あなたのために
「傷。大丈夫?」
以前と比べて、明らかに飛び方がおかしい。
「このくらい、へいちゃらよ。トカゲにぶっかけられた泥のせいに決まっているわ」
南天王さんは、[南天]から[西天]へ、そこから遥々ダグ近郊まで飛んでいる。わたしでも、それなりに骨が折れる距離だ。しかも、ついさっきまで、組んず解れつの大格闘をやらかしていた。
やせ我慢はほどほどに。力尽きて墜落されて大海原にシンクロ飛び込みを強要されるのは勘弁して欲しい。
「一葉、アメ持ってた?」
一葉さんではなく、三葉さんが持っていた。わたしも持っているが、ガッチリ握り締められている為にマジックバッグは使用不可能。指輪を操作して取り出す事もできない。
「な、なになになにっ?」
南天王さんは、にょろにょろと口元に這っていった三葉さんにビビっている。同じくらいの大きさのモリィさんは平気で、こんな小さな三葉さんがダメとは。それとも、小蛇に嫌な記憶でもあるのかな?
「ただのアメだよ。口開けて」
「アメ、ってなにかしら?」
それもそうだ。魔獣が、料理やお菓子の名前を知っている方がおかしい。
「甘いんだ。美味しいよ」
しかも、てん杉の実を漬け込んだ魔力玉だ。これで少しは元気が出てくれれば。
・・・・・・
「フォーーーーーーーーッ! いくらでも飛ぶわヨーーーーーーーーーッ!」
おぐえぇ
体も口も大きいし一個では物足りないだろうと思ったのに。
「ヒャッハーーーーーーーーーーーーイ!!!」
酒精は混ぜていないのに。ほぼ酔っ払い。モリィさんと似たり寄ったりなハイテンション。曲芸飛行を披露しまくっている。
「と、ばしすぎると、途中、で、バテるよ?」
「だーいじょうぶヨーーーーッ! あいつが待ってるワーーーーーーッ」
そうかそうか。甘いものが、そんなに気に入ったのか。[西天]の騒動が片付いたら、お礼に飴玉をたんとあげよう。うぷ。
はぁ。はぁ。はぁ。
言わんこっちゃない。わたしの暴走飛行よりも早かった。日暮れまでに[西天]北岸に到着したのはいいが、南天王さんはフラフラしている。ここまで来て墜落しないで欲しい。
別の意味で、わたしもフラフラだ。これはあれか、他人が運転する自動車で車酔いするパターン。
とりあえず、海岸で一休みすることにした。
ここでならば、首長竜の肉を出しても構わないだろう。
粘菌騒動の時のことをすっかり忘れた鳥頭は、差し出した焼肉を片っ端から平らげていた。・・・「最終手段!」を飲ませたくなった。
翌朝、気分だけはすっかり元気になったと思しき南天王さんは、昨日にも増して勢いよく飛んでいく。
いやね? わたし、もう自前で飛んでもいいんだけどね?
「ついうっかり競争に夢中になって、あいつのところに行くのを忘れたら大変ですもの」
それ、絶対に、ただの口実だと思う。
優雅とは程遠い遊覧飛行ではあるが、地上の景色に興味を惹かれた。
偶然流れ着いた時は、海岸沿いをちょこっと見ただけだった。そこは[魔天]や[南天]でよく見かける植物が鬱蒼と茂っていた。さっきまでいた場所もほぼ同じ植生だったが、内陸に進むにつれて徐々に変化している。
・・・ええと、石炭紀?
所々に湿地を抱える湿地帯では、巨大なシダ植物が先を争って空へ伸びている。たまーに[魔天]でも見かけるが、これほど多くはない。
そして、もっさりと栄えた巨大シダの上を、うーわー、ギエディシェが、あんなに沢山。バカでっかいトンボも沢山。他にも沢山。うーわー。
次は、やや乾燥した地域に入った。
こちらは古代杉、かな?
緩やかな起伏を見せる高原には、トレントによく似た木々が疎らに生えていて、その合間を背の低い潅木と草が覆っている。
あそこが、ティラノさんの言う「子守広場」だろう。
数種類の恐竜達が集まっている場所があった。小さいのもチョロチョロしている。こうして見ると、恐竜も可愛い。
「えーと、こっちだったかしら?」
・・・のんびり見物している場合じゃなかった模様。
何度か方向転換をしながら、おおよそ南方に向かっていた。
「よかった! 着きましたわ!」
「え? あ、そう?」
時々、ついうっかり居眠りしてしまった。これでは南天王さんを笑えない。
「また広がってるわ」
「何が?」
「あそこよ」
握った手を突き出して方向を示すのはどうかと思う。
それはともかく、どれどれ。
「変な雨雲だねぇ」
「違うわよ! よくみてくださいまし」
視線の先は灰色の雲。とも違うな。山火事の煙、でもなさそう。なんだろう?
西日に照らされた部分が、時折赤や黄色、紫に光る。あんな低い位置の雲でも彩雲みたいな分光反射を起こすのか。
その時、中央部分で一際高く煙が舞い上がった。
「火山の噴火!」
確かに、爆発する火山のすぐ近くにいたら、大怪我もする。八重達と初めて会った時もそうだった。
それとも、噴火に驚いた魔獣達の混乱に巻き込まれたのかもしれない。数の暴力は馬鹿にできない。地上の様子を確かめたいが、濃い噴煙に遮られてよく見えない。
でも、どこか変だ。わたしの温度センサーは、極端な高温を感知していない。
泥火山、なんてのもあったけど、目の前のそれは違う。ナトリウムの火山、なら、ありうるか。強アルカリで大火傷する。その場合、火山灰は彩雲じみた光屈折を起こすのだろうか? それとも、この世界特有の何かデンジャラス物質の火山とか。
「あいつは何処にいるのかしら」
「降灰から逃げ損ねたの?」
「降灰って、これ?」
たまたま飛んで来たものを、飛びながらキャッチしたようだ。嘴で何かを咥えてわたしに見せてくれた。気を利かせた三葉さんが、南天王さんの嘴から取り上げ、わたしの目の前に翳してくれた。
二人とも、なんて器用な。
ではなくて。
砂ではない。それなりに器用な南天王さんでも、巨大な嘴でそんなものは咥えられない。
それは、長径九十センテほどの石だった。色といい形といい、嫌という程見覚えがありすぎる。いやいやいや。こんなに大きくはなかった。
・・・・・・
「あれ全部そうなの?!」
かつてティラノさんを悩ませた酸化アルミニウム結晶が再び現れた。どころではない。
宝石の噴火!
そんなのあり?!
よくよく目を凝らせば、キラキラ光るものが百メルテ以上の山頂から景気良く飛び散っている。それこそ桜島の噴煙もかくやという勢いで。あれ全部が、宝石。もしくは魔包石・・・。
なんて贅沢な火山。
正に、お宝の山。
でもなくて!
火山から飛んでくる噴石は、どんなに小さなものでも生身に当たれば怪我をする。
ティラノさんにあっさり突き刺さるような地面に転がっているだけで物騒な代物が更にスケールアップして頭上から問答無用で降り注いできたら、いくら頑丈な魔獣達であっても無事では済まない。
「ああいう山は、普通にあるの?」
「普通だったらお姉様を呼びになんか行きませんわ」
それもそうだ。
自然災害は、避難の一手に尽きる。危険を感知したらその場所から離れる。それは、人も魔獣も同じだ。
だが、「自然でない」現象ならば原因を取り除けば解決する。かもしれない。
そして、ティラノさんのポロリ発言が正しければ、原因が以前と同じならば、今すぐこの状況を解決できるのは、確かにわたししかいない。
噴火が沈静化するのを待つのも手だが、あの勢いでは当分見込みは無さそう。それまでにどれほどの面積が宝石で埋まることか。
研磨される時を夢見る宝石原石の平原・・・。
ないわぁ。
なんて現実逃避している場合じゃない。
うん。放置はなしで。
「一葉、三葉、まだ傷薬は残ってたよね。そっちに移ってティラノさんの治療をお願い」
「・・・おねぇ様?」
「今から、あれをなんとかしてくる。でも、一葉達は連れて行けない。危険すぎるから。そっちはそっちでティラノさんを探して」
「え。え? でも、どうやって」
「他に、方法を思いつかない。急がないと、日が沈む」
石生石は、派手な宝石を生み出すくせに自分自身は地味な灰色の結晶だ。いくら夜目が効くわたしでも、あの山の下から探し出すのは骨が折れる。まだ明るいうちに勝負をつけたい。
原因不明で無限噴出を止められなかったら、震源地と思しき「範囲」に全力で『消滅』を使う。ただし、その場合、被害がどこまで広がるか、わたしにも判らない。
だから、出来るだけ離れていて欲しい。
「わたしが合図をするまで近づかないように。いいね?」
「お姉様?!」
ぐいっと爪を押し広げて、南天王さんから離れた。
覚えててよかった、空中変身。装備一式を指輪に仕舞い、ぶるりと体を震わせ翼を広げる。握り締められたままってのも、結構肩が凝る。
中心部の見当をつけるために高度を上げ、噴煙もどきな宝石集団の上空を旋回する。南天王さんが石が降る範囲から離脱したのを確認した。
それにしても。宝石噴火、こんな現象は初めて見た。今までにもどこかで起きたことがあるのだろうか。だから、人社会で魔包石が使われていたとか。
いやいやいや。そういうことは後で考えよう。
子守広場を埋め尽くしたブツを一気に指輪に収納しようとした時、かなり魔力を消耗した覚えがある。
多分、複数の亜空間アクセスを同時に維持しようとしたからだろう。仕舞い切るまでに多少の時間が掛かったのも影響していると思う。
今回、分別収納はしない。出来るだけ短時間で邪魔物を回収し、活動中のアレを発見しやすくする。そして素早く水晶に封じる。作業の邪魔にならない位置の堆積物は後でいい。
あんな派手な活動をする石生石だ。それなりの大きさもあるだろうな。石英砂は、・・・なんとか足りそうだ。最悪、溶岩固めで止められる、と思う。念のために飴玉で魔力を補給をして。おー甘い。
残るは、わたしの気合いだ。
よし。
いくぞ!
「本当におうを呼んできたのかよぅ」
「お黙り! あんたがどうにもできなかったんだから、仕方ないでしょう?」
「でもよぅ。いくらなんでもよぅ」
南天王は、時折落ちてくる石を風の刃で弾き飛ばし、治療の様子を見守っている。
古の長老らは、グリフォンのような防御力を持たない。だが、王から預かったからには、傷一つ負わせたりしない。
手足をがんじがらめに固定され、深い傷から順に薬とやらを塗りたくられているくせに、文句だけは一人前だ。まずは自分の体を十全にしてからにしろと言いたい。
「そりゃあ。俺はまだまだ若造だけどよう? おうに無理はいけねぇよぅ」
「あたしがお会いしたかっただけよ。うまくお会いできて、お話ししたらお運び下さるって」
少しだけ、ほんの少しだけ強引だったかもしれないが、断る気があったなら簡単に排除していただろう。それだけの実力を秘めているのだ、かの方は。
本当に、本当にお優しい我らが王。
ざわっ
背後で、強大な魔力が膨れ上がるのを感じた。
「おねぇ様」
「すげぇや・・・」
合図があるまで近寄るな、との命令だったが、近寄りたくても身が竦む。
「さぁ! いつでも動けるようにちゃっちゃと治るのよ!」
「お、おおう」
己の縄張りで起きた(起こしてしまった)騒動の顛末を思い出す。あの物騒な石がなくなったとして、どんな状態になっていることか。・・・こいつのところの問題なのだから、気にすることはないだろう。
王さえご無事であれば、それでいい。
あ、あら? アタクシも治療してくださるの? お姉様に食べさせていただいたから、もうすっかり元気、元気ですわ! え? おおお大人しくしていますから、縛らないで。縛らないでいただけます?! だから、そこはぅぎゃぁああっ!
やることは、いつもと同じ。対象を指定して亜空間に取り込む。
なのだが、接点は指に嵌っている指輪だ。ドラゴン形態では、手足は短く首は無駄に長く。頭から突っ込むよりは、山茶花を先行させた方が、効率がいい。何よりバリア代わりになる。顔面直撃は、嫌だ。
わかっている。わかっていても。
パラシュートも何もなしで、頭から直滑降なフリーダイブ。それはもう怖い。ダンディさんを笑えないくらいに怖い。
大小様々な貴石の群れを掻き分けて突き進む。なかなか減らない目前の石の団体様は、地面までの距離を全く読ませてくれなくて。いつクッションを作ればいいのかタイミングを計れない。
地面は、まだか〜?
やっぱり頭がクラクラする。でも、魔力の調整能力を鍛えておいた成果はあった。途中で、飴玉を口に放り込む余裕を持てた。補給は大事だからね。
着地直前で空気の塊でクッションを作り、地表面とのダイレクトアタックを避ける。
軟着陸、成功!
同時に空気クッションが何かを潰した。ブチっと。でもって、そこからわらわらと大小の塊が溢れてきた。どうやら、目標は外さなかったようだ。そして、石生石が原因で間違い無いだろう。「何か」の追求は、発生源を潰してから!
どれもこれも赤黒い。そして、形状が違う。まだまだ湧いてくる。
ええい。石生石は何処だ?!
潰してしまったモノに手を突っ込み、内部を弄る。これか? これだ。掴みだした塊の表面で生まれた石が、濡れた指の隙間からボロボロとこぼれていく。
この調子では石英砂での封印は間に合わない。溶岩魔術の出番だ。くぉのおぉおおおおっ
手応えが、変。魔力抵抗の感覚はまるでゴムボールみたいだ。肝心の石生石に術式が伝わり辛い。
ならば、魔力を増やしてやる。ふんぬーっ
温度も圧力も出来る限り上げた。これでどうだっ
お手伝いするのっ!
ね?
やるもんねっ
「え?」
主、無理はなさいますな
聞いたことはない。それでいて、とてもとても懐かしい声。そして、両手に、わたしのものだけではない温もりが溢れてくる。
同時に、猛烈な圧力と熱量に抵抗を続けていた石生石が、ほろほろと、溶けていく。
大事なものも、ほろほろと、ほろほろと・・・。
すっかり形を変えた元石生石は、ゆるゆると温度を下げている。もう、これが大量の宝石を吐き出すことはないだろう。
他に欠片は残っていないか、肉塊の中を慎重に探る。同時に、損壊状態もチェックする。この個体が石生石を生み出す母体ではないとは言い切れない。一方で、誤って取り込んでしまった可能性もある。
・・・ペチャンコの死体にしてしまったので、検死も何もあったものじゃない。それでも、動物のお医者さんでは無くても、多数の動物を狩り、解体してきた経験がある。その結果、後者と判断した。
手足背中の筋肉や骨に特段の異常は見られない。ただ、石生石をつかみ出した胃の周辺の骨が魔石化しかけていた。内臓はおそらく胃から溢れてきた鋭角物に切り裂かれたと思われる。筋肉も同様だ。食道から口腔は特に酷かった。下顎は体内からもたらされた圧力に負けてもぎ取られたらしい。
それにしても。こんな小さな体から、あれほどの鉱物が溢れてくるなんて、ちょっと想像できない。
山茶花情報では、文字通り玉石混交で数千トンを超える。それはそうだ。山一つがグラム単位の筈はない。拾いきれていない分もある。
・・・・・・見なかったことにしたい。いや。そうしよう。
それにしても。
ティラノさん達のいる方向が判らない。残り物を拾いつつ、爆心地から外に向かって螺旋状に歩いていこう。そうすれば、どこかで見つけられる。
いやはや。酷いものだ。石の噴出はいきなり最大出力で始まり、瞬く間に立派すぎる山へと成長したのだろう。
逃げ遅れた動物達の轢死体が彼方此方にある。木々は粉々。かろうじて、石の隙間に逃げ込めた小さな昆虫が生き残っているくらいか。
モリモリ成長する火山もあるけど、あれは溶岩ドームがにょっきり生えてくるのだったか。成層火山は、長い年月をかけて何度も噴火を繰り返し、溶岩や噴出物が積み重なり高さを増していた、だったかな? もう少し地学の勉強をしておけばよかった。
それとも。ヘリオゾエアでは「これ」が普通、なのだろうか。
今のところ、石生石を発見したのは[魔天]と[西天]だけだ。
[魔天]では、まーてんの洞窟の中だけだった。わたしがあれだけ散歩、もとい探索しまくった範囲で石生石を見かけたことはない。
[西天]は、少なくとも二カ所。「少なくとも」という点が、どうにも嫌な予感がする。
迅速かつ丁寧に、ばら撒かれた宝石(原石)や魔包石を拾いながら歩き続け、漸くティラノさんに会えた時には、すっかり夜が明けていた。
あ。先に血のりを洗い流しておけばよかった。
「おーーーーぅおうおうおうおうおーう!」
泣いてちゃわからないって。
「久しぶりです。怪我は、大丈夫?」
「お姉様! どうしてそいつとアタクシとの態度が違うんですの?!」
突っ込むところはそこ? 「血まみれで大丈夫?」とか言わないの?! あ、そう。
「だって。ティラノさんはティラノさんだし」
「むきーーーーーっ!」
地団駄踏んでいる鳥頭は放っておこう。
「また怪我をするといけないから、積もってた石は片付けて、原因らしい物も見つけました。前の時と同じみたいです。だけど、どうして規模が大きくなったのかが判らないんです。それでですね?」
と、状況を報告しているのに。
「怪我ぁ治してくれたしよぅ。どうしていいかわからなくてよぉうおうおうおうおう」
目の前には、地面に臥して滂沱の涙を流すティラノさんがいる。
は な し を 聞 け。
すぱこーーーん!
「泣いてる暇はないの! わたしも忙しいんだから。今から一番酷いところに案内するから、その間に色々と教えて」
ハリセンをかまし、返事を待たずに踵を返した。時間的にも精神的にも余裕がない。少々乱暴な口調になるのも仕方がない。
全身血まみれ状態で不愉快だというのもある。が、マイトさんとユードリさんが預かっている二葉達が調子に乗って何をやらかしているか、心配で心配で心配で。
何より。
影からの手応えというか反応が少ない。確信でもなく、疑心でもなく、諦めでもなく。どうしたらいいのかわからない不安だけが膨らんでいく。
それでも、生きているものを優先する。
焦ったところでどうにもならない。出来るところから一つ一つ片付けて。全ては、それから。
「・・・本当に、酷いわね」
明るいところで見直せば、尚更目につく。わたしのバスアタック直後の死体に匹敵するだろう。一番酷いのは、わたしの着陸地点にいたあの子だけど。
「山盛りの石に押し潰されればねぇ」
生きたままミンチマッシャーに投げ込まれた恐怖はいかばかりのものだったか。
「ナンマンダブ」
「何? それ」
縁起担ぎみたいなものだ。どうか成仏できますように。
ブツブツ唱えつつ、あの死体のある場所まで来た。
「それで。ここって何か特別な場所だったとか?」
傷心中のティラノさんは、いつの間にか念仏を唱えていた。
「ナ〜ンマンダ〜ブ。ナンマ〜ンダブ〜」
スパパパパーン!
「お、お姉様。容赦ないわね」
「忙しいって言ったよね。それより案内は終わったし、もう帰ったら?」
ハリセンで南天王さんの鼻面を指す。
「あらぁん。つれないですわぁ。アタクシだけ仲間はずれにするなんてぇ♪」
スパーーーーン!
じゃれてる暇はないと、何度言えば理解するんだ、この鳥頭は。
シリアスシーンが、長続きしない。
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参考にした火山
ナトリウムの火山 ナトロン山・アフリカ
溶岩ドーム 雲仙普賢岳・長崎、昭和新山・北海道
噴火で成長する 富士山、西ノ島・東京都、キラウエア火山・ハワイ諸島




