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022:四門ダンジョン。其の9

 3月28日の午後7時30分の本日三度目のログイン。

『星空の記録』邸の畑近くの広場で、玄武ダンジョン攻略祝賀会を開催した。

 全員が参加し、酒も飲み物も料理も出て、飲んで騒いで、そんな楽しい時間を過ごし、『星空の記録』のメンバーと、従者達と、『南十字星』のメンバーと、従者達が手伝って片付けし、翌日になる。

 3月29日の午前9時のログイン。

 [ワンオフ・フリーライフ・オンライン]の世界では午後0時。

 4倍速の為に、リアルの1日はゲームの4日に相当し、28日の午後9時から、29日の午前9時までの12時間で、二日に相当する時間が経つ。

 PT共同住宅の自室での起床したレド。

 いつも通り、朱い鳥のルリが近くに座っており、自らのスキル構成を変更する。

 ▽

 プレイヤーネーム:レド

 種族:ダークエルフ

 性別:女(男)

 ジョブ:上位錬金術師 将軍 音楽家 弓使い 召喚士

 クラス:上位調合士 総指揮騎士 聖騎士 弦楽器演奏家 弓弩士 従者召喚士

 身長:186㎝

 瞳色:黒

 髪色:白髪に近い銀髪

 肌色:褐色の肌

 [ジョブ適正]

 錬金術:錬金術に強い適性を持つ+2

 錬金術師装備:錬金術師装備に強い適性を持つ+2

 騎士:騎士に適性を持つ+1

 演奏:演奏に適性を持つ+1

 弓使い:弓弩に適性を持つ+1

 召喚士:召喚に適性を持つ+1

 [クラス適正]

 調合:調合スキルに強い適性を持つ+2

 指揮:指揮に強い適性を持つ+2

 盾:盾に適性を持つ+1

 竜騎士装備:竜騎士装備に適性を持つ+1

 テイム能力:テイムスキルに適性を持つ+1

 楽器:楽器に適性を持つ+1

 弓弩士:弓弩に適正を持つ+1

 従者召喚士:従者召喚に適性を持つ+1

 [スキル]

 武器スキル:剣(将軍)Ⅰ 槍(将軍)Ⅰ 弓(将軍)Ⅰ 弩(将軍)Ⅰ

 防具スキル:服(将軍)Ⅰ 鎧(将軍)Ⅰ 盾(将軍)Ⅰ

 装飾スキル:ウェアラブルPCⅠ 具(将軍)Ⅰ

 魔法スキル:暗黒魔法Ⅰ 神聖魔法Ⅰ 従者召喚Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ、付加Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 付加術Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 弱体化Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 弱体化術Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 

 補助スキル:魔法才能Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 同時使役才能Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 両手利きⅠ 両手持ちⅠ 剛力Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 眼力Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 発見Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 夜目Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 鷹の目Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 索敵Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ

 生活スキル:同時使役Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ

 生産スキル:

 種族【闇木香】:範囲内のMP/TP自動回復効果。

 ジョブⅡ【錬金Ⅱ】:錬金Ⅱまでをスキル無しに行う。

 クラスⅡ【調合Ⅱ】:調合Ⅱまでをスキル無しで行う。

 ジョブ【騎乗】:騎獣に騎乗できるようになる。

 ジョブⅡ【指揮】:将軍専用スキル。範囲内の味方への補正+1

 ジョブⅡ【軍学】:将軍専用スキル。軍学Ⅱまでをスキル無しに使える。

 クラス【暗黒剣】:ダメージの10%を吸収

 クラス【神聖剣】:攻撃ヒット時に神聖属性の追加ダメージ

 クラスⅡ【竜騎乗Ⅱ】:総指揮騎士専用スキル。竜騎の能力を引き出す事が可能。

 クラスⅡ【テイム】:テイムスキル無しでも行える。

 ジョブⅡ【呪音楽Ⅱ】:呪音楽Ⅱまでをスキル無しでも行える。

 クラスⅡ【演奏Ⅱ】:演奏Ⅱまでをスキル無しで行える。

 ジョブ【召喚士の器】:召喚士としての真価を発揮します。

 クラス【従者の心得】:従者が従う様になります。

 ジョブ:【矢作】:矢製造可能

 クラス:【射手の目】:有効射程距離が延びる

 ▽

 [男性アバター時・衣装]

 ヘッド :

 フェイス:テイマー型ウェアラブルPC(レンズ型)

 インナー:ワイシャツ

 アウター:ジャケット

 ボトムス:スラックス

 レッグ :靴下

 シューズ:レザーブーツ

 アクセサリー:ウェアラブルPC(リング型入力端末)、装甲型指輪

 右腰:

 左腰:暗黒騎士剣〝暗黒剣士ダークネス・フェンサー

 背中:〝雷神之小盾トール・バックラー

 遠距離武器:連射式クロスボウ〝ポンプ式クロスボウ〟

 ▽

 直ぐに従者を召喚した。

【従者召喚:リャナ】

 癖のない金髪ストレートの美女が現れる。

【従者召喚:ピュシー】

 虫の翅の様な翅をした赤毛の七三の女性が現れる。


「お久しぶりですマスター」

「お久しぶり~♪」

「おう。おはよう。部屋に行ってから準備して昼にするぜ」

「はい」

「了解だよ~」


 二人が部屋から出る。

 ルリもベッドから降り、とことこと部屋の外に出る。

 男性アバターにすべく切り替え、男性用のワイシャツ、スラックスにベルトをしてから出る。

 いつもの昼、昼食を食べ、ピローテスとティアが引き受けた依頼を説明し、レド工房の一日が始まる。

 従者は基本的に生産系スキルを取得できない。

 ティアは生産スキルが取得できる、極めて珍しい事なのかどうかはまだわからないが、このまま手に職を持つ事が喜ばしい事だ。

 主に薬品等に、コーティング剤の有機物用の染料、無機物用の塗料等だ。

 薬品と言っても種類は豊富で、回復用、防御用、支援用等もあり、攻撃用や毒物や妨害用の物もある為に、品質も☆×1~☆×7のノーマルランクの物、☆×8以上の名前入りの者と別れ、大量の薬品を作る為には大量の素材がいる。この素材を加工し薬品にするのだ。


「むぅ。数が多い」


 依頼の数に難色を示すレド。

 ティアとしても全くその通りだと思う、一つの工房で負担できる数にも限度はあのだから、少しは遠慮してほしいとも思うが、薬を求める人達の中には本当に困っている人達もいるので、どうしたものかと悩む。

 ピローテスも、いくらなんでも無理な数だ。一日がかりで準備して、丸一日頑張っても無理だ。要するに依頼数が多すぎて困りきっていた。


「どうしよう困ったよぅ」


 ティアが弱り切って泣き言をいう。


「Cなら可能では?」

「Cって生産者組合の?」


 ピュシーが食いつく。


「一度相談してみるのもよいかもしれません。幾らなんでもこれは無理ですし」


 リャナが提案し、誰もが頷く。


「よし店はまだ開けずにCの所に行くぞ」

「「おお~」」

「異論はない」

「改善できればよいのですが」

「その前に生産者の心得の所に行こう」

「マキさん、ユックさん、ユーリーさんの所?」

「ピクシー三人娘がいるのよね。やかましいったらありゃしない」

「お前も元ピクシーだろ」

「でもうるさくはないわ」

「まあな賑やかな程度に落ち着いている」

「おっピローテスもいいことを言う」

「お喋りはそこまで準備て向かいますよ」

「はーい」

「ああ」


『生産者の心得』の複合ショップに行く、三名に挨拶し、説明した。

 マイが愁いを帯びた顔で溜息を吐き、ユックはどうしたものかと悩む、ユーリーは手の平を叩き、何やら妙案があるらしい。


「依頼に関してはCを通すのが一番だよ。色々と危険な薬品も扱って居るしね。それでもって依頼は、依頼人が直接来てもらって可能かどうかを考えた上で行うのがいいんじゃないかな」

「なるほど、妙案だ」

「後、買い占めの話もあるし、購入個数に制限を設けるのがベストだね」

「今日のユーリーは冴えるな」

「でしょ?」

「ああだらだらと冒険したい」

「すればいいじゃない」

「えーとマイさん?」

「冒険者は自由よ。好きでもない仕事は引き受けないわ。気に食わない依頼人は張り倒すわ」

「マイさん格好いい!」

「さすがは生産者の心得」

「後だが、依頼料はしっかりと取れ、何かと入用になってからでは遅いぞ?」

「しっかりしているのだなユックは」

「色々と合ったからな」

「助言はありがとう。全部実行してみるよ」


 礼を言ってから店から出る。

 工房に戻ってから品質の低い者は特別な理由がない限り、プレイヤーショップか、普通の店で購入するか、ギルドCに依頼するかと叩き返し、特別な理由があったものはしっかりと、依頼人と面会してから、依頼を引き受けるかなどを考えた上で決めた。

 そんな依頼などを片付けてから、訓練に向かう。


 陸鳥のビーアはレドが乗り、竜騎のドラゴにはリャナが乗り、ティアには陸鳥のびーあにごう、ピローテスはビーア三号に乗り、ピュシーは飛行するのでいらない。

 ユキカゼとルリはそのまま駆け出しても同じぐらいの速度が出せるので特に関係ないが、ルリはレドの肩に乗り、ユキカゼはティアに回収されてからそれぞれ持ち場につく。


「おし行くぞ」

「「おお~」」


 駆け出し、PT共同住宅の厩舎より駆け出す。

 南側の草原につく、練習用の的などの他にも、騎乗用の練習個所も設けられている。

 本来は初心者用の地域ではあったのだが、現在は練習用としてプレイヤー達の趣味のような施設が数多い。

 騎獣から降り、ティアの抱き抱えるユキカゼが飛び降り、レドの肩に居たルリが飛び立つ、自分達の仕事だと騎獣達の守りを行う。


「任せたよユキカゼ」

「わん」

「ルリも」

「・・・(コクリ)」


 二匹に声をかけてティアに、姉の様なピローテスが、木剣を見せる。


「分かった」


 ティアも木剣を取り出す、ちなみにティアの身長は低く150cm、ピローテスは女性にしては比較的大きい168cmだ。

 レドとリャナは、ティアの訓練をピローテスに任せ、騎乗用の訓練コースを回っていた。

 ティアも木剣を構え、ピローテスも片手で正眼に構えていた。

 ティアが鋭い声を出し木剣を振るう、真上段からの攻撃を見切っていたピローテスの木剣にあっさりと弾かれ、さらに二撃目の斬撃を真横から行うも、ピローテスの木剣があっさりと弾く、ティアは三度目の攻撃を行うべく、予備動作を行う。

 そこにピローテスの鋭い突きが入り、ティアは慌てて避けようとするが、予備動作中の為に動きちぐはぐになり、ピローテスの木剣が目の前にあった。


「ティア、予備動作の間に攻撃されるとこうなる」

「勉強になったよ。でもどすれば」

「予備動作をなくすような」

「無理です」

「・・・マスターの娘なのだがな、どういう訳か体の動きに関しては似ていないな」

「むむ!お姉ちゃん酷い!」

「?ああなるほど」

「それはお母さんのようには動けないけどいつかは動けるもの」


 ティアが怒りながら言うと、ピローテスは苦笑しながら説明した。


「違うのだ。マスターの体の動きとは、即ち剛なのだ」

「ごう?」

「剛力の剛だ。体格に見合った動きを好む」

「それがごう、剛?」

「剛力からイメージしても分かる通り、体格に見合った攻撃を行う、重く鋭い攻撃を行い、進むより引くことを重んじ、進む速度の倍近くの速度で下がる、分かるか?」

「う、うん、でも、倍・・・」

「少し実演しよう」


 ピローテスかゆっくりと突き、素早く引き既に構えは取っていた。

 ティアとしても分かり易いのだが、自分には剣が向いていないとしか思えない、だがここで諦める様な性格でもない。


「攻撃するときは全力でもなくてもいい、防御するときもだ」

「うん」

「攻撃するときは常に防御するときも考えて行ってみてみろ、防御を重んじれば必然的な粘り強くなる、そうすればより長い間戦えることになる。逆に言えば素早く倒すのなら逆となるな」

「攻撃するときは常に防御を考える、これは防御を重んじる時、攻撃を重んじる時は、常に攻撃を考えて全力で戦うって事かな?」

「大体有っている、後はこの繰り返しだ。さあはじめぞ」

「うん」


 姉妹のような二人の訓練は続く。

 レドとリャナは乗馬訓練のような巧みな馬術を見せ、障害物などを素早く飛び越える操獣技能を見せていた。

 それらの訓練が終わり、熱心に稽古をする姉妹の元に来る。

 ピュシーは暇そうに昼寝をしていた。


「おう」

「励んでいますね二人とも」


 レドとリャナがそれぞれ挨拶をする。

 姉妹のような二人も稽古を中断し、木剣を下ろす。


「ふぅ。結構上達したかも」

「僅かな機関でも微少ながらは上昇したな」

「お姉ちゃんの意地悪」

「嘘を言うつもりはないぞ」

「もう」


 姉妹のような二人だ。

 そんな二人を嬉しそうにレドは眺め、リャナは娘の様な仲間の様なピュシーを見る。


「ピュシーは剣の稽古はしないのですか?」

「面倒そうだし」

「運動しないと腰に着きますよ」

「!?します!運動します」


 家族の動かし方を心得るリャナだった。


「なら私が教えましょう」

「え?」

「剣スキルはありませんよ」

「えーと。そうだマスター」

「リャナは細身の剣の達人なんだ。俺の剣の師匠でもある」

「う、うそ、マスターより強いとか」

「さあ始めましょう」


 木の枝を拾ったリャナが、アンガルドを取る。

 ピュシーも近くの枝を拾い構えを真似る。


「ラッサンブレ・サリューエ」


 いつもは穏やかでニコニコと微笑みを崩さない温和なリャナの、勇ましく凛々しい掛け声が響く。


「アレ!」

「何言ってんのかさっぱり」

「ああ。じゃ訳すよ。ラッサンプレ・サリューエは敬礼を促す掛け声」

「敬礼?」

「剣の真っ直ぐに立てる。こういうふうに」


 レドが実演すると、ピュシーは行い、リャナも行う。


「アレははじめ、要は開始だ」


 リャナが鋭い突きを行う、ピュシーは対応できず、目の前に突き付けられた木の枝の切っ先を見て尻餅をつく。


「何やら剣スキルが欲しくなりました」

「お見事」

「凄い突きだ」

「ピュシーの真ん前で止めるなんて」

「わ、私も頑張ればできる?」

「はい。努力をすれば才能がと開花する事もありますよ?上達は人それぞれです」

「なら取得する」

「私も取得しましょう」


 ▽スキル取得

 リャナ:剣

 ピュシー:剣

 スキル説明:[剣]剣を使用可能になる。

 ▽

「ピュシーとリャナの装備を買いに行こうよ」

「うむ賛成だ」

「問題はないな。よし二人とも買いに行くぞ」

「はい」

「オッケー」


 騎士装備専門店『ナイツ・ナイツ』か、戦士装備専門店『カデンツァ』かの、二つには迷ったが、『ナイツ・ナイツ』に向かった。

 店内での剣コーナーの、片手用の細身の剣、主にフェンシングなどに使われる様なエペやフルーレではなくレイピアを選ぶ。

 レイピアは大きく分けて、刀身(ブレイド)(ガード)護拳(ナックルガード)、握り(グリップ)に分けられる。この内ガードから下を護拳付き(スウェプトヒルト)と呼び、複雑な曲線を描いた格子状の護拳がレイピアの大きな特徴である。


「久し振りに剣を握ります」

「いい物だろリャナ」

「ええ。懐かしく思います」

「よし次はピュシーの装備だ」

「リャナと同じ物が好いななんか綺麗だし」

「分かる!」

「でしょ?」

「レイピアは凄く綺麗、芸術品の様」

「そうか?何やら心許無い感じがするな」

「ピローテス丁度良かったではないか、前に言った事を覚えているな」

「刺突の練習のために一つ考えておけとは言われたが」

「ティアとピュシーとピローテスの三名分の物も買おう」

「ならマスターも買え」

「了解だ」

「上手くハメられた様だ」


 細身の剣のレイピアを選び、自分なりに扱い易い物を選ぶ。

 ピローテスはロングブレイドの物、ティアはショートブレイドの物、リャナはミドルブレイドの物、ピュシーはショートブレイドの物、レドはミドルブレイドの物を選んだ。

 ▽

 [男性アバター時・衣装]

 ヘッド :

 フェイス:テイマー型ウェアラブルPC(レンズ型)

 インナー:ワイシャツ

 アウター:ジャケット

 ボトムス:スラックス

 レッグ :靴下

 シューズ:レザーブーツ

 アクセサリー:ウェアラブルPC端末(リング型入力端末)、装甲型指輪

 右腰:

 左腰:暗黒騎士剣〝暗黒剣士ダークネス・フェンサー

 背中:〝雷神之小盾トール・バックラー

 遠距離武器:連射式クロスボウ〝ポンプ式クロスボウ〟

 予備武器:レイピア(Mサイズブレイド)

 ▽

 従者ネーム:ピローテス

 種族:ダークナイトエルフ

 性別:女

 ジョブ:騎士 ダンマスター

 クラス:暗黒騎士 聖騎士 剣舞踏士

 身長:168㎝

 瞳色:黒

 髪色:白髪に近い銀髪

 肌色:褐色の肌

 武器スキル:剣Ⅰ 曲刀Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 暗黒曲刀Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ クロスボウⅠ

 防具スキル:布製Ⅰ.Ⅱ 革製Ⅰ.Ⅱ 盾Ⅰ.Ⅱ 小盾Ⅰ.Ⅱ 竜騎士盾Ⅰ.Ⅱ

 装飾スキル:アクセサリーⅠ ウェアラブルPCⅠ

 魔法スキル:暗黒魔法剣Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 神聖魔法剣Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ

 補助スキル:魔法才能Ⅰ 魔法剣才能Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 両手利きⅠ.Ⅱ.Ⅲ 眼力Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 発見Ⅰ.Ⅱ 看破Ⅰ.Ⅱ 鷹の目Ⅰ.Ⅱ 梟の目Ⅰ.Ⅱ 蛇の目Ⅰ.Ⅱ 索敵Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ

 生活スキル:

 生産スキル:

 固有スキル:

 種族【深きラプソティ】:クールタイム減少

 種族【闇木香Ⅱ】:範囲内のMP/TP自動回復効果。

 ジョブ【騎乗】:騎獣に騎乗できるようになる。

 クラス【暗黒剣】:ダメージの10%を吸収

 クラス【神聖剣】:攻撃ヒット時に神聖属性の追加ダメージ

 ジョブⅡ【舞踏Ⅱ】:舞踏Ⅱまでをスキル無しで行える

 クラスⅡ【剣舞Ⅱ】:剣舞Ⅱまでをスキル無しで行える。

 ジョブ:【矢作】:矢製造可能

 クラス:【射手の目】:有効射程距離が延びる

 個人【夜の加護】:夜間能力上昇、HP回復

 個人【闇の加護】:光が差さない場所なら能力上昇、MP回復

 個人【日光浴・小】:1時間に20%まで空腹値を緩和する

 個人【食いしん坊】:食欲旺盛になる

 個人【剣豪】:剣系統のスキル能力上昇、与えるダメージ上昇。

 個人【採集者の素質】:採集率上昇

 ▽[装備]

 ヘッド :

 フェイス:戦技型ウェアラブルPC(レンズ型)

 インナー:ノースリーブシャツ 胸当て

 アウター:ジャケット

 ボトムス:ホットパンツ

 レッグ :ガーターストッキング

 シューズ:ロングブーツ

 アクセサリー:ウェアラブルPC端末(リング型入力端末)

 右腰:

 左腰:レイピア(Lサイズブレイド)

 背中:竜騎士小盾〝竜騎士小盾ドラグーン・バックラーカスタム02〟

 遠距離武器:連射式クロスボウ〝ポンプ式クロスボウ〟

 予備武器:暗黒曲刀〝暗黒牙ダークネス・ファング

 ▽

 特殊NPCネーム:ティア

 種族:??

 性別:女

 ジョブ:錬金術師 弓使い

 クラス:調合士 弓弩士

 身長:150cm

 瞳色:黒

 髪色:黒

 肌色:雪色

 [ジョブ適正]

 錬金術:錬金術に適性を持つ+1

 錬金術師装備:錬金術師装備に適性を持つ+1

 弓使い:弓弩に適性を持つ+1

 [クラス適正]

 調合:調合スキルに強い適性を持つ

 弓弩士:弓弩に適性を持つ+1

 [スキル]

 武器スキル:杖Ⅰ.Ⅱ 剣Ⅰ 槍Ⅰ 弓Ⅰ

 防具スキル:布製Ⅰ.Ⅱ 革製Ⅰ 金属製Ⅰ

 装飾スキル:アクセサリーⅠ.Ⅱ 錬金具Ⅰ.Ⅱ

 魔法スキル:回復魔法Ⅰ.Ⅱ 武具召喚Ⅰ.Ⅱ 武器召喚Ⅰ.Ⅱ 防具召喚Ⅰ.Ⅱ 

 武具効果召喚Ⅰ.Ⅱ

 補助スキル:武具召喚才能Ⅰ.Ⅱ

 生活スキル:採取Ⅰ.Ⅱ 伐採Ⅰ.Ⅱ 釣りⅠ.Ⅱ 騎乗Ⅰ

 生産スキル:調合Ⅰ.Ⅱ 錬金Ⅰ.Ⅱ 計量Ⅰ.Ⅱ 栽培Ⅰ.Ⅱ 園芸Ⅰ 農業Ⅰ 調理Ⅰ 

 固有スキル:

 種族:【幻神剣】:不可視の剣を召喚し、使役する。

 ジョブ:【錬金】:錬金スキル無しでも錬金可能。

 クラス:【調合】:調合スキル無しでも調合可能。

 ジョブ:【矢作】:矢製造可能

 クラス:【射手の目】:有効射程距離が延びる

 個人【夜の加護】:夜間能力上昇、HP回復

 個人【闇の加護】:光が差さない場所なら能力上昇、MP回復

 個人【日光浴・小】:1時間に20%まで空腹値を緩和する

 ▽[装備]

 ヘッド :

 フェイス:

 インナー:ブラウス 胸当て

 アウター:ジャケット

 ボトムス:ミニスカ

 レッグ :タイツ

 シューズ:レザーブーツ

 アクセサリー:

 右腰:〝幻想月ファンタジックムーン

 左腰:レイピア(Sサイズブレイド)

 背中:バックラー

 遠距離武器:連射式クロスボウ〝ポンプ式クロスボウ〟

 予備武器:ショートスピア

 ▽

 従者ネーム:リャナ

 種族:上位地母神

 性別:女

 ジョブ:従者

 クラス:妖術師

 身長:167cm

 瞳色:碧眼

 髪色:金髪

 肌色:乳白色

 [スキル]

 武器スキル:杖

 防具スキル:布製

 装飾スキル:アクセサリー

 魔法スキル:元素魔法 暗黒魔法 神聖魔法 状態変化魔法 即死魔法 支援魔法

 補助スキル:魔法才能 魔力才能 魔法使いの心得

 生活スキル:騎乗

 生産スキル:

 固有スキル:

 種族【豊饒の大地】:植物の育つ環境を整え。攻撃に使用すれば範囲内に持続ダメージ

 個人【夜の加護】:夜間能力上昇、HP回復

 個人【闇の加護】:光が差さない場所なら能力上昇、MP回復

 個人【日光浴・小】:1時間に20%まで空腹値を緩和する

 ▽[装備]

 ヘッド :

 フェイス:スペル型ウェアラブルPC(レンズ型)

 インナー:ナイトドレス

 アウター:

 ボトムス:ナイトドレス

 レッグ :ガーターストッキング

 シューズ:レザーブーツ

 アクセサリー:ウェアラブルPC端末(リング型入力端末)

 右腰:片手用杖〝姫将軍プリンセス・ジェネラル

 左腰:レイピア(Mサイズブレイド)

 背中:

 遠距離武器:

 ▽

 従者ネーム:ピュシー

 種族:上位妖精

 ジョブ:従者

 クラス:妖精魔法使い

 身長:155cm

 瞳色:赤

 髪色:茶色

 肌色:乳白色

 武器スキル:杖

 防具スキル:布製

 装飾スキル:アクセサリー

 魔法スキル:元素魔法 回復魔法

 補助スキル:魔法才能 魔力才能 瞑想 

 生活スキル:NPC言語 モブ言語 浮遊 飛行

 生産スキル:騎乗

 固定スキル:

 種族【妖精の舞】:妖精の鱗粉を作りポーションの材料とする。また範囲内に浮遊効果。

 個人【夜の加護】:夜間能力上昇、HP回復

 個人【闇の加護】:光が差さない場所なら能力上昇、MP回復

 個人【日光浴・小】:1時間に20%まで空腹値を緩和する

 ▽[装備]

 ヘッド :

 フェイス:スペル型ウェアラブルPC(レンズ型)

 インナー:ブラウス

 アウター:ジャケット

 ボトムス:ミニスカ

 レッグ :ガーターストッキング

 シューズ:レザーブーツ

 アクセサリー:ウェアラブルPC端末(リング型入力端末)

 右腰:片手用杖〝最後ラスト千年ミレニアム

 左腰:レイピア(Sサイズブレイド)

 背中:

 遠距離武器:

 ▽

「久し振りに剣を買ったな」

「お姉ちゃん試合しようよ」

「ティア、武器が変わっても結果は変わらんぞ」

「ふっ。少しだけ強くなったのだ」


 そんな姉妹のような会話ではあるが、保護者のレドとしてはティアの言葉遣いが非常に気になって仕方がない。


(どこで覚えるんだ!)


 心当たりがあり過ぎて困るが、人と会う事が多いためだ。


(むぅ育児の事で相談するのは)


 150cmの為に思春期のような娘さんだ。


(リャナか、いやまずは自分なりに調べてから考えよう)


 主に言葉遣いの事だ。

 姉妹は店の軽い武器試験場施設に入り、レイピアでの試合らしいが、ピローテスとティアの身長差は18cmある。当然の様に手足の長さも違うし、ティアの選んだ扱い易いSサイズは80cmあるが、ピローテスのはLサイズの為に90cmある。最低でも15cm以上のリーチの差がある計算になる。


「行くよぅ!お姉ちゃん」


 ティアがレイピアを構えながら声を出した。

 ピローテスは微苦笑混じりに器用にレイピアを振るい、真正面に構える。


「こいティア」


 一撃を繰り出したティアのレイピアを、ピローテスのレイピアが器用にパリィする。

 見る客たちも明らかに手加減しているのが分かり、剣士としての格の差があり過ぎて暇そうに見る程度だ。

 刺突を繰り出すも、全てパリィされる。


「強くなったもん」


 拗ねて駄々をこねるティア、ピローテスは妹の様子に微笑ましく朗らかに笑ってから剣を収める。ティアも慌てて剣を収めた。


「少しはマシになったかもしれないな気分的に」


 ピローテスが意地悪く言うと、ティアは唇を尖らせる。

 見ていたレドが手を上げる。


「よしピローテス、ティア、二人で俺と戦おう」

「了解した」

「ティアは一人で戦えるもん」

「そう機嫌を悪くするな、何直ぐに済む」

「むぅ」

「そうだ。よい店を紹介しよう、美味しいケーキの店だ」

「ケーキ?」


 ピローテスの話に、ティアが徐に食いついた。

 ティアの葛藤が見て取れる。

 意地とプライドと食い意地と、色んなものがごちゃ混ぜになっても、食い意地が勝ってしまう為に、本人のプライドが理性と共謀し何とかしようとしていた。


「ああ。あの店か、一週間に一度ぐらいしか開かない店だ」

「一週間?美味しいのお母さん?」

「非常に美味い。この町一番の店だ」

「う」


 ティアの食い意地とが勝りかける、しかし本人の様々な勢力が押し戻そうとするが、結果として本人の食い意地の方が勝ってしまった。


(それでよいのかティア)


 姉としては本気で心配になる。


「さっ始めよう」

「うぅぅ。うん」

「意地悪を言ったことは謝ろう」

「うん!ケーキの店は紹介してねえ」


 Mサイズのレイピアを握るレド、Mサイズの為に中間の85cmサイズだ。

 レドが剣での礼をし、真上に切っ先を向ける、二人もこれに習う。

 レイピアを下げ、真っ直ぐに構える。


「試合待て」


 リャナの凛々しい言葉が響く、レドか剣を下げ、構えようとしたピローテスやティア下げる。


「単一対複数戦は騎士の礼に反します。実戦では当たり前でもここは平和な街です。よって私が加わります。よろしいですねマスター」

「ああ構わない。ピローテスの相手を頼む」

「了解しました」


 いつもの温和な表情と声に戻り、ティアやピローテスもリャナの副官時代を垣間見る。

 ピュシーはリャナに言われたのか、ひたすら刺突の練習中だ。

 レドとリャナが並ぶ、レドはおふざけ癖があるもの武人としては少なくても一流の領域だ、弓の腕前こそ振るわないが、剣の腕は立ち、槍を扱わせたら剣の比較にならない程の達人となる。

 リャナの実力は未知数ながらも、レドに教えたのはこの副官であったリャナだ。

 ティアから見ても分かるほどの剣の実力者のレドに、それに教えたリャナの剣の腕前が見られるのは正直嬉しい感情が強い。


「Rassemblez! Saluez!(ラッサンブレ、サリューエ)」(気をつけ、礼)


 レドは礼を行い、二人も礼を行い、リャナも礼を行う。


「En garde!(アン・ガルド)」(構え)


 四人が構える。


「Prêts?(プレ)」(用意はいいか?)

「Oui.(ウィ)」(よし)

「うぃ」

「うぃ」

「Allez!(アレ)」(始め)


 レドとリャナの高速の突きが放たれる、ピローテスは何とか避け、ティアは首元に突き付けられてあえなく撃沈した。


「剣を避けたら返してくださいピローテス、それが剣の会話です」

「無茶を言う」

「返すまで攻撃はしません。これは訓練です」

「分かった」

「よしティアも返せ」

「う、うん」


 二人が返すかのように刺突を放つが、レドにあっさりと剣で弾かれ、再び刺突で首元に突き付けられる、ピローテスは高速の刺突を放ち、リャナは軽やかにこれを回避し、高速の刺突を放つ、ピローテスは慌てて回避するも、返すなんて余裕はない。


 店の客もいきなり始まった剣士たちの訓練に集まり出す。

 剣の会話という訓練方式により、刺突や斬撃を放ち、これを防ぐなり回避するなりしたのちに返す、これを繰り返すのだが、ティアは明らかに実力不足、ピローテスは腕前の方は高いのだが相手が悪すぎる、リャナは軽やかに全て回避するなりステップで避けカウンターの刺突を放ち、時には斬撃を繰り出していた。


「うわぁ」


 練習中のピュシーもこれは酷いと思うのがティアだ。

 マスターの養女の様なモノでもあり、友人の様なモノでもあるティアではあるが、全くのダメダメだ。そもそも攻撃が届ていない、掠る事もなくレドの前で全て剣に弾かれる有様だ。


(これは酷すぎる)


 他の剣士の方がハイレベル過ぎて、お話にならない。

 ピュシーなりに考えた。


(これは不味い)


 正直、ついさっきし始めたばかりのピュシーの剣の腕前とティアの剣の腕前にはそれほど差がない、つまり全く弱過ぎるのだ。お話にならないと蹴られてもおかしくはない。

 それならからある事を連想した

 とある戦いの際にアンデット達に剣を向けられたときの事だ。


(不味い、このままじゃあティアを守れない)


 別に変な趣味はないが、友人位は守りたいものだ。


(うん練習しよう)


 案山子相手にひたすら刺突の練習を繰り返していた。それも熱が入る。


「そうじゃない、こうするのだ」


 長身の男が細身のロングソードで突き方を教えた。

 双剣士らしく右腰にも細身のロングソードがある。

 ピュシーもこの剣士から教わるべく、レイピアでひたすら突き方と斬撃の仕方を習う。

 双剣士の男は腕前が良い様で、動きが洗練しており全く無駄がない。

 流れるような流水のような動きだ。

 レドの様な剛剣でも、リャナの様な軽やかさもないが、割と良い動きにピュシーには思えてならない。


「ありがとう先生」

「先生?」

「だって教えてくれたじゃない」

「まあいい。人の急所は早いが、相手の武器を弾くように扱ってみろ。こんな感じだ」


 男が実演した。

 ピュシーもこれを真似し、男が頷いてから細身のロングソードを構える。


「えーと」

「勘違いするな。剣の相手はどうしてもいるものだ」

「あ、ありがとう」


 双剣士より教わりながら、ピュシーも剣の扱い方に慣れる一方、武器を弾くことをひたすら練習したが、これが難しい、双剣士の男もそれが分かっているのか絶えず指導してくれる。


 双剣士のロングソードを弾くことに成功した時、ピュシーは心の底から歓喜した。

 長身の双剣士の男は微笑して、細身のロングソードを収める。


「中々飲み込みが早くて助かる」

「ありがとう先生、私はピュシー」

「名乗るほどのレベルじゃない、じゃあな」

「待って」

「なんだ」

「また教えてくれない?」

「いいだろう。またこの店に居ればな」


 名乗る事もなかった双剣士が去る。

 ピュシーなりに考えても、腕利きだったのかもしれないと思う。


(渋い)


 あれではあるが、割と良い人に思えた。


(マスター以外にも居るものね)


 サモン型の従者を物扱いするサモナーは結構な数がいる、使い捨ての道具扱いの話も結構聞く、逆に扱いの良い話も多く、レドの様なサモナーの従者への待遇や扱いは稀ではあるが、好い職はではある。

 ただ善い者がいる一方、悪い者が居るのも世の常というべきものなのが少々気になる所だ。善い奴ばかりじゃないが、悪い奴ばかりでもないらしいのがこの町だ。

 だからこの町が好きな方だ。


(なんだろうね。人って)


 悪い奴が居る一方、好い奴もいるのだが、バランスなのか、それともそんなものがプレイヤー達の世界なのかはピュシーにはわからない。


「練習しよ」


 双剣士より教わった剣の扱い方も練習しながら、刺突の練習も繰り返していた。

 一方剣士達の剣の会話による練習も終わり、レド、リャナは軽く乱れる事もない息の仕方だが、ティアはゼイゼイ、ピローテスも荒い息をしていた。


「ああ面白かった」

「もう少し訓練が要りますね」

「リャナが、強、過ぎる、のだ」

「はいはい。息を整えて」


 レドが軽く言うが、ティアは息を整えるのに忙しく、ピローテスは荒い息で深呼吸を繰り返していた。


「ティアは運動不足だな」


 いつもなら言い返すが、今回ばかりはそんな余裕はなかった。

 レドがみれば、ピュシー練習の仕方には悪くない剣筋だ。

 一つ一つが丁寧に精密な剣の動きを行い、的確に突き刺す仕方だ。よい訓練を積んで結果でもあるらしい。もう一つの事も思いつく。


(誰かから教わった?リャナか?)


 リャナはピュシーの傍で指導していた。


(まあいいか)


「ケーキ、の、店」


 荒い息でティアが、ピローテスに向けて話していた。

 食い意地の張った娘だと、思わずにはいられないレドだった。


 ケーキと紅茶の店、ライという素材屋だった者が営む喫茶店だ。

 四日に1度から1週間に1度のペースでしか開かない激レアの店だ。

 開いたとなれば直ぐに噂が広まり長い列が作られる。

 レド達も列を並んでから店に入る。

 店は意外にも可愛い小物が多く、香りも非常に良い紅茶や、甘いケーキの匂いが広まる。

 ケーキセットを直ぐに頼み、何とか人数分確保した。

 このケーキは、ティラミスとレアチーズケーキの二つで、こんなケーキを見た事もなかったティア、リャナ、ピュシーは一口食べると美味しそうに次も食べ、来て正解だったとピローテスは思う。

 レドは紅茶を飲みながら、ケーキをティアに出す。


「ありがとうお母さん」

「いつも食っているしな別にいいさ」


 この二つのケーキを半分ずつに切って、ピュシー、リャナ、ピローテスに配る。

 レドはますます上機嫌になりニコニコと微笑んで居た。

 ピローテスもティアの優しい行動には頬を崩していた。


「うん。これで分けなかったらこんがり焼いていたわ」

「大丈夫まだあるから」


 さらりと怖いことを言うピュシーだが、ティアは直ぐに切り返し、二人はにこりと笑う。

 心温まる光景だとリャナは思う。


(大家族になってくれたらそれでよいです)


 かつての世界とは違うが、この世界で生きることを決めたリャナにとってみれば嬉しい事であった。


 □


 夕飯時、久し振りに定宿だった『金色の猪亭』に行き、夕飯を食べる。

 設備が設備なのでそれなりの客もいた。


「にゃ久し振りにゃ」

「女将さんお久しぶり」

「お久しぶりだ」

「久し振りです」

「久しぶり~」

「夕飯を食べに来たぜ」

「いいにゃよ。昼間は暇だから飯屋も開いているにゃ」

「そいつは有り難い、昼の忙しい時に食べに来られる」


 夕飯を食べてから、今度は自宅に戻り、工房での作業を行い、風呂に入る。

 この風呂には朱雀のルリが炎で温度を適温に温めて入り、中々快適だった。

 ティアを寝かしつけ、明日の事もあるが、リアルでは1時間35分しかたっていないので、もう少し残る。


 ピュシーは剣の訓練を行い、リャナが少しずつ指導していた。

 レド一家のいつも騒がしいティアが寝ているとなんとも静かだ。

 レドとピローテスは酒を酌み交わし、日々の事を語る。


「マスターのリアルという世界はどんな世界だ」

「刀京と似たような所さ。ああいう世界で学校に通う事になる学生なのが俺だ」

「冒険者育成学府のような場所か?」

「ああいう実用的な場所ではない、知識を重んじる学者の勉強だ」

「マスターが学者?」


 いつも嬉しそうに混ぜ物をする姿を思い出し、つい思ってしまう。


(怪しげな)


「ピローテス、そんな場所じゃない」

「顔に出ていたか?」

「ばっちりな」

「それは失礼した」

「俺のような奴は変わり種なのさ」

「では、どんなものが普通なのだ?」

「ティアやピュシーだな。教師でいうのならリャナだ」


 想像をつい考える。

 ティアやピュシーの様なものならまず平和的だろうが、リャナはああ見えてもかなり危険な一面もある女性だ。特に呪いの森での狂笑は正直なとこのゾッとする。


「ピローテス、かなり失礼な事を考えていないか」

「いや、まあ」

「リャナは色々と合った、有り過ぎたぐらいさ、今の平和の暮らしが余程に嬉しかったらしい、心の底からこの世界を楽しんでいる」

「マスター・・・」

「俺も、な。ああいう経験はもう御免だ」


 壮絶な過去を持つだけに、察する事は想像する事で出来る。


「だから正直な、迷う」

「何をだ?」

「娘にあれを見せてよいものかとな」

「首を刎ねられたことか?」

「かなりショッキングなものだ」

「皆殺しだったのか?」

「ああ」

「酷い事を」

「最後の最後まで抵抗したからな、憎かったんだろうな。何もかもが」


 抵抗したという事はピローテスには少しわからない。

 それは従わなかった事を意味する。

 皆殺しに逢ってまで抵抗する意味が、どこにあったのかは正直な所はわからない。


「まっどのみち遅かれ早かれ皆殺しにはあったがな」

「酷い」

「最初からそういう話だったのさ。覇王を殺した王女を受け入れたからな俺達は」

「・・・」

「とある国の国王は一代で大陸を統一しかけ、娘に首を刎ねられた」

「・・・」

「偉大な国王は覇王と呼ばれ、その右腕であった実の娘は祖国と父親を裏切り、最初から敵対していたとある国に単身で逃げた。覇王の首を持ってな」

「狂っている」

「覇王は殺される前に、実の娘に従えと言って、政略結婚の道具になる事を強要した」

「バカな」

「・・・そういう国に生まれ、その渦中の中で育ち、祖国を裏切り、民を見捨て、家臣を捨て、父親の首をもって宿敵に寝返った姫さんさ。憎かったと思うぜ。そりゃあもう憎くてしょうがなかったんだろうよ。何もかもがな」

「バカな、家族で」

「姫さんは言った。もう裏切られるのも、裏切るのももう嫌だとな。ショックだったんだろうな。だから言ったぜ。家族とだけは争わないってさ」

「・・・」

「結局敗戦の将は皆殺しを見届けて殺されたがな」

「家族は私が守る」

「ああ頼りにしている。お前も家族だ。死ぬことだけは許さんぞ」

「死んだらあの世で説教されるからな」

「まっ死んでも蘇生薬で叩き起こすがな」

「それは頂けん」

「酒でも飲もうぜピローテス」

「そうだなマスター」


 酒を飲み交わしてから、ピローテスがそれとなく聞く。


「マスターは私を家族と呼んでくれた」

「それがどうした?ティアの姉だろ」


 ピローテスは言わんとすることをはっきりと聞きたくなるが迷う。

 この父親の様な主は言うだろうが、それはそれでもったいない気もする。

 だが聞きたかったし言いたかった。


「なら聞くマスター」

「娘の様なものさ」

「ならマスターは父親の様なものだ」

「そいつは嬉しいな。意外に父親気分も悪くないしな。娘が二人も居ると何かとあれだがな、ティアなりピローテスが、これは辞めておこう」

「?」

「色々とあるんだよ人の営みって奴にはな」

「そういうものだと覚えおく」

「いつか殴る事になるのだな」

「娘に手を上げる気か?」

「違うな。娘が連れてきた奴にだ」

「なるほど、父親にとってみれば、か」

「男心はそれなりに簡単だが、それなりに難儀な所もあってな」

「む。私としてはまだ」

「そう簡単に行くなよ。後だが男選びだけは間違えるなよ」

「ああ」

「後な、かなり嬉しかった、一度さ、大きくなった子供と飲みたかったんだ」

「ありがとうお父さん」


 □


 ログアウトしてからの昼間を過ごし、娘二人の写真を編集し、ふと思い出しウルカに連絡した。


「おいウルカ生きているか?」

『レドか、娘に結婚しろと言いまくる両親についてちょっとな』

「それを黙らせる妙案があったはずだぜ?」

『ふっ。有ったら実行して黙らせているさ』

「写真を送り付けて勘違いさせれば良しさ」

『是非!』

「じゃあ準備をするぜ」

『こっちも準備しておく、切るぞ!』


 と忙しく切られた。

 適当なスーツ姿で写真を撮り、適当に編集し、背後を合成し、ウルカと連絡を取り合いながら話を進め、ウルカの両親の帰宅時間に合わせて写真が届くように細工した後に宅配便で送りつけた。


 しかもウルカのゲームの時間を確保するために超速達仕様だ。代金は着払いでもOKというウルカの証言もありそれにした。

 リアルではがり勉だが、遊び仲間のゲームの時間の為には頑張れた。


『ふっふっふっ、ついにゲームが出来る!感謝するぞレド!』

「おうよ。久し振りに冒険が出来そうだ」

『忍法~♪手裏剣~♪忍者刀~♪』

「楽しみにしているぜ。じゃあな」


 かなりストレスが溜まっていたらしく、自作の忍者の歌まで歌い歓喜を表現していた。

 一人のゲーマーとして、ゲームのために勉強する一人のゲーマーとしては、結婚という理不尽なモノを強要されるのはさすがに勘弁ならない物だ。基本的にウルカの仲間ではあっても、ウルカの家族の味方ではない。

 しかも高校を辞めさせられかねないのはさすがに辛い。受かった後の、はしご外しも吃驚なやり方だ。

 午後1時30分、ログインした。


『レドがログインしました』

『ウルカがログインしました』


 [ワンオフ・フリーライフ・オンライン]世界のもう一つの家、仲間との家族との思い出の家の為に、自室のベッドの上で目覚め、いつもの様に男性アバターに切り替え、仲間との冒険を考えてから、ルリを外に出し、リャナとピュシーを召喚し、予定時間は16時間だ。この世界では午前6時の為に、16時間後の、午後20時ぐらいの計算だ。


 外に出ると、嬉しそうに忍者刀を見て顔を崩しているウルカが居た。

 余程嬉しかったらしい。


「感謝するレド。お前は友人だ」

「水臭いぜウルカ。苦楽を共にした仲間だろ。今日も冒険を楽しもうぜ」

「うむ。後三名が集まればフルメンバーだが、この時期だしな」

「学校が近くなっているし、忙しくもなるものさ」

「そうだな。まずは料理か」


 ピローテスとティアとユキカゼに遭遇した。


「あっ。今日はお父さんの日か」

「レド!」

「わん!」

「おし。飯にしようぜ。ウルカのトラブルも片付いたしな」

「後で聞くぞレド」

「お手柔らかにな」


 台所で料理を作りながら話、ウルカとしては基本的に人の好い所がある為に、ちらりと二人を見る。姉妹仲良く爪楊枝で剣遊び中だ。


(上手くやれている様だし、ひとまず大丈夫か)


「おし朝からだが、ハヤシライスだ」

「うむ味わ良いが、飯がイマイチだ」

「仕方ないだろう。いつもは炊飯器なんだよ」

「まあよい、ハヤシライス♪」


 レドの家族がビックリするほど上機嫌なウルカに、余程ハヤシライスが好きなんだなとは誰も思わない、レドの言ったトラブルが解決したという言葉があるからだ。


「うんうん美味いなぁ」

「たんと食え、今日の冒険の場所か、それとも生産かだな」

「む。冒険か、生産か、か」

「どっちも楽しいしな、とはいうが、冒険もそれなりに魅力はあるがな」

「Lvか?」

「ああ。全く上がらん。うんともすんとも言わん」

「さすがにな、4桁も増えてしまってはどうしようもない」

「さっさと改善して欲しいが、色々と原因究明など色々と有るのだと思っている」

「相変らず人が良いなお前は」

「俺にも色々あるのさ。短いような長いような時間の中でな」

「昔何があった」

「すまん。今は言いたくない」

「別にいい。言いたくなれば言え、言いたくないのなら言うな。それはお前の自由だ。リアルがどんなに辛く窮屈でも、ここでは自由だ」

「ウルカ」

「素材集めという考えもあるぞ」

「素材か?なるほど、それは良い響きだ」

「レドお代わり」

「お父さんお代わり」

「はいはい」


 小盛りにしてから軽く掛け、二人に渡す。

 そんな二人をウルカは可笑しそうに見てから微笑み、レドに向く。


「大きい娘が二人もいるな」

「可愛い娘たちさ」

「短いはずだったがな」

「なんだ突然」

「いやな。ゲームは三月のみと両親と約束したのだ」

「で解禁になったと?」

「ああ。高校にしっかりと毎日通うなら許可するって」

「良かったではないか」

「全くだ」

「高校か」

「毎日ログインできるのなら我慢するさ」

「まあな。さっとと食おうぜ」


 食べ終わってから片付けを終え、香水の紅茶を飲みながら、素材を確保する為に何処に行くかという事になる。当然の様に今までの狩りメインから、生活スキルの採取や、伐採や、釣りや、時には狩猟が必要になる。

 だが殆どの経験がないのだ。


「お父さん、私なら採取者の素質がある」

「そう言えばあったな。しかしやった経験は?」

「殆どない、だから全員で少しずつ学んでいければそれでよいのではないかと思う」

「なるほど、それは好い考えだ」

「ああ好い考えだ。という訳で生活スキルの採取とか伐採とか、釣りとか、狩猟とかを取ってから、素材集めをするぞ」

「「おお~」」

「スキルポイントが足りないと思うからチケットを配るぞ」


 ▽レド

 [スキル]

 武器スキル:剣(将軍)Ⅰ 槍(将軍)Ⅰ 弓(将軍)Ⅰ 弩(将軍)Ⅰ

 防具スキル:服(将軍)Ⅰ 鎧(将軍)Ⅰ 盾(将軍)Ⅰ

 装飾スキル:ウェアラブルPCⅠ 具(将軍)Ⅰ

 魔法スキル:従者召喚Ⅰ~Ⅲ、付加Ⅰ~Ⅲ 付加術Ⅰ~Ⅲ 弱体化Ⅰ~Ⅲ 弱体化術Ⅰ~Ⅲ 

 補助スキル:魔法才能Ⅰ~Ⅲ 同時使役才能Ⅰ~Ⅲ 両手利きⅠ 両手持ちⅠ 眼力Ⅰ~Ⅲ 発見Ⅰ~Ⅲ 夜目Ⅰ~Ⅲ 鷹の目Ⅰ~Ⅲ 索敵Ⅰ~Ⅲ

 生活スキル:同時使役Ⅰ~Ⅲ 採取Ⅰ 伐採Ⅰ 採掘Ⅰ 狩猟Ⅰ 釣りⅠ

 生産スキル:

 ▽ピローテス

 [スキル]

 武器スキル:剣Ⅰ 曲刀Ⅰ 暗黒曲刀Ⅰ クロスボウⅠ

 防具スキル:布製Ⅰ 革製Ⅰ 盾Ⅰ 小盾Ⅰ 竜騎士盾Ⅰ

 装飾スキル:アクセサリーⅠ ウェアラブルPCⅠ

 魔法スキル:暗黒魔法剣Ⅰ~Ⅲ 神聖魔法剣Ⅰ~Ⅲ

 補助スキル:魔法剣才能Ⅰ~Ⅲ 両手利きⅠ~Ⅲ 眼力Ⅰ~Ⅲ 発見Ⅰ~Ⅲ 看破Ⅰ~Ⅲ 鷹の目Ⅰ~Ⅲ 梟の目Ⅰ~Ⅲ 蛇の目Ⅰ~Ⅲ 索敵Ⅰ~Ⅲ

 生活スキル:採取Ⅰ 伐採Ⅰ 採掘Ⅰ 狩猟Ⅰ 釣りⅠ

 生産スキル:

 固有スキル:

 ▽ティア

 [スキル]

 武器スキル:杖Ⅰ~Ⅱ 剣Ⅰ 槍Ⅰ 弓Ⅰ クロスボウⅠ

 防具スキル:布製Ⅰ~Ⅱ 革製Ⅰ~Ⅱ 金属製Ⅰ

 装飾スキル:アクセサリーⅠ 錬金具Ⅰ

 魔法スキル:回復魔法Ⅰ~Ⅱ 武具召喚Ⅰ~Ⅱ 武器召喚Ⅰ~Ⅱ 防具召喚Ⅰ~Ⅱ 武具効果召喚Ⅰ~Ⅱ

 補助スキル:武具召喚才能Ⅰ~Ⅱ

 生活スキル:採取Ⅰ~Ⅱ 伐採Ⅰ~Ⅱ 採掘Ⅰ 狩猟Ⅰ 釣りⅠ~Ⅱ 騎乗1

 生産スキル:調合Ⅰ~Ⅱ 錬金Ⅰ~Ⅱ 計量Ⅰ~Ⅱ 栽培Ⅰ~Ⅱ 園芸Ⅰ 農業1 調理Ⅰ

 固有スキル:

 ▽リャナ

 [スキル]

 武器スキル:杖Ⅰ 剣Ⅰ

 防具スキル:布製Ⅰ

 装飾スキル:アクセサリーⅠ

 魔法スキル:元素魔法Ⅰ 暗黒魔法Ⅰ 神聖魔法Ⅰ 状態変化魔法Ⅰ 即死魔法Ⅰ 支援魔法Ⅰ

 補助スキル:魔法才能Ⅰ 魔力才能Ⅰ 魔法使いの心得Ⅰ

 生活スキル:騎乗Ⅰ 採取Ⅰ 伐採Ⅰ 採掘Ⅰ 狩猟Ⅰ 釣りⅠ

 生産スキル:

 固有スキル:

 ▽ピュシー

 [スキル]

 武器スキル:杖Ⅰ 剣Ⅰ

 防具スキル:布製Ⅰ

 装飾スキル:アクセサリーⅠ

 魔法スキル:元素魔法Ⅰ 回復魔法Ⅰ

 補助スキル:魔法才能Ⅰ 魔力才能Ⅰ 瞑想Ⅰ 

 生活スキル:NPC言語 モブ言語 浮遊Ⅰ 飛行Ⅰ

 生産スキル:騎乗Ⅰ 採取Ⅰ 伐採Ⅰ 採掘Ⅰ 狩猟Ⅰ 釣りⅠ

 固定スキル:

 ▽ウルカ

 [スキル]

 武器スキル:忍者刀Ⅰ 手裏剣Ⅰ 薙刀Ⅰ

 防具スキル:布製Ⅰ 革製Ⅰ

 装飾スキル:アクセサリーⅠ

 魔法スキル:忍法Ⅰ

 補助スキル:忍法才能Ⅰ 両手利きⅠ.Ⅱ.Ⅲ 眼力Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 発見Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 看破Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 索敵Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 敏捷Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 軽業Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ 身軽Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ ダッシュⅠ.Ⅱ.Ⅲ ステップⅠ.Ⅱ.Ⅲ ジャンプⅠ.Ⅱ.Ⅲ 

 生活スキル:採取Ⅰ 伐採Ⅰ 採掘Ⅰ 狩猟Ⅰ 釣りⅠ

 生産スキル:

 ▽


「まずは採取か、森はハードなので草原か、それとも海か」

「いや採取とは言えば森だ」

「海も悪くないよぅ。宝石とかありそう」

「結局私が司会を担当する事になるのですね」

「仕方ないよ。だってリャナだし」

「もう少し育ってほしいものです」


 頬に手を当てて溜息を吐くリャナ、皆のキラキラとした目を見ればわかる。

 冒険を楽しむことに全力なのだと、ピュシーにはよくわかる。


「ではエネミーもそれほど強くはない草原の方がよろしいのでは、何より基本的な事が学べそうですし」

「うむ賛成だ」

「問題ナッシング」

「異論はない」

「今回はわがままは言わないもん」

「じゃあ決まりだ」


 今回は草原に出かけ、騎獣達はお休み、草原での植物などを主に採取するだけではなく、小石等も採取した。

 鑑定スキルも取得し。

 ▽スキル取得

 レド:鑑定

 ピローテス:鑑定

 ティア:鑑定

 リャナ:鑑定

 ピュシー:鑑定

 ウルカ:鑑定

 スキル説明:[鑑定]未鑑定の物を鑑定できる

 ▽

 そうやって鑑定した物

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 名称 雑草

 レア値 1 品質 ☆×1

 効果 特になし

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 名称 小石

 レア値 1 品質 ☆×1

 効果 特になし

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「全部ゴミだ」


 ウルカが小石を投げ捨てながら叫ぶ。

 ピローテスは、まだ残っている未鑑定の物を調べ、ティアとレドは調合に使えないだろうかと思案していた。

 リャナは植物を種から成長させ、ピュシーは最近仲良くなったルリと遊び、ユキカゼはティアの傍で欠伸をかみ殺していた。


「乳鉢が居るな」

「磨り潰してからの液化が必要だし、たぶん薬草かも」

「こんな雑草が?」

「うん」

「意外にもだが、こう言った草原にある物の中には薬草が多いそうだ。初心者救済用だな」

「鑑定しても単なる雑草だぞ?」

「大丈夫。ユキカゼが怒らないなら毒物じゃないから」

「ユキカゼが怒るのか?」

「うん。ティアに毒物はまだ早いって」

「感心した子犬だ」

「リャナ、どう?」


 植物を育成していたリャナに、ティアが話しかける。


「好い感じですよ。よく成長しますし、効能などは詳しくないのでわかりませんが生命力の強いタイプの植物です。実も十分な大きさですし、種も十分取れました。育成し直してから品種改良などを繰り返せば大化けするかもしれません」

「そっかあ。生命力が強いとよく成長しその分変種も多いしね」

「はい」

「レド、どう?」

「ああ。幾つか分かった。まず雑草とは有るが、傷を癒す効果と、軽い毒を中和する効果の二つが基本的な植物らしい、つまり薬草と、解毒草だな」

「やったぁ!」

「残りは詳しく調べる必要があるが、これなんかはかなり便利な草と言えるな」

「どれどれ」

「特殊な分類でな、他の植物の効果を強めたり弱めたりする、天然の相乗薬だ」

「相乗薬?」

「他の薬の成分を強めたりすることが出来る薬の事だよ。凄く便利な薬なんだけど、凄く高価なの、後作るとしたらその分の事を考えれれば大変、大変」

「高価?」

「ウルカ、忍者からトレジャーハンターになっているぞ?」

「う、うるさい」

「まあ良い結果かな、戻って液化してから調べてみるのもよいね」

「こちらの小石はどうする?」

「砕いてから粉末化し、液体と混ぜてからの薬か塗料なんかにも使えるね。ちょっと変わった染料にも応用できるかも」

「よし全部回収してもらって行こう」

「よーし帰ってから調べるぞ」

「「おお~」」


 他のプレイヤーからすればよくわからない行動をする一団だ。

 基本的にプレイヤーは戦闘系、生産系と有るが、採取系は基本的に少ないのだ。その知識等は一般的な知識とは言えない分類だ。

 帰還した後の工房で、レドは植物などを磨り潰し、液体と混ぜてから効果などを調べ、ティアはピローテスと共に小石を砕き、これを液体と混ぜ合わせて効果を調べていた、リャナとピュシーは植物を育てては種を取り出し鑑定しこれを品種改良用や、レドの薬物化用等に分けて仕分けをする。

 ウルカは工房の前にある店で店番、ちょっと暇があれば紅茶と茶菓子を飲み食い、基本的にレドの店には人が多く来るので、そんなに暇はない、ルリも店番の様な警邏中で、不届きな奴が居れば蹴ったり突いたりする。


「素晴らしい、これなら相乗薬の強化は夢ではない、薬草からの簡単な薬品も軽く作れるし、解毒薬が簡単に手に入るのがなんとも嬉しいものだ。しかもすべてただ」


 レドは夢見心地で薬品を調べていた。

 小石砕きを行う二人は、ティアの調合により効果などが調べられ、かなりの発見が相次ぐ。


「これは凄い」

「どんな効果なのだ」

「うん効果は主に1種なんだけど、多い物では2種、小石の数でいえば結構あるけど、種類でいうのなら二種類、まずは少ない方の一種は簡単なバフ効果に属する効果を発揮し、低レベルなDEF上昇を起こす、主な数値でいうのならLv1、高い数値でいうのならLv2」

「随分と効能の高い物だな」

「うん。続いては二種類の物なのだけど、これは結構な曲者、高いバフ効果を発揮する一方、相反する効果にデバブ効果が有ったりもするタイプ、下手な薬品を扱えば悲惨な結果になるかも」

「攻撃力が上がっても防御力が下がるとか、魔法防御が上がっても魔法攻撃力が下がるとか、か」

「うん。十分な結果かな、二つを混ぜるのもよいけどもう少し詳しく調べてみたいし、早速塗料なんかにも使ってみるのもよいかも」

「時間はある気にせずに調べてくれ」

「了解」


 植物育成担当班の二人は、鑑定としあ訳を担当するピュシーは色々と調べ、メモ帳などにも記録し、種の数、花の香、蜜の変化、葉っぱの数、茎の成長度合いなど。


「結構な強いタイプだけど、なんというか」

「効能が弱いとかですか?」

「違うの。変化に乏しいタイプが断然多い、普通植物の生命力に強ければその分変異も多いし、そうなるとばらつきも増えからデータ的には変化が多いはずなのよ」

「確かにそうですね」

「変化は殆ど無し」

「おかしいですね」

「うんおかしいわ」

「薬品化用はこれだけの数に対し、品種改良用は僅かにこれだけですか」

「そうなのよ。変と思うわ。普通の植物の成長を阻害する何かがるとしか思えないし、そもそもうーん。これは調べる必要があるわ」

「幸い時間はありますし、それなりに調べてみたいのですが、気になるのはこの土です」

「土?」

「変な感じなのです」

「具体的に言うと?」

「本来植物は大地の力を吸収し成長します。必然的に大地の力が減る事を意味します」

「まさか減らないとか?」

「いえかなりの減りようです。むしろ異常とも思える減退率です」

「これって」

「恐らく病気でしょうね。幾つかのサンプルは取ってありますし、調べましょう」

「賛成」


 レドは薬を作っていたが、直ぐに異常に気付く。

 植物の効果には一定のばらつきがある、%でいうのなら凡そ10%だ。

 薬草ともいえるような効果のあるもの、解毒草ともいえるような効果のあるもの、相乗薬の原料になるとは思われる薬草は少数ながらもその変化が顕著で、他の植物が変化率は1%に対し、この少数の相乗薬の原料とになると目される草だけは以上に高い変化率を有し、凡そ4%と高い。

 多い方は少ない、少ない方が多いという現象は、少ない方の変化の富む事を表するのだが、変化率のみ計算すれば1:4となり、4倍の数値はいくらなんでも異常だ。

 調べてからの時間帯でいうのならそれほどの時間はない、乳鉢の数から言ってもそれほどの数はない、結論を考えるには早いが、薬品を混ぜるのが好きなレドから言ってもこの数値が示すところはそれ程歓迎できない。

 何より劇薬ともいえる様な相乗効果を発揮する薬の元となる様な草だ。


「ふむ。これは厄介な」


 レドの混ぜ物好きな勘が言う、これは飲むなと。


「さてどうしたものか」

「マスター、お話があります」

「そうか、実を言うと俺もある。厄介な事が判明した」

「というと?」

「相乗個かを発揮する劇薬の元となると目されるこの草、異常な速度で変化している。他の多い方の草と単純な計算でいえば1:4の比率だ」

「4倍ですか」

「そうだ。よくない傾向だ。正直なところ、飲んで検証したいところが、俺の混ぜ物の本能が告げる、これは飲むなとな、どの様な結果が起こるのかが分からないのは本能から言っても興味が湧くが、これを人に飲ませるのは正気ではない、かけるのもためらう様なものだ」

「・・・私達からの報告もあります」

「聞こうか」

「まずは私から、正直なところ、三種類の薬草の統計的なデータから言って異常なほどの変化富む一種はあるものの、残りの二種は一切の変化がない、一種類だけが異常の進化を行っているはまだ不明だけど、これは妙な数値を示し、一種の実に偏って成長は帰って植物の成長の領域に大きな差が付き、変化に富むのだけが適応する恐れがあるの、これは除草すべきよ。変化に富む過ぎるのが危険を示すわ」

「なるほど、後で薬物化して調べてみよう」

「続いては私の、土の事です」

「土?」

「はい。土に起こっているのはいくつかのサンプルによる調査によれば、急激な変化を呼び起こす恐れ、つまり植物への過剰な供給が見られます。これが現在の調査なのですが、よくない傾向です。好ましくない傾向なのですが、結果として植物への成長を支援している一面があり、大地の力に変化を与えすぎるとこの力に何の変化を及ぼすのか正直分かりません」

「ふむ。力の供給過剰、変化に富み過ぎる植物、変化があり過ぎる薬品、何者だ。これを起こしている者は、まるで一つの種類のみを変化させて強化させようとしているようではないか」

「私達も調べて入るのですが、生産者の心得に連絡した方が良いかと思います」

「観測する必要もあるけど、まずはある程度の情報は公開すべきと思う」

「そうだな。ティア、ピローテス」


 二人は熱心に調べていたし、その顔には憂いはない。

 調べた事を説明し、レドとしてもそれほどの収穫ではないのだが、単なる小石がそんな効果をもたらす魔法の鉱石と思えば、とんでもない結果になるのが頭が痛い事だ。


「データは回収後に筆記し書類化してくれ、ある程度纏めてから頼るべき箇所に出す」


 それぞれが頷く。


「ウルカに話してくる」


 店に出ると、紅茶と茶菓子を飲み食いするウルカが居た。


「ん?どうしたそんな険しい顔をして?」

「よくない事が数多く見つかった」

「店は閉めよう」

「・・・(コクリ)」


 ルリが外に出て、器用に扉を閉める。


「奥で話そう」

「ルリ行くぞ」

「・・・(コクリ)」


 工房で説明した。


「どういうことだ?」

「相乗効果を発揮する薬の原料のみを進化せるような力が大地より働いている」

「だから?」

「惑星というもののエネルギーを考えれば確かに無制限だ」

「ふむ」

「しかし大陸の一つ、その大陸の一つの町程度の大きさの土地となると話は変わる」

「その分集中的な負担を強いられるからな」

「そうだ。言い換えれば、この土地は死に帰ろうとしている」

「よくわからん」

「負担が増し過ぎてこの土地そのものが砂漠化しているという事だ」

「砂漠化?それは危険ではないのか?」

「とても危険な事だ。ただまあそれが速いのか、それとも遅いのかの違いはある、早ければこの辺りは砂漠化し、この町は消える、遅くてもその時間の計測が不可能なので、測れないが、それ程喜ばしくはない結果だろう。これに対する薬はない」

「おい」

「大地その物が、一つの植物のみを進化させる意思があると思うか?」

「ある訳がない」

「そうだある訳がない、だから俺はとあることを考えた。誰かがこれを操っているのではないのかと」

「相乗薬を欲する誰かか?」

「そうなる、しかし大地その力を奪うことになる」

「つまりこの土地を犠牲に?」

「そうなるが、他の土地も調べないと分からない物だ。ただ一つあるとするのなら、一つのクエストという事だ」

「これがクエストか?」

「俺達冒険者にはそれでいいんじゃないか、それとも名声欲とか、世界を救いたいとかいう奴か、英雄にでもなりたいのか?」

「違う。私の大好きなゲームが終わるのが気に食わんのだ」


 作業していたピローテス、ティア、リャナ、ピュシーは顔を見上げる。

 レドからすればそう言う奴だったと思い返した。


「私がやっと手に入れたゲームだぞ。やっとの事だ毎日ログインしてゲームをするのが私がしたいこと№1だ!」

「おいおいウルカ、生真面目がお前の性格じゃなかったか?」

「そんな事些細な問題だ!私はやっとつかんだゲームを満喫したいのだ!世界の為だぁ。そんな物はゴミ箱にでもシュートしておけ」

「まっそれならば良かったさ。さてどうするか考えよう」

「こんなことを考えるバカが居るのなら手裏剣を、ああいや言葉が悪くなるな。教育上悪い」

「気を付けてくれるのなら安心だ。当座は調査となる」

「うむ。なんか冒険らしくなったな」

「後の三名にもログインしてきたら教えるさ」

「うむ」

「頭のいかれた馬鹿が居るのなら、まっ適当にボコるさ」

「お前は人が好く情に弱いからな」

「痛い所を突くなよ」

「それを悪く言うつもりはない、しかし私のゲームを邪魔したら殴るぞ」

「分かっているって」

「それでどこから調査する」

「森だ」

「む。久し振り森の都か」

「そうなるな」

「それは良い宿代要らずだ」

「まっこんな感じだし、冒険の建前は出来たな」

「要するに冒険がしたかったのか?」

「当たり前だろうが、俺の薬品の力を発揮するのにどうしても実験体が居るんだ」


 ウルカは考えた。こいつを今殺した方が良いのだろうか?それとも後で殺した方が良いのだろうか?しかし貴重なポーションを殺したら冒険が厳しくなる。


(よし後で殺そう)


 それが世の為だとウルカは信じて疑わない。

 何かと頭の不等式が可笑しい二人だった。


「楽しみだ」

「全くだ。薬品の力が試せる」

「前々から思っていたのだが、お前の頭がおかしくないか?」

「世界よりゲームを優先する頭より?」


 二人が険悪な雰囲気になり、ルリが二人の足を蹴とばす。


「痛いルリ」

「痛いぞルリ」


 更に蹴とばす。

 痛がる二人に、ルリは容赦なく蹴りをかます。


「放って文章の作成しよう。良い薬だ」


 ピローテスが的確なことを言う。他の三名も納得し、これが本当の薬らしい。


「マスターって薬を作る人よね?」

「うん。レドも自分を治す薬を作ればよいのにね」

「昔はああも素直でよい少年だったのにどうして」


 三者三様でそれぞれ話してから文章を書く、レドとウルカはルリに蹴られていた。

 ユキカゼはそんな二人に溜息を吐いて、ルリに近寄る。

 ルリが睨むが、ユキカゼは何度も頭を下げる。

 ルリが仕方がないとばかりに溜息を吐いて座り込む。


「わん!」

「喧嘩はダメだって」

「すまんユキカゼ」

「悪かった」

「仲は悪くないのに卒中喧嘩しそうだから言っておくけど、喧嘩をし過ぎるとあとで大抵泣くよ」

「うむ。反省している最中だ」

「むぅ。育児中なのだ。難しい」

「まずはどうするかだな」

「ああ。森の都に言ってから特に問題が無ければ良いが、それが終わったら海の都だな」

「潜りでもするのか」

「水中呼吸可能な薬品がある」

「おおさすがはポーション」

「俺はポーションじゃない、まあ喧嘩ばかりするのもなんなので作業に入るさ」

「頼んだ」


 なんだかんだ言って仲の良い二人だった。

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