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百七十二話

報告と雑談回につき、少し短めです。

 ダンジョンから出て協会へと戻り、二十一層とアンチモンスターライフルについての報告をしておく。

 やはりと言うかライフルについての話になると、その報告内容に大興奮をしていたが、話をして居る内容がライフルの欠点や利点を上げていくと言った、次を見越した点が流石と言った所だろう。


「しかし其処まで反動が強いとなると、使える人が少なそうですね」

「射程や威力から考えれば、先制の一発としては有りだな」

「狙撃班を置くとしても、発砲音が大きい為にモンスターを大量に呼んでしまいますからね」

「防衛には良いが、ダンジョンで使うには厳しいか」


 などと言った会話が、入谷さんと守口さんの間で繰り広げられていた。

 発砲音を押さえる方法や、囮にするのも有りでは? などと言った話にまで派生して行く。

 確かに、アンチモンスターライフルを撃った後、トラップを大量に仕込んでから移動し、そのトラップで蛙型モンスターを殲滅した点を考えれば、ある意味囮といった戦術が成功するといった例だ。有効的な手と言える。


「発砲音を押さえるのは……風魔法で出来るかもしれないですけど、魔力消費とか考えれば現状は厳しいかと」

「音を消す魔法を使うぐらいなら、魔法で攻撃した方が良さそうではありますね」

「隠密行動をして居る時なら有りだがな。ダンジョンやらモンスターが大量に居る場合はな」


 それに、音を消す魔法は常時発動型になるからな。常に魔力が消費されていく訳で、身体能力強化や窒息系の魔法と同じだ。

 そして身体強化との違いは、部分別で使ったり、オンオフをして魔力消費を抑えたりなどが難しいと言った点だ。

 銃撃の消音だけを考えるならばオンオフは有りだが、隠密行動だと部分使用もオンオフも、やった瞬間にばれる危険が有る。


「音を消す道具を作った方が良さそうですよね」

「魔道具か? また、研究者達が大変な時間を過す事になりそうだが」

「魔道具式のサイレンサーとか、足音が消える靴とか有ると良さそうですよね」


 足音を立てないよう歩く手法を広めてはいるが、モンスター相手には通じない時もある。耳が恐ろしく良い……イオみたいなタイプなら、どれだけ人が頑張って足音を消そうとしても無駄だ。


「まぁ、足音以外にも服やら鎧やら、音を出す物はいっぱい有りますからね」

「自分の周囲の音を外に漏れないようにする道具か? だが其れは話も届かなくなるだろう?」

「通話用の道具も要りますかね。……道具だけで大変な数が必要になりそうですね」


 それだけ道具を使えば、魔力や魔石の消費量も異常になるだろうな。

 理想と現実の差は違いすぎるって事だな。とは言え、研究しておいた方が良い内容では有りそうだ。

 その証拠に、二人はこの研究を進めるようにと、研究所へ進言するみたいだ。


「それにしても、二十一層が山岳かと思えば、亀裂内に入っていくルートとは……」

「湿度高めのトンネルで、しかも蛙が大量に隠れてる巣といった感じでしたね。炭鉱が終って外だと思ったら再び洞窟とか溜息でしたよ」


 其処から、蛙型のモンスターについての話をしていく。


「魔力を大量に含んである鉱石が手に入るのですよね?」

「蛙の巣? に隠されてるみたいですけどね。倒さないと手に入れるのはキツイかもです。それに、ボス部屋にはその鉱石がある巣は有りませんでしたね」

「調べて貰うとしても、一体どんな性能なんだろうな。自衛隊のデータベースには同種の物は無かったぞ」

「完全に新規の鉱石のようですね」


 新しい素材か。これは心が躍る……っと言いたいが、この鉱石。ミスリルやら黒い鉄に比べて、かなり柔らかい。

 簡単に割れたり砕けたりすると言った物で、武器に使うには難しいだろう。

 硬くも無く柔軟性も無い鉱石となれば……燃料に使うぐらいか? 魔力は大量に含まれているからな。


「まぁ、そこら辺は使い方を調べ上げて貰うしかないでしょうね」

「……研究者も施設も足らないよな? 人員の補充予定は無かったよな」

「この間、街側から一人村に来た人以外は居ませんね」

「あー……アイツか。まさか、魔法の研究をしたくて仕方ないから、苛々してたとは思いもしなかったぞ」


 俺は知らない話だけど、村と街で交渉した時に何かあったようで、二人は思い出しながら頷きつつ話をして居る。

 とは言え、研究員の人手不足がその一人だけで解決する訳でもない。


「ただ、その人手不足って奴がなぁ……あいつらの趣味が暴走して起きてる状態なんだよな」

「そうなんですよね。自分の作りたい物を作る為に自分達を追い詰めてますからね」


 そういえば植物や食料の研究者も、この間その自縄自縛に入りましたよ。まぁ、双葉が頑張りまくった結果なんですけどね。

 そして、モンスターのテイムに関しても盛り上がってるようで……何故倒れないのか不思議なレベルなんだよな。


「……彼等にこそ、回復用ポーションとかが必要なのでは?」

「回復魔法の使い手も常設した方が良さそうだな」


 趣味に走ってるとは言え、技術の魔法的改良により生活レベルが一気に上がっている。

 この間発表された技術も、失われたであろう科学技術を魔法で再現する物が多数あったし、既に再現済みのも省エネ化が進んでいる。

 恐ろしいほどのスピードで変化が起きているので、使ってる道具が常に新しくなって行く現象が起きている。

 今まで使っていたものは解体して素材を回収するか、違う街やらに出荷する為に残しておくか、などの会話まであるのだから、とんでもない話だ。ゲーム機戦争も真っ青のレベルでの進化である。


「兎にも角にも、研究者が足らないのはどうしようも無いとして、ダンジョンに関してですが……蛙の鉱石採取も考える必要がありますね」

「ゴーレム狩りに蛙狩りか……他の探索者の攻略状況が確か……」


 資源の回収の為には、坑道以降に来ないと出来ない。

 魔石自体の回収も、其処まで行けば質の良い物が手に入るから、低階層で大量に集めるより良い。


「ただ、食肉回収の為にオーク狩りはした方が良いのですよね」

「美味しさでいうならオークだよなぁ」


 狼やら猿やらを食べたいとは思わないからな。蛙の肉はどうなのだろうか? まぁ、オークが大量に手に入ると思えば、食べたいと思えないが。

 そんな感じで、資源の確保をする為の話が進んで行く。鉱石や食料以外にも木材の回収も必要なので、割と素材回収をする為には良いダンジョンだ。


「それも、質を求めなければだがな。トレント系のモンスターを狩った時に出た木材は、かなり質が良い物だったからな」

「現状、このダンジョンで出会った植物系モンスターは、ラフレシアもどきだけですよね。しかも、必ず出る訳でもないタイプですし」

「手に入るだけ良いですからね」


 まぁ、木に関しては村で色々と研究している物があるから、それさえ芽が出れば木材回収をしに行く必要は無くなるのだが。

 だが、鉱石関連だけはそうとは言えない。流石に鉱石を育てて作り上げるなんて出来ないからな。

 それはモンスターというか、オークから手に入れている肉もだろう。オークの養豚など……出来るはずが無い。

 まぁ、それにテイムできるモンスターを食用にするのはな……意思疎通がかなり出来ると言う点を排除しても、他の事で手伝って貰った方が良い。強いし色々な特性があるからな。


「探索者の教導もかなり上手くいってますから……資源の問題は解決しそうですけどね」

「全員が探索と隠密スキルを手に入れたからな」


 次の育成をすると言えば、高校生ぐらいの年齢の人達か。

 一応基礎訓練はやっているから、全員が一定以上の水準にはあるが。ダンジョンに潜るとなれば、必要なスキルは教えて無いからな。

 そう言う訳で、ダンジョンに潜ると決めた子達には教導から始める。これは、村と街で決めた事だ。まぁ、何も考えずにダンジョンに入れた結果は既に見て居る訳だからな。


 まぁ、其れは良いとして、資源回収の目途が立ったが、それを使う人が足らないという問題に戻る訳だ。

 そう言う訳で、本格的に遠征の計画を現実のモノにする動きをするようだ。

 

 俺としては、其れに関わる事は少ないからな……やれる事と言えば、ダンジョンの探索と試作品の詳しいレポートぐらいだ。

 まずは……アンチモンスターライフルを、更に精度の良い物にして貰うべく、どんどんと検証していか無いとな。とりあえず、超遠距離射撃を試してみるのも有りだな……となれば、一度二十一層で山羊を狙ってみるのもありか? 素材の回収は出来ないけど。

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