プロローグ
手を出してみたかったジャンル、宜しければお目を汚してください!
「じーさま、ドウシテコウナッタンダロウネ?」
「ゆー坊が実験したからじゃろ? まさか成功するとはのう」
「すっごく眩しいよね?」
「すっごく眩しいのう」
「コレ、発表したら静かにすごせないよね?」
「煩いほど人が押し寄せてくるだろうのう」
「よし、全部隠そう!」
そんな会話をしつつ爺様と隠蔽工作をする。今回はちょっとやらかしたようだ。妹が寝ててよかったよ、ばれたらきっと皆に自慢して大変な事になっただろうな。
「さて、回収は終わったが、ゆー坊よ……これ如何する心算じゃ?」
「うーん……保存して少しずつ協会に卸すしかないかな? ダンジョンで回収したって事にして」
「それしかないかのう、まぁ何時もの様に研究する分は避けておいてるんじゃ。余りは売りでよかろうて」
「そうだね爺様、後はゆいにばれないようにしないと……一気に話が広まっちゃうよ」
「余り隠し事はしたくないが、しかたないのう。爺達の方針としては静かに暮らすは変わらん」
ダンジョンが出来てから世界は変わってしまった。航空機は落とされ、船は陸から二百海里程も離れれば沈む。未だにその理論は解明されていない。他国との交流が難しくなり通信に関しても、今ある衛星が使い物にならなくなったら連絡すら取れなくなる。
父と母ともう一人の妹と距離を置いて、此処で爺様と妹のゆいと三人で暮しているのも、ダンジョンが出来たせいだ。もう少し掘り下げるなら、現政権とマスコミのせい。
ダンジョンが出来た当初は今とは違う党が政権を握っていて、自衛隊や警察のみがダンジョンに入れるシステムだった。
当時の野党やマスコミは大いに騒いだ、一般公開するべきだ・与党は利益を自分の懐に入れている等。叩ければきっと何でもよかったのだろう。当然与党はダンジョンが危険である以上、一般人には公開できない姿勢を貫いた。しかし何を考えたのか野党マスコミ連合はゲームや漫画等のようなものだ、危険は無いと頭が可笑しい発言を延々と繰り返し……一般人を洗脳していった。
タイミングが悪かったと言える。ダンジョンが出来て一年、選挙の時期が来てしまい……与党は大差で負けてしまう。そして野党が与党になりマスコミや有識者(笑)と手を組みダンジョンを一般公開に踏み切る舵取りをする。国民の大半が大歓喜する、結果ソレが災厄を招くとも知らないで……
「ゆー坊よ、お主の秘密研究コレクションどれだけたまったのじゃ?」
「うーん……まだ三桁はないはず?」
「放出すれば国が変わって大金持ちになれると思うんじゃがのう」
「まぁ僕等の生活方針からガラリと変わっちゃうから」
「まぁ、ゆー坊がそう言うなら良いんじゃがな」
世界が変わっても目立ってしまえば安息など無いからね。こつこつこそこそが一番だよ。




