百十六話
短めです。
戦後処理的なもの。
キング化したオークを討伐し、今は戦後処理だ。
入谷さんと守口さんが色々と話し合いをしていて、他のメンバーは上位オーク達の解体やら魔石の回収中。
さらに、ポンプを川から回収して来て、今度はオーク達の地下王国から、罅割れた湖の地面を修復した場所へと水を送る作業を平行して行なってる。
「なんとかなりましたね」
「正直キングになった時は焦ったがな。しかしまぁ、モンスターをテイムしてるとか、初めて見たぞ」
「いやぁ……イオ君は、白河君が連れて来てくれましたからね。実際どうやってテイム出来たのかも解らないみたいですけど」
イオの場合は、イオが追いかけて来ただけだからな。その後、其のままお座りして懐いた……理由がまったく解明出来ていないんだけど、まぁ、強くて可愛いから其れで良い! と村ではそんな空気だ。
まぁ、解明さえ出来れば頼もしい仲間を増やせるかも知れないけれどな。
「しかし、水は何で抜いてるんだ? 別にそのままでも良いと思うんだが」
「あー……奴等の拠点に何か良いものが有るかも知れませんし、水没したオークから魔石の回収もできますから」
「なるほど。そういえば、相談があるんだが良いだろうか?」
守口さんから相談の相談というのが、武具の事についてだ。現状だと、彼等の戦い方であれば盾でガードをし、其処に魔法や魔石を使った爆破などでの戦闘がメインで、弓や接近戦闘では火力が足らない。
実際、今回の上位オーク戦では其れが目立ってしまった。特にジェネラル中の狂化状態やキング後には、その攻撃が足止めに出来るかどうかという結果。
ただ、そこで戦えた人間が居た訳だが。そのメンバーと言うのが、俺が貸し出した武具を使ったメンバーだ。
「出来れば、盾を充実化させたいんだがな。ライオットシールドはキングに全て壊されたからな」
今回彼等の盾のお陰でかなり助かったのも事実だ。それなら、盾ぐらいなら無料で提供するのも有りだろう。
恐らく、入谷さんもその積りだろうケド……こればっかりは、村で相談してからになる筈だ。まぁ、今回のを事細かに説明して、其れぐらいはするべきだろうと話し合いで進言ぐらいはするかな。
「盾以外にも、弓やら近接武器は必要だと思いますが?」
「そうだな……出来ればスコップ辺りとかが有ると便利かもしれんな」
守口さんは完全にスコップに嵌ってしまったようだ。まさか、そこまで手に馴染んでいるとは……渡したスコップは其のまま提供してしまっても良いか。
「なんなら、そのスコップ持って行って良いですよ」
「まじか! それは嬉しい話だが、良いのか?」
「俺には別の武器がありますし、村に戻ればまた手に入りますからね。剣鉈も其のまま持っておいて下さい」
「おぉ! それは助かる!」
彼等には盾が現状一枚しかない。そんな状態で何かが街を襲ったら問題だ。その為には、少しでも戦力を上げるべきで、俺の予備武器ぐらいなら、提供するぐらいなんの問題もない。
まぁ、其れに街には中継地点だから、其処を崩れられると困る。其れぐらいの思惑は守口さんも気が着いてるはずだ。
「あー……魔石の分配もありますし、一度何処かで話し合いをする日でも作るべきでしょうね」
「あぁ、そうだな。其々のメンバーと話し合いも必要だろうしな」
リーダー同士で色々と会話が進められていくだろうし、俺は今のうちに休んでおこう。地下からの水抜きが終われば、探索が開始されるからな。
先ず、欲しいといえる品は空気を正常化させていた物だ。それが使えるのであれば、もしかすると……瘴気対策に使えるものが開発できるかもしれない。むしろ、其のまま使える可能性だってある。
あの地下空間が特殊な環境だというなら別だが……それならそれで、地下を徹底的に調べ上げるだけだ。
「白河君どうかしましたか? 色々考えてるみたいですけど」
いつの間にかに、守口さんと会話を追えていた入谷さんが俺の状態に何かを感じたのか、声を掛けて来た。
「あー……水が抜けたら瘴気の対策が作れそうだなぁと思いまして、そしたら、ダンジョンに入れるじゃないですか」
「なるほど、ダンジョンへと入れる可能性が出来るのは大きいですね」
入谷さんも気が着いたからか、思わずニヤリと笑みを見せてくる。
まぁ、当然だろう。魔石の安定供給および、物資の入手の目処が立つ可能性が見えてきたからだ。
「上位オークの武器やら魔石を手に入れたのも大きいですし、色々と作れそうですよね、実に楽しみです」
「キングの素材で武器を作りたいですよね。オーガの時は魔石が無かったから、良い武器造れませんでしたし」
「私としては、村のメンバー用に盾を作りたいですね」
「盾ですか。便利ですけど、結構訓練が居ると思いますよ? 守口さん達みたいに使おうとおもったら、其れこそ長いこと訓練しないと」
正直、モンスター素材が一切使われてない盾で、あそこまで耐えたのは驚愕物だったからな。出来るかと問われれば、今の俺には絶対無理だ。
だが、盾メンバーは居たほうが良い。まぁ、その為には部隊運用も考え直して、修正しないといけないけど。
「そこら辺は追々でしょうね。まぁ、今はやる事が無いので待機しかないですけど」
激闘で体力が殆どなくなってるしな。地下の調査もまた大変な行動だろう。何せ水攻めの跡だからな、足場も物の位置も凄い事になってる筈だ。
さて、水が抜けるまでイオと戯れながらまったりと過ごしていくか。それとも、イオを枕にして寝るのも有りだな。とりあえず、イオと合流しよう。
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