十話
少し短めですが
ダンジョンから出たら藤野さんから声を掛けられたんだけど……なにやら意味深だったので、とりあえず他の人に話が聞かれない所に移動したよ。さてはて何を抱えてるのやら……
「話って言うのはね、ダンジョンについて教えて欲しいの」
「教えて欲しいって言われても……基本情報は公開されてると思うんだけど? 真偽が微妙なのでもネット上に転がってるし」
「そうなんだけどね、他の人がやらない一人で攻略してるって事は、白河君には違う物が見えてるんじゃないかな? ってね」
「うーん……」
さて、如何するべきか……正直簡単に済ませる方法といえば、ノートを渡す事だ。まぁ今は四層までしか埋まってないのだけど……もう少し詳しく聞いてみるべきか? 聞いて引き返せなくなるパターンもありそうだけど。
「で、如何して今更ダンジョン? タイミング的に微妙じゃない?」
「うん……其れ何だけど、白河君覚えてるかな? ダンジョンが発生する前の事件」
「あー、世間の空気がダンジョンフィーバーになって、一気に流された事件?」
「そうそれ、私の従姉妹がね。被害者なんだ」
ダンジョンが発生する前に起きた事件。某高校で起きた〝神隠し〟と言われた事件。突如一クラスが謎の失踪をした何とも不思議な事件。まぁダンジョンなんて出てきたら最早謎と言えないけど。
「ふむ……従姉妹さんが神隠しにあったと?」
「そうなんだ。其れでね時間的にもダンジョンと何か関係があるんじゃないかなって。それでね、ダンジョンに潜る潜らないで、お父さんや叔父さんと議論してたらあんな事になって」
「タイミングを逃したと。でも夏休みの事件を考えたら反対じゃないの? 潜る事」
「うん、だからね潜る時はお父さんか叔父さんが、必ず同行する事になってるんだけど……その前に色々と調べておきたくて」
ダンジョンに何か従姉妹についてのヒントが無いか知りたいんだろうな。時間的にも摩訶不思議的な現象としても、関連性を疑うか……
「それで、ソロで攻略できるって事は他の人達と違って、何かあると思って僕に話しかけたって事かぁ」
「クラスメイトだから話しかけやすかったってのもあるし、其れにダンジョンの一般公開前は皆が騒いでる最中、一人だけ危険だって警告してたでしょ? きっとダンジョンに潜ってても安全? な行動してるのかなって」
ふむ、変な信頼を得ていたようだ。攻略ノートに関しても持ってるだけじゃ意味がないしな。どうせだから三層までを別紙用意して協会にも配るか。
「まぁ話は何となく分かった。とりあえず明日でいいかな? 学校終わったら協会の中で合流してもらってもいい?」
「うん、それはいいけど何かあるの?」
「ちょっとした物を用意したいからね」
よし、話は終わったさくっと帰って別紙用意をしよう。っとその前に……お土産忘れないようにしなくちゃ!
「おにーちゃんおかえりー!」
「はいな、ただいまー! 今日のお土産は……チョコモナカアイスだ!」
「わー、もなかさんだーちょこさんだー! 割って、半分っこだね!」
「爺様にはあげない気?」
「あ……えっと、んっと、さんぶんっこ?」
「あーまぁうん、三分の一ずつだね」
さてはて……ゆいのかわいい行動も見れたし、さくさくと別紙に写していくかな。
しかし〝神隠し〟か……集団失踪とか集団拉致とか言われてたけど、まだ解決してなかったんだな。ダンジョンの話に直ぐ切り替わって話を聞くまで忘れてたよ。ヒントとは別としても何か変な事に巻き込まれないと良いんだけど……
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