十二話
今日は掲示板回を挿んだので二話投稿です
私こと白河結弥は今壮絶なピンチに陥ってます……如何して今、中年男性二人に囲まれ、片方から睨まれてる!
事の始まりは、保護者参加の研修と言う名のダンジョン探索だったんだけど……まぁ丁寧に一層から説明して行った訳で。
「えっと、藤野さんと桜井さんこんにちは、其方のお方は?」
「こんにちは、今日はよろしくね! 後、この人は私のお父さん、藤野 賢一」
「賢一だ。今日はよろしく」
「お父さん、顔が怖いよ?」
「まぁまぁ、美咲ちゃん、義兄さんと彼は初対面だし仕方ないと思うよ」
「叔父さん……そう言っても今から一緒に潜るんだし」
まぁダンディーなおじさまにナイスミドルなおじさまが増えた。緊張感がやべぇ……
挨拶を終え、ダンジョンに四人で入っていく。まぁ説明色々としながらだけどね。
「渡した資料通り、一層というかこのダンジョンは基本暗くてジメジメとしてます。長時間こんな所に居たら精神的に参ってしまうので、タイマーなどで時間を計りながら、帰宅する時間を決めるのが良いかと」
「戦闘もある、予想以上に疲労するという事か」
「お父さんも叔父さんも気をつけてよ? 割と足元暗いよ」
「ははは、美咲ちゃんこう見えて私も義兄さんも武道をやってたんだよ。美咲ちゃんの方こそ気をつけなよ?」
桜井のおじさん……それフラグです。と思いながらも言わないでおく。言って余計な事を引き起こしたくないしね。
「ふむ……あれがダンジョンのモンスターか。どれ……私が相手を」
「ちょっとまった、信久君。此処は年長の順で私からだろう?」
あれ? この二人ひょっとして戦闘狂?
「ちょっと二人とも! 此処はまずお手本を見せてもらってからでしょ!」
「あぁ……えっとお手本か、藤野さん的に正々堂々と安全どっちからが良いかな?」
「安全策がいいかな!」
「正々堂々だろう?」
……あぁ、二人とも藤野さんだった、どうしようこれ。
「呼び方がまぎらわしいね。うん私の事は名前で呼んで? 私もそうするから!」
「ちょっとまて、白河君名前呼びをして、そのままずるずると良い関係になる心算じゃないだろうな?」
「えぇ!? 今僕名前で呼び合おう何て言ってませんよね!」
「いやいや、義兄さんの言うとおりだ。そういう流れに誘導したんだろう?」
「してませんって!」
「怪しいな、とっても怪しいな! 正直に言いたまえ!」
うわぁ……桜井さんの方は完全に悪乗りしてらっしゃる。収拾つくのかこれ?
「まったく、お父さんも叔父さんも……お父さんと白河君が名前で呼び合うより、同じ年齢の私のほうが自然でしょ!」
「しかしだな……」
「しかしもかかしもないよ! 呼び方で一々停滞したら大変な事になるかもしれないんだよ? ダンジョンだし!」
「ぐぬぬ……仕方ない。白河君〝名前呼び〟は許してやる」
「はぁ……ありがとうございます?」
なんだろう、すっごく疲れたぞ? 探索中に之が続かないと良いんだけど。
そんな訳で先ずは正々堂々と犬モドキを封殺しに行く。
一層から居るこの犬モドキ、あぁ協会が正式名称だしてたっけ。ダンジョンウルフって言うんだった。まぁこのウルフは基本的に初手を確りガードすれば簡単にカウンターが決めれる。
という訳で、先ずはスコップを構えて側面で突進をガード! 成功!
続いて、野球のバントからスイングモーションで、ウルフを押し戻しつつバランスを崩させる。
後は、止め! 地面にスコップを突き刺す要領で首を……よし!
「まぁこんな感じです」
「ふむ……モンスターは死体が残らんと言うが……確かに之は精神的に来るな」
「はい、僕も最初はきつかったですね。偽善と言うか自己満足ではあるんですけど、狩と言うことで戦闘後には相手に、敬意と素材の感謝をしつつ手を合わせてます」
「ふむ……戦った相手に敬意を示すのは昔からの慣わしだな」
やっぱ戦闘狂だ! いや、寧ろ戦国武将か!? 命のやり取りを見てこういうセリフが出るとは……色々対処気をつけないと!
「美咲は大丈夫だったか?」
「うん……ありがとうお父さん。ただちょっときついかも」
「ふむ、ダンジョンには私達が潜るから、美咲はリタイアしてもいいぞ?」
「それは……嫌かな? 私が言い出したことだし。早く手懸りも見つけたいから」
「そうか、だが周りの言う事は確りと聞くように」
「はい」
ふむ……本当は反対なんだろうなぁ。まぁ心配しないわけが無いけど。〝神隠し〟に〝惨劇〟の後だからな。
そんな訳で、戦闘狂がダンジョンウルフに突撃していく。まだ安全策のほうのデモンストレーションやってないんだけどなぁ……
二人の戦闘が始まり……あぁ、そこでバックステップは! 違う右じゃなくて左のほうが後々有利に! あぁ!? 何でお二人はそんなに良い顔してるかな!
「えっと、無傷のようで何よりです」
「いやいや、まだ無駄な動きがおおかったかな?」
「そうだな、信久君もあの時は棍を横に振るよりも縦の方が良かったのでは?」
「義兄さんも、バックステップより突きの方が良かったんじゃないかな?」
うん、さすが戦闘狂。既に自分達の失敗点見つけてらっしゃる……之、外から見てたから解ったんだけどなぁ。自分だったら気が付いてないだろうな。経験の差かな? ってなんの経験だろうか……怖くて聞けないぞ。
「次は、美咲さんの為に安全策を見せる方向でいいですか?」
「構わんぞ」
「よろしくお願いします!」
美咲さんは良い返事だなぁ。どうして戦闘狂の娘は普通なのだろうか? 母親に似たのかな?
「先ずは……ウルフは嗅覚とか聴覚がすごい優れてます。なので今回は嗅覚に対してこうします!」
言うと同時に、お決まりの激辛パウダーを投げつける。爆破はしないタイプだ。まぁ当然そんなの喰らったら何時も通りの、のた打ち回りが始まるから後は……斬首!
「っとまぁ、こういう感じに小道具を使えば比較的安全に狩れます」
「確かに之なら私でも出来そうだよ!」
「ふむ……私の肌には合わなさそうだな」
「あー、義兄さんは正面突破大好きだもんねぇ。自分なら……時と場合かな?」
うん、この二人ならそうだと思った。まぁ娘さんの為だと思って此処は引いてもらいたい所だ。
そんな訳で、美咲さんが初戦闘に。あぁハラハラする! 大丈夫かな? おじさんたち二人は今にも飛び出しそうだな、怪我をしない事を全力で祈ろう。この二人絶対暴れるから。
あぁ! 投擲が少し遅れた! けど、なんとかなった? ぎりぎりでパウダーを顔面全体にぶち当てられたか。
うん、最初は躊躇するよね? でも此処で止めを刺さないと……
「はい、お疲れ様。とりあえず今は之飲んで休んで?」
「……うん。ありがと……想像以上にきついね」
「美咲ちゃん、もう一度聴くけどやって行けそう? 叔父さん無理に美咲ちゃんに潜って欲しくは無いよ?」
「叔父さん……大丈夫です。今はちょっときついですけど」
「まぁ、美咲がそう言うなら様子見にしておこう。だが、ダメだと思ったら言うように」
「うん、お父さん……っと」
ふらっと美咲さんが倒れ掛かる、疲労が足に着たのか。そんな訳で地面にぶつからない様確り受け止めたんだけど……
「きさまああああああああああ! 救助するフリして何処をさわっとるかああああああああ!」
「あああああああ、ごめんなさいごめんなさい! わざとじゃないんです!」
「あはは、ラッキースケベって奴だね! 確りと胸を揉んじゃって」
「桜井さん! 火に油注がないでください!」
「お父さん私大丈夫だから! 事故だよ事故!」
「えぇい! 事故でも許せるか! 君には説教が必要のようだ! ダンジョンから出たら覚えておけ!」
どうやら、長い長い説教と言う名の理不尽を受けそうです……ゆいごめん、お土産買って行けそうに無いよ……
誤字報告ありがとうございます!




