030・レベルと魔力の関係
リディアとルディアの初期レベルを修正しました。
ユーリ姫が王都に帰り、ミーナが護衛について行ってから一ヶ月が経った。リディアとルディアの装備も完成し、フィールにもハンターがやってくるようになって、大分活気が戻ってきている。これでやっと、俺達も遺跡の調査に行けるってもんだ。
「マイライト山頂に遺跡なんてあったんだ」
「初耳ですけど、もしかしなくてもお二人が確認したんですよね?」
「ええ。見つけたのは偶然だったけど」
「というかマイライト山頂って、フェザー・ドレイクの巣じゃない。よくそんなとこ行こうと思ったわね」
この一ヶ月でプリム達にこの世界のことを色々教えてもらい、レベルと魔法の関係なんかも検証したりしていたので、それなりにレベルは上がった。これが今の俺達のライブラリーね。
ヤマト・ミカミ Lv.61 17歳
ハンターズギルド:アミスター王国 フィール
ランク:H
レイド:ウイング・クレスト
異界からの客人、異世界の刻印術師、魔導探求者、ヒポグリフの主、公爵令嬢の婚約者、見習い騎士の婚約者、双竜の婚約者、天空の覇者、亜竜の天敵
プリムローズ・ハイドランシア Lv.58 17歳
ハンターズギルド:アミスター王国 フィール
ランク:A
レイド:ウイング・クレスト
白狐の翼族、獣人連合の公爵令嬢、客人との絆を深めし者、ヒポグリフの主、客人の婚約者、極炎の翼、亜竜の天敵
リディア・ハイウインド Lv.29 16歳
ハンターズギルド:バレンティア竜国 ドラグニア
ランク:G
レイド:ウイング・クレスト
水竜の竜族、双竜、客人との絆を深めし者、客人の婚約者
ルディア・ハイウインド Lv.29 16歳
ハンターズギルド:バレンティア竜国 ドラグニア
ランク:G
レイド:ウイング・クレスト
火竜の竜族、双竜、客人との絆を深めし者、客人の婚約者
はい、しっかりとヒヒイロカネランクに昇格しました。プリムも近いうちに昇格すると思う。
で、リディアとルディアだが、言いたいことは色々あると思うが、まずはレベルからだ。出会った時のレベルは24で、レイドを組んだこともあり俺達が開発した魔法のコツを教えたんだが、この一ヶ月で何とか使いこなせるようになり、魔力の消費量は抑えられるようになったが、イメージが大変だと散々ぼやかれた。まあ水竜、火竜というだけあって、リディアは水、ルディアは火魔法が得意みたいだ。逆属性の魔法はほとんど使えなかったし、他の属性もまだ慣れてない感じがしたから、慣れてくれば問題なくPランクにはなれるだろうな。
んで称号の通り、この子達もしっかり俺の婚約者となりました。
二週間前だったかな、例のハンター崩れどもが盗賊に身をやつし、リディアを人質にとったことがある。元ギルドマスター サーシェル・トレンネルが焚きつけていたとはいえ、自ら進んで盗賊に堕ちたわけだから、しっかりとハンターズギルドから懸賞金もかけられてたんだが、どうやらそれは俺達のせいだと逆恨みし続けていたようだ。そんでリディアを人質にして、俺達に復讐をしたかったらしい。
実際それでプリムは動きを封じられたが、俺はこっそりと左腕にミラー・リングを生成し、ひっそりと水性A級広域対象系術式ニブルヘイムを発動させ、ゆっくりと周囲の大気を氷らせて、あっさりと連中の動きを封じてリディアを助けたというわけですよ。対象系だからリディアは当然無傷だったし、連中の意識は奪わず、気づかせずに首から下だけを氷らせたから、けっこうな恐怖だったと思う。知ったことじゃないが。ちなみにそいつらは、しっかりと粉々にしておきましたよ。まだレックス団長もミーナも王都から帰ってきてないから、騎士団に余計な仕事をさせるつもりもなかったし。
で、腰を抜かしたリディアを抱えながらジェイドに乗ってフィールに戻ったんだが、どうもそれがリディアの琴線に触れたらしい。リディアはいわゆる恋物語を愛読しているんだが、どうやら俺と白馬の王子様が重なったらしい。実際には白馬の王子様じゃなくてヒポグリフに乗った刻印術師だったわけだが。
んで、そこから怒涛のラッシュをかけてきて、あっさりと陥落させられてしまったというわけです。四六時中ひっついてくるのは当たり前で、全裸で一緒に風呂に入ってきたり、朝起きたら全裸で俺のベッドで寝てたりと、本当に怒涛のラッシュだった。
一方のルディアは、素手の魔法無しの戦闘でも自分より強い俺に興味を持っていたんだが、同時に自分が女の子らしくないことも自覚していた。そこを俺が普通の女の子扱いしてたもんだから、リディアより前から恋の炎を燃やしていたらしい。その上俺が姉を見捨てずに助けたわけだから、そこでノックアウト。まあリディアと違ってかなり控えめだったが。一緒に風呂に入ってきても水着は着てたし、俺のベッドにもちゃんと寝間着を着て潜り込んできてたし。あれ?十分積極的じゃね?
プリム?二人を俺の嫁にしようと考えてたんだから、何も言いませんでしたよ。むしろプリムも当たり前のように四六時中ひっついてくるし、全裸で風呂に入ってきたり、全裸でベッドに潜り込んできたりしてますよ。まだ結婚してないから最後の一線だけは越えてないけど、俺の理性がいつまでもつか……。
そんなわけでミーナに続いて、リディアとルディアも俺の婚約者となったわけです。二人はバレンティア竜国の竜都ドラグニアの出身で、お義父様はバレンティア近衛竜騎士団の団長さんなんだとか。いずれご挨拶に伺わなければならないのですが、大切な娘さんを二人ともいただくわけですから、本気でドラグニアに血の雨が降るんじゃないかと戦々恐々としておりますです、はい。
なおリディアとルディアにも、俺が客人だってこと、プリムが公爵令嬢だってことは伝えてある。正直、プリムの思惑通りになるとは思ってなかったが、仲間に隠すつもりもなかったしな。
「そのフェザー・ドレイクの討伐依頼があったからだな」
「依頼があるから行くって場所じゃないですよ……」
この間0.1ミリ秒。ルディアの疑問に答えたわけだが、間髪入れずにリディアが呆れた声で返してきた。さすが双子、息ぴったりだ。
「フロライトとジェイドの獣具を作るためにも、フェザー・ドレイクの皮が必要だったのよ。そこにその依頼だったから、それならいっそ、と思ってね」
そうなんだよ。あれからジェイドとフロライトの獣具も獣車も完成し、受け取っている。受け取ってるんだがこの一ヶ月で、ジェイドもフロライトも体が一回り大きくなったから、何度か獣具の調整をしてるし、場合によっては新しく作り直さなきゃいけない。あの群れを見る限りだが、成獣になると体長5メートルぐらいにはなるだろう。けっこうデカくなるみたいだから、獣車の方も考えなきゃいけない。
その獣車、ストレージ・ミラーを付与させたことで、快適空間を作ることができた。拡張空間へ通じるドアを開けると20畳ほどの広さのリビングに繋がっており、キッチン、風呂、トイレも完備だ。もちろんジェイドとフロライトの寝床も用意してある。
ちなみにこの獣車、ストレージ・ミラーは俺達が付与させたから、お値段は8万エルだった。普通の獣車の相場が5万エルだから、それよりかなり高い。もちろん理由はある。
それがサスペンションの存在だ。地球でも、確か17か18世紀頃には登場していたらしい揺れを軽減するこのシステムは、金属製の車輪の獣車には必要不可欠だ。プラダ村へ行ったときに痛感したよ。おかげで揺れは少なくなったんだが、なぜ相場より高いかと言うと、サスペンションに使うバネの生産が容易ではないからだ。
詳しくはないが、最初にバネと聞いた時、俺はステンレスなんかの金属を思い浮かべたんだが、ヘリオスオーブでは、というかフィールではミスリルを物質変形魔法フォーム・クリエイターで加工していたな。繊細な作業と集中力が必要だから、慣れている人でも一日に一つ作れればいい方だというぐらい魔力を消耗するらしい。普通の剣とかなら一日に10本は作れるそうだから、いかに大変かがよくわかる。
「あんた達って、本当に常識が通じないわよね。そもそも今大和のいるHランクって、半分以上はレベル50にも届いてないのよ?それなのにプリムは60近いし、大和なんて文句なしのHランクになっちゃうし」
「登録して僅か一ヶ月でHランクになるなんて、聞いたことないですよ」
「……」
耳が痛いわ。
俺がHランクになったのは十日程前だ。ギルドマスターに昇格したライナスのおっさんも驚くより先に呆れてたしなぁ。普通、こんな早くレベルアップはしないもんだが、この一ヶ月でその理由は予想がついた。
レベルは魔力と肉体の親和性が高い程高い。親和性を高めるためには魔法を使うしかないのだが、魔法は体系化されていないこともあって効率が悪く、親和性を高めるのは一苦労も二苦労もすることになる。無属性魔法は体系化されているが、大気中を漂っている魔力だけで事足りてしまうこともあるため、親和性を高めることはできない。
だが属性魔法を体系化というか、効率よく使う分には問題ない。だから俺達は、普通より早くレベルが上がってるというわけだ。残念なのは王都に行っているミーナには、まだ教えられてないことだな。
「リディアもルディアもレベル上がって、Gランクになったじゃない」
「そうなんだけどね……」
「問題もありますよ。こんなに早くレベルが上がると、どうしても目立っちゃいますから。まあHランクハンターにAランクハンターもいるから、手を出してくる人はいないでしょうけど」
「いても潰すだけだけどな。そういやHランクって、半数はレベル50にもなってないって本当なのか?」
「ええ、本当よ」
ルディアの答えに驚いたが、理由を聞けば納得できた。
現在Hランクのハンターは、俺を含めて9人だが、そのうち5人はレベル50にもなっていない。レベル50といってもAランクだから実力は十分なわけだが、Hランクはレベル61からになるので、レベルが不足してる感は否めない。
ではなぜ、そんなAランクハンターがHランクに認定されたかと言うと、Aランクのレベルと実力があるのはもちろんだが、最も評価されたのは指揮能力なんだそうだ。
Aランクハンターはプリムを含めても50人程度だが、稀にそのAランクとHランクのみでレイドを組み、危険地帯への調査が依頼されることがある。その際にレイドリーダーとして指揮を執るのがHランクなのだが、実際にレベル61以上のHランクハンターは個人で行動することも多いので、指揮を執るには向いてないそうだ。最低限の魔物の知識はあるが、迂闊な指揮をされてしまえば、いかにAランクであっても全滅する可能性はあるし、一度に多くのAランクハンターを失うことはハンターズギルドとしても避けたい。だからハンターズギルドが、レイド指揮の実績のあるAランクハンターを見つけ、詳細に調査した上で特例としてそのハンターをHランクとして認定しているということだそうだ。
「実際にHランクに認定されたハンターは、けっこうなベテランよ。ギルドからの信頼も厚いから、Hランクの人達も文句を言わないらしいわ」
「そういうことなら納得だ」
「私も大和も、いつか狩り出されるかもしれないものね」
さすがにこちらの都合は考えてくれるが、Aランク以上のハンターの義務でもあるからな。あ、待てよ。フィールの状況が落ち着いたこともあるから、マイライトの山頂も調査対象になるんじゃないのか?
「なあプリム、マイライトの山頂って、エビル・ドレイクやオークの集落のこともあるから、けっこうな危険地帯になったってライナスのおっさんが言ってたよな?」
「言ってたわね。って、それマズいわ!調査が依頼されたら、AランクやHランクのハンターが大挙してフィールにやってくるじゃない!そうなったら遺跡の存在がバレちゃう!」
だよな!日本語を読めるハンターがいるとは思わないが、壊される可能性は否定できないし、回収されてどっかに売っぱらわれることも考えられる。そうなったら客人の遺産を拝むこともできなくなる。これは早急に調査しなきゃならん!
「というわけで、明日からマイライトに行くぞ」
「フェザー・ドレイクも最近は私達の姿を見たら逃げていくから、危険度も下がってるでしょうしね」
俺の提案に、プリムは二つ返事で肯いてくれた。
「それはあんたらだけよ……」
「フェザー・ドレイクがハンターから逃げるなんて、初めて聞きましたよ……」
だが竜の双子は派手に脱力していた。うん、そうだと思う。なにせこの一ヶ月で、50匹以上のフェザー・ドレイクを狩ったからな。ほとんどは俺のボックスに入ってるが、いずれ使う予定があるから売るつもりはない。その中には希少種のウインガー・ドレイクも数匹混ざっている。エビル・ドレイク程ではないが、体長5メートル近い巨体だったから、ライナスのおっさんやカミナさんもひっくり返ってたよ。
そのせいかマイライトのフェザー・ドレイクは、俺達の姿を見つけると一目散に逃げるようになってしまったんですよ。逃げたりしなくても本当に生態系が狂うから、これ以上狩るつもりはないんだけどな。
そーゆーわけで明日、マイライト山頂に向かうことに決定だ。
第二章開始です。
まずはレベルと魔力の関係から。
あ、リディアとルディアの装備はこんな感じです。
リディア・ハイウインド 基本カラーはマリン・ブルー
武器:アイス・エッジ(ラムウ・サンダーストライク)
アクア・エッジ(ヴォーテックスゲイズ)
頭装備:なし
胴装備:ミスリル・マリンドレス(スカイパイレーツ・ディフェンダーコート)
腕装備:ミスリル・アームガード(デモンズ・スカウトブレーサー)
脚装備:ミスリル・パッチキルト(シャーレアン・エージェントキルト)
足装備:ミスリルソルレット(バハムート・ディフェンダーサバトン)
アクセサリー:なし
リディア・ハイウインド 基本カラーはヴァーミリオン・レッド
武器:ドレイク・ガントレット(ホークウィング・クロー+バハムート・ディフェンダーガントレット)
頭装備:なし
胴装備:ミスリル・フレイミングドレス(スカイパイレーツ・ディフェンダーコート)
腕装備:ミスリル・アームガード(デモンズ・スカウトブレーサー)
脚装備:ミスリル・スカートタイツ(ダイヤウルフ・ストライカースカート)
足装備:ミスリルソルレット(バハムート・ディフェンダーサバトン)
アクセサリー:なし
腕と足の装備は大和達と共通です。
メインの胴装備はお揃いです。この姉妹、好みが似通ってるので色違いとなります。脚装備はルディアは近接格闘なのでスパッツにミニスカートとなりますが、リディアはロングスカートで差別化を図ってる感じですね。
ミーナの装備はまたいずれ。
大和とプリムの称号が一つ抜けてたので追記しました。




