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クリスマスの戴き物です! (不知火 螢様より)

ほのぼのにゃんこのクリスマスー!

裏子猫隊子猫様のミニストーリー第2弾です。

不知火 螢様ありがとうございます!

「メリークリスマース! なのにゃー!!」

「仔猫ちゃんは今日も元気ねぇ。はいこれ、プレゼント」

「これはあたしと家の人からね」

「にゃにゃ、ありがとにゃー!」

「仔猫ちゃんにはいつも元気を分けてもらってるし、色々と有益な情報も貰ってるからねぇ」


 裾が白のボアでモコモコな赤いケープに同じく赤いスカート。猫耳のアイダに白いぽんぽんの付いたこれまた赤い帽子を被り、私は裏町を走り回っていた

 本日はクリスマス。別に、プレゼントが欲しかったわけではないのだが、テンションが上がりに上がりまくってついついはしゃがずにはいられなかったのだ。

 今の私にクリスマスは何の思い入れはないのだが、クリスマスは以前の私の子供の誕生日。記憶を持ち続けるわたしにとって、大切な記念日は生が変わっても大切にしたいのだ。

 ……まぁ、生まれ変わった本人と再会してるけど。

 むしろ朝一で会いに行ったけど。

 そしたらあの子の世界ではクリスマスでも何でもないからきょとん、とされたけど。

 ……いいんだ、お母さんはあなたの顔が見たかっただけだもの。

 ……くすん。


 そんなわけで、発散しきれない昂ぶった気持ちを鎮める為にお城でもはしゃいでいたら陛下に怒られ、仕方ないから陛下とのお昼寝ポイントではしゃいでいたら今度は天敵に見つかったので、こうして裏町に避難してきてはしゃいでいる、というわけである。


「おっちゃーん、キッチン貸してなのにゃー♪」

「……好きにしろ」


 ドアをすり抜けていつものオンボロ酒場に我がもの顔で入っていく。

 いつもの強面店長は何か物言いたげであるが、私には何を言っても無駄だとこれまでの経験で理解しているのだろう。私に好きにさせている。


「さて、ではケーキを焼くのです!」

「……材料は?」

「それは大丈夫です! ぬかりなくお城から調達してきました!」


 じゃじゃーん、と一時幻界に保管しておいた材料を取り出す。

 お城から勝手に持ってきたけれど、まぁ、気にしない。陛下付きのメイドとしてのお給金の一部であると勝手に言い張っておく。

 それに、この国はほら、裕福だから! 竜王陛下のおわす国で裕福だから! こんなケーキの材料くらいはいいだろう。


「何を作る気だ?」

「極々普通のショートケーキですにゃー。私の大切な子の好物だったのですにゃー。あと、クッキーでも焼いてプレゼントをくれたみんなに配ってくるにゃ~」


 何の変哲もない、普通におやつとかにも作っていたケーキだったけど、あの子はそんなケーキを一番喜んで食べてくれていたのだ。食べてくれるあの子はここにはいないけれど、私のこの昂ぶる思いをどうにか鎮めるためには焼かせてもらおうではないか!


「ふんふふーんにゃ~♪」


 カシャカシャとボウルと泡だて器で生地を作り、生クリームをひたすら泡立て、そして完成するケーキ。

 久しぶりにお菓子を作ると楽しくってちょっと生地の量を間違えて大きなケーキになってしまったけれど、まぁいいだろう。


「それじゃ、お邪魔しましたにゃ~」

「……今日の分のケーキが少なかったら、お前のせいだからな」

「にゃんと、それはいけないにゃ! おっちゃんのケーキは絶品だから数が少ないのは困るにゃ! でも元々ここにくるお客さんは少ないから問題ないにゃ~」

「…………うるさいぞ」


 そんなこんなで私は今日も自由に生きて自由に遊んで自由に動いて、そしてそんな私を許容してくれている、ちょっとへたれだけど心優しい竜王陛下の元へと戻っていくのだ。


「へーかー、ケーキ焼いたから食べれにゃー!」

「仔猫、どこに行っていたんだ?」

「陛下に追い出されたから町で遊んできたんだにゃー。で、町のみんなからプレゼントを貰ったからお礼のクッキーとこのケーキを焼いて帰ってきたにゃー。ささ、つべこべ言わずに食えなのにゃー」

「……なんだか、優しい味だな」

「ふんふふーん、お母さんの味なのですにゃ~♪」


 気分の良くなった私は陛下の頭をなでなでする。幼女に頭をなでられる陛下の図、というのはなんとなく情けないような気もしないでもないが、まぁ、この部屋には気心の知れた人しかいないのだからいいだろう。


「ささ、グラハム様も黒猫ちゃんもちびくまちゃんも、遠慮なく食べてにゃ~♪」

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