表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/889

二十九話

 色々とリフレッシュしたり問題が少しながら解決した事によって随分と体が動くように感じる。うん、このままダンジョンに行けばワニを乱獲できそうな気がするけど、それは錯覚だから自重しよう調子にのるのは良くない。

 まぁそれに授業があるんだ、試したい気持ちは抑えよう。


「何だか調子がよさそうだね?」

「そうかな、まぁ色々と軽くなったからかな?」


 ふむ美咲さんが話かけてきたな、そんなに調子良さそうに見えるのか。


「お父さんが言ってたけど調子が良い時ほど気をつけるべきだって、気をつけてね?」

「まったくもってその通りだよね、それにしてもそんなに調子に乗りそうなほどの雰囲気でも出してる?」

「うーん……気にしすぎかな? とは思うけど少し気になったから」

「それじゃ、自重を更に心がけるかな」


 他の人から見た時に気になるようならそれは危険信号だ、であれば気をつけるに越した事は無い。まぁ爺様の受け売りだけどね。でも間違いなく僕はそうだと思う、だから……自重と書いてあるTシャツでも着て潜るか……いや自分からじゃ見えないな、シャツ着てもその上に防具着けるわけだし。


 それにしても教室は大分落ち着いてきたと思う、何人かの男子とも普通に話をするようになったし。

 しかし話の内容が……女子についてかゲームについてが多い。まぁ女子については横においておくけど、睨まれてる気がするし、ゲームは如何もほのぼのとした牧場系や何かの経営系のゲームが最近の流行らしい。

 まぁ命のやり取り等は実際ダンジョンが出来てしまったから、ユーザー側が距離を置いているそうだ。

 メーカー側もあの事件を機に自重しているみたいだし、こんなところでもダンジョンの影響があるんだな。


「……だからさ、白河も村興しやらね?」

「どんなんだよ、説明がないとわからんぞ」

「廃村になりかけてる村の神様が土地の子供に村興しさせるゲーム」

「……園田よ、その説明ではよく解らんな」


 どうやら、特産品を作ったり観光できる場所を造ったりと人によってやる事が違い、しかも他の人の村に行って交易とか共同開発とかも出来るらしい……どうしてゲームにしたんだ。シから始まるゲームか? 其れとは違うって? ああそうなの。

 まぁこうして男子と話をするようになったのは……美咲さんの絶え間ない絡みからの流れだ。感謝するべきなのだろうか? 途中の嫉妬が凄まじくて大変だったんだけど。

 とはいえ、無視したり追いかけっこしたりするよりも、随分と健全なクラスメイト関係になったと言える。これもまた軽い問題の解決だろう。





 学校が終わり次第ダンジョンというサイクルはもう日常となっている。そして今日は……検証の日だ。

 とはいえ、何時も以上の命大事に作戦と自重と重点を置かないと……軽いんだよね気持ちと体が、注意も受けたしね。


 検証相手はここ数日相手にしているワニだ。調査検証が目的だから先ずは使い続けてきているスコップを使ってみる。

 ワニを陸地に釣り上げてから、スコップ突き! うん、鱗に弾かれるな……傷も無いか。なら思いっきり平面の部分で叩いてみよう!


 カーーーーン!


 おー……良い音がなったって! あぶな、尻尾が鞭のように飛んできた……あれは当たったら吹っ飛ばされるな、うん今まではやってこなかったし、まぁ基本遠距離だったし? 最初に検証して以来接近ってしてなかったけか、まぁ危険攻撃とメモしておこうか、あれは陸地でも脅威だ。


「それにしても調子は良くなったと言っても、ワニの鱗には通用しない。予想はしてたけどね、まぁ僕の動きがよくなった程度だとねぇ……まぁ此処からが本番の検証だ」


 ワニから距離をとってから武器チェンジ、婆様から受け取ったなんだろう? ポールウェポンで斧と鎚と槍の機能を持たせた奴。

 うん、あの訓練に使ってたのをそのまま武器として採用されたよ! さて……先ずは穂先の円錐の部分を使って突き!


 ガッ!


 お? 鱗が少し削れた? 音もさっきみたいな弾く音じゃなくて、こうなんだろう車が電柱とかで擦ったような?


「まぁ、ワニにダメージを確りと与えたわけじゃないけど、鱗が少し削れたのなら良い感じ?」


 もってる手でくるくるとポールウェポンを回転させながら次の手を考える……といっても打撃か断撃か。さてと、どっちをどのタイミングで何処を狙うかな?


「まぁどちらにしても、今までならあの尻尾を避ける事なんて出来なかったはずだけど。今なら避けれるから、尻尾に注意しながら横から狙うのがベターか、となると、背中か腰当たりかなっと!」


 まずは一撃! 斧の部分で腰を狙うよ。


 ガン!


 よし、綺麗に入った! 間を置かずにバックステップ! 尻尾を振る予備動作してたしね。鱗へのダメージは? ふむ……穂先の突きよりも深く傷はついてるけど、鱗破壊までは出来なかった感じか。あの鱗って結構厚いからなぁ。


「それでも、狙うのは難しいけど鱗の間とか関節とか、隙間がありそうな所を狙えばいいかな? 実際解体のときは其れで鱗剥ぎ取ってるし」


 とはいえだ先ずは鎚の効果も調べないと。出来るなら頭狙いたいけど……厳しいよね? 正面からは幾ら足が遅いと言っても溜めからの一足飛びは有るだろうし、横から頭を狙うと必然的に尻尾から遠くなって、予備動作の察知に遅れやすい。


「まずは、背中あたりかな? その後はさっき斧で攻撃した所を追撃かな」


 打撃武器でもあるならダメージを入れた所にぶつければもしかして? という期待はある。

 手元でクルリと武器を回して斧から鎚を正面に持っていく。この手の武器は使いこなすのが大変だけど、一々武器チェンジしなくて良いのが助かる。動作一つで武器チェンジだからね。


「ショット!」


 牽制にワニの顔面に向かって鉄串を投擲、魔法の併用はしてないただの投げつけ。それでもワニは顔面への攻撃を嫌がってか、顔を背けて避ける……よし、今だ!


「グガァ!」


 あれ? 予想以上にダメージはいっちゃった? まさか声? を出すとは……まぁでも良い情報だな。ワニには打撃! 確りとメモしておこう。

 後は傷つけた部分はどうなるかだな。割れてくれたら良いんだけど。


「さて、どんどん行こうかな……ワンモア!」


 打撃によるダメージが抜けてない所に追撃、良い感じに斧で削った部分が見えている。ワニの行動は……あれだな、人間なら腹にパンチを食らって呼吸が! な状態だこれ。


 ガンッ!


 よし狙い通りに決まった! ワニが更に悶絶してるな、さて鱗は……うん、傷が少し大きくなった? でも割れないか。それでも効果はありそうだし、傷をつけてからの打撃は十分よさそうだ。

 

 ふむ、ワニが頭をふってから此方を見てるな……グルグル言ってる。まぁ殴られもすれば警戒するか。でも此処って陸地だよ? 君の得意なフィールドじゃないよね?


「とはいえ、正面に立つのは宜しくないね」


 ワニの側面に回りこむように動く……ワニも正面に僕を捉えようと追従してくる。スライド移動、追従、スライド移動、追従……うんエンドレスだな。

 それでも正面は危険だから移動を繰り返しつつタイミングを計る。ん? ワニの動きがかわった? 深く体勢を沈めてって!


 一気にサイドステップ! 間一髪と言うべきか、今僕が居た場所にワニが飛び込んでる! はぁやっぱり、正面突撃系の技術は持ってたか。まぁでも予備動作はわかりやすくて助かった。


「まったく、下手したら初見殺しだよこれは!」


 飛び込んだことによって体勢が崩れているワニに向かって、逆に飛び掛りつつ上段からの全力振り下ろし! 狙うのは斧の傷跡!


 パリーーーーン!


 お? 鱗が割れた? しかしガラスみたいな音がするんだな。ワニはまだ隙だらけだ……ならここで!


「折角割れたのなら狙うしかないよね!」


 穂先で割れた部分を突き刺す! 魔法で風を纏わせて傷口を更に広げる効果もオマケでつけておくよ! その後はすかさず武器をワニから抜きつつ、バックステップで離脱。


「一撃離脱は基本だよね」


 戦闘態勢を維持しつつワニを観察する。ワニは予想外のダメージだったのか暴れてるな、あれは近づけない。体をうねらせ、尻尾を振り回し、口を開けたり閉めたりしながら吠えてる。


「さて、予想以上に善戦したんだけど……あれはどうしようかなぁ」


 倒すだけなら何時も通りにやればいいんだけど……この状態よく見ておかないとなぁ。まずは落ち着くまで待つか? ただ問題は血が流れてるから、ウルフ達が嗅ぎ付けないか心配って事か。

 まぁ削りきるために戦闘するのは無しだ。


 グルルルルルルルル!


「あー……やっぱりウルフ共が嗅ぎつけたかぁ、さてどうするかな? この武器でウルフとの戦いもやって置きたいけどさ、同時に検証は辛くない?」


 まぁ愚痴だね、さてはて走ってくる足音も聞こえるし戦うしかないよなぁ。ワニのほうは……うん、ウルフの接近に気が付いたみたいだね。三つ巴かぁめんどくさい。

 接近したウルフはっと……四匹か。他に居ないか? まぁ目の前の警戒も外せないから何時もみたいに丁寧な索敵は出来ないな。


「とりあえずは……こっちに来た奴を徹底的に叩き潰していくしかないか、そら! 水球でも食ってろ!」


 ウルフが僕とワニに向かって二匹ずつに別れた、なら対処はしやすい。正面の一匹に水球をぶつけて怯ませてから、突撃してきたもう一匹のウルフに斧で斬撃を合わせる。


「おー……真っ二つ!」


 ウルフの移動線上に向かって軽く振っただけなのに……恐ろしい切断力だな、取り合えず一匹だ!

 水球を喰らったヤツは怯みから復活した、だけどもう相棒は居ないよ? って事で風魔法を顔に纏わりつかせてから……穂先で一突き! うん、魔法はこういった行動を阻害する系の使い方は便利だね。威力出す方法が初級には殆どないし。


「さてと、周囲とワニの方はどんな感じかな?」


 周辺からは奇襲攻撃の気配はない、ワニの方は……陸地という件と怪我してるからかワニが苦戦してるな。ただやっぱりあの尻尾は曲者だな、ウルフが一匹吹っ飛ばされた、うん飛ばされた奴に鉄串飛ばしておこう。残りはワニとウルフが一匹ずつだな。


「ワニは……駄目かなぁ? かなり出血してるよね。ウルフも尻尾を警戒しすぎてか消極的だな」


 思わぬタイミングの横槍だったけど、戦闘だけみたら僕にとって楽な物になったな。惜しむべきはワニの検証が中途半端だった事かな。

 ワニとウルフが睨みあってる所に、ワニの後ろから後頭部に鎚で攻撃! グシャて感触が……潰れた? まぁ今はウルフだ、そのまま駆け抜けてウルフに向かって鉄串の抜撃ち!


「ふぅ……奇襲成功、ワニは倒したと思うけどどんな感じかな?」


 うん……頭潰れてるな、一体どういうことだ? 幾ら打撃攻撃だといっても最後以外は潰れたりしなかった。頭だから特別か? これはまた検証内容がふえたなぁ……とりあえず素材回収して帰ろうかな。今日は武器の感覚を調べるのに来たんだし。




 ダンジョンから出て何時もの換金、ワニの魔石は二万円と少し高め。まぁその内安定供給がされて低くなるんだろうけど、こればっかりは仕方ないよね。今限りの限定ブーストだ。


「調子はどう? 何か掴めそう?」


 お姉さんには今の状況説明してるしな、とはいえワニとピラニアがやべぇ! って触りぐらいしか言ってないけど。


「ぼちぼちかな? 其れより五層の人たちは?」

「落ち着いてきてるかな? 話し合いの場を作ったのは良かったかもね」

「それはよかった」

「そうそう、情報料の件なんだけどね。経緯は解らないんだけどやっと出せるみたいよ」

「大変だったんです?」

「上がね。支部長がいらいらしてたから」


 ふむ、支部長がかなり掛け合ってくれてたのか。あれだけの事件になったんだから、もっとスムーズに話が進むと思ってたんだけどな。


「という訳で、金額が金額だから銀行に振り込んであるわ。後で確認しておいてね」

「後で確認しておきますね」


 まぁ大金が手に入ったのなら……お土産は少しばかり贅沢をしようそうしよう。




 口座確認したら……零が六つに五の数字がついてたよ? なんじゃこりゃ!

誤字報告にブックマークと評価や感想ありがとうございます。 色々びっくりして転げてます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

宜しければ下記のリンクもお目を通して頂ければ幸いです

新しい話をアップしていきますよヾ(*´∀`*)ノ:孤島で錬金術師~修学旅行中に孤島に飛ばされたから、錬金術師になって生活環境を整えていく~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ