぽいぽいと投げ入れる。そうすると集るようにピラニアが集まってくる。


「お次に取り出すのは魔石です」


 魔石に魔力を注ぎ込む、暴発させる為にだ。魔石の爆発は火薬のそれと結果は似ているんだけど、火薬の爆発はモンスターにダメージを与えない。魔石の爆発は魔力の衝撃波がメインだからモンスターに大ダメージと言うわけだ。


「という事で臨界状態のこの魔石を川の中央にぽいっちょ!」


 ドォォォォォォォォォォン!


 大きな水柱と共に……ピラニアが降って来るよ! 取り合えず網を使ってピラニアを回収。研究素材手に入れたぜ! 念願のピラニアだ! それにしても、ピラニア達は気絶処かその衝撃波で永眠か……魔石の爆発って予想以上に威力でかいな。


「海外でやってるダイナマイト漁って動画で見たことあったけどこんな感じかな? まぁ日本じゃ禁止されてるけどダンジョンだし問題ないよね」


 さて、後は確認の為にお肉やらなんやらを投入してみる。うん、数分経っても何も起こらないから問題はないか。

 まぁ大丈夫であるなら……思いっきりダッシュしてからのジャンプ! 川の五分の四ほどを飛び越えて水に入る前に棒を水中に突き刺してから陸地に移動! これもワニとか居ると出来ないんだよね、棒が倒されて……水中に引きずり込まれる結果になる。実験の時は、棒に自分の体重分の重さの肉を括りつけて飛ばしたんだけど、見事にワニとピラニアに集られてたからな。


「とはいえ、今回は大成功! 反対側に到着!」


 お? 如何も反対側に来たら階段付きの大岩が出現。予想通りでよかった……コレで出てこなかったらと思うと……またワニやピラニア狩ってから戻るの? って話になる、面倒だ!

 とりあえず、岩に付いてる鍵を回収してから、ダンジョンを出るよ……まぁこれで七層クリアだ、お疲れ様!

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