百七十六話
オオトカゲの解体ついでに、奴等の鱗を調べてみる。
斬る・突くは……鱗に通用しなさそうだな。剥ぎ取り後の鱗でこの硬さだ、魔力を流せば更に強度が増すのだから、剣鉈やら通常弾は余り充てには出来ないだろうな。
打撃はと言うと、まぁ鱗だけで言えば通用しない。だが、内部へ衝撃を伝える事が出来れば別だろうな。
ただ、トカゲの腹側は柔らかそうだ。落とし穴に仕込んだニードルトラップも、鱗側は破壊されていたが腹側には刺さってたからな。
「ただ、それを狙うにはトカゲをひっくり返さないと行けないからなぁ……あのデカイトカゲをどうやってひっくり返すかが問題だよな」
まぁ、正攻法で戦うならとなる。ただ、トラップを仕掛けてと言うのも少し前に考えたとおり、奴の動き的に厳しい話だ。
ずっと追いかけて来るような性質を持っている訳じゃない。
それと、攻略するだけなら黒弾使っていけば良いからな。そういった手札があるから、少しは気が楽ではある。
「まぁ、色々と試しながら進めば良いかな」
いざとなれば、範囲魔法で峡谷ごと吹っ飛ばしたり、アンチモンスターライフルを撃ち込めば良い。
それじゃ、どんどん進んで行きましょうか。
峡谷をどんどん進んで行く。
カエルとの遭遇率は高いのだが、現状だとオオトカゲを見る事が無い。お陰でスムーズに進んで行く事が出来る訳だが。
それにしては余りにも居なさ過ぎる。となると、あのオオトカゲは門番とか中ボス的な何かだったのだろうか。
まぁ、そうだとすれば色々と楽な話ではあるけどな。何せあの面倒な敵は数が少ないという話になる。ただ、この階層に限ってはと言う話ではあるけど。
トラップに関しても、戦闘中にカエルが発動させる以外はたいして問題が無い。
まぁ、その戦闘中に発動すると言うのが面倒くさい話ではあるのだけど。
それ以外はたいした問題が無いと言うのは、正直な話探そうと思えば探し出して、解除するのも態と発動させて回避するのも楽だからだ。
何せ、トラップに関して一定の法則があるみたいで、それにさえ注意すれば直にトラップが発見できる。そんな仕様だ。
ただ、これに慣れすぎてしまったら後々問題が置きそうなので、そういった事も注意しないといけない訳だが。
そんな訳で二十二層の攻略も順調に進み、ボスが居るだろう場所を発見。少し休憩すると同時に双葉と会話。
「オオトカゲは結局一匹だけだったな」
「ん?」
「あぁ、あの面倒だったモンスターだよ。後一匹ぐらいとは戦って、検証してみたかった気もするけどな」
「んー!」
双葉はどうやら、もう蔦引きをしたくないといった雰囲気。まぁ、あれは俺も二度とやりたくない。
トラップを作るにしても、もう少し近くで作っても問題なさそうだしな。そういった意味でも、色々と試したかった。
ただ、恐らくだけど二十三層にも出るだろうと思うし、試す機会はあるだろうからその時で良いだろう。
「それに……ボスがオオトカゲの可能性もあるしなぁ」
「んー……」
そうであれば試す事はできるが、ボス部屋という事で、入ってから直に戦闘になりやすいので、トラップ作成が大変だよな。
とりあえず覗いて確認をしてみるとしようか。
チラリとボス部屋を覗いてみる。なにやら、部屋に居るのは……おや? オオトカゲかと思いきや、ゴロゴロと転がる岩のフィールド。
どういう訳か、勢いがおさまる事無く転がり続けている。まぁ、それは一段低い場所での出来事で、一つ上の段はと言うと……。
「アスレチック?」
小さい丸太の橋やら、岩壁登攀でも行うような場所。ジャンプで移動でもやれば良いのか、足場が崩れている場所。
なんでこれでボス部屋? と言うイメージしかない。なにせ、モンスターが目視できる範囲で一匹も居ない。
まぁ、落ちたとしたら、あの転がる大岩に潰されてしまうだろう。トラップ用ボス部屋なのだろうか? だとすれば、この崩れた足場とかにもトラップがありそうだな。
こうなると、双葉の蔦や十フィート棒が役に立ちそうだな。
岩壁登攀の部分も、体重をかけたら崩れたりする場所もあるだろう。そう言う場所なら双葉の蔦を使うのがベストだろう。
十フィート棒で、崩れた足場の部分は突きまくれば良い。
それに、もしかしたら最終地点や途中の段階でボスが待っているかもしれないから、そう言う意味で注意しなきゃいけない点は多い。
それじゃ、レッツチャレンジと行きますか。
まずは十フィート棒で、崩れた足場を突いて移動する。
予想通りというべきか、飛んで移動したら崩れて下に落されるポイントがある。と言うか、正しいルート以外は崩れる仕様のようだ。
「ゲームなら初見殺しだと、笑っていられるんだけどな」
ゲームと違い落ちれば潰される。なので笑える話では無い。
まぁ、この程度なら現状の俺なら問題が無い話ではある。足場が崩れても、崩れきる前に次へと飛べるだろうし。
とは言え、万全を期すというか、命大事にでいくなら態々そんな冒険をする必要もない。
そう言う訳で、探索の必需品である十フィート棒の出番という訳だ。
そんな風に、最初の足場が崩れるアスレチックを攻略し、次の岩壁登攀に挑む。
「双葉、蔦を使って上部の頑丈な場所を探して貰えるか?」
「んー!!」
了解と返事をした双葉が蔦を上に伸ばして行く。
そして、崩れる気配の無い出っ張りの部分へ、蔦を巻きつけた。次に、その巻きつけた蔦を引っ張り崩れ無いかどうかを調べた後、蔦を使い上へと登っていく。
ダンジョンに用意された登攀用の出っ張りなど利用できるか! という事で、どんどん蔦を使い登っていく。
途中、足が掛かった場所が崩れたりもするが、蔦を握っているので多少の問題など無い。
「よっと! これで完璧だ」
一番上にまで登り、周囲を見渡してみる。
そうすると、入り口から見えていた丸太の橋を渡っていない事や、遠くになにやらモンスターらしき姿を発見。
となると、この後は降りる必要がある。しかし、アスレチックで降りるとか……あまり良い予想が出来ないよな。
とりあえず、こう言った物は割りと楽な方だろう。まぁ、そう言った事に強い道具や双葉が居るからだが。
地形も把握したし、というか、殆ど一本道なので、アスレチックを攻略していけって事だからな。ならば一気に進んであのモンスターが居る位置まで進むべきだな。
そんな訳で、アスレチックを一気に攻略。
降りる方法は、また双葉の蔦を使えば簡単に降りる事が出来たので省略。
丸太の橋は、バランスを崩す事が無いので楽かな? と思ったが、どうやら投石が横から飛んで来た。
まぁ、そんな石も蔦で叩き落したり、盾を使ってガードするのが余裕だったので、なんと言うか楽すぎた。
「んー……これはソロだから楽なのだろうか? パーティーで来ていたら、割と面倒な場所だよな」
例えば最初の足場が崩れる場所。あそこだと、同時進行なんてやれば、間違いなく犠牲者が出るし、それは、登攀する場所も同じだろう。まぁ、俺みたいに蔦というかロープを持って来ていれば別かもしれないが。
丸太の場所も、一人ずつしか通れないので良い感じに時間が奪われる。そして、それは色々な意味で問題になる。
なにせ……丸太を越えた先には、モンスターが待ち構えているからだ。
「そして、そのモンスターも面倒な事にオオトカゲなんだよなぁ……」
円形闘技場みたいな場所で、場外と言える場所は下に落ちて、ゴロゴロと転がる岩が待ち構えている場所。しかも、割と狭い場所だ。
「あきらかにパーティーで来たら……焦るよな」
特に丸太を渡る方は、焦りでいっぱいになりかねないだろう。
まぁ、このアスレチック。落ちたとしても復帰は出来る。一応登る場所が最初の部分にあるからな。
ただ、其処にたどり着けるかどうかと言う問題がある。転がる岩を回避しながら進んで復帰とか、結構大変な話だ。
「だけど、俺には関係ないよな。ソロだし」
ソロボーナス以外で初めてソロでの強みが出たかもしれないな。
とは言えボスはオオトカゲ。しかも、最初に出会った奴よりも大きいサイズと来た。
さて……どうやって倒そうか? こんな闘技場みたいな場所じゃトラップなんて仕掛けるのは難しいぞ。
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アスレマップ! とは言え、主人公はアスレ殺し機能を持ちすぎというw
このマップが牙を剥く相手は、後続の人達相手でしょうね。まぁ、初見であればとつきますが。当然ですが、主人公が情報提供をしてしまうので、ある程度対策を立てられてしまいますね。




