表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でレースしてみない?  作者: 猫柾
第四章 大器晩成のルーキー
68/140

夢:The Lady with a Cat

 





 その日は長い夢を見た。






 *






 俺は仰々しい装飾が付いたドアを開け、古めかしい洋風のカフェに足を踏み入れた。


「あら、いらっしゃい」


 窓際には丸い木のテーブルと、それを挟んで向かい合うように置かれた椅子。

 そのうち一つには既に誰かが座っていて、俺を見るなり声をかけて手招きした。


「どうぞ座って」


 俺は言われるがまま、椅子に座った。


 目の前で紅茶を淹れているのは――――貴婦人のような少女だった。

 赤いドレスが窓から差し込む光に反射して、微かに透けている。

 少女はティーポットから静かに紅茶を注いだ。


「アッサムティーのセカンドフラッシュよ。召し上がれ」


「ありがとう」


 お言葉に甘えて、カップを口元に運んだ。

 綺麗な赤褐色の紅茶からはチョコレートにも似た柔らかい香りが漂う。

 一口飲むと、濃厚な甘味の中からパンチの効いた深いコクが感じられた。


「味がハッキリとしていて美味しい」


「そうでしょう? アッサムはミルクティーが定番と言われているけど、私はストレートも好きなの」


 自慢げに語る少女は楽しそうだった。

 温かい紅茶を飲むのは久々だ。気分が落ち着いてくる。


「紅茶に含まれるテアニンという成分は、緊張を和らげる効果があるのよ。レースの前に飲んでみてもいいんじゃないかしら」


「それは役立つ情報だな」


 しばらく紅茶を飲んでいると、どこからか猫が歩いてきた。

 少女が手を広げると、猫は膝の上に飛び乗った。


「猫飼ってるの?」


「ええ、そうよ。あなたなら知っているはずだけれど」




 俺なら知っている?


「……それは、どういう――――――」






 *






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ