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百三十五話

 モンスターとの戦いを子供たちに見せてから、彼等は力をつける為により一層訓練に励む者、戦う道以外を選び研究や農業の勉強をする者と、各自しっかりと考えて行動する様になった。


「まぁ、かなり衝撃的だったみたいだしな」

「それは大人達もじゃて、モンスターを直接見たことによって、戦闘に出る者のサポートを如何するか、議論が良く聞こえるようになったからのう」


 子供たち以外にも、戦闘に出ない道を選んだ大人の人にも今後の為にと、モンスター討伐の見学をさせたんだよね。

 小中学生ぐらいの子供を持つ親だと、子供には絶対モンスターと戦わせるなんてしたくない! なんて言いながら、自分の子供に村の中で出来る作業を勧める人も出たぐらいだ。……ちょっと剣幕すぎて怖かったな。


 後、やはりと言うかトラウマ持ちはゆり以外にも、もう一人居たんだけど、モンスターの前に出た時に、ゆりみたいなフラッシュバックまではしなかったので、ゆっくりと経過を観測している状態。そして、ゆりに関しても今はだいぶ落ち着きを取り戻していて、今もゆいと共に庭で訓練だ! と、体を動かしている。


「ショック療法じゃったが、まぁ、何とかなっておるのう」

「性急すぎた気もするけどね。とは言っても、もう一人のトラウマ持ちも、今は研究に没頭してるみたい」


 まぁ、一人の子はモンスターを再び見たことを切っ掛けに、絶対モンスターを殺す武器を作るんだ! と、開発の鬼となっている。まぁ、婆様に弟子入りしたみたいだから、其のうち出来上がった武器をテストする事になりそうだな。


 そんな感じで、モンスター討伐見学は色々と見直しつつ、将来的にみても恒例の事業になるだろう。少しでもモンスターの被害を減らす為には必要だろうからな。


「さて、結弥よ。そろそろダンジョンに向かっても良いのじゃよ? ゆりちゃんの事じゃったら、もうワシ等だけでも大丈夫じゃて」

「最初から大丈夫だとは思ってるよ。ただ、経過をみて安心したかっただけだから」

「まぁ、あのまま行ったら気になって気が散っておったか」

「そう言うこと。それで怪我をしたら笑い話にもならないからね」


 ま、もう大丈夫だろうけどね。ゆいもモンスター退治に行きたい! と言わなくなったし。やっぱり、一度見るのは大切って事だな。

 

 さて、そろそろダンジョン攻略の再開をしに、ダンジョン前の拠点へと移動をしますか。




 家族や村の皆に挨拶をしてからダンジョン前拠点へと向かったが、その間に何か問題が起こることは無かった。まぁ、あったとしても、途中で猿やらゴブリンやらを発見して討伐したぐらいだ。

 そして、拠点に着いてから先ず協会へと足を運ぶ。十一層から十五層のメモの纏めを、チェックする仕事があるからね。


「お? 白河君おかえり? で良いのかな」

「村が本拠地ですから、おかえりは違う気もしますけど」

「まぁ、そうだね。それじゃ、メモのチェックお願いして良いかな?」

「えぇ、そのつもりで来ましたから」


 協会の人が纏めたデータに目を通して、修正する部分を修正して行く。まぁ、流石と言うべきか、俺のメモからのなのに、かなり上手く纏めてあり、ほとんど修正する部分がない。修正した部分なんて、実際に見ないと解らないだろう細かい点だけだ。


「これ、誰が纏めたんです? 殆ど修正点無いですよ。よくあのメモから要点を汲み取りましたね」

「ははは。其処は他のダンジョンやモンスターのデータを持ってたからね。別のデータとは言え、ある程度法則性ってのがあるもんさ」

「なるほど。でもどうやって他のデータを?」

「其処は守口さん達が提供してくれたからね」

「まぁな。もう国だとか極秘だとか言って抱えるような情報でも無いからな。有効活用できるならしないとだめだろ」


 なるほど、国が抱えてたデータからの予測か。と言う事は、今ここの協会にはかなりのダンジョンやモンスターのデータが有るって事か。


「それで、守口さん達は何処まで潜ったんです?」

「おー! それはな。お前さんが提供してくれた情報が有ったから、かなり楽に進んでな! 今は十三層だぞ」

「村側の探索メンバーも、今十一層まで潜ってますよ」


 おー……俺が村で色々やってる間に、一気に潜ったみたいだな。元々、街側の人達ってダンジョンに潜る前に、街や拠点の整備やらダンジョンに潜る人達の教導と、他の事を優先してダンジョンに潜ってなかったからな。

 話を聞いた感じだと、数日で十三層まで潜ったんだろう。

 そして、村側の人達も戸惑いの期間が過ぎて、一気にエンジンが掛かったんだろうな、順調に潜っているみたいだ。


「それで、ボスソロ初回ボーナスって検証してもらえました?」

「あぁ、検証はしたぞ。ただな……一度パーティーで攻略した階層だとボーナスは出なかったな」

「なるほど完全に〝初回〟限定って事ですか」


 これに関しては、色々な人が検証してくれたみたい。まぁ、低い階層から魔法が使えるとなれば、誰しもが手に入れたいからな。

 ただ、階層を重ねれば重ねるほど、ソロ突破は難しくなる訳で。


 因みに、他のダンジョンでの階層も連動しているようで、自衛隊や警察としてダンジョンに潜っていた方々は、どの階層でもボーナスが手に入らなかったようだ。守口さんがかなり落ち込んでたのが印象的だったな。

 まぁ、ショートカットキーに関しては、そのダンジョン特有の物なのに、ボーナスは連動してるとかふざけるな! と、言いたくなるのだろうけど、他で強くなったから違う場所でボーナスゲットしよう! と言うのは少し虫が良い話って事なんだろう。


「問題は、何処までソロで許可するかだな。折角ボーナスを手に入れて強くなったとは言え、奥に行け行くほど魔境だからな……そこで命を散らせば勿体無さ過ぎる話だ」

「魅力的では有りますからね。まぁ、奥に行けばドロップやら宝箱やらから出るって話ですけど」

「そうなんだよな。初期ブーストって考えれば……十層位までが良い気もするけどな」


 此処ら辺は協会の人達でしっかり悩んでもらうべきだろう。とはいえ……ソロで潜って良い階層が決まってしまえば、間違いなく俺はソロで潜れる階層じゃなくなるだろうからな。今の内に潜れるだけ潜っておかないと。……まぁ、安全を確保しながらだけどな。


「そういえば、その魔法なんですけど。中級を手に入れたんですけど、それ以外で、ちょっと特殊なの手に入りまして……〝派生〟って言うんですけど、守口さん解ります?」

「ん? 〝派生〟だと? 〝中級〟なら聞いた事あるが……少し記憶には無いな」

「どうも、〝氷〟や〝雷〟や〝溶〟とか〝鉱〟とかそんな感じの魔法みたいなんですけど」

「……おいおい。その手の魔法が使えたの、自衛隊でも精鋭達だぞ? 中級を覚えても使えなかったが……そう言う事だったのか」


 〝派生〟って魔本には乗ってたけど、特殊系? 合成系? まぁ、色々な形で四属性から外れたモノなんだろうな。恐らくソレ等を纏めて、〝派生〟って形にしてあるんだろう。

 とは言え、これが使えた人達が精鋭だったのか……と言う事は、中級が手に入る階層よりも、深い階層で手に入る魔本なんだろう。


「……ソロボーナスとはいえ、良く手に入ったなぁと思いますよ」

「だろうな。中級もだが、明らかに可笑しい入手方法だぞ」

「余り言わないほうが良いかもしれませんね。十層以降でソロボス討伐をすれば……と、地力を持っているのであれば良いのですが、そうじゃない人達が突入する可能性もありますね」

「割と面倒な話だな。とりあえず、その〝派生〟も〝中級〟も此処だけの話にして置け」


 まぁ、そうなるか。とは言え問題が起きれば問答無用で使うけどな。

 とりあえず、ダンジョンや魔法に関してはこんな所だろうか。とりあえず、できるだけの情報提供はしたからな。

 続いて、村で起きた事などの話も二人にしておくと。守口さんが少し考え込んで、「街側でも、モンスター討伐の見学はやるべきかもな」っと言っていた。

 街だと村より人口が多いからな、戦ってる人とそうじゃない人の壁が高いのかもしれない。そして、子供やトラウマ持ちの人数も村の比じゃないのだろう。


「いや、まぁ、良い話を聞いた。少し詰める時間が必要だな」

「守口さんも大変ですね。そうですか、村ではその様に動いてましたか」

「入谷さんも、一度戻ってみては? お姉さんが寂しそうにしてましたよ」

「ははは、そうですね。報告と休息に戻っても良いかもしれませんね。とは言え、やっとダンジョンが軌道に乗り出しましたから、もう少しやる事をやっておきたいのですよ」


 ここは現状、入谷さんと守口さんの二人体制で運営をしている状態。

 ただ、ダンジョンメインで仕事をしているとは言え、守口さんは街のトップでもあるから、行ったり来たりしてるんだけど、どうも街側に副官を置いてるみたいで、街に戻るのも報告と調整。まぁ、その時に家族に会ったりしているみたい。

 なので、入谷さんも村に戻って良いのにね。守口さんも、たまには村に戻って顔を見せて来い! とは言ってるみたいだけど……本人が戻ろうとしないんだよね。まぁ、やりたい様やらせるしかない状態だ。


「それじゃ、俺はそろそろ休みますね。明日からダンジョンアタックに向かう予定ですし」

「そうですか。白河君良い情報をありがとうございました。後は此方で色々とやりますね」

「おう! ダンジョンアタック頑張れよ! 幾ら俺達がサイクルで潜ってるとは言え……元々潜っていた階層が違うからな! 俺達が追い抜いてさっさと先に進んじまうぞ!」

「そしたら、マッピングやデータ集めはお任せしますね! いやぁ、データが有ると楽に攻略できそうなので、楽しみにしてます」

「おおう……言うなぁ。まぁ、お互い安全に行こうや」

「ですね。怪我をしない様に動きましょう」


 俺としては、どんどん先に潜ってもらっても構わないからな。何せ……目的は一切変わってないからな。目指せ上級ポーション! だ。

 まぁ、魔法やら素材やらで色々と欲しい物は増えたけどな。といってもソレは、皆で生き残るために必要だからな。後は、美咲さんの理由もあったか、神隠しについてだ。

 そう言う訳でどんどん攻略しないと、次からは十六層だからな……さて、どんなフィールドになって、どんなモンスターが出てくるのやら。

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新しい話をアップしていきますよヾ(*´∀`*)ノ:孤島で錬金術師~修学旅行中に孤島に飛ばされたから、錬金術師になって生活環境を整えていく~
― 新着の感想 ―
[気になる点] いくら村の為、皆が強くなる為とはいっても、情報提供や魔法本の対価の話が細かく出ないとモヤるね。 ボランティアかな?って。リスク考えたら実質ボランティア状態だものね。
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