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百五十七話

 山岳の一部にある木々を探索する前に、入り口付近で採取してないであろう植物を回収しておく。


「進入せず入り口付近を弄る程度なら問題ないのか」


 木から枝や葉に実を回収したり、草や花を採取しても何の反応も無かったので、そのまま色々と回収して行く。

 雀蜂の時もだけど、ある程度テリトリーの入り口付近で進入しなければ、特に反応も無かったからそう言う物なのだろう。

 恐らくだけど、テリトリーの外周部分は警告ラインって事なんだろうな。そして更に奥へと進んだ場合、攻撃をされるんだろう。……相手が狩りをしてない限りだけど。


「それにしてもこの先にいるのは、どんなモンスターなんだろうな」


 雀蜂の時みたいに少しでも何かの姿を確認出来たら思うけど、現状は一向に姿を見せる気配が無い。

 まぁ、一番奥で待ち構えているんだろうけど、自分から狩りに行くパターンじゃないって事だろうか。兎に角、現状取るべき行動はモンスターの姿を確認する事と、お宝を探す事か。




 モンスターの動向に注意しながら、ゆっくりと採取と探索をして行くとガサガサと木が反応する。

 周囲に何かが動く事も無く、風が吹いているなんて事も無いので、不自然極まりないと言っても良いだろう。

 魔力の反応を探索すれば良いのでは? と言う話になるが、探査をかけると……なんと、この空間自体が魔力の塊みたいになっていて、その塊の中に居る状態と言う結果が解るだけだ。

 なんと言うか、巨大な生き物の中にでも居る。そんな感じを受けてしまう。


「魔力探査系の能力は無効化されるから、五感を全力で使わないと行けないけど……木が常に不思議な動きをしているから、視覚と聴覚も結構厳しいな」


 嗅覚も……木と土の香りで充満しているから割と当てに出来ない。……ん? 五感も封じられてるパターンか? かなり面倒な場所って事か。

 この状態で奇襲を受けたら割とヤバイ。完全に後手に回るからな……とりあえず、盾をしっかりと装備しておいた方が良いだろうな。


「しかしこの感じは……神樹の森並に面倒な感じか。見えない何かに攻撃される系だよな」


 たしかあの時は、神樹を守って居たのと会話が出来たんだけど……ここはダンジョンだ。そして気配的に居るのはモンスターなのは間違いないと思う。

 それに、あの小さい奴等もイオを見て「何故魔物と居るんだ?」的な質問をして来た。だからこそ、あそこに居た奴はモンスターじゃないと判断し、対話と契約を選んだ結果になったんだけど。

 此処に居るのはどうだろうか? モンスターだとしても、コボルトのズーフみたいな奴であれば……何かしら話は出来ると思うんだけど、それならもう既に反応が有っても良い気がする。


「この付近だと新発見だと思う物は採取し終わった。後は奥か……さてさて何が出てくるやら」


 外周部分もグルリと回ってみた。その結果は、内側での反応は特に何も無かったし、外の部分からも襲ってくるモンスターはいなかったと言う事は解った。

 であれば、奥の部分で戦闘になったとしても、外から横槍が入る可能性は低いと思われる。それなら、奥の部分の攻略に集中できる。

 さてさて、これなら奥に進んでも大丈夫だろうから、奥へと進んで行くとしよう。




 細心の注意を払いながら最深部へと進んでいく。

 そして、奥へと進めば進むほど、敵対的な気配だけが強くなって行くのだが……相手が一向に動いたという状況が無い。


「……隠れてるのか、それとも動く気が無いのか。殺気とかそう言うのだけを飛ばして来てるんだよな」


 こういう感じだと、魔力の探索も五感が通用しないのも実に面倒くさい。

 それ探索に引っ掛かれば動いてないとしても、相手の居場所が解ったり出来るというのに。この空間が特殊なんだろうけど、こういった形で封じてくるパターンが有るのが、今という段階で判明したのは、ある意味ラッキーだったかも知れないな。

 もし、もっと深い階層や、難易度の高いダンジョンでこの状態に陥ったとしたら、面倒くさいとか言っていられないだろうからな。


 こうなると、木々がある方を先に攻めたのは正解だった。

 ただ、こんな感じの場所でゲリラ戦でも仕掛けられたらきつ過ぎる。

 逆にゲリラ戦を仕掛けれるなら良いんだけど、中々厳しいよなぁ、どっちかと言うとこの状況は相手が受け側な訳だし。そもそも、俺に土地勘が無い。……うん、撤退しかないかな。


 そんな風に方針を決めて進むと、ポン! と言う何か弾けた音がした後に、俺の足元の側に何かドスッ! と、地面に埋まった。


「……とうとう攻撃され出したか。さて、何が埋まったのやら」


 飛んできた方向に盾を構えつつ、足元をチラリと確認して行く。


「む……埋まってるのは、種? まぁ、そんな感じの物かな」


 丸く茶色? の乾いた物体で、実に硬そうな感じがする物が、地面を抉り、埋まっている。


「しかも、ポンッと弾けた音がしたって事はだ……」


 可能性としては植物型のモンスターか? 他に有るとしたら、猿だか何かが口に種を含んで飛ばしてきた? いや、それならポンなどと言う音じゃないか。

 そんな事を考えつつ、飛んできた方向を注視していると、今度は別の方向からポンッ! と、音が聞こえ、また種が飛んで来た。


「おっと、意識してた場所と別からかよ!」


 盾を使って飛んできた種を弾き飛ばす。それと同時に、またポン! と言う音と共に、種が飛んでくる。


「今度は反対側か!」


 盾で弾いた後だから今度は回避行動を取る。それと同時に、また種が飛んでくる。


「チッ。遊んでるな!」


 避ける、弾く、避ける、防ぐ。それを繰り返しつつ、相手の位置を把握しようとするが、全くバラバラの位置から攻撃が飛んで来て、一切把握する事が出来ない。

 モンスターが動いている気配も一切無いから、状況的には複数の敵に囲まれていると判断出来る。

 ただ……ゲリラ戦だとしても、スナイパーだとしても、一切動かない。そんな事が有るのか? 俺なら、間違いなく一発撃った後は動くんだけど。


 であれば、防ぎながらも突撃した方が良いか? 迎撃するとしてもだ、こっちが反撃すると反対側から撃たれる。


「……七発までならいけなくも無いけど、リロード中が面倒だよな」


 銃を使えば七発までは対処できる。魔法を使っても大丈夫だろうけど、相手がどんなモンスターなのか、はっきりしていない。


「とは言え、何もやらない訳にも行かないか!」


 銃を抜いて、種が飛んできた方向へと一発だけ射撃! 飛んでいった弾丸が、何かを散らしたみたいだけど……なんの手ごたえも無い。

 であれば、モンスターを倒した訳じゃないのだろうか。確かに草だか花を吹き飛ばしたんだけど、そんな物は大量に生えている。

 となると、撃ち散らしたのは……巻き込まれた草花の可能性が高い。しかし、避けられた反応なんて無かったよな。

 

「次は反対側!!」


 飛んできた種を目印にカウンターショットをして行くが、その度に草だか花が散って終るだけ。

 それを数回繰り返したが、一切相手の攻撃が止む気配がない。


「しかも、一度撃った場所からも再度攻撃が飛んでくるとか!」


 意味が不明すぎる! 一気に燃やし尽くしたい気になるけど。便利なアイテムや宝箱があると思うと、その手段を選ぶのは駄目だろう。


 とりあえず今は敵の正体を確かめる為に、このカウンター作業を進めるしかないけど、敵の姿は一切確認が取れないままだ。

 こうなると……少し対処を変えるとするか。


 避けて、防いで、カウンターショットを入れてを繰り返していたけど、今度はカウンターショットでなく、中級の土魔法を使い、地面の表面部分をシェイクして行く。


「そら! 農業する時に便利な魔法だぞ!」


 掘って、混ぜて、と耕す行為を魔法でやる。これのお陰で一気に農地が増えたのは、素晴しい成果だというのは別の話だけど。

 この状態だと、地中にモンスターが居る可能性もある……だからこそ、この魔法でどんな反応が起こるかで、色々と答えが解るはずだ。


「さてさて、どんどんシェイクして行くぞ!」


 混ぜ返した土が周辺に増えて行く。それと同時に、草花や木の根などへも被害が出る。そして、それが正解だったのか、種を打ち込んでくる場所が明らかに減ってきた。


「……地面の中にモンスターが居たって事で正解だったのかな」


 まぁ、モンスターの姿は見えないけど、撃って来る場所が減ったのだから、モンスターの数が減ってる筈。

 だけど、どう見ても魔石も無ければモンスターの残骸も無い。実に意味不明な状況だ。


「……飛んでくるのは植物の種だよな? となると、いやいやまさかな」


 予想するならば、本体と遠い位置に射撃ポイントを設置出来るようなモンスター。もしくは、跳弾を利用しているパターン。


「ただ、跳弾だとポンと言う音は別の位置からするよな? 飛んできた方向からする音があれば、反射する音だろうし」


 ……やだなぁ。遠くに攻撃ポイントを用意できる敵とか、面倒すぎる話だ。

 本体を発見するのも大変だし、もし本体を発見出来たとしても、そいつの周囲に近づけば、三百六十度全てから集中砲火を喰らう可能性が高い。

 さて、どうしようか。燃やし尽くすのが本当に楽なんだよなぁ……。

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