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普通は避けます。普通は

 ダグのトンデモ大使の名前が、ケントラット、というのは判明した。家名なのか個人名なのかは知らない。

 あの短時間で、どこから調べてきたんだか。トリーロさん、捕まったりしないでね。


 まず、ダグの街に入って大使の評判を集めてから、次の手段に取り掛かるつもりだった。


 しかし。


「無理ですかな?」


「うん。ちょっと。無理」


 ダグの街壁が見えた地点で、足が止まった。


 何故ならば。


 敏感な嗅覚の持ち主であるところのわたしには、堪え難い状態だったのだ。ダグに近付くにつれて、どんどん刺激臭は強くなる。

 移動中、ようやく体調が良くなったというのに、これでは元の木阿弥どころか、更に悪化しそう。


 街門では、結界系の魔術は例え術具を使っていても強制解除される。だから、【隠蔽】したまま密かに入国なんて事は出来ない。


 ということで、悪臭は、『楽園』や『爽界』を使えば何とかなる。が、結界で防護した状態では街門は潜れない。かといって、手続きの間、この刺激臭に耐えられる自信がない。


「困りましたなぁ」


「街の人達は、よく平気だよね」


 通り過ぎる家畜達は、心なしか辛そうに見える。


 わたし達が乗っていた馬も、しきりと鼻を鳴らしている。


 徒歩よりは楽だろう、ということで、ご隠居さんは馬を連れてきていた。そして、わたしはムラクモに乗っている。


 いや。改名したのだった。


 ローデンを出るとき、最初は、ご隠居さんの馬に同乗させられそうになった。自分で走ると言ったら、またも抱え上げられてしまったのだ。

 それを黙って見ているムラクモではない。だが、人目のあるところで影から出てこられても困るんだってば。


 とりあえず、まだ体調が完全に回復していないので馬の背に揺られると気持ちが悪くなりそうだから、と屁理屈を通した。でもって、野営する時に、夕食を獲りに行ったついでに拾ってきた、もとい懐かれた、という名目で連れて行った。


 影から出てきた時、それとなく「見た目が変わったなら、名前も変えてみないかな?」と宥め賺し、了解させるつもりだった。

 ムラクモ達の名前も、聖者さま同様知る人ぞ知るところなのだと、ステラさん達が教えてくれたからだ。

 彼らにあやかって騎獣に名前をつける人もいるのでは? と思ったが、むしろ恐れ多い、バチが当たる、ありがたやありがたや、などなどの理由で避けられているとか。

 どういう理由なんだ。


 それはともかく。


 そんな風潮の中で「ムラクモ〜」なんて呼びかけてしまえば、要らぬ注目を浴びるだろう。ひょんなことから、賢馬様だとばれてしまうかもしれない。

 余計な厄ネタは避けるに限る。


 豈図らんや。


 ムラクモ達は、ノリノリだった。目を爛々と輝かせて、さっさと寄越せと迫ってくる始末。

 何があったのか、知りたいような知りたくないような。


 とにかく。


 羽付猫の五樹いつき、六つ目狼の六実むつみ、ちび馬バージョンの八重やえ

 わたしも含めた、数字ブラザーズが揃った。


 とは言うものの、いきなり三頭も連れて行ったら怪しまれそうだし、移動優先だからと、八重だけ同行させることにした。盛大に文句を言われたけど、そこは我慢してもらった。穴埋めは、いずれ、そのうち。


 ちなみに、四葉は回収済みだ。


 二年の間に元植物の能力をフルに使い、工房外壁を自身の蔦で覆ってしまっていた。魔力が足りなければ光合成すればいいのよ、という、どこかの王妃様も真っ青な魔獣の生き残り戦略。

 逞しい、どころか、やり過ぎだ。なにも建物全面を覆い尽くさなくてもよかろうに。いいや。褒めない、褒めてないからね。


 引き剥がすには、規模が大きすぎてどうにもならない。やってもいいけど、その場合、工房が全壊する。


 諦めて置いて行こうとしたら、むにょん、と分離した。無人島の時のように絡まる蔦は枯死するのかと思ったのに、元気いっぱいだし。

 三葉云く、「まだまだやりたいことがある」だそうだ。おい。


 四葉を説得するには時間がかかりそうだったし、ティアラさんの手伝えコールをこれ以上無視するのも辛い。


 という訳で、工房に分身を残すことになった。


 非常時の緊急連絡手段になるかもしれない。通信用の魔道具や「楽石」などをこっそり預けておいた。でも、出来ることなら出番がないことを祈る。


 それにしてもペルラさん。なんで王宮であった時に四葉のことを教えてくれなかったんだ。


 話が逸れた。


 このままでは、わたしはダグに入れない。調査する前に、鼻が死んでしまう。


「ご隠居さん。一人で、調べてきてよ」


「わしは頭脳職ではありませんからな」


 つまりは脳筋。笑って言ってる場合じゃないと思う。


 だからといって、ダグを見過ごすつもりはない。トリーロさん達の調査結果を待つだけというのもつまらない。


 ふむ。


「おや。どちらへ?」


 匂いの元を絶てば、街に入れる。かもしれない。




 門兵さん達には見えない距離で、ぐるりとダグの外側を一周する。どうやら、街の中全体が匂っているようだ。その時点で、街に入るのは諦めた。

 本当に、なんで平気で居られるんだろう。もう少し、調べてみよう。


 特に酷い所は、下水道の出入り口。だった。


「なんとも、まあ・・・」


 あの、ご隠居さんが絶句した。


 無理もない。


 見張りが居ない。というより、やすやすと近付ける環境ではなかった。


 そこは、一面の草っ原。というか、湿原だった。


 高さ七メルテの葦、ではないな。パピルスの実物もこんな有様なのだろうか。

 生え際は水に浸っている。そして、強烈な匂いが辺り一面に充満している。


「うえっぷ!」


「ナーナシロナ殿。無理はなさいますな」


「こうすれば、少しは」


 取り出したのは、『爽界』の陣布。これで口元を覆って、起動すれば。


「はぁ。楽になったぁ」


 背後には、裾を引っ張る八重が。だらだらと鼻水を流している。うわぁ。


「ごめん。陣布の予備がないんだ。替わりに結界に入ってて」


 だがしかし、八重は、『爽界』の術杖を使えなかった。五樹の手ならなんとか出来たかもしれないけど、今は駄目だってば。

 ということで、ご隠居さんに術杖を持たせて、オンオフの操作を教える。でもって、馬二頭と一緒に籠ってもらった。使えるものは、以下むにょむにょ。


「ほう! これは素晴らしいものですな」


「やっぱり、さっきまでの匂いはキツかった?」


「今なら、違いが判りますぞ」


 コーヒーマニアじゃあるまいし。その台詞はどうかと思う。


 それはさておき。


 ノーンで、魔力異常調査の為に地下に入った。さぞやひどい状態なのだろうと覚悟していたのに、ロックビーの二年ものの巣よりも遥かに清潔だった。

 その時、どこの都市も、規模はともかく、ほぼ同じ作りだと聞いた記憶がある。


 排出元近く、つまり流し台やトイレ直下に設置された浄化用魔道具で汚物汚水を処理し、街はずれに流出穴を設けて排出するシステム。自然の河川よりもやや肥沃なため、処理水が流れる地域の植物は、どれも生育旺盛だ。その為、魔獣の被害が減少した頃、すぐさま開拓が始まったとか。

 密林都市建設当時、持てる限りの技術と素材を惜しげもなく使用して完成させた、地下に潜むもう一つの都市。


 魔道具、万歳!


 ちなみに、都市外の開拓村には下水道はない。浄化装置付きの公衆トイレと浴場だけは設置されている。更に、それらのない集落は、身分証の発行手続きは厳しいとか、農産物も人気がなくてあまり売れないとか、いろいろあるそうだ。


 それはさておき。


 ダグ地下道の流出穴周辺は、肥沃を通り越して腐っている。昭和初期、日本のどこにでも見られたどぶ川の匂い、と言っていいだろう。むしろ、よく植物が育っていらるものだと感心した。


 いや、四葉さん、褒めてないから。呆れてるんだってば。


「地下道の手入れを怠った、のでしょう」


「なんで、騒ぎにならないんだろう」


「・・・」


 ん? ご隠居さんの額に汗が。


「推測でもいいからさ。教えてよ」


「あ、ああ。ええ。それは、ですな」


 どんな酷い悪臭でも、長年触れていれば慣れてしまう。


 騎士団でのとあるエピソードから判明したそうだ。


 ある時、地獄の特訓九日間を実施した。


 夜討ち朝駆け寝込みを襲う、などなどの、装備の整備も最低限にしか行えないほどみっちりとスケジュールを組んだ。当然、入浴出来る時間など、どこにもない。

 訓練終了後、帰宅した参加者は、それぞれの彼女彼氏家族に盛大に文句を言われた。即ち、汗臭い。だけでなく、使っていた防具の素材の匂いなども混ざり込み、壮絶な悪臭だと。


 参加者達は、身内のオーバーリアクションを見ても納得できなかった。自分の腕や服を嗅いでも、別に変な感じはしなかったからだ。


 そう。完全に嗅覚がバカになっていたのだ。


 その日のうちに汗は拭っていた、などの言い訳も認めてもらえず、自分の体だけでなく訓練中に来ていた服や防具も手入れしてこいと、自宅から追い出されしまった。

 当時、痺れ蛾石鹸は出回るどころか、知られてもいなかった。その為、各々のへそくりを掻き集め、泣く泣く高級石鹸を買い入れた。そして、特訓参加の褒美と休日は、宿舎に入居している者達も巻き込んだ洗濯入浴に費やされて終わった。


「あれ以来ですかな。どうにも軟弱な兵士が増えた気がしてなりません」


 この脳筋祖父が!


 ・・・経緯はさておき。


 匂いに慣れると言っても、限度はある筈。それに、これだけ酷い状態ならば、病気が発生していてもおかしくはない。


 例のブツを使った一件は、大使さん一人で計画したとは思えない。彼を任命した人、彼女をローデン王宮に忍ばせる手配をした人、ローデンへの移動を手助けした人。いずれも、貴族クラスでないと難しい。


 でもって。

 ダグの衛生環境を見れば、運営主体が機能不全を起こしているのは一目瞭然。一年二年の話ではないだろう。


 他所の国をうらやんでいる暇があるくらいなら、文字通り、住処の足元を維持するのが先だろうに。


 だけど。


 これなら、イケる。首謀者を特定することなく、指を刺して大笑いしてやれる。面目は丸潰れになり、末永く後ろ指を指されることになる。


 ふ。ふふふ。今に見ていろ。




 ナーナシロナ殿の様子がおかしい。


 我々を悪臭から保護してくださった後、何か考え込んでおられた。そして、気が付けば、不気味な含み笑いを漏らし始めている。


 また、この感覚を身に受ける日が来るとは。


 レオーネ殿下がお生まれになった頃、わしはまだ騎士団長の職にあった。それゆえ、かの方の所行、もといしでかした騒動を聞き及ぶ度に頭を抱えたものだ。わしの責任ではないと、エルバステラ殿はおっしゃったが、たとえ義理でも孫は孫。躾の責任はあるだろう。


 漸くミゼルが団長職を引き受ける気になった頃、ヘンメル殿下がお生まれになった。そして、彼の虚弱体質は魔力過敏症によるものだと判明し、護衛の魔術師は配置できないことになった。

 わしは、これ幸いと子守役に名乗り出た。

 レオーネ殿下の二の舞は踏ませまい。


 と、安堵したのもつかの間。


 今度は、アルフレイ殿下とルフィア王女がお生まれになった。


 アルフレイ殿下はまだいい。赤子の頃から大人しい性格で、乳母達もほとんど手間が掛からないと言っていた。躾の行き届いたヘンメル殿下を見習っっているそうで、特に教えた訳でもないのにすこぶる行儀がよろしい。


 一方のルフィア王女は、「お転婆」の一言に尽きる。子供特有の無邪気さと活力をアルフレイ殿下の分まで抱え込んでいるかのようであった。

 とにかく、目が離せない。貴族出身の女官達には到底手に負えないお子様であった。必然、わしが手を出す羽目になり、毎回毎回探し出しては連れもどすを繰り返していれば、子供を確保するのも巧くなる。


 レオーネ殿下が幼少の頃にわしがお傍に居られたら、あそこまで奔放、いやいやいや、騒ぎを起こすことはなかっただろうに。と思ってしまう。


 いやいやいや。今は、昔話をしている時ではなかった。


 ルフィア王女は、「反抗期」というものらしい。気が付けば、わしの前から居なくなっているしの。女官長には、手荒な真似は控えるように言われるようにもなった。

 そろそろ孫離れしろとヴァン殿に言われた時は、少々胸が痛かった。


 そんなこんなで、今日の騒ぎに行き合ったのだ。


 エルバステラ殿から、賢者殿は今はナーナシロナと名乗っており、決して前身を悟られぬ様厳命されているとお聞きした。度々ローデンを訪れることも知っていたが、今まで会おうとは思わなかった。

 孫達を放っておけなかったというのもある。だが、あれほどご迷惑をかけまくっていたわしが、今更、お会いして何を話せばいいのか。


 レオーネ殿下との馴初めを聞いてしまってからは、尚更。


 だが、本宮の大廊下でルフィア王女を探している最中に見かけて、思わず手が出てしまった。予想以上に小さく、ごほん、可愛らしいお姿であったからではない。

 ヴァン殿とのやりとりを聞いて、漸くわしが抱え上げた方が賢者殿であったと気が付いた。


 これもまた、一興。


 あくまでも好々爺を装い、ご助力いたすことに決めた。


 とは言うものの。ダグまでの旅路も、結局は食事も野営地の守りもナーナシロナ殿のお世話になってしまった。誠に、申し訳ない。


 いやいや。何を弱気なことを。


 家名だけでも、何かのお力にはなれるだろう。家禄は既に息子達に継いでいるが、あれらも経緯を知れば協力するだろう。いざとなれば、元騎士団長であることもひけらかせばよい。


 とにかく、わしがナーナシロナ殿よりも目立ってしまえばよいのだ。うむ。目くらまし役とは、楽しそうではないか。




「して。方針は決まられたのかな?」


「うん。次は、効果的な手段を、こう、うん、あっと言わせるには出来るだけ見つからないように、素早く、怪しまれないうちに。う〜ん」


「地下道は、街門を使わずに国内に侵入可能な通路です。この有様では、定期的に見回っているかどうかも怪しいですが」


 ローデンでは、莫迦王から王位を簒奪した直後、真っ先に手を付けたのが、農水路を整え、食料自給率を上げることだった。都市内部の耕作地は、数年間の収穫が見込めそうにないほど荒らされてしまったからだ。

 馬鹿王の悪評ゆえに、他国からの買い付けも難しい状況にあった。周辺の手頃な動物は、とうの昔に狩り尽くした。

 とっとと開墾して何かしら収穫しなければ、貴族も市民も分け隔てなく飢えて死ぬ。


 このような過去の歴史もあって、ローデンでは農地への補助製作が半端なく充実している。その為、小麦などの農産物は、かなり安く手に入る。


 ローデン郊外に広がる農水路の分岐地点は、地下道への入り口でもある。地上部の小城砦は農地の警備拠点も兼ねていて、警備は厳しい。部外者の侵入は、まず無理だ。


 ダグには、何もない。


 怪しいどころか。ケモノ道さえ見当たらない。そもそも、悪臭漂う泥沼に喜んで飛び込む人はいないだろう。


 いやいやいや。

 人が近付きたがらないという意味では、腐臭も警備の手間が省ける良い手、なのかもしれない。


 それはともかく。


 相手の不手際は、攻め手の好機。


 この沼地は、かなりの面積があると見た。更に、茂みの奥に拠点を作ってしまえば、早々に発見されることはなさそうだ。


「わしは、何から始めればよろしいかな? ふむ。見回りを拘束してしまいますか」


「ちょっとちょっと! それじゃ、帰還しなかった人を捜しに別の人が来ちゃうでしょ」


「あ」


 何このやる気一杯の年寄りは。張り切り過ぎて腰を悪くされても困る。看病とか治療とか看病とか、とにかく困る。


 連絡係とも言っていたし。簡単に説明して、ローデンに引き上げてもらおう。


 と思ったけど、甘かった。


 砂糖の蜂蜜掛けよりも甘かった。


「なるほど。秘密基地という訳ですな! こう、子供心がくすぐられます。さてさて。どこに建てましょうか」


 地下道攻略の仮拠点を作ると言っただけで、このノリだ。本当に、これが、騎士団長を勤めてた人なの?


「こんなくっさい沼に、そのまま入ったら病気になるってば!」


「あ」


「大体。馬達はどうするのさ?」


「なんの。こやつは賢いですぞ。空荷のままでも手紙の使いぐらいは易々とこなしますからな」


 そう言えば。

 八重を引き合わせた時、それほど動じていなかった。単に、年寄り馬の寛容さだと思ってたのに。今は、ご隠居さんの視線を受けて、胸張ってたりするし。


 八重。競わなくてもいいんだってば。


 ここに長居して、踏み荒らした跡が残るのは喜ばしくない。ご隠居さん達を追い払うのも、沼の別の場所がいいかもしれない。


 染色用の桶を五個取り出す。更にトレントロープと切り倒したパピルスを使って筏状に繋ぐ。

 先頭から、八重、ご隠居、馬、わたしの順に乗り込み、沼に漕ぎ出した。馬は、桶二つに跨がる形で乗せている。いやほら、それぞれの重さがね?


「ナーナシロナ殿。この草原の中で迷子になりませんかな?」


 さすがの面白がり屋も、似たり寄ったりの薮の中では調子が出ないらしい。よしよし。諦めて、とっとと帰れ。


「おお、そうか。隠れ家にふさわしい場所を探す為ですな! わしも目を凝らすことにしましょう」


「・・・・・・」


 どうあっても、へばりつく気らしい。


 わたしも一旦ローデンに帰る、と言えば付いてくるだろう。その場合、二度目のダグへの同行者は倍増しているに違いない。


 しょうがない。飽きるまで、付き合おう。


 ・・・泣いていいかな。




 沼の中に小島を見つけた。大きさも手頃だ。ここに、小屋を建てることにした。

 ある程度足場を固めるまでは、ご隠居さん達には沼の周辺で狩りをしてもらった。猟果は、聞かないでいてあげるのが親切というもの。


 その反動もあってか、小屋を建て始めたら張り切る張り切る。

 直径四十メルテもあるパピルスの根本を、バッサバッサと斬り付け切り倒し積み上げる。重力の魔導剣を持たせて、一葉さん達も手伝っているんだけど。本当に腰が心配。


 気が付けば。


 寝泊まり用だけでなく、魔導炉付きの作業小屋や、馬小屋、その他諸々の施設も完備した一大拠点になっていた。

 だって、手でこねくり回して道具を作っちゃったりしたら、いくらなんでも身元がバレてしまう。ご隠居さんの目を誤摩化す必要もあって、余計な建物が増えてしまった。


 これのどこが隠れ家?

 執筆中、地下水道の写真集を見つけてしまいました。勿論、即、購入。ええ、資料です。資料なんです。

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