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九十四話

 イオを連れて森の中をオークの残党探しの為に探索している。

 といっても、イオの探知能力に引っ掛かる場所を探るだけなので、調査自体は楽だ。


「ミャンミャン」


 イオが川を挟んで反対側を見ながら鳴いている。という事は、何かあるとしたら川向こうという事か。

 さて、川を渡るなら一度声をかけておくべきだろうな。とりあえず、報告をしに行きますか。


「そう、川向こうね。前は猿のモンスターが出てたと思うけど、いつの間に変わったのかしら?」

「結構定期的に調査してたはずなんだがなぁ……」


 お姉さんと戦闘班数名が、突然のオーク出現に対して疑問点を挙げていく。

 確かに、皆が言うように行き成り過ぎだろう。調査を定期的にしていたのであれば変化を感じるはずだが、何の変化が起きる前兆も無く変わったと全員が口にする。


「謎が多すぎるな……オークが拠点を作っていたとしても、時間的に短すぎる」

「川向こうにダンジョンも村も小屋みたいなものもなかったわよね?」

「探索してた時には無かったな」


 とりあえず、何が起きたにしても川を渡ってから探索しないと解らない事だらけだな。


「まぁ、俺とイオが調査してきますが、念の為にこちら側の森の調査も続行してもらって良いですか?」

「それは構わんが、川岸に防衛拠点つくるのも必要だろうな」

「そうね……なら、戦闘班を二つに分けましょうか。オークが集落を作ってるなら必要になるでしょうしね」


 なるほど、防衛拠点の必要性か。オークの集落相手なら必要になるだろうし、攻略後にも川に拠点があれば、色々と使えるな。

 上手く開発すれば、上下水道も作れるだろうし。……現状、井戸なんだよなぁ。研究班のお陰でポンプできてるのに、モンスターの所為で井戸にポンプ設置、下水は村の外に溜めておく場所が在る状態だ。

 水道を作るにしても、モンスターが邪魔すぎるからな……これを機会に村から川岸に安全に通れる道を作るのなら、水道系も同時に作るほうが良いだろう。提案しておくか。


「川に拠点を作るなら、恒久的に使えるように道や水道も整備したらどうでしょうか」

「あー……確かに、現状だと水も心配にはなるな」

「下水も外に溜めてるけど、臭いや病気の心配もあるわね」


 やはり、皆も水関連は気になってたみたいだ。別に硝石を作ったり、堆肥を作ったりする必要もないからな。

 である以上、さっさと下水処理場を作りたい。

 だが、上水道と下水道は近くに作りたくないから、拠点を村からみて上流側と下流側に作るべきでは? などの会話が進んでいく。


「まぁ上下水道の話は後々に村の上層部に任せるとして……今はオークの捜査と拠点の開発ね。皆、其々の仕事を開始してちょうだい」


 お姉さんの一言で、全員が一斉に動き出す。よし、俺もイオと川を渡るか。




 川を渡ると、前まで遭遇してた猿のモンスターがその姿どころか、気配すら一切見せることが無い。

 イオも其れを理解してるのだろう。その理由がオークだと理解しているのか、その顔は完全にハンターだ。美味しいお肉がまた大量に手に入ると思っているのだろう。


「さて、イオ……何処にどれだけオークがいるか解るか?」

「ミャー!」


 数を聞いてもイオがその数を伝えるのは難しい話だが、位置は確実に教えてくれる。なら、後は俺が探知できる位置まで行って数を調べれば良い。

 まぁ、数が少なければ、イオでも簡単な行動で意思疎通できるけどな。


 森の中をイオに誘導され進んでいくと、俺にも気配を感じれる場所へと到着する。

 今はまだ目視は出来ないが、この先に大量のオークが集まっている部分がある事だけは解る。その数は……襲撃した数の倍以上は居そうだ。


 それにしても、村から割りと近い位置なんだよなぁ……何故こうも村の近くまで来たのやら。とりあえず、目視できる部分まで行くべきか? 相手にも察知される可能性がありそうだけど、確認はしておきたい。


「イオ……ばれないようにオークまで近づけるか?」

「……ミャー」


 この反応からすると、相当厳しいみたいだな。それだけオークの数が多いという事は、警戒を専門で動いてるのも居るかも知れないからな。人型だからか? その思考能力がどんどん上がってる気がする。いや、それ以前にモンスターの時点で、通常の動物より知恵が回るやつら多いんだよなぁ。

 連携とか道具を使ったりとか……そのうち、人みたいに武器を開発しだすんじゃないかな。


 とりあえず今は、その前提でオークが道具を使ったり役割分担をしっかりとしている。その前提で行くべきだな。

 目視出来るまで側にいけなければ、双眼鏡か? でも、森が深すぎて双眼鏡があまり上手く機能しないか。

 

「あー……木に登ってもここら辺の木って全部高くないからな。それに虫とかもいるからなぁ」

「ミャン!」


 位置は解ったから、ある程度警戒しつつ川岸の拠点が出来るのを待つべきか。挑発して、一気に攻められる必要もない。

 拠点が出来てから迎撃態勢を整えて行動したほうが良いだろう。それに相手が先に動く事もありえるから、しっかりと警戒網を敷いておくべきだ。

 

 相手の拠点は……これだけ集まっていて、襲撃をした事を考えると完成していると見たほうが良い。

 だが、襲撃を防いだからな。通常であれば斥候を出して様子を見たりする。何度も襲撃をするという、愚直な行動はしないはずだけど……モンスターだからな、それに戦力が余っているとすれば逐次投入なんて事もするかもしれない。愚策だから普通ならしないけどな。


 とりあえず、村に報告しにいくか。オーク拠点については地図に印でもつけておいて、その後は斥候の選定か。あとは、何処からオークが来たかも調べないといけないから、オークの拠点を回りこむ方法も考えないと。それと、オークが斥候を出した時の対策もいるな。


 まったく……休みに入れると思ったらこれだ。とりあえず……俺の休みは速攻で無くなったみたいだ。

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