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031:ガーディアン。其の4

 ▽

 プレイヤーネーム:レド

 種族:ブースデッドヒューマン(戦艦タイプ)

 職業:冒険者

 クラス:錬金術師

 称号:調合士

 装備:細見剣、地球製の衣類。

 [スキル]

 剣Lv1 投擲Lv1 錬金Lv2 調合ⅢLv1 染料Lv1 園芸Lv1 工作Lv1 味わいⅡLv1 香りⅡLv1 着心地Lv1 染色Lv1

 ▽

 プレイヤーネーム:ウルカ

 種族:地球人

 職業:冒険者

 クラス:忍者

 装備:忍者刀、棒手裏剣、地球製の衣類

 [スキル]

 忍者刀Lv1、手裏剣Lv1、裁縫Lv3

 ▽

 プレイヤーネーム:サクヤ

 種族:龍(フォックスに変化中)

 職業:冒険者

 クラス:戦士

 装備:槍、地球製の衣類。

 [スキル]

 槍Lv1、鍛冶Lv2、木工Lv2

 ▽

 プレイヤーネーム:アリサ

 種族:地球人

 クラス:獣使い

 装備:大鎌、地球製の衣類。

 [スキル]

 大鎌Lv1、テイムLv1、装飾製作Lv2。

 ▽

 プレイヤーネーム:ヒリュウ

 種族:地球人

 職業:冒険者

 クラス:召喚士

 装備:斧槍、地球製の衣類。

 [スキル]

 斧槍Lv1、召喚Lv2、料理Lv2

 ▽

 プレイヤーネーム:コマリ

 種族:ブースデッドヒューマン

 職業:冒険者

 クラス:錬金術師

 装備:杖、地球製の衣類。

 [スキル]

 杖Lv1、回復魔法Lv2、調合Lv2

 ▽

 5月9日。地球『ガーディアン』

 朝方、いつものようにヒリュウは朝食を作る、『森の都』での種の事もあり、さすがに過ぎるとは思うが、必要とはわかるので困った事でもあった。

 この結果ではあるが、レドの生産スキル、生活スキルは他の類を見ないほどの数だ。

 PTのサブリーダーなりに考えはあったとは思うが、全員が補習を受けたので、共同責任らしく、そう言った意味でPTらしい事ではあった。

 姫君より種は貰っており、農家の皆さんが聞いたら喜んでもらい受け、今頃生産中だろう。何せ異星の物だ。地球とは比べようがない貴重な物でもある。

 良い子と悪い事が一斉にあの少年に襲い掛かるのが、なんとも言うべきレドらしい事である、話を聞いた義姉のリャナは今回は報酬があるからよかったと言っていた。


 いつも通りの朝、さすがにウルカも気まずそうだが、レドは全く気にしていないようで学校の新聞を読み、ウルカに普通に挨拶した。

 PTのリーダーとして怒鳴り散らす事も一切ないので、相変らず寛容な少年だとヒリュウは思う。


「どうした?」

「お前は寛容だな」

「色々と経験したからな、特別警察の仕事に比べれば」


 特別警察の元刑事のレド、誰もやりたがらない仕事のみをレドが担当していた事もありその名前も酷いあだ名で有り、日本の警察からはレドの名前を聞く事すら嫌がられ有様だ。

 特別警察の最後の仕事だった、日本警察の証拠の押収、10年間も続くレドのライブでも放送された物だ。これが最後のライブとはならず、最後のライブは特別警察への反逆、一般的に言われるレドの裏切りである。これを期に様々な事があって、またこれが原因で世界情勢すら変化した。


「天国での神の仕事と何も変わらないから」


 他の者は何も言えない、なせならゴミ以下の仕事と呼ばれ、ゴミの方が喜ばれる人がいるから、主にリサイクル業者やホームレスなどもあるが、誰も喜ばなず誰からも酷い目で見られる、報酬もなくボランティアのゴミ以下の仕事を行っていた、これに比べれば遥かに良い仕事だ。

 人並みの生活を得た少年が、どうなるかはヒリュウにはまだわからない。


「学校と冒険も有るし、良い生活じゃないか、何より食事も有るしな」

「はいはい、じゃ食事だよ」


 よく分からない事も多いが、戦士としての仕事も出来ればヒリュウにいう事はない。


「飯が有ってしかも美味いというのは幸せだな」

「レドの好物は?」


 料理人のヒリュウにとってみれば重要な事ではあるが、戦艦が本体のレドにそんな物が有るのかは分からない。


「日本食」

「意外に普通だね」

「ガキの頃からよく食べていたからな」

「自炊?」

「いや養父と養母」

「居たんだ」

「ああ。養って育ててくれた人達だ」

「いい人たちだね」

「養父の方は子煩悩でちょっとあれな人でな、養母の方は仕事一筋の人だ」

「家族の事は伝えたの?」

「ああ。すごく喜んでいた。ああついに孫かという養母も言っていたが」

「会いたい」

「うーん。まあそうだな。今日はそうするか」

「じゃ食事してから行くよ」

「おいおい授業もあるだろ」

「偶には我儘を言わせてよ」

「分かった。いつも世話になっているしな」

「それは良かった。武装は整えていった方がいい?」

「うーん。まあ兄が守っているから安心だ」


 レドの兄である開発者は、頭はとても良いが、性格の方は酷すぎ、地球人の様な人をメモ帳としか思わない人物だ。

 そんな人ではあるが、裏切りが大嫌いで有り、弟のレドを本当に大切に助けてくれる様な人であり、アリサのような他はどうでもいいが、大切なものは大事という優先順位度のしっかりした人なのだ。


「なら大丈夫か、じゃあ服でも買ってから行こう」

「大賛成」

「うむ。悪くない」

「どんな服?」

「和服かの」

「そう言う堅い人じゃないから、普通の恰好でも十分だ。もしくは学校の制服とか」

「それはお断り」

「絶対に嫌よ」

「ああ。間違いなくそんな馬鹿は居ない」

「レドって服をどうしていたの?」

「いつも同じように変化させていた、つまりずっと同じ服を元に力で変えていた」


 誰も何も言わない、少なくてもヒリュウはそれを意味する事はよく分かる。


(大切な物か)


 レドにとってみれば大切な物となるのは想像し易い。


「じゃ食事だよ。誰も中断させないように」


 こう言ってから食べ始める、味わいの方はかなり上等な素材が使われたのとヒリュウの調理技術によって日本食の中でも高めのような味わいだ。

 食べた後に歯磨きなど、コマリは何を考えたのかレドの傍に観察していた。

 地球ではシステムアシストの関係で性能はよくない、頭の方もそれほどでもあり、最近改善され始めたとしても、WHO惑星並みになるのはまだ先だ。

 コマリがレドの自宅に入り、何やら色々と調べていた。

 親のレドにはよく分からない行動なのだが、地球育ちのブースデッドヒューマンでもあるコマリは他の同族とは違い随分と風変わりな少女でもある。

 コマリが出てくる、その顔はいつものように無表情でもあるが、他の仲間を呼びレドに待機するように伝える。

 仲間の四人に伝えた。


「レドは風呂もトイレも使っていない」

「「・・・」」

「なぜならそんなものが必要ないから、他のブースデッドヒューマンよりもレドは実に高性能、それはエネルギー効率なども随分と高性能、僅かなエネルギーを効率よく使うために排出なども行わない、全てをエネルギーに変換する」

「・・・随分とレドには謎が多いの」

「レドの祖父のサーフは言った。レドは試作品だと、これを基にサーフは作られた先行量産型だと、そんなレドは実質的に唯一の試作品、他の者に比べて性能が高く、また機能が沢山ない理由はレドの性能を恐れた」

「あの少年にとってみれば、人は自分達を恐れ襲ってくる存在じゃな」

「恐らく、ただ中にはリャナ、レドの養父、養母などもいる、だからレドはこれらを守るために何でもする、だから大切な物は絶対に守る」

「なるほどの、あの開発者にとってみれば同じじゃな」

「そう。弟を助けてくれた恩人、だから開発者は守る、これは絶対、それがレドと開発者の絶対の掟」

「味方にすれば頼もしいけどね」

「それでコマリとしては」

「?」

「何が言いたいのかがサッパリなの」

「レドは実に高性能よ」

「そうね。で、それが」

「・・・高性能なんだもん」


 コマリが拗ねてしまった。こうすると本当に双子という物である、よくティアも拗ねる、同じ様な事をするために、双子であり、血を分けた存在とよくわかる。

 四人とも苦笑し、サクヤが頭を撫でる。

 コマリは気に入らないらしく、振り払わないが睨んでいた。


「いくぞえ。祖父に会いに行くんじゃろ」

「うん。お祖父ちゃんはどんな人だろう」


 コマリにとってみれば、サーフは曽祖父に当たるらしく、双子を除き一人残らず血縁の無い絆によって結ばれた一族なのだ。

 サクヤが生徒会長に連絡し、特別に1日の許可が出たが、やはり補習はでる。

 住む区画の複合店、初めて訪れる女性の服のコーナー。

 男性の方もそうであるが、地球の時代別、地域別、職業別、用途別などとても沢山あっても困らないように整理されているので、21世紀の冒険者学生この仲間の家族に会いに服を選ぶ。

 一言で言うなら学校の制服などとは比べようもない物である。

 学校の制服である軍服のような制服、この用途の服は、見るからに可愛らしく、色彩も豊かであり、オプションの方も豊富であり、比べようもない物だ。

 強いて例えるのなら迷彩服とドレス位の違いだ。

 レドの方はスーツだ。ただ今回はブラックの上と下に、カラーシャツのスカイブルーのシャツに、ダークブルーのネクタイだ。靴の方は革靴で色合いは茶色だ。

 元々体格の立派な少年なので、似合うであるが似合い過ぎるのも考え物で、年齢がどう見ても二十代後半だ。若い女性がみれば間違いなく一目するような外見だが、それはとある筋の方々の好みだ。


「マフィアにしか見えないよ」

「そうね。酷くはないけど、見た目があれね」

「・・・こいつのファションセンスだけはどうしてもな」

「まともにしてくる」


 コマリが行くので安心していた。

 一同が見ているとコマリは考えたらしい、確かに見た目も有るのでどんな格好もマフィアにしか見えないが、ならばと惑星その物を変え、WHO惑星の『イーニャ』の服装にした。クラス錬金術師なのだが、レドにはよく似合う騎士服だ。

 白いシャツ、白いスラックス、白いマント、白いレザーブーツ、ベルトの方は濃いレッド、このベルトに細見剣を下げ、バンクルの方は銀色の方だ。

 帽子の方は三角帽子の羽根つき、色合いの方は錬金術師を表す緑だ。


「・・・化けた」

「体格があれだしね。こういった格好が似合うよね」

「元騎士だし、日本の物より馴染みやすいのよ。そんなレドにとってみればこんな時代の日本なんて他の異星と何も変わらないわ」

「そうだね」


 4名も買ってから着込み、サクヤは何故かフォックスの姿が好きなので、狐耳、狐の尾を持つために、どう見てもファンタジックだ。

 ウルカの方は長身、アリサは日本人に見え、ヒリュウは低身長の為に小学生だ。

 オプションの方も工夫し、帽子、装飾、靴、ソックスの方にも気合は入っていた。

 ちなみにウルカも、ヒリュウも化粧がさっぱり分からない、これをアリサが一生懸命教えていた。

 サクヤからすれば変な物を顔に塗る化粧という物がよく理解できない、奇妙な文化であるとしか思えないのだ。


 □地球『ガーディアン』→とある私有地


 レトロな車に乗り込み、PT用の為にバスだ。

 レドが目的地を伝え、無人運転で向かう。

 陸路で進み、日本の法律なども入っているらしく、信号があれば止まるなど、そんな事をして休憩地点に来る。高速道路なのでパーキングエリアだ。

 プレイヤーの車と分かる為に、誰も近付かないが、幼い子供にとってみれば興味の沸くもので、降りてきた一行に子供達が喜ぶ。

 主にレドの騎士服姿に、サクヤのフォックスの姿だ。


 買い物は簡単な機械操作であるが、コマリが担当した、レドにとってみればよく分からない道具でしかないためのものだ。

 飲み物を受け取り、食べ物の方はお好み焼きやたこ焼き、サクヤにとってみればどれも不味い食べ物なのでレドがアイテムボックスより取り出して渡す。


「すまんのう。これがない食事は辛くての」


 竜に人の食事と言われても、困るものでしかない上に、惑星まで違うので、基準とする食べ物から味から何まで違う。そんなサクヤにとってみれば、やっとの事の調味料だったらしい事は全員が分かる。


 飲み食いしていると、子供がやってくる、どうもレドに興味があるらしく、その前に立つじっと見る。

 レドはニコリ笑い剣を叩く、子供の方はコクリと頷く。

 これにレドが細身剣を抜く、子供にとってればとても興味が湧く物らしくじっと見ていた。


「渡せはしないが、見るなら構わない」

「ありがとう騎士のおじさん」


 女子5名が吹き出し、レドは老け顔な事をよく知っているので怒らずに笑顔を崩さない。

 他の子供の方もじっと見ていた。

 白い騎士服姿のレドが剣を抜いていれば、大人は逃げそうではあるが、他のプレイヤーが、日本人のような格好なので警戒心がそれほどわかなかったらしいが、ちらちらと見る程度で、写真や映像を取ろうとはしない。

 食事やらなんやらを終え、剣を戻してから手を振って離れる。

 その時に剣をていた子供が言う。


「どうやったらおじさんのような騎士になれるの」


 子供らしいと言えばらしい事ではあるが、レドは首を振る。


「俺は元騎士でな、国は戦に負けて滅んだ。ずいぶん昔の事だ」

「なれないの?」

「何故なる?」

「格好良く強そうだから」

「なるほど、そう見える訳か、騎士というものは人を殺す仕事だ。この国でいう自衛官だな、ならない方が良い仕事だ」

「なりたい」

「家族は悲しむぞ。両親やなんやらを捨てでもなりたいものか、大事なモノではないのか」

「大事だけどなりたい」

「いつか考えるといい、大事なモノを取るべきなのか、それとも自分のなりたいものを取るのか、どちらかしか選べないのなら、どちらかを取るしかない」

「よく分かんない」

「騎士になりたいから、騎士になるのなら、家族は捨てるしかない、もう会えなくなる」

「家族に会えないの?おじさんも?」

「当に昔にこの世にはいない、帰ってみればもう会えなかった」

「分かった」

「そう言う話だ。ではな」


 PT用のバスに乗り込み、向かう。

 警察の車等も後を追跡している、妨害ではない情報収集で、今はこのような情報収集が基本的な事となっている。どの勢力もプレイヤーの情報を集め、これを分析するなどしている。要するに殺すためにどうすればよいかと考えているらしい。


(仕事熱心じゃの)


 いくら言葉を飾っても、やる事は一つでしかない、同じ様に敵対した時の為に準備、即ち殺人の為に準備だ。それぞれの大義名分や主義主張は置いても、やる事は殺人だ。


(人間は好きじゃの殺めるのが、愚かな行いとは思わないところが人間らしいの)


 龍のサクヤにとってみれば、魔法を使えば容易くこの惑星の文明を壊せるが、これは選択しない、個人の責を全員に与える必要はないからだ。


(サーフや開発者は、どう考えるかの)


 ふとそんな事を考え、レドに聞いた。


「少年、サーフや開発者は」

「自宅にいる」


 五名は変な事を聞いたと理解できずに少年を見る、サクヤが代表し聞いた。


「もしかして同じ家に住んでいるのかえ?」

「養父の家にいるぜ。そこに俺達は住んでいた。俺は自立のために出たが、兄の方はあれなので離れられないし、サーフの方は近くで色々とやっている、主に剣の指導とか」


 サクヤですら何も言えず、何せ敵味方が同じ家に住むのは、理性的に言っても物騒な事になるからだ。

 他の者もレドの家族だしと考えた。細かい事を一切気にしないからだ。神経が太いというと言えばそうかもしれない事だ。


 そうやって到着した場所、一つの建物だ。

 大きな施設であり、大学ほどもある巨大な施設が大量に有る。

 門番の方は直ぐには開けずに、用件を尋ねる。

 レドが用件を伝えると、門番の方は何故か残念そうにしていた。

 ウルカがちらりと見れば特別警察ではないし、日本の警察でもない、かといって自衛官でもないし、傭兵でもない、他国の軍人というには人種的には日本人だ。

 敷地内に入り、古民家の集落につく、日本家屋の建物が並ぶ。

 降りてから扉の前に老紳士が現れる、そんな時にヒリュウがハルバードを向けて言う。


「サーフ。貴方が何を考えているのかは僕にはわからない、だけど、今度レドを殺害しようとすれば、僕は戦士として、貴方を殺害しなければならない、可能であるのなら避けたい」

「そうじゃろうの、聞けば反対するじゃろ。全ては丸く収まる方法はしっかりと有るが、それは可能かどうかも分かってはいない、息子の方も大反対じゃしな、レドの方はそもそも気にする性格ですらないので、困ったものじゃよ」


 ブースデッドヒューマンの長老にも考えがあるらしい、色々と謎は多い為に地球人の三名には及ばない存在でもある。頭の良いコマリにも分からず、惑星誕生より生きるサクヤすらこれが想像すら、察する事すらできない。

 そんな時にコマリがサーフに挨拶する。


「こんにちは曾祖父さん」

「コマリか、相変わらずレドの世話をすまんのう。息子の方がどうにかしているのじゃが、図体がデカすぎての、開発そのものが困難な代物なんじゃ、地球ではどうしようもないものじゃし」

「いい好きでやっている」

「ええひ孫じゃ、他の者にも話は通しておる行くがいい」

「ここは?」

「村じゃよ。儂らの協力者やらなんやら、一切合切がここにある」

「レドの故郷?」

「・・・生家ではないが、実家ではあるの」

「ありがとう曾祖父さん」


 通り、中の方は畳で作られ、近くには一人の中年の男、かっぽう着姿で何やら料理を行っていた。近くには開発者が難しい顔で茶と煎餅を交互に飲み食いしながら次に次に現れる映像に変更を加えていた。


「やあお帰り」

「ただま父さん。母さんは」

「帰っては来たのだが、閃いたーと言ってまた」

「相変らず」

「母さんには変な所があるからね。こればかりは個性の一つだ。おーい開発者」

「あと少し、あと少し」

「いい加減に風呂と食事はしてくれ、茶と煎餅も常にそんな風に使われものではない」

「おっ兄、元気そうだな」

「ああ。風呂でも入るか」


 開発者が立ち上が向かう、レドとしては相変わらずの仕事が大好きではあるが、別に趣味ではない、WHO惑星への調整やらなんやら、レドの本体の改造から人型キーの改造から、様々な技術開発からそれらを全て行えるのは、一人の男しかいない為にどうしても負担が大きいのだ。これは誰にもできない事なので、仕方ない事と妥協はしている。


 兄の開発者の趣味はゲーム、特にファンタジーゲームが大好きで有り、子供の頃にはまってから、暇がわずかな時間でできるゲームをひたすらやっていた。

 多忙な兄なので時間を効率的に使う事をよく考えていたのだ。そんなに兄に影響されて、レドもゲームは大好きである、特にWHO惑星ではシステムアシストも性能もあり、ログインすれば賢くなるので、どうしても地球で過ごすよりは良いと考えていた。


「色々とあるね本当に」

「レド速く紹介しなさい」

「アリサ?」

「早く」

「なんと?」

「この娘さんと結婚しますと」

「・・・・」

「おい女狐、後ろから刺すぞ?」

「バカ言っていないで靴を脱いでから座る。仲間としてかなり辛いよ」

「ごめん、ちょっとあれなの」

「う、うむ。ちょっとあれなんだ」

「いいから座って、靴は脱いで」


 □


 レドの養父の人より聞き、この村はレド達の協力者達の村、開発者の趣味であるVRMMOのファンタジーゲーム、これらのモデルを作るところでもあり、膨大な資料がある。

 これらの作業は主にAIで可能ではあるが、無理な事も多く、様々な資料を集めたり、時代の情報などもあり、時にはWHO惑星まで言っての調査など、やる仕事は多い。

 要するにここは開発現場なのだ。村人はこの関係者、特に開発者の意見に賛成の人々、ゲームの惑星を作る夢に生きる人々だ。

 こんな時代でもこんな夢を追い求める人々に、星空のゲーマー達は喜んだ。


 □


「話はまさに冒険だね。そして君はコマリかね」

「はいお祖父さん」

「ふむ。ティアと瓜二つだ。我が家族にもやっとの事で血縁があるか、安心したよ。何せこの子は血縁がよく分からないのだ。この子にとってみれば家族は絆で有り、仲間も絆であると考える、何せ地球人のような存在ではないしね」

「それではダメなのですか?」

「ダメではないね。下手な家族よりよほど確かだよ。ただ私も偶には血縁者も必要ではあると考える、この子もこれらから色々と学んでくれたら何よりだしね。ゲームばかりする子だから、仲間の方も同じかね」


 4名が頷く、養父としては複雑なものがあるらしかった。


「今では冒険者育成学府か、まあ勉強もするようになったし、友人も出来たし、良かったと言えばよかったような」


 普通の学校に通ってほしかったという雰囲気がよく出る。


「酷い仕事からも抜け出したし、幸いなことでもあるしね」

「ところで主は何人かや」

「地球人の日本人だ」

「とてもそうには思えんの」

「そうだね。簡単に言えばとある個所が機械化された存在、義手を持った人なのだ」

「サイボーグ、サイバネ技術によって機械化された箇所を持つ人」

「賢いね。ティアのような子とは違うようだ」

「・・・姉は、色々と有った」

「だろうね。私達は資料集めや調整にGM等なのだからね」

「なら姉に何があったか」

「それは言えない、あの子には惑星の事が大きく関わる事がある、息子と同じようにね」

「・・・私にも?」

「同じだね。レドと、ティアと、コマリも、皆あの惑星に深く関わる、それを知りたければ惑星への冒険を行い力をつけ、様々事を学び、姉妹に課せられた物をどうにかするしかない、大きなものだよ。我々地球人には思えない程」

「ありがとうお祖父さん」

「いいんだ。さっ食事だ」


 □とある私有地→地球『ガーディアン』


 特別休暇の翌日、5月10日。

 朝方の自主練時間、その後の朝食、準備してからの登校時間。

 灰色の軍服のような制服、生徒には大いに不評の服で、生徒会にもこれを改善したいとの生徒からの意見もあるので、ホームルーム時間に意見書を集める。

 錬金術師のクラスでは、近くの友人などと話しながらどのようなデザインが良いか話していた。

 そこのサンプルが見せられた。

 羽根つきの緑色の三角帽、白い騎士服に濃い赤いベルト、銀色のバンクル。

 顔は隠れていたが、当人としては困っていた。

 ちらりと三女を見る、いつものような表情のない、感情の窺えない顔で有った。

 ただ今までとは比べようがない物なので、クラスの生徒はどよめく、生徒会が本気で変更を考えている力作だと。

 話し合いには熱が入り、少なくてもサンプルとしてのインパクトは大きかった。


 男女別、クラス別の方が良いのか、とも意見が出る。

 戦闘、生産、戦闘・生産の三大分類もあるが、こちらはプレイヤーへの分類で有るので学校としての物ではない。


 高等部では前衛担当がやや多めであり、後衛担当はやや少ない、比率で言うのなら55:45位である。

 戦闘系に属するクラス、生産系に属するクラスでいえ、ば数としては同じぐらいであるが、高等部に所属する生徒としては、戦闘系に属するクラスの方が多い、生産系に属するクラスは少ない方で、比率で言うのなら60:40位だ。

 この為に最多である戦闘系によって決められ、後衛も前衛によって決められる事も薄々気づく、こうなるとどうにかするしかない。


 動くのは主に忍者や盗賊、こう言ったAGI重視のプレイヤークラス、主に忍者であり、盗賊、義賊、海賊、山賊、怪盗、妖盗等が、暗躍し始める。


 当然の様に近いクラス同士の話し合いも行われる。


 これに頭の回らない生産クラスの者は皆無で有り、直ぐに各生産クラスの代表者からお話がという形で忍者達より文が届けられる。

 よく分からない事ではあるのでレドは、この手紙を一つ一つ読む。

 忍者クラスの中でも、ウルカと違った意味の、重要な立場にいる少年が届けていた。

 本名は別であるが、プレイヤーネームは風魔小太郎という根っからの忍者好きだ。

 他にも重要なために百地丹波も同行していた。


「・・制服を決める為に、生産クラス同士協力し合おうという事、これって談合とか密約とか裏取引とかの類の、要するに仁義だろ」

「にん」

「断るとばっちり孤立する事になる脅しだよな」

「にん」

「これは一言で言うのなら、強制的に巻き添えにするって事じゃないか」

「レドのいつもの事、貧乏くじを引かされるのは慣れているし」

「いやいやいやいや、慣れの問題じゃないぞ」

「何がいけないの?」

「・・・お父さんは元警察なんだ。本来はこんな事はしてはいけないんだ」

「選択肢は一つしかない」

「そうなんだよねー分かった引き受けよう」


 忍者の二人が去る、しかし直ぐに煙幕が放たれた、理由は襲われたからで、暗躍中の各勢力との争いらしい。

 忍者クラスは、ウルカが委員長の為に、こちらに付いたようだ。

 レドは頭を使う、兎に角に話し合いの前に動かなくてはならない。

 準備もなしに政治の話し合いをするバカは居ないからだ。


「よしコマリ動くぞ」

「もう話し合い?」

「時間はそれほどない」

「分かった」

「ひとまずは農家クラスだ」

「「え?」」


 クラスメイトの心と声がシンクロする。


「根回しだ。当たり前だろうが、実弾の方は任せるぞ」

「レドこう言うの得意?」

「大変得意だ」

「安心設計ね」

「備え有れば憂いなしだ」


 ただ行く場所が違った、窓際に近付く、全員が納得した既に待機している者が居たからだ。

 忍者クラスの委員長のウルカだ。手紙を持ってきた風魔の方は副委員長、百地の方は参謀役という役職の者で、囮という役割だ。


「こうなるだろうなとな、いつぞやの事も有るしな。何処だ」

「農家クラスだ。まずは俺が行く、暗躍するのなら直に行くのが一番だ」

「了解した。コマリは」

「後に、何せコマリの運動能力は低いし、武器を扱う能力も低い、PKされるとペナルティが辛いし、何より自衛能力がない」

「・・・コマリだって頑張っているもん」

「後でケーキでも食べよう、ただまあ料理人クラスでな」

「うん。許す」

「では護衛を頼むぞウルカ」

「了解だ」


 既に事態は動ているのが辛い所ではあるが、移動中も気付かれずに進み、農家クラスの前につく、高等部の農家の者達はレドの姿に呆然としていた。

 何せレドは学校随一の頭の残念な少年だ。

 この少年が来た理由を尋ねた。

 レドはの良さそうな笑顔で言う。


「話し合いの調整かな」


 微妙な所ではあるが、露骨な話ではないらしい。

 農家クラスの者はひとまず話を聞く、何せ錬金術師クラスの看板ともいうべき少年だ。

 護衛にもいる忍者クラスの委員長も居る。

 話し合いの事、制服の事ではあるが、協力ではなく不干渉、これに農家クラスの委員長は首を傾げるが、別に協力ではないらしい、また賄賂がある訳でもないらしい。

 これだったらと受け入れる、ちなみにウルカ立ち合いの元の協定が結ばれる。

 後に錬金術師のクラスに戻り、コマリを連れて料理人クラスを訪れる。

 同じ様な物ではあるが、料理人クラスの者もこれを受け入れる。

 次には裁縫師クラス、次には染織師クラス、この3か所との共闘を結びクラスに戻る。


 内容を確認し、これを複製し、ウルカにも渡し、クラスにも保管する。

 クラスメイトはレドの行動力には素直に感心していた。


 次に来たのは園芸家クラス、同じ様に伝え、同じ結果になる、次には製菓クラス、同じ結果になり、これをクラスに戻って同じ行動、次に来たのは調香師クラス、錬金術師クラストは商売敵ではないが、似た様なものの為に競う関係だ。

 人の良さそうな笑顔で言う、しかし態度は硬く、ライバルとは結ばないと突っぱねるが、レドはニコニコと品を見せる。


 凄まじい量のコインだ。

 このクラスの代表はコインとクラスメイトを見比べる、誰もが頷き、受け取って要求を受け入れ、協定を結ぶ。


 クラスに戻っての実弾補給。

 次に来たのは一番の難敵である薬師クラス、態度は硬く、レドは金では動かないと判断し、とある協定をこっそりと見せる、とても動揺していた。

 しかし薬師クラスの代表者は、中々頷かず、次の協定を見せると陥落し協定を結んだ。

 クラスに戻る。


「ああ疲れた」

「政治家クラスはないぞ?」

「安心しろ替え玉は用意してある」

「「え?」」

「ばっちりだコマリ」

「・・・・え?」

「替え玉決定」

「嫌」

「分かった。ならウルカだ」

「忍者はそんな事はせん」

「ふむ。ならばもう少し動くか政治工作やらなんやらも大変なんだがな」

「次は?」

「勢力は既に築いたし、さてどちらにするか」

「レドって外交ができたのね」

「長年のゲームで経験済みだ。やはりあちらだな」


 次は工作クラス、色々と動ていることに気付かれ、レドの話を聞いて工作クラスの者が探りを入れてくる、不干渉は不干渉、レドはこの一点張り。

 交渉とは言えないようではあるが、何せこの少年の頭の方は有名過ぎ、裏にいると判断したのか、誰から頼まれたというと、レドはニコニコと大金を出した。

 工作クラスの代表は、人ますどれぐらいいると聞く、レドが協定の一部を見せる。

 とても動揺していた。すでに勢力が築かれていることに焦ったのだ。

 このままでは蹴倒されると判断し協定を結ぶ。

 クラスに戻る。


「さてと次に行くべき場所はあるが、可能か、ふむ」


 大金を武器に外交戦を展開する錬金術師クラス、これに各勢力も慌てて動き出した。

 高等部1年位のクラス、この施設の中央にあるとあるクラス。

 魔法クラスの代表であるアプリは、この強かな少年に素直に感心していたが、このアプリは冷静であり流されない性格でもあり、様々な裏事を見てきたレドでも素直に思うほどに立派な人格者だ。

 一方でこう言ったノリが決して嫌いではない人物だ。

 クラスを一つのギルドのような単位と判断し、生産系での勢力を築き、後に戦闘系に属する魔法クラスに来た。


「良い話ではあるが、それで私のメリットは」

「中央に座らないか」

「・・・譲ると?」

「こう言うのは俺みたいなやつがする事じゃない、アプリなら安心できるしな」

「・・・実を言うと一度こういう舞台で対戦してみたくてな」

「なるほど、そう言う話になるか、分かった引き下がろう。次は召喚士クラスだ」


 向かう、予想した事とは違い、妨害はなかった。中々の好判断だ。

 召喚士クラスに来ると、ヒリュウは面白くなさそうに手紙を読んでいた。


「よっ」

「・・・なんで家のリーダーはこう言うのが好きなの?」

「政治の場に、事前準備もなしに動くバカはいないのさ」

「それで」

「不干渉、これで十分だ」

「分かった」


 結果的には同じであるが、次に来たのは獣使いクラス、アリサはイライラとした顔で各クラスからの使者の話を聞くが、近くのバッシュはレドを見て助かったと安どの声を出した。


「よっ」

「・・・・」

「不干渉を結びに来たぜ」

「別にいいけど」


 結び、立会人はウルカではあるが、各クラスの交渉担当者は、必ず伝えるだろう。

 クラスに戻った時に、商人クラスの代表のチャイムが来る。


「やっほ~」


 何処かの姫君と波長の合いそうな語尾の伸びた声だ。

 レドも挨拶する。


「どしたよ」

「またまた~決まっているでしょう~」

「そう言われてもね」

「色々と動ているって聞いて焦ったよ」

「なるほど、盗賊クラスにつけられたか」

「親しい人達だよ~」

「他とは仲はそれほど良くないからな」

「それで~制服だよね~」

「ああ。どんな服が良いかの意見はあるのか」

「うん。これに決定」


 見せられたサンプルをレドは見ずに言う。


「俺は各クラス別々でよいと思う」


 チャイムはとても困っていた。まさかのレドにやられたことになるからだ。

 レドの主張はなかったそれでてっきり誰かが依頼したか、何処かに黒幕が居たかと睨んでいた。それを探る為に手っ取り早いレドを引き込もうとして失敗したのだ。


「という訳で商人クラスとの話し合いはなしだ」

「酷いよ~」


 チャイムは逃走した。


「さてと次に動くかな」

「次は何処だ」

「今度は協力者を作る」

「今までのは」

「味方だ」

「協力者というのは」

「味方の味方さ」

「・・・性能が上がり過ぎてないか」

「いいから行くぞ」


 現れた農家クラス、レドの妨害を行うクラス既に判明しているので、布石を打つために来た、農家クラスの代表と話、色々と聞いてから関係者とも話し、ウルカからしても何をしているのかはサッパリではあるが、農家との話には弾むらしい。

 この後に帰り、次に園芸クラス、同じ様に談話、次に料理人クラスと次々に協定勢力との談話に向かう。

 ウルカもコマリもよく分からない、しかしレドの行動力と、こういった場合での回転と経験は本物で有り、誰もが既に知り、大変な焦りを考えている者は多い。

 ひたすら談話をしまくり、実弾も何も使わずに午前中が終わる。


 クラスの者は既に実弾の補充の為に、最大のトラブルタイムの備える。


「よしウルカ、ヒリュウとアリサを呼んでくれ、ただこの手紙を渡しておいてくれ」

「別によいが、サクヤは」

「彼方は中立だ。まあアプリ事だから、抱き込もうとするが、動かんよ」

「そんなものなのか?」

「そううものなのだ」


 二人が呼ばれるが、来たのは二つのクラスの生徒も揃ってだ。


「よう」

「・・・大丈夫?」

「安心安心、協定勢力を知らせるぞ」

「ええ。まあ別にいいけど」

「よくわかんないけど、外交して勢力築いてどうするの?」

「俺はクラス別々の方が良いと思っている」

「ああ。私も賛成だ」

「それなら僕も賛成だけど」

「あたしもよ」

「しかし商人クラスは全体が良いらしい」

「どういうことだ?」

「スキル生産での生産を行い、全体に決める事での利益を狙うそれが彼らの狙いだ」

「あくどいな」

「・・・えーと」

「要するにレドはこうなると見越し動いていたの?」

「いや。俺と同じ意見の者を集めていた」

「・・まあいいか」

「よし。じゃあ昼飯と行くか」

「・・・よく分からんな外交とか政治とか」


 錬金術師クラス主催の昼食会、協定勢力が集まる、護衛には忍者クラス、主に火力には召喚士クラス、回復には薬師、錬金術師クラス、他の生産クラスには戦闘能力は必要ないために訓練も殆どないこの為に戦う事に関しては高くないのだ。

 ちなみに場所は調理室の近くにある場所、この広場だ。

 全体を考えれば決して大きいという訳ではないが、小さいともいえないそう言った勢力を築いた。

 重要な生産クラスもすでに勢力内で有るし、戦闘系の忍者、召喚士、獣使いも居る。


 そんな勢力を築いたレドは幸せそうに料理を食べていた。

 よく分からないが、忍者クラスの者からしても大丈夫かと、不安にもなる。

 ウルカとしてもこんな所で、とも思うが、このリーダーの性格からしてまだわからない事も多い為に、困るではあるが、近くのコマリに聞く。


「コマリ。こいつは何をしている」

「・・・食事」

「いやそれはわかる」

「コマリにも分からない」

「・・・よく分からない話だな」

「うん。サッパリ意味不明、でもレドだし」

「まあな。一度まだ実態が不明の時代、3月の時代にも、レドはこんな事をした」

「どうなったの」

「とあるクエストを破壊したと思われた我々星空は、袋叩きに合いそうになったが、レドは直ぐに動いて色んな所と交渉し、協力関係を結び、今のような不干渉をも結んだ。

 特にギルドCへの全額負担も提案したが、結果的に何があったかはよくわからん、しかし、結果としては防げずに、我々は襲われた、だがそれまでにレドを中心に鈴々に立てこもり、レドの作戦でここを要塞化、どうも指揮していた者達はレドとは因縁があるらしく、リャナもサーフも殺気立っていた」

「リャナ?なんで?」

「・・・いつか話そう」

「分かった」

「因縁のある相手は結果として自爆した、襲った来た者達は、最初こそ前衛、中衛、後衛に別れ、これをレドの指揮によって撃退された。

 次に襲った来た者達は、戦列を組んだ重装歩兵、魔法兵、騎獣に乗った騎兵、これでも要塞には既に傷一つつかずに、サーフが話すには既に後ろを取り、サーフ達がこれを奇襲し、司令部は殲滅、挟撃に会う事になった二番目に襲ってきた集団は降伏した」

「見事な手際ね」

「実にな、あの後は色々と有ったが、あの戦いは既に伝説となってな、その時の協力勢力とは今でも友好がある」

「どこ」

「南、野良、百合騎士、天神、剣客だ」

「南?野良?」

「南の方は召喚士のリードをリーダーにしたPTで、サブリーダーは獣使いのバッシュ、このメンバーの一人がチャイム、今の商人クラスの代表者だ」

「野良は」

「野良の方は魔法系クラスを纏めるアプリがリーダー、戦士クラスのビルド、騎士クラスのアシル、魔法系クラスの中でも貴重な回復魔法クラスのマキだ」

「百合騎士は」

「大学生組だ。天神の方は生徒会に所属する実行部だ。剣客の方は解散した」

「・・・サーフ?」

「ああ。剣客のリーダーだった」

「その人達は?」

「いるはずだが名前も聞かなくなった、恐らく改名したらしい。この為に侍クラスの者の戦力はガタ落ちだ。なにせ剣客は対人戦専門家のみで構成された侍系の剣客のみの固定PTだった」

「強かったの?」

「アリサ等可愛いぐらいだ」

「レドより」

「レド並みの連中の集まりだ」

「プレイヤーを辞めているようなPTね」

「あのPTはレドとは馬の合う連中でな」

「・・・そう言う類の人達とは仲良いし」

「ああだから大丈夫とは思うが、こいつは時々やらかす、私は大事な場面での不真面目やおふざけが大嫌いなのだが、まあいつもの様に制裁し、こいつは全く気にせずにいつも通り」

「だと思った」

「私としても色々と有ってサクヤにも言われ、厳し過ぎるとな、だから実験は許可し、ケーキの半分を分けた」

「何故そんな事をするの」

「イライラするからだ。何せ私の嫌いなもの全てを持つ奴だ」

「なら何故PTを組むの、嫌いでしょ」

「こんな奴だが、まああんな仕事だし、何よりこいつはどんな事をしても私を避けなかった、だからまあもう少しと思って長く続いた」

「そう。もしかしてとは思うけど」

「よく分からん。色恋沙汰は好きじゃない」

「じゃあなぜアリサを妨害したの」

「言いたくない。いずれは話すがあるかもしれんが今ではない」

「ふーん」


 そんな会話中に、レドに報せが届く、商人クラスとの協力勢力があちらこちらに実弾という金をばら撒ていると、アプリも積極的に動き、すでのこの二つの勢力は巨大化しつつあるとの事、外交ごっこや、政治ごっこにしては大きい勢力だ。

 しかしレドは苦笑し、首を振って食事でもしようという。

 大丈夫なのかとも思うが、何せこの勢力はレド一人で築いたようなものだ。忍者クラス言う協力者、各話し合いやらなんやら、戦闘系は前衛は忍者クラスのみ、後衛も召喚師、獣使いの二つのみ、魔法系は皆無で有り、残りは全て生産系という非常に偏って勢力でもある。


 ウルカからすれば時代劇などでよく見るような奴でもある、頭が良いのか悪いのかさっぱりなのだ。所謂の指揮官のような奴でもあり、作戦立案等も行う、こと指揮に関しては恐らく学校一の戦上手だ。何せ実戦経験は豊富であり、元騎士なので大変な場数を踏んでいる、流浪の旅時代にも数多いらしく、兎に角できる事は出来る奴なのだ。


「なんでまあそんな事をするのかさっぱりだな」


 ヒリュウからしてもよく分からない話でもある、この場に居ない仲間のサクヤが居れば直ぐに分かるが今は別に動く、アリサとしてもよく分からないらしい。


「・・・レドだしね」

「考えるのはレド担当、これでいいんじゃない」

「レドだよ?」

「ええレドよ?」

「「??」」


 噛みあわない会話に二人は混乱していた。


 そこに二人が現れる、アプリとチャイムだ。

 レドは片手を揚げる、片手には飲み物を手に持ち、のんびりと飲んでいた。

 誰もが不安になる大丈夫かと。

 しかしアプリは厳しい顔で有るし、チャイムは仲間の二人の文句を言う。


「楽しんでいるか」

「ああ。何をする気だ」

「既に布石は打ったしな、戦士クラスは失敗したろ残念だったな」

「嘘を言っても始まらないしから言うが失敗した」

「サクヤが頷く筈もない」

「確かに、であるから私は我々となった」

「おめでとうこれで勝利だな」

「・・・お前はよく分からんな何のために勢力を築いた」

「それは簡単じゃないか、むしろこの為に築いた」


 誰も分からずに質問したアプリも分からずに黙る。何せ相手は異星人の戦艦だ。地球の日本常識では測りづらい奴なのだ。


「やれやれ初心者らしいね。いや~懐かしい、若いって素晴らしいね」

「・・・何が狙いかは言うか」

「近所づき合い」


 誰も何も言えない、レドも相手が分からない事が分かっていたらしく笑う。

 少なくても寛容な奴でもあり、頭の方は残念なのか切れるのかはサッパリで、行動力は並外れた物が有り、決断力も高く、外交を好み、政治にも詳しい。


「レド、どこで学んだ」

「サーフから沢山教わった」

「なるほど、あの男から教わった事があるのなら、油断はできんな」

「でもま、もう終わったしな、はい計略完了」


 分かる者が居ないが、アプリは絶対に油断しない、こいつは油断ならないところが多過ぎるからだ。しかし遊びは遊びなので手加減はする。


「ふん」


 アプリが去る、チャイムは二人の仲間と弁当を食べていた。


「はい負けました」

「「!?」」

「次回に乞うご期待」


 ウルカが唸って殴るが、これをレドは拳で受け止める。


「落ち着こうねどうどう」

「私は負けが大嫌いなのだ」

「何に負けたのさ」

「戦いにだ」

「おいおい何の」

「それは制服の」

「それでこの勢力をどうする」

「解散するのでは」

「なんで」

「敗北したから」

「制服の話し合いに負けたから敗北するのか?」

「説明しろ!」

「放課後になれば直ぐに分かるさ。生徒会長は大慌てだろうな」


 確かにバカな奴かもしれないが、人をどうすればよいのか、人はどう動くか、どうすればよいのかは心得ているらしい、権謀術数という訳ではないが、かといって黒い訳でもない、灰色でもないし、かと言っても白ともいえない。


「まっ計略も終わったし、飯でも食うか」


 よく分からないが計略も終わり、制服決定戦に負けたらしい。

 対立する勢力は万歳三唱中だろう。

 そこでウルカは気付いた。


(勢力は二分されたのか?)


 信じられない顔でレドを見る、ニコニコとしながら別の弁当を食べていた。


(困った。こいつはバカだ)


 ウルカは頭の方をどうにかしたかったが時はすでに遅しだ。

 頭を抱えて苦しむウルカに、コマリが薬品を見せる。

 横に振るウルカ、コマリは薬品を収めた。


 □


 そんな訳で放課後、意見書も集まり、二つの勢力には特に変化はない、制服決定戦に勝利した一つの勢力、敗北した一つの勢力があるに過ぎない。

 ただ生徒会が迅速に動いた。

 二つの勢力の代表者を集めたのだ。

 レドの方は余裕綽々であるし、他の二人は緊張中だ。

 インテリ風の生徒会長、プレイヤーネームはギルドマスター。


「呼んだのは外でもない、遊びをしているそうだね派閥遊び」

「いえ制服決定の意見を集めていました」

「なるほど、意見統一とはすばらしい事だ。仕事が省けるね大変にレド君、何の真似かね」

「そりゃあまあ楽しい遊びなのさ」

「遊びが過ぎないかね」

「じゃあ解散しようか」

「是非そうしてもらいたい」

「じゃあ俺達の負けって事で」

「・・・妙な奴だ」

「ほんじゃ残念会でも開いて、解散式でもするよ。ああ楽しかった」

「何故手加減し敗北を認めた」

「そう言う遊びなのさ。それ以外に必要か」

「・・・測れん奴だ」

「若いね。レド君の行いはある意味正当防衛だ。君達とは違ったものだ。レド君は防衛のために勢力を築き、遊びでもあるが自衛勢力として存在した。しかし君達の方は意見の統一であった、これが何を意味するか分からないかね」

「待つのは戦いの終わった後の話だぞ。頑張れよ~」


 二人は気付いた大変な事になった事に、冷や汗だらだらだ。


「さて話をしっかりとしよう」


 □


 残念会を開き、解散式展も開き、実に盛大な行う、たっぷりと楽しんだらしい。

 誰も気にしていないが、ウルカは納得が行かないらしく、暴れるのでサクヤに捕まっていた。


「手間のかかる奴じゃな、説明してやろうか」

「頼む」

「二つの勢力が協力し勝った、では統一した」

「うむ」

「では聞くがのウルカ、次はどうするのじゃ」

「どうする?」

「二つの勢力は意見の統一を図った、二つの勢力は勝ったのじゃぞ、ならどちらの統一意見を取る」

「・・・」

「どちらも統一意見の話の勢力じゃ、妥協などない、なら争うしかないじゃろ」

「・・・」

「では聞くがの、錬金術師のクラスは何処にある」

「・・・え?」

「誰がポーションを売る、まさか敗北した相手に売ってくれと頭を下げるのか」

「・・・うそ」

「他にも薬師もレドの勢力じゃぞ?今後どこが薬を作って販売するのじゃ」

「そんな馬鹿な、認めん!」

「あ、相変らずじゃの」


 何故かウルカはキレてレドを襲う。レドもこうなると分かっていたので逃げ出した。

 しかしウルカにはレド感知センサーが有るので、直ぐに追う。


「またやっているねあの二人」

「いつもの事よ。あ~お腹空いた帰って夕飯ね」

「今日は部活が有るしね」


 結局制服変更っては延期された。

 勝ったはずの勢力は大いに悔しがる。

 この説明ほ二つの勢力を築いた二人が説明した。

 最初から敗北していたというより、前提が違っていた、どこも多数決を求めていなかったからだ。あくまでも意見を求めていたにすぎないのだ。

 レドはこれを分かっていたから無理はせず、要所のみを抑えていた。

 別に勝ったわけでもないし、負けたわけでもない、アプリとチャイムの思惑の前提その物の失敗だった。


 放課後の部活。

 火曜日の為にレドは調合部に、トラブルメーカーのウルカは心落ち着く裁縫部に、他の仲間の方も普通に部活に言っていた。


「楽しかった」


 コマリが唐突に言う、レドの方は楽しそうに調合中だ。そんな時に同じ部活に所属する者達、主に錬金術師、薬師、調香師はそれぞれ感想を言う。

 コマリが続ける。


「こう言うのも悪くない」

「あの二人は大変だぞ、それはもう大変所じゃない」

「適当に遊んで適当に負ける、これは何」

「そりゃあ負け戦」

「そう負け戦」

「昔はよく負けていた、負けしかなかった戦は常に負けていたし、俺は一つも勝てなかった」

「姫将軍の国?」

「ああ。俺達が仕えた唯一の国だ」

「いつか行ってみたいな」

「そうだな。いつか墓参りにでも行くかね」


 色々と有ったのだが、そんな楽しい負け戦の日でもあった。

 部活が終わり、レド達は残っての補習、その後に帰宅しての夕飯、夜の方にはログイン開放時間になり、ログイン。


 森での投擲と手裏剣の練習、冒険になると仲良しになる二人だ。

 ふとレドは気付く。


「あー。やばいなこれは」

「ん?」

「今日は午前中はサボった」

「「!?」」


 全員が忘れていたが、ホームルームの時間でしかなかったのだ。

 冒険を終えた翌日、生徒会よりの通知で、サボった高等部の全生徒に一日のログイン禁止令が出る。


「さあ勉強でもするかね」

「うん。でも」

「あん?」

「多分今日ははもっと激しいPVP戦争が起こる。戦闘系は気が立っている」

「まあ錬金術師クラスでの主催でもするさ。落ち着いて飯は食べたいし」

「・・・負けていないね」

「勝つ必要がないからな」

「いい勉強よ」

「まあ問題児の二人も暴れるし、サクヤは鎮圧のために向かわないといけないし、ヒリュウも後片付けをしないいけないし、何も変わらないって事だな」

「そして錬金術師たちは喜んで薬を作る」

「ああ。生産用経験値と熟練度は上がるって訳さ」

「薬師の方がスキル性能は高いし、調香は」

「今度話してみよう、まあ農家の方も必要だし小さな会議だな」

「うん」


 時間は立ち、昼時間、錬金術師主催の昼食会、レド築いた勢力のクラスが集まる。

 派閥ではないのではあるが、自衛勢力と言うべき存在でもあり、主にレドが纏め、参加する勢力同士の色々と話を通す、実質的な会議のようなものだ。


「まずは製菓だろう、菓子作りには味の他にも香りが重要だし、これなら色々な意味での錬金術師たちも活躍できるし、薬師達もこれなら薬用効果等も使えるし、何よりケーキの味は改善したい、全部同じじゃないが、そりゃ安くて美味しくて程々の大きさなら文句はないし」

「助かります」

「工作の方にも励んでもらうしかないが、し掛けって奴だな」

「バースデェーケーキか」

「何かと必要だ。何せ生活スキルだけでも大量に有り、この組み合わせはほぼ無限である、それなのに俺達の初期スキル3個、分からないことだらけだ。生活スキルの方もなんかとか少し分かった程度だ。早く勉強した分かりたいものだ」


 誰もが思うの無限にあるスキルの組み合わせ、特に生産系にとってみての補助スキルである生活スキルは絶対に学びたい事の一つだ。


 何せスキルに依って生産は可能ではあるが、スキル生産は大量に作れる一方、味もな同じ、素材とスキルによるレシピ通りにしかできないのだ。


 この為に一つのレシピとは言うが、生活スキルによって数えるのすら大変な量に換算される、これが一つの生産スキルの一つのレシピに対してのものだ。


 既に調合Ⅲを持つレドにより、Ⅲまでのレシピは解放され、これによりレシピは作れそうではあるが、対応する素材がない事が判明し、ランクアップさせ過ぎると困ることも判明した。また生活スキルには必ず調整用があり、これに対応するレシピスペルがある。


 この事で次の1年生には伝える事が増えた事になる。

 錬金術師たちはとあるクラスを睨む、最高のPOTを作る薬師達だ。こと薬品に関しての最高峰にクラスで有り、薬品の性能を考えれば錬金術師たちのレベルとは違うのだ。

 つまりこの二つはライバル関係にあるが、薬の事に関しては薬師である。

 単純な勝ち負けではない為に、競い合う関係だ。

 調香師達も生産スキル一点張りの為に調合は持っており、薬師達を睨む。

 薬師達はどこ吹く風で調薬し、商売していた。

 生産系クラスの為に武力衝突は起こさない。

 しかしコインと生産用経験値、熟練度を掻っ攫う憎き相手だ。

 そんな連中を見てから忍者クラスと獣使い達のクラスは困った顔になる。

 傍から見れば同族嫌悪のようなものだ。

 召喚士たちも召喚した従者と遊んでおり、実にこちらは楽しそうだ。


 他の生産クラスも食事やらなんやらもあり、生産を行う場合もあって、薬品の他にも料理、この他にも製菓もある為にこの昼食会には人が集まる。

 裁縫師や、染織師も、園芸家に依っての種の品種改良に余念がない。

 工作クラス、工作師と言うが、様々な工作を行う為に考えるべき仕組みも多く、この為に素材を創り出す錬金術師たちも働くしかない、時々連絡し、木工師から木材の購入なども行い、代わりに木材を創り出す木を育成した農家より伐採し貰っていく。


 錬金術師、薬師、調香師の似た様な系統、農家、園芸家の似た様な系統、料理、製菓の似た様な系統、工作のみ余るようだが、どのクラスにも欠かせない為に、すべき仕事が多過ぎて、早く1年生、運営早くといった所だ。

 この錬金術師クラス主催の昼食会は、生産系昼食会と呼ばるが、そのままの昼食会と呼ばれた。


 この会議の集まりの会議では議長は常に変わるのが特徴で、毎日のように変わる事になっている、別に一定でもよいという意見はあったが、偶には経験するのもよいという意見もあってこれが採用された。


 そんな事もあり、今日の初日の会議進行役にはレドがなり、コマリが主なに記録をつける、筆写師、筆記師等もクラスもあるが、こちらはそれぞれ元となった勢力が違う為に、今のところは特にない、商人に関係するクラスはこれに集まり、魔法使いに関係するものは魔法クラスに集まる。


 前衛達は昼間はPVP戦争の為に昼飯の余裕すらない。

 AGI重視の系統は、忍者クラスは生産会に護衛役と様々な仕事についているし、どうしてものかなと考える人々だ。ひとまず暴れるという選択肢を取る人々でもある。


 この学府のクラスというものは主に勉強するクラスでもあるが、最も重要な事は、このクラスに必ず上位があるのだ。上位に行くためにはどうすればよいかはまだ判明していない、この為に各クラスは焦る一方でもある。

 何せ今は5月、来月で6月、7月となり、8月は一か月もの長期の休みだ。

 この夏休みは常にログインが解放されている冒険時間だ。しかもログアウト時間もない。

 いち早く上位となり、この夏休みに活躍したいと前衛達は思うのだ。

 冒険では戦闘が花形ではあるが、日常生活では生産が花形なのだ。


 戦闘・生産系の両立する者達は、どちらかを重視するために、特に星空のような固定PTは戦闘を取ったのも、生産の為には必要たという理由だ。採取をするためには危険な所にも入るという考えだ。

 この両立には賛否両論ではあるが、攻略その物が広大な惑星一つの為に2万人による攻略とはとてもいかない、沢山の時間をかけて攻略するしかないのだ。

 下手したら中等部の生徒が大学生になって攻略が半分いけばまだ楽勝だったとはわかるが、世界システムを作ったあの開発者がそんな性格には誰にも思えないのだ。

 惑星一つをゲームの舞台にするような奴だ。しかもアイテムの等級にはしっかりと星系級もある。そういう星系を舞台にしたゲームだと誰もが気付くのだ。

 そんな5月の学府での話だった。


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