因果はローリング
転がされては止まり、また転がされて。
ようやく、終点らしい。
途中の物音から判断すると、ローデンに持ち込まれた、もとい運び込まれたと思われる。
ある意味、ラッキー。
労せずして、ムラクモ達の様子が分かるかもしれない。なんだったら、自分から見に行ってもいい。
ただし。誰にも見つからずに済めば、の話。
・・・無理じゃん。
「着きましたよ」
の掛け声と共に、土の膜は取り払われた。
わたしの真横にメヴィザさんがいるのは当然だろう。その後ろに、サイクロプスが控えているのも、まだ判る。つい先ほどまで蹴り転がしていたんだから。
それはそうと、結局、くっ付いちゃったのね。そりゃよかった。お幸せに。ああ、甘々。○げてしまえ!
元土団子を取り囲むように立っているのは、騎士団の皆様。背後には魔術師団も待機しているらしい。ローデン王宮の全戦力が集められている。全員、こちらに強張った顔を向けている。
これって、やっぱり、公開処刑。
見物人は居ないようだけど、こっそり脱出は無理そうだ。
アンゼリカさん達に知られた時から、覚悟はしていた。
気持ちは判らなくもない。今までちやほや持ち上げていた相手が、得体の知れない化け物だったのだから、反発するのは当然だ。
でも、やっぱりショックだ。もう少し、気持ちの整理が付いてから。で、いいよね。
荷物の整理を続けよう。
・・・・・・・
ぴかっどーーーーんっ!
「いつまでだんまりを続けるつもりなんですのっ! いい加減、出てきなさいませっ!」
またも光撃を受けて、ものすごく驚いた。詠唱は聞こえなかったのに。
「ティエラさん。もう少し、穏やかに」
メヴィザさんが、窘めている。しかし。
「泥術師は黙っていてくださいませっ。こんな、こんな、いつまでも顔も出さないような不義理な小娘にお婆様が手を焼いているなんて、わたくし、認めませんからっ」
喚きながら、だかだかと光弾を撃ち続ける高ピー美少女。でも、どこかで見たことがあるような? いや、誰かに似てるんだ。でも、誰だっけ。
「え、えーと、ロナさん? お体の具合は、いかがですか? 強引に連れてきた事は深くお詫びいたします。しかし、しかしですね。どうしても、ロナさんのご協力が必要な事態に陥っているそうなんです。あの、出てきてもらえませんか?」
高ピー少女、もといティエラ嬢の攻撃を土ドームで防御しながら、メヴィザさんが声を掛けてくる。サイクロプスは、あらら。目をつぶっちゃってるよ。無理もないけど。
それはさておき。体の具合どうこうは、もっと早くに聞くべきだと思う。最後には、玉転がしにも慣れてしまった自分が悲しい。
「あーーーっ! そこの泥術師! 邪魔しないでくださいましぶっ」
っぱーーーーーーん!
台詞に被さり、高らかに鳴る金属音。あれは、正しくフライパンアタック。
そして、周囲から聞こえるざわめき。
光撃は止まった。成仏してね。
「メヴィザ、手間を掛けた」
「そうでもありません。術の耐久試験も十分行えて、満足です」
なんだとぉっ! 犯罪者扱いは納得できても、これは許せない。
「ボクは実験どーぶつじゃないっ!」
思わず結界を解いて、反論した。してしまった。
しまった。
「ロナ殿。久しぶりだ」
ローデン団長副団長が揃い踏みしている前に、出てしまった。
そして、メヴィザさんのドームが完全に取り除かれたその先では、ペルラさんが地面に這いつくばっている魔術少女にフライパンを突き付けて説教をかましていた。
どういう状況なのか、さっぱり訳が判らない。さっさと説明するなり、決着を付けるなりしてくれないかな。
「本当に済みません。こんな形で招聘してしまって」
ミゼルさんが、へこへこと頭を下げている。おいおい、騎士団長がそんな腰の低さでいいのか?
とは言え、たんこぶ分ぐらいは文句を言ってもいいだろう。
「招聘とは言わない。捕縛、あるいは捕獲」
「・・・」
そのだんまりは何かな? 処刑するなら、問答無用で、ばっさりさっくりやって。今なら、完全無抵抗ですよ〜。
「メヴィザの言った事は嘘ではない。このとおり! 助力を願いたいっ!」
深々と頭を下げるウォーゼンさん。だから、騎士団の偉い人が、ひょいひょい謝るもんじゃないでしょう。
って、協力?
「あの、さ。ボクの首を切る為に、捕まえたんじゃないの?」
「「「は?」」」
男三人が、ぽけらった。
笑える。
じゃなくて!
即急にけりを付ける為に、手間暇掛けて[魔天]での捕獲作戦を立てたんじゃなかったの?
「あああ。ナーナシロナ様。ご無沙汰しております。ではなくて、お久しぶりでございます。でもなくて! なんとかしてくださいませ!」
高ピー少女の襟首を引っ掴み、引きずってきたペルラさんは、増々やつれていた。目の下の黒々とした隈がとっても印象的。特殊メイク無しで、ホラー映画に出演できる。
一体全体、何があったのか聞いてみたい。でも、あまりの形相に怖くて聞けない。
「とにかく、とにかく人手が足りないのでございます。ここでは落ち着いて話も出来ませんわ。すぐに、今すぐ、工房に来てくださいませっ」
早口でまくしたて、わたしの手を取るペルラさん。
「あ、う。えと。一つ、質問。ここ、練兵場でしょ? なんで、ここに連れて来たの?」
「クロウさんを、ペルラ様の工房に連れて行けないからです」
「貴族街で大型魔獣に闊歩されては困る、と陳情がありまして」
悲しそうな顔をするメヴィザさんに、ミゼルさんが補足を付ける。
「もう一つ、いい?」
「なんだ」
「ええと、団員さん達が勢揃いしているのは?」
「サイクロプス対策だ。未だに、警戒する奴が多くてな」
おーあーるぜっと!
ウォーゼンさんの解説に、膝をつく。なんか、怯えまくっていた自分が馬鹿みたい。
サイクロプスの攻撃力は、とにかく半端ない。大規模隊商を壊滅させ、小さな村なら完膚なきまでに叩き潰す。
だが。危険度ならば、わたしはサイクロプスの比ではない。なんといっても、小砦を廃墟にした「実績」がある。
「それに。乱暴な手段で連れて来たロナ殿が、暴れた時の対策に・・・」
見上げれば、ウォーゼンさんの顔が明後日を向いている。あ、ミゼルさんやメヴィザさんまで視線をそらせた。
「確かに、乱暴だったよね」
びくうっ!
サイクロプスが、思いっきり後ずさる。
少々嫌みを込めた手段の感想を言っただけで、そこまで怯えなくてもいいじゃないの。傷ついた、と顔を向けたら、とうとう壁際まで下がってしまった。巻き込まれかけた兵士さん達は、逃げ惑う。なんだかなぁ。
「盗賊の捕縛では、とても効果的でしたので・・・」
ええ、ええ。凶悪犯ですよーだ。それにしても、もう少しお手柔らかな手段もあったのでは、と思うのはわたしだけだろうか。
「逃げ足の速いロナ殿を確実に捕まえ、ごほん! 確保してローデンまで護送する手段を、他に思いつかなくてな。メヴィザの案を採用した」
「どんな屈強な盗賊でも、二刻も転がしたら虫の息だったのに。四日も閉じ込められて、それでもぴんぴんしているなんて。ロナさん凄いです!」
早口で捲し立てるメヴィザさん。でも、それ、褒めてないから。
「ナーナシロナ殿のことですから、それくらいは当然でしょう」
何故、ミゼルさんがしたり顔で言うのかな〜。
なんて会話を交わしているわたし達の周囲に、
ひゅううん
いくつもの火の玉が周囲に浮かび、
「世間話もそのくらいにしていただけますでしょうかしら?」
語尾の怪しくなったペルラさんがにっこりと笑いかけてきた。
あ〜あ。サイクロプスは、頭を抱えて丸まってしまった。あまりの怯えっぷりに、武器を構えていた兵士さん達が困惑している。へたれ度は、更に磨きがかかっているようだ。魔獣なのに。
「クロウさん! こちらの女性は、あなたに怒っているのではありません。安心してください」
メヴィザさんは、宥める振りして戦線離脱。主従揃って、臆病者め。
「ナーナシロナ様。のんびりしている暇はございませんの。さ、さささ! どうぞ、こちらにお越し下さいませ。さあ、さあ、さあ!」
歌舞伎役者の様な掛け声を掛けて、わたしの手を引っ張った。
「あ。え? ここ、いいの?」
「よろしいのです。今は、わたくしどもの工房が最優先ですのよ」
「あー。ロナ殿。よろしく頼む」
団長副団長が、揃って、両手を合わせて拝んできた。
そう言う習慣もあるんだ。
じゃなくて。
どなどな? いやーーーーっ!
練兵場入り口に待機していた馬車に、火事場の馬鹿力で押し込められた。すぐさま、街道もかくやというスピードでかっ飛ばす。どうでもいいけど、整地された大通りだというのに、馬車の中は激しく揺れて、また車酔いする所だった。通行人を怪我させたりしてないでしょうね。
工房に到着すれば、警備の傭兵さんに挨拶する間もなく、機織り部屋まで引きずり込まれた。
誰が、とか、誰に、とかは、もう言わなくても判ると思う。
「早速ではありますが、ナーナシロナ様、機織りと糸取りとどちらがよろしいですか?」
問答無用で、作業の選択を迫るペルラさん。わたしに拒否権はない、らしい。
「どっち、って、いきなり言われても」
「織り機は間に合っておりますが、織り手が足りません。そして、布にする為の糸は、糸巻きに調整した傍から、なくなる有様ですの」
説明しつつも、ペルラさんは織り機の前に座り込み、調整を始めている。残り三台の織り機は、空だ。
「織り手さんが訓練中、って言ってたよね」
「早々に怪我をして退職しましたわ」
「織り機に潰された?」
軽いジョークのつもりだった。が。
「いいえ。いえ。似たようなものですわね。糸を扱う際に、指が一本飛びましたの」
真顔で返された。
「指が飛んだって・・・」
シャトルの扱いを間違えたとか。絹糸でも、下手をすれば皮膚を切るくらいはするけど。
「ええ! ぷちっと、落ちました。ですが、織り機の様に体が真っ二つにならなかっただけでも、幸いでしたわ」
「・・・」
リアルホラー、第二弾?!
「運良く工房に居合わせていたエッカ様が適切に処理してくださったので、後遺症はないとの事でした。でも、彼女は、治療が終わった直後に「探さないでください」と言いおいて出て行ってしまいましたの。事故を目撃していた他の織り子達も怯えて糸に触るどころではありません。幸い、修行させていただいた機織り工房も人手不足ということでしたので、そちらに斡旋しましたが。
それにしても、まさか、糸を扱う人にまで制限があったなんて、思いもしませんでしたわ!」
そこは、笑って言う話じゃない。とは言え、冗談でもない、らしい。ペルラさんの目が空ろだ。怪談連発は止めて。
「あー。そうだったんだ〜。大変だったねぇ」
「ということで! ご協力、願えますですわよね?」
にたぁりと笑うペルラさん。笑顔での脅迫って、怖いよね。
じゃなくて!
「なんで、そこまで慌てる必要があるのさ」
ペルラさんの手が止まった。
深々とため息をつく。
「ナーナシロナ様のご想像通りになりましたの」
「何が?」
いろいろ言った覚えはあるが、どれの事だか判らない。
「最初に完成した生地の一つは、王妃様に献上いたしましたわ。ヘンメル殿下の誕生式にも使った布地という事で、とても喜んでくださいました。それに、」
ため息、もう一つ追加。
「それに?」
「初めて、初めて! レオーネ様がご自分から進んでドレスを御召しくださいましたの。わたくしの織った生地を使ったドレスを、ですわ。
一時の評判もあって、男性方から忌避されていましたのに、まるで狼の前に投げ込まれた生肉のようでした! 我が国だけでなく国外の貴族の方々からも、ダンスの申し込みが耐えることはありませんでしたわ・・・」
うん。想像できない。レンのドレス姿。
に、しても。献上する、まではいい。その後の「ダンス」にどう繋がっているのか。
「ペルラさん。それ、どこで見たの?」
「工房の責任者という事で、魔道具の評価会場に出席してましたわ」
魔道具のお披露目で、ダンスまでする必要があるのだろうか。今ひとつ、理解できない。
「で。事前に、ドレスも作っていた、と」
「レオーネ様から、ご依頼がありましたの。「ロナが協力するなら、わたしも」とおっしゃいまして。普段お召しになる上着やシャツ等も注文されましたのよ?」
「・・・」
どう考えても、演出過剰。
放っておいても見返り美人なレンが、ドレスアップして公式行事に参加する。その服地は、今まで衆目に公表されたのは、ヘンメル君の誕生式だけ。宣伝効果は絶大。
レン。やり過ぎだぁ。
「以来、国内外からの注文が殺到しておりますですの。ところが、先ほども申し上げました通り、糸紡ぎから機織りまで、資質のないものには触る事すら出来ません。おかげで、人手不足の人手不足に人手不足で・・・」
ため息と一緒に、魂も抜けていそう。いや、抜けている。抜け出して、暗黒オーラとなって纏わりついている。こ、怖いよぅ。
「ライバさんが居るじゃん」
「資質はありましたが、こう、糸の加工には、その、向き不向きというものもございまして」
あ〜。ろくな品質にならなかったのか。
「資質って?」
「おそらく、ではありますが。[魔天]に入り込める程度の魔力耐性があれば良いようですの。今、ギルドにも協力を仰いで確認しておりますわ」
「今、ペルラさん以外に作業出来る人はいるの?」
「王宮の退職女官を二人勧誘しましたの。妃殿下のドレスを作成するのに協力していた者達ですわ。ですが、機は織れますが糸紡ぎは経験がないと申しておりまして」
今から技術を取得してもらうには時間がない、と。
「あれ? じゃあ、糸紡ぎは誰が?」
「わたくしと、孫が」
そう言って、もう一人の同行者を見下ろす。
ペルラさんがフライパンで撃沈し、今現在、機織り部屋の床に伸びたまま。
「もう起きているのでしょう? さっさと作業に取っ掛かりなさりませ!」
もう、口調がぐちゃぐちゃだ。
「お婆様。もう、お止めになればよろしいではありませんか!」
高ピー少女は、真っ向対決する気だ。身内が、げっそりやつれるほど仕事に追われているのを見て、心を痛めているのだろう。
「ローデン王宮女官長まで勤めていらした方がする仕事ではありませんわ!」
前言撤回。身分とか見栄とか、そういう観点からの諌言でした。
「あら。わたくしに口答えするというなら、学園で使い込んだ時に立て替えててさしあげた費用を今すぐ返してくださる? 工房のやりくりも苦しいんですのよ? さあ、さあ、さあさあさあ!」
天然の隈取りと相まって、迫力倍増。ペルラさん、素で歌舞伎役者もやっていけそう。
「うぐっ・・・」
弱みをがっつり掴まれていれば、勝敗は明らかだ。敗者は、わたしを睨みつけ、とぼとぼと加工部屋に移動していった。
「あれ? でも、魔術師団のマント、着てたよね」
「ええ。ですから、王宮公認のアルバイトなのでございますですわよ」
「まさかの休み無しっ!」
そりゃ、必死に止めさせようともする訳だ。昼間は、魔術師団で引っ張り回され、空き時間にはひたすら糸とって糸とって糸とって・・・。
そういえば、[魔天]に行って戻って、すぐさま工房で作業する訳で。
「むごい」
「そう思ってくださるなら、すぐさま、今すぐ手を動かしてくださいませっ」
もはや、悲鳴だ。
「あー。うん。それなら、糸紡ぎを手伝ってくる」
「今日は、糸が足りなくて二人には休んでもらいましたの。ですが、明日には復帰してきますわ。それまでに、二機分を用意してくださいましね」
「は?!」
「今織っている分で、在庫は空っぽなんですのーーーーーっ!」
よく、よくもまあ、今までやってこれてたもんだ。
サイクロプスのドリブル運搬中に、マジックボンボンに詰め込んだ糸がたんまりある。あ。全部、毒血で染色済みだ。だめだ。繭から採るしかない。
「手伝いにきたよー」
「さっさとしてくださいませっ!」
高ピー少女の口調は、ペルラさんそっくり。きっと小さい頃から尊敬していたのだろう。
だがしかし。
「ううっ。お婆様。厳しすぎますわ。どうして、わたくしが、このような、ことをっ」
あまりにもブラックな労働環境に、敬意もへったくれも吹っ飛んだらしい。糸だけでなく、愚痴と泣き言が延々と紡がれている。
「こっちの桶で作業するね」
「使い方が判らないでしょう。ライバさんを呼んできますわ」
ソレを口実に、さぼる気だろう。それでもいいけど。
「知ってるから大丈夫。これ作ったの、ボクだもん」
「・・・はい?」
高ピー少女の手と口が止まった。
「初めまして。ボク、ななしろ。よろしく」
「あ、はい。よろしく、ですわ。わたくしはティエラと申しますの。って、そうではありませんわ! 作ったって、作ったって、言いました? 空耳ですわよね」
「準備作業、進んでるでしょ?」
備え付けの温水を出す魔道具を使って、湯を貯める。一定量が溜まったら、桶の保温機能をオンにする。よしよし、いい感じだ。
さて、繭を取ってこよう。それとも、「山茶花」から取り出すかな。と、倉庫に行く前に、向こうから歩いてきた。・・・繭が歩いてくる訳ないじゃん。
抱えた繭が下ろされると、見知った顔が現れた。
「ティー坊。ほれ次っ。・・・ああああーーーーーっ! 小僧っ。今までどこに雲隠れしていやがったぁあぁぁぁぁぁあああっ!」
「具合が悪くて、ずーーーーーっと養生していたのっ」
指を突き刺して絶叫するライバさんに、こちらも大声で答える。その間にも、防水加工を施した胴衣を取り出す。で、エプロンも身に付けて。
「だからって、だからってなぁ。音信不通はねえだろうがよ」
ライバさんは、ブツブツ文句を言いながら、次の繭と糸巻きを取りに行った。
「お知り合いでしたの?」
「知り合いも何も、なにもかも、小僧が発端だ。この、悪党」
戻ってきたライバさんが、準備の整った桶に、繭を放り込む。ついでに、たっぷりと恨みの籠った愚痴をこぼす。
「んまぁっ!」
更にきつい目で睨むティエラさん。
「ここまで大事にしたのはペルラさん達でしょ」
「煽っておいて、その台詞はねえだろうがっ」
「そうですわっ」
「ティエラさん、んー、ティーさんでいいよね。で、ティーさんには関係ないでしょ」
「今現在、この状況を見てよくそんな事が言えますわねっ」
「ティー坊は、まずいやつに弱みを握られてるからな」
「きぃいいいぃぃっ!」
ライバさんの台詞を聞いて、悔し涙を流すティエラさん。さっきの借金云々の事だろう。
「それにしても、前振りも無しに、どうやってここに来たんだ?」
前振りって、王様の行幸じゃあるまいし。
「ティーさん達に強制連行されてきた。まったく、酷い目にあった」
「酷い目に遭っているのは、わたくし達ですわよっ」
「ティーさんは、ペルラさんにでっかい借りを作ってたんだから。自業自得だよね」
「いやーーーーーーっ。それを言わないでぇ〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
若気の至りは、怖いねぇ。
サイクロプスによる、ドリブル運搬。想像しただけで、目が回りそう。




