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旅は道連れ

 押し切られた。


 ご隠居さんの怒涛の斜め上理屈に、レンの胸部装甲、違った、我が儘が加わり、抵抗する気力も失せた。いつかもぎ取ってやる。


 五樹達も退屈していたところだし。ここは、ノせられて置いてあげよう。そういうことにしておこう。・・・くすん。


 ご隠居さん達は、また拠点に戻ると遠回りになる。時間が勿体無いので、街道に出た先で落ち合うことにした。

 一日でも早く、荷物をローデンに突き返してやる。


 小島には、魔道具を作る為の工作室と、寝泊まりする為の小屋がある。二カ所の船着き場から小屋までの通路は、わざと蛇行させている。また、パピルスもどきも茂らせたままだ。

 刈り取りしたパピルスもどきを束ねて、壁や床に使った。工作室と調理場だけはロックアントで内張りしたけど、つまりは、三匹の子豚さんの末っ子状態な訳で。

 万が一を考えて、高価そうな道具類は持って行くことにした。


 ちなみに、レンは、わたしと二人っきり(八重達は員数外らしい)で、素晴らしくご機嫌。


 それはいいのだが。


 撤収準備は、すぐさま中断する羽目になった。


 レンは、あれはなにこれはどう使うんだと、力一杯妨害工作にいそしんでくれた。縛り付けておいても、ゴロゴロと床を転がってくるので、何度か踏みつけてしまった。危なっかしいったら。

 仕方なく、あるったけの食材で料理を作った。邪魔者、もとい残念王女を大人しくさせるためだ。余計な手間をかけさせてくれる。


「ダグの街。かなりヤバいぞ」


 一晩街で過ごしたマイトさんが、会うなり、そう言った。


「駄隠居さんは何も言ってなかったけど」


「もとだんちょ


「ご隠居、いやいや。おじいさまと呼んでいいのですぞ」


 ご隠居は、王宮の中にいたからよく判ってない、と思う、思います」


「敬語も要りませんからな」


「・・・どうも」


 元団長職のご隠居さんに遠慮がちなマイトさん。でもね。今は、ただの物好き、酔狂、駄隠居。だから、気を遣う必要なんかこれっぽっちもない。

 むしろ、率先して、引き摺ってでもお持ち帰りして欲しい。


「で、話の続き」


「あ。ああ」


「ふぉふぉふぁんばいんだ?」


 すっぱーん!

 

 ご隠居さん達と合流してからも、うるさいうるさい。だからと言って、街道を往く商人さん達に、猿轡噛まされた王女様を曝すわけにはいかない。だろう、たぶん。


 ということで、レンには、定期的に昨夜の残り物の焼き串を与えていた。立ち食いならぬ馬上食い。余計なことをべらべらと喋るなっての。


 だけど、前言撤回。


「食べ終わってから喋る!」


「・・・判った」


「次やったら、夕飯なし」


「判った! もうやらない」


「「・・・」」


 猿ぐつわの方がマシだったかもしれない。口の周りには、肉のかけらとかソースがちらほらと。・・・この調子だったら、街に入っても、誰も隣国の王女とは気が付かなかったと思われる。


 あーもう。王女様、自分の歳を考えたことがあるのか?


 いやいやいや。それどころじゃなかった。


「とーちゃん続き」


「とーちゃんいうな! それでだな」


 最早、口癖になっているらしい。すべては、その台詞から始まるのだ。なんちゃって。


 と、茶化している場合ではなさそうだ。


 街の人達は、どこか浮ついている様子なのだそうだ。明るい話題がある訳でもない。ただ、目の前の出来事に一喜一憂していた。

 良くて空元気。ぶっちゃけ、現実から目を逸らしている。そんなところだろう。


 つまりは、どこか諦めている。何を。


「ご隠居は、資金に物を言わせて入荷したばかりの食料を買えたらしいが、全体的には品がいいとは言えない。妙な咳をしている人も多く見かけた」


「咳止めなんか、治療院で安くもらえるでしょ」


「そう思って聞いてみたんだよ。そしたら、「空咳が続くだけなら、様子を見ましょうって、言われてねぇ。近所の人達もそうだよ。お客さんには、迷惑かもしれないけど、我慢してねぇ」だってさ」


「薬草の補充が追いつかない、などということはありますまい」


「じゃあ、誰かが買い占めたのかな」


「そんなことが許されるのか?」


 レンは一人で憤っている。うるさい。ほれ。


「むぐむぐ♪」


 手軽でいいんだけどさ。いいんだろうか。


「あ。子供。子供はどんな様子だった?」


「そういえば。休日だってのに路地裏でもあんまり見かけなかったな」


「そういうものですかな?」


「大通り付近は、大きな馬車も通って危ないから近寄らないように言い聞かされる。だから見かけなくてもおかしくはない。でも、ローデンなら、ちょっと裏に入れば路地で遊ぶ子供がごろごろしていた。それと比べたら、ほとんど居ないに等しかった。外にいる子供もあんまり元気がなかったかも」


「むぐむぐぐ」


 すぱん!


「あ。ごめん」


 つい、習慣で引っ叩いてしまった。


「頷いただけなのに・・・」


「ごめんってば」


 しょうがない。残り少ないけど、これも出そう。


「あっ。ロナのクッキーだ!」


「俺も一口」


「わしにも頂けますかな?」


 まともな報告になってない。気がする。脱線しまくってる。誰の所為だろう。


「ね。ご隠居さん」


「なんですかな?」


「もし、もしだよ? ローデンで質の悪い疫病が流行したら、どうするの?」


「発覚した時点での状況によりますな。数人ならば、治療院に隔離します。数軒の内ならば、その地区を閉鎖して人の出入りを禁じます。同時に治療院の指示に従って治療その他の活動を行います。更に広範囲に疫病が広がってしまったら、街門を閉鎖した上で、やはり治療院と共に対応する。そんなところでしょうか。

 しかし、それがどうかしましたかな?」


「ダグの街だと、どうなるかな〜って」


「兵士達は、まともそうだったぜ。街中を巡回してた連中、ものすっげぇ気合い入ってた」


 うあ〜。


「あまり、時間はない、かも」


「どういうことですかな?」


「巡回に出るような人達は、危機感ありまくりなんだと思う。でも、ほら、上の人がちゃらんぽらんだと、実力を発揮できないっていうか、引っ掻き回されるっていうか」


「「「あ〜」」」


 上司が、現場の声を無視しているのだろう。だから、彼らは、近いうちに起きる事態に身構えている。その気合いだけが、空回りしている。


 剣で菌は切れないってのに。


「もしかすると、地下道の整備なんかも、何かでごたついた時に巧く引き継ぎが出来てなくて、そのまま忘れ去られてたのかな〜とか」


「え? え? そんなことが、あるのか?」


「だって、いつも使うものだろう?」


 夫婦揃って、顔中に疑問符を浮かべている。


「だからさ。普段身近にあり過ぎると、あるのがあたりまえになっちゃってて、案外気が付かないんだよ。それに、兵士さんでもなければ、どうやって手入れしているかなんて知りようもないでしょ」


「わたしは、アンゼリカさんに教えて貰ったぞ?」


 王宮で教えてもらえてないんだ。騎士団の任務も一通り説明を受けた筈なのに。いや、聞き流していたとか。とことん残念すぎる王女様なんだから。


「地下道の点検をする際は、何が起るか判りませんからな。該当区間で作業する時は、事前通知を行っておりまする」


「正確な図面は見せないけどさ。街の作りを学園で教わる時に言われるんだぜ。出来るだけ汚すなって。そうすれば魔道具は長持ちするし、交換する回数が減る。そうすると税金が減らせる。おやつが一品増えるかもって」


 ある意味、それは正しい教え方だ。だから、使う水の量が少なくて済むシャワーしか普及していない、のかもしれない。浄化用魔道具のバージョンアップも検討しようっと。


「だからさ。それはローデンの話でしょ?」


「ふむ。ガーブリアも、ほぼ同じような整備方法をとっていたと、バラディ殿下にお聞きした覚えはありますが」


 おい。バラディおーじさまや。他国の重役に、国の運営方針を気軽に教えていいのか?

 いやいや。「同じ」と言わせている時点でローデンも同罪。教えっこするって、何。いや。だから、いいのか?

 未だに、この世界の社会通念は理解できない。


「ノーンは、もっと凄いぜ。兵士じゃなくて、専任の部署があるんだ。部隊新設のお披露目に招かれた役人の護衛をやって、会場の料理が凄くうまかった、ってトングリオ先輩が自慢してたからな」


 あ、そう。お披露目会までしちゃうのか〜。そうなんだ〜。


「それなら、なんでダグは今まで放置していたんだ? もぐもぐ」


 お披露目会料理うまかった宣言を聞いて拗ね気味のレンに、もう一袋、クッキーを持たせる。

 多分、レンが生まれた馬鹿裏の頃の話だから、今頃拗ねてもどうしようもないって、気が付いてよ。


「さあな。役人が指示出し忘れたとか、兵士達が嫌がったとか、なんかあったんじゃないのか?」


「それを今更言ってもしょうがないでしょ。大体、他所の国のことだし。

 それよりもね。あの地下道が原因で病気が蔓延したとして。ダグだけで解決できると思う?」


「「「・・・」」」


 三者三様に考え込んだ。


 出来る限り早急に泥集めは完了させるつもりだ。だが、間に合わなければ、いや、すでになんらかの病気が発生している可能性が高い。咳している人がちらほらいると言ってたし。


「これは、陛下にもご相談した方がよろしいようですな」


「ノーンとか、他の国にも協力を仰いだ方がいいと思う」


「そりゃまたなんで」


「だって。ダグってば、ローデンよりも広いんだもん。当然、住んでる人も 多いよね?」


 ノーンの時も、街全体に影響が広がっていた。助っ人の中にも体調を崩した人が大勢いる。

 幸い、原因に対して適切な治療薬、というか対処方法が見つかり、国一丸となって全力で取り組み、近隣諸国の助力もあって、早めに元の生活に戻ることが出来た。




 ・・・やっと。みんなまじめに考え始めたところだと言うのに。


「あ、え? ロナ?」


「どうしたんだよ、いきなり怖い顔して」


「ちょっと行ってくる」


「はっはっは。漸くわしの出番ですかな?!」


「喜ぶな、駄隠居!」


 ちっ。追われている人が邪魔だ。弓は使えない。剣は論外。


「五樹は救助。六実は、盗賊を散らしてきて。一葉さん達は、適当に。とーちゃんはレンの護衛。怪我だけはしないでね」


 飛び出そうとするマイトさんを言葉で押し止めた。自分の役目を忘れてどうするのよ。


「わしは? わしはどうすればいいですかな?」


「自分で考えれば?」


 まあ。出番はないだろう。


 軽く八重を走らせた先に見えたのは、街道専用の高速荷馬車、ではなく、これでもかと荷物を満載したオンボロ馬車。もうじき荷崩れしそうだ。そして、それを取り巻くいかにもな男達。


 とうとう、馬車の足が止まってしまった。


 ぐるあぁあああああっ


 ぎゃおぉぉぉおおおぅ


「げっ?! 魔獣!」


「なんで、こんなところにっ」


「ひぃいぃぃぃぃいいいいいいっ!」


 最後の悲鳴は、御者台の女性のものだ。


「ねーちゃん!」


 馬車の上から必死に男達を牽制している少年は、女性が五樹に攫われたのを見て、こちらも悲鳴を上げた。


「俺達の獲物だぞ!」


 見るからに垢まみれの男が声を荒げる。そうか、魔獣に喧嘩を売るだけの元気はあるんだ。


「横取りする権利は誰にでもある!」


「いいわけあるかっ!」


 怪我人はそこそこいる。馬車を守っていた人と、返り討ちにあった盗賊達と。だって、身なりが全然違う。あ、盗賊の一人が六実に踏まれた。


 残っているのは、五人ほど。それじゃ。


 ぴしぴしぴししっ


 パチンコで、痺れ蛾鱗粉入り特製弾をお見舞いしてやった。これも、使える。でも、殻の強度が問題かな?

 よく見れば、男の額にでっかいたんこぶが膨らんでいた。ちょっと、痛そう。


「ねねねねねーちゃんを返せっ」


 勇敢な少年は、馬車から飛び降りると五樹のしっぽにしがみついた。


 わふん?


「ひぃいぃいっ?!」


 後ろから六実に声を掛けられ、流石の少年も驚きのあまり気絶した模様。よしよし。静かになった。


「「「・・・」」」


 お荷物三人が追いついてきた時には、もう終わっていた。ふっ。ちょろい。


 ではなくて。これからが大変なんだってば。


「レン。怪我人の手当を手伝って。駄隠居さんは襲撃者をふん縛る。とーちゃんは、巡回班に連絡してきて」


「とーちゃんいうな! じゃなくて!!」


「じゃあ何さ」


「こ、こいつらは?」


 震える指で五樹と六実を指差す。


「さあ」


「とぼけんな!」


「隠れ家にもいたぞ?」


 レンは、一晩中、モッフモフしてたもんねぇ。


「え? え? いた、のか?」


「この馬捕まえた時に懐かれた」


 言った者勝ち。それで押し通す。


「そういうことでしたか。いやはや。いきなり飛び出してきたから、何事かと思いましたぞ」


 おや。ご隠居さんは、素直に受け入れた。今までは、ご隠居さんがいる時は、影に潜んでいたから見てない筈なのに。いいんだろうか?


「ご隠居! そういう問題じゃなくて?!」


「では、あやつらを引っ捕らえてまいりますかな」


 ロープの束を背負って、足取り軽く離れていく。何が、嬉しいんだか。ねえ。


「あの余裕はどこから・・・」


 マイトさんが、頭を抱えている。うん。何となく、気持ちは判る。あっさり信じるのもどうかと思うよね。まあ、それはいいか。


「走っていても悩めるでしょ? ほら、行ってきてよ。時間ないんだからさ」


「それならわたしの方が早いぞ!」


 やめてくれ。


「レンは駄目。もし、残党がどこかに潜んでいたら、レン一人じゃ大変でしょ? 駄隠居さんよりとーちゃんの馬の方が足が早いし。それとも、だらだら時間ばっかり過ぎてると晩ご飯が」


「やる。わたしは彼らの手当てをすればいいんだな?」


 ちょろい。


「おい。レオーネ」


 手のひら返ししたレンを見て、マイトさんはがっくりと肩を落とした。


 やけくそになったマイトさんが駆け出して行くのを尻目に、馬車の関係者と見られる人達の様子を見た。

 御者のお姉さんとその弟君は、気絶しているだけのようだ。誰の所為とは言わない。

 二十代と思われる男性三人は、手足を斬りつけられている。ちょいとしみるけど、これで我慢してもらおう。


「レン。この三人、口に何か噛ませておいて」


「え? どうして」


「薬を塗るから」


 傷口を『水口』で洗い、傷に触らないよう水気を拭き取り、さて。


「!!!!!!!!!!」


「しまった。手足も、縛っとくんだった」


 怪我をしている部分は押さえているけど、暴れ方が半端ない。危うく蹴飛ばされそうになった。

 王宮衛士さんの呪い? のはずはない。ないったらない。


 超絶良く効く傷薬。とっても刺激が強いのが難点だけど、効果は折り紙付きだ。ほら、治った。


 残る二人も、ちょいちょいとね。こっちは、四葉さんに拘束してもらった。


 切り裂かれた服はそのままだ。血まみれの布地を繕うのは、ちょっと遠慮したい。


 馬車を引いていた二頭の馬に大きな怪我はなかった。だけど、怯えまくっている。さっきの襲撃がよほど怖かったのだろう。


 そこに八重がやってきて。


 あ。固まった。


 馬車ごと逃げ出さないから、いいことにする。


 それにしても、大荷物だなぁ。

 馬車から外して、休ませてあげよう。一応、逃げないように手綱を木に括り付けておく。


 八重は離れててね。馬が休めないから。あ。落ち込んだ。


 ご隠居さんだけでなく、一葉さん達も盗賊集めに協力してくれた。いつも済まないねぇ。


 え? 体を洗いたい?


 三葉、通訳!


 盗賊達の余りの不潔さに我慢ならなかった、だそうだ。なるほど。どうりで、五樹も六実も噛み付こうとしなかった。だけど、ここは予定の野営場所のかなり手前で水場がない。脚を洗うのは、後回し。


 それにしても、いつのまにやら大所帯。どうしてこうなった。


「なあ。ロナ?」


「なに?」


「この、動物達は、一体・・・」


 今更ですか。


「知りたい?」


 じーっ。


「あ、あー。うん。いや。いい。ロナが、いいならいいんだ」


 本当は、レンが散々お世話になったハナ達なんだよ〜、と教えてあげたい。

 でも、なぜ変身したのかとか、いつローデンを出たのかとか、いろいろいろいろ、次の突っ込み処が出てくる訳で。


 食事を盾に、黙秘権を行使させてもらう。


「駄隠居さんは、そこのきったない人達を立ち木に括り付けておいて」


「はっはっは。了解しましたぞ」


 男達の足首を握っている。そして、地面を引き摺っていった。そうすると、土や草が装備に追加されていく訳で。これは、一手間いるかな。


「う」


 馬車防衛隊の一人の目が覚めたようだ。


「おーい。この指何本?」


「ごほん! って何言わせるんだ。はっ。メイリスは無事か?! レジー、ワンド!」


 すっぱーん!


「・・・何するんだ」


「落ち着きなさいっての。みんな、怪我の手当は終わってるよ。御者台に居たお姉さんとこの子は、うちの連れ見て気絶しただけ」


「連れ? ・・・う〜ん」


 今の今まで、同行者の安否が気にかかるあまり、取り囲んでいた五樹と六実は目に入っていなかったようだ。

 そして、卒倒した。そんなに怖いかな。


「二人とも、周囲の見回りしててくれる?」


 わん!


 遠ざけておかないと、目が覚めて気絶する、の繰り返しになりそうだ。


「う〜ん。どこかで見たことがある気がする」


「レンは、あんな大きな狼とどこで知り合ったのさ」


「そうなんだけど。そうなんだけどな?」


 レンはまだ首をひねっている。


 六実は、以前のムラクモとどっこいな体格に、ふっさふさのしっぽが増量した、ジャグウルフとも似ていない、オンリーワンなワンコになっている。


 ・・・うん。狼じゃない。ワンコだ。


 五樹みたいな羽の付いた虎も以下同文。


 わたしに似た体格のドラゴンも見たこと無いし。わーい、みんなでお揃いだ♪


 ・・・なんだかなぁ。


「ナーナシロナ殿。終わりましたぞ。馬車も点検しておきました。少々、車軸に不安がありますが、ゆっくり牽けばなんとか持つでしょう」


「ご苦労様。火を焚いておいたよ。休憩してて。ついでに、これとお客さんを見ててくれる?」


 使えるモノなら何でも使う。


 目が覚めた時に、パニックを起こしてレンに襲いかかったりするかもしれない。強面筋肉ジジイが居れば、軽挙妄動は控えてくれるだろう。


 それにしても。


 横槍ばっかり入ってくるなんて、なんの嫌がらせだ?


 そうかそうか。その分も、お返しに盛ればいいんだな。


 うん。そうしよう。

 王女様の呪い? そんなはずは・・・(汗)。

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