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011:刀京。其の4

レド~女性化するの巻

 ヘリの狙撃は非常に簡単、対物狙撃銃の〝NTW-20カスタム〟によりローターを破壊されたヘリは墜落、高度はそれほどでも無かったものの、中の人達は壊れたヘリの中で失神、無抵抗な者を殺すのもあれな意見が多かったので、レドが無力化し捕獲した後に睡眠薬を飲ませてから放置した。

 ヘリの腹にあった一つのコンテナ。


「・・・すまん」


 見せるものではないと判断したレドは睡眠薬を使い全員を寝かせた。

 ゲームとはいえハードの物が有るのは予想しやすいからだ。

 コンテナを破壊する。

 内部から液体が流れる。黒い為に血液なのかとも思えたが、匂いからして違うと分かった。

 内部に居たのは箱、150cmもないほどの物だ。

 コンテナの中にあった液体が流れ、その中の箱を工具で破壊し、内部に手を伸ばす。


「誰かいるか、生きていたら返事をしてくれ、こちらは武装していない、返答がなければ適当に取り出すぞ」


 工場の建物が邪魔した日陰であり、コンテナの中は暗く、箱の中は更に暗く、内部にはどろどろとした黒いオイルのような匂いの物に満たされている。

 当然の様に光り輝く物なんてない、太陽の光と、工具の中に納めてあったペンライトが頼りだ。

 中から取り出したのは人だった。


「やっぱりそうなるよな」


 機甲兵と妖の融合、当然の様にパイロットの方にも頭は行くと思った。

 黒髪のおかっぱ、ペールオレンジの肌をした少女だ。

 スポーツタイプの下着を着込んだ少女に、服をかぶせた。


「う」

「おい気付いたか」

「・・・」


 両目がぱっちりと開いた黒目の少女は、こちらを見る。こちらはにこりと微笑み。


「レドってんだ。名前とか言えるか?それとも何か食べるか?」

「・・・(こくり)」


 適当な料理を出して食べさせる。


「美味しい」

「そいつは良かった」

「レド」

「ん?」

「レドは味方?」

「それはお前が判断しろ。何せ自由だからな」

「レドは味方。暖かい」

「あっちで寝転がっているのが仲間、後で紹介するぜ」

「ぜ?」

「ああ」


 この少女が妙な行動を起こす。両手を使いレドの胸に手を当てた。

 そこに妙な感触を覚えた。

 よく見てみれば何故か胸が隆起していた。


(え?)


 しかも股などが見えないほど大きい。ピローテスサイズの様な胸があった。


「!?????????」


 声なき大絶叫。まさしくムンクの象。


「おっきい」


 胸に手を当ててそのまま揉む。


「どうやったらここまで大きくなるの?」

「!?」


 声が出そうになるが必死に抑える。

 そのまま胸に顔をうずめる少女。


「お日様の匂い」


 偉く気に入ったらしく顔をうずめてそのまま寝息を立てる。

 仲間が起きるのを待つ。


 □


 ユウヤが起きた。寝ぼけた目で見れば巨大な物がコンテナの近くに座っていた。

 座高はユウヤの70cmを優に超える90cmは有ろうかという物だ。

 初見の印象を例えるのなら

『ビッグ』

 別に太っているわけではないのだが、兎に角デカい。

 巨人の様な大きい外見に、よく見れば、ピローテス並の90以上はありそうな核弾頭並みのバスト。そこに黒髪の少女が顔をうずめてめていた。

 だから二回目に思ったことは

『ビッグママ』

 むしろ巨人と娘のような外見だ。

 顔の作りを見ればクールな感じの美人さんだが、兎に角長身(長身の女性には失礼だが)が全てを台無しにした感じだ。ただ非常にデカいバストが女性を主張するようにデカい。

 よく見れば褐色の肌に、顔の耳は長くダークエルフらしい。

 髪は白髪の様な煌く銀髪。

 女性にしては長身過ぎる、そして女性らしい巨大なバスト、立てばユウヤの145cmを遥かに超える全長を持つのは軽く予想できた。

 目が合う。

 何故か目元が潤んでいる。

 泣きそうな顔に困る。

 仲間を起こす事にした。


「ツグミ!」

「んにゃ?」

「起きろ。巨人の親子がいる」

「巨人?」

「あれだ」


 ツグミが見たのは巨大すぎる女性だ。

 兎に角規格外すぎる。

 座高は90cm以上はあり、バストも90以上はあり、立てば180cmを優に超える身長がありそうな巨大な女性。

 顔の作りはクールそうな印象で有り、美人とも言える様な顔の作りに、銀髪は煌く様な白髪に近い髪に、アーモンド形の瞳は黒目、繭も細く髪の色と同じ、睫毛も長く煌くようだ。肌はバランスの良い褐色、顔だけみればクールでやや冷たさそうな印象のある美人で有り、ややモデルのようだが、インド系の美人さんだが、兎に角デカい。


「巨人?」


 しかもみれば、胸の谷間に、顔をうずめているらしい娘さんがいる。

 黒髪に、ワイシャツをそのまま被っているが、ぶかぶかの為に体を完全に覆っている。


「ビッグママ?」

「だろ?」

「皆は?」

「レド兄ちゃん以外はいる」

「レドさんの事だから近くにいるとは思うけど。一応話を聞いてみましょう」

「そうだな」


 二人が起き上がる、近寄ってから話しかける。


「あの~どちらさん?」

「頼みがある」

「はい?」

「この子をどかしてくれないか?」

「はぁ?」


 ツグミが巨大な胸に顔をうずめる少女を離す。


「なんでこうなった?」


 巨大な女性がこう言った。

 双子は互いに顔を見合わせる。


「俺が何をしたってんだよ」


 女性の一人称は俺らしいが、非常に似合う物だ。


「・・・・レド兄ちゃん?」

「そうだよ」

「え?」

「もしかしてレドさんって女性だったのですか?」

「ちげえよ。何故か女性化していた。このコンテナには近づくな」

「「・・・・ええぇぇぇぇぇ」」


 二人は素早く飛び退く

 大声と倒れかけた少女が手をついて起きる。


「お母さん?」


 黒髪のおかっぱ少女がそんな声を出し、レドを見るとまた胸に顔をうずめる。

 大声で仲間達も起きる。

 全員の共通の認識を言えばデカい。

 ユキカゼは主が分かったらしく直ぐに飛び付いて顔を舐める。

 双子がそれぞれ説明し。


「お前は男から女になったのだな?別に隠さなくてもいいぞ?そんなデカいのがリアルでも全く気にしないから」

「デカいわね」

「例えば機甲兵も一撃?」

「容赦ねえな。話すから落ち着けよ。後コンテナから出ている液体には触れるな。性別が変わるぞ」


 全員が一歩下がる。

 ユキカゼは全く気にせずに舐めている。


「お前だけだよユキカゼ」


 何やら辛そうな顔だ。


「洗い流すよ」


 サモナーのヒリュウがそう言って上位の水精霊を召喚し、そのまま水を起こし大波で洗い流す。しかしレドの姿は変わらず。

 濡れて色気が出る訳でもないが、何やら可哀想になる。

 ピローテスが近寄り衣類などを渡す。


「マスター、私は付いていきますので安心してください」

「ありがとうピローテス。ちょっと疲れたよ」


 麗しい主従の事もあるが、お前もさっき下がったとは誰も言わない。


「今すぐにログアウトしたい」

「無理ですマスター」

「帰っていいか?」

「作戦中ですマスター」

「はぁ」


 嘆息するレドが立ち上がる。

 いつもの177cmを優に超える180cm以上はあり、185cmはありそうだ。

 169cmのピローテスが見上げる程の大女だ。性別が男だったら大男だ。

 150cm程度の黒髪の少女がバストから落ちる。


「お母さん」

「そろそろ名前を言え」

「ティア」

「そうかティア。俺はレドだ。よろしくな」

「よろしくお母さん」

「名前で呼べ」

「レド!」

「よし」


 レトが声を出し。


「じゃあ装備を変更するから、終わったら作戦続行だ」

「しかし、液体があるのでは?」

「そうだな。中止した方が賢明だな。ピローテス信号弾を撃ちあげろ」

「了解」


 ▽エキストラメインクエスト

 結果=作戦中断

 備考:作戦中断の為にエキストラクエストは延期されます

 ▽


 □『刀京』裏ショップ『スクラップ』


 注目を浴びるレド。身長185cmより僅かに大きい186cm。体重は90kg近くスリーサイズを言えばピローテス並みのバストは90以上、ウェストは60台、ヒップは90台という、人並み外れた巨人だ。

 女性用のスーツを着込み、白いワイシャツに黒いネクタイ、黒いベストに、黒いジャケット、黒いパンツのスラックス姿に、手には白い手袋、足には黒い皮製の靴。

 どう見ても筋もののような外見の女性だ。

 近くに置かれた全長1037mmのHK416、この銃が玩具の様に見えるから不思議だ。その近くにはグロッグ18Cがある。

 対面する裏ショップ『スクラップ』のボスである中年の男は、なんというべきか困るような顔でレドを見ていた。別にレドは怒ってはいないが、捕虜も連れてきたしまずまずの成功とは言えるし、ボスにも落ち度はないのだが、余りに様変わりしているので何とも言えない。


「まあ色々と合ってな」


 声は女性にしてはハスキーな声だ。この女性にはよく似合う様な声でもある。

 近くに座るダークエルフのピローテス、その近くに座る黒髪のおかっぱ少女のティア、足元にはユキカゼが鎮座する。


「色々とあり過ぎてなんというべきか困る」

「レド、一体?」

「さっぱりと分からん。黒い液体を被った時に既に遅く、だ」

「女化する液体か?」

「もしくは性別が反転する液体だな」

「サンプルは?」

「ない」

「ない?」

「ヒリュウが全部流してしまった」

「おい、そのままってことになるぞ?」

「仕方あるまい。流しちまったのだからな。当座はこうしておくが、捕虜からの次第では何とかなる。あちらの上らしい。そう言う事は話させた」

「手に穴が開いていたが?」

「ドライバーで開けた」


 つまり拷問したか、恫喝したが話さなかったのでそうしたかだ。


「一応だが、女性用のスキルも取るか?」

「・・・・」

「そう睨むな」


 レドが射殺さんばかりに睨むがボスは肩をすくめていう。


「何かと必要かもしれないぞ?スパイ用の装甲型を使うのならよくわかると思うが」

「・・・・全く。とんだアクシデントだ。2、3買っておくさ。何せ当座はこのままだ」

「セクシー系は外しておくぜ」

「ああ混じって居たらさすがにキレるぞ」


 渡されたスキル。

 ▽スキル追加

 女性の心得:女性らしい動きが可能になります

 女性の品格:女性らしいモラルが身に付きます

 淑女の気品:女性らしい気品と、淑女の様な気品が付きます。

 ▽

 所謂ロールプレイ用のスキルだ。

 分類でいえばロール系に位置する生活スキルだ。


「・・・・・なんでこんな目に遭うんだよ俺は」


 しかもログアウト不可能だ。

 高校生になる位の年齢の少年にはハード過ぎた。


「マスター」

「お母さん泣かないで」

「くぅ~ん」


 三者三様で慰める。

 仲間達も不憫過ぎて何も言えない。

 スキルを装備し、生産所での魔法系スキルの付加術のスペルの一つである『技能付加』、これによって付加された服や小物類に下着などもあり、外しても何とかなるまでなるが、ランク1の為にそれほど効果はない、ただ3つも有るのでそれなりに効果は発揮した。

 見た目は巨人だが、一応女性に見えなくもない程度になる。

 セクシー系とか、魅力的とかとはからほど遠い、可憐さ、可愛さなどは無縁の存在だ。

 馬鹿でかいアンチマテリアルライフルと並んでも、全く見劣りしない長身だ。

 他の仲間で大きいのは唯一のフォルゼンの2m。

 共闘中の南十字星のリードの従者のクーが191cmなので、ほとんど変わらない。

 バッシュは184cmなのでやや下回る。

 同じく共闘中のユックなどは182cmあるが、それでも男性としては大きい方に入っても、レドの身長は186cmだ。

 座った座高は90cmなのでやや手足が長い。

 中学生に上がる頃のツグミや、ユウヤのような低身長の145cmからすれば巨人だ。

 性格の方は元々おふざけが過ぎるものの、クールなタイプでもあり冷静に考えて作戦なども考えるタイプなので、別に似合っていない訳ではないが、誰もそれを言えない。


「兄ちゃん。飲む」

「ああ」


 渡された炭酸系の飲み物を飲む。甘いはずの味わいがなんともしょっぱい。


「今日のジュースはしょっぱいな」


 不憫過ぎた雰囲気が、一層に不憫に感じる。


「これも買うか?」


 ▽スキル追加

 クール系レディの心得:格好いい女性の心得、これであなたもクール系

 備考:レアスキルに分類されます。購入してもよいですが、購入しなければラストまでありません。ユニークではありませんのでそれほど高くはありません。

 ▽


 購入し前回と同じような技法で付加した。

 印象が少し格好いいなと思える様なモノとなる。

 男性だったら喜ぶべき事でも、女性なら複雑なモノでも、長身とも相まって非常に似合う。所謂の所の相乗効果だ。


「今日の所は帰れ、正直なところだが、サンプルがないので期待はするな」


 □『星空の記録』PT私有地。


 薬品ショップを開けて商売をする。

 従業員も様変わりしたレドが、余りに不憫過ぎて何も言えないが、労わる様な声を何度も掛けた。

 召喚されたリャナ、ピクシーのピュシーもあまりに様変わりした主に驚き、話を聞いて不憫過ぎる為に微かに泣いた。

 5階建てのビルの4階の薬品ショップに来た顔見知りや友人に知り合いなどは、レドの様変わりに呆然としていた。

 男性プレイヤーはその話を聞いて恐怖し、女性プレイヤーも性別が変わるかもしれない薬品に恐怖するも、一部の特殊な趣味を持つ女性プレイヤーからは大いに喜ばれ、何故か常連が増えた。

 ちなみに傍らから離れない黒髪おかっぱヘアーのティアが良く「お母さん」、このように呼ぶので、つたあだ名は誰も呼ばないが『ビックママ』だった。

 そんな午前中を終えた午後。

 従業員の給与を渡してから安全の為に軽い薬品を渡し、ついでに武装ではないが安全の為に煙幕弾と閃光弾と信号弾の三つも配給した。


「よじゃあ。昼飯と行くか」

「はいお母さん」

「マスター、大丈夫ですか?お辛そうですが」

「くぅ~ん」

「何とかなるさ。まあ今は情報待ちだが、行くぞ」


 二人と1匹を連れて店から出る。

 召喚する従者は帰還させてある。


 リアルでは正式サービスが3月15日で『始まりの7日間』より6週間後、現在は3月25日で40日が過ぎ。通常ゲームワールドは7月頃だ。

 先行エリアの『刀京』ではすでに四日過ぎている。

 ビルの一階にあるホールに、他のショップを終えた仲間が集う。

 ヒュムの忍者ロールのウルカ、侍スタイルのユウヤ、武道家スタイルからガンナースタイルへシフトしたツグミ、サモナーのヒリュウ、テイマーのアリサ、従者の4名。

 女性にしてはやや長身なプレイヤーのアリサが167cm、ウルカが160cm、身長の低いが年齢を考えれば妥当な157cmと言った所だ。

 ユウヤやツグミは145cm。

 レドの長身は際立つ。


「大変ニョロ」


 ヒリュウがふざけるように話す。


「なんだ」

「薬品が尽きたニョロ」


 薬品とは調味料の事だ。これがないと酷い味わいになるので補充するしかない。


「後で補充しておくさ」

「レドっちも災難だけど、なんか格好いいね」

「スキルのお蔭て思っておくよ」


 ヒリュウが軽い調子に言うのは良いが、ピローテスが激怒寸前のような目で睨む。


「ピロちゃんも怒らない怒らない」

「ピローテスです。ピロちゃんではありません」

「いやいや。ここは子供にやさしく」

「十分大きいと思いますが」

「何を言っているの。リアルでは色々だよ」

「・・・」

「まあ詳しくは知らないけど、レドがこのままだと色々と不味いのは分かるけどね。リアルで盛んな感じだったら、まあ女子会になるね」

「マスターは男性です。お間違いの無いように」

「お姉ちゃん。お母さんは女性じゃないの?」

「ティア、腹を満たしてからでも遅くはない」


 レドは意外に子ども扱いに慣れていた。


「すっかり母親というか保母さんの経験でもあるのか?」

「色々と合ったのさ。行くぞ」


 近くの露天商の集まる、屋台村に足を踏み入れた。


 □


 屋台村での食事を終えそんな時に公式からのイベントメールが送られて生きた。

 ▽

『イベント告知』

 ・PVP大会開催

 ・好きな戦い方で大会を勝ち抜け

 ・優勝者や順位によって素晴らしい賞品が

 ・PT戦、個人戦と取り揃えてあるぞ

 ・今すぐにGO

 ・従者などは預かります

 ▽

『個人戦にエントリーしますか。YES/NO』

『1日間の準備期間があります』


 YESをタッチ。


『レドが個人戦にエントリーしました』

『星空の記録より抜けます』

「・・・まっいいか。じゃあ皆の衆。個人戦にGOだ。準備に取り掛かるぞ」

「相談ぐらいはしてほしかったが、実を言うと私も個人戦にエントリーした」

「僕も個人戦にエントリー中だよ~」

「あたしもなのよね♪」

「俺も個人戦にエントリーしたぜ」

「私もです」

「じゃあ。全員で準備に取り掛かろう。1日もあるんだ最高の物を、な」


 □


 パンツスーツ姿に、内部にレザーを織り交ぜたロングコート、レザーブーツ。

 PC使いは個人戦には使えないので、装甲型に乗り換える。

 GMに聞いた幻神型は使えるそうで、何ら問題はない。

 全種類持つレドは幻神型をヒリュウに提供し、近接型をアリサに提供したので、残った潜入型は弱過ぎる為に却下。

 強襲型、狙撃型の二つとなる。

 レドはあえて狙撃型を選ぶ。

 ツグミは元々強襲型、ユウヤは近接型だ。

 明日の個人戦の為にそれぞれが寸法や素材の購入や、銃器の新調や新しい買い物や、ポーション類等の購入など、幅広い消費活動を行う。

 当然の様に『星空の記録』のビルの買い物に来る者もいる。

 従業員や従者たちに頼み商売を任せ、プレイヤーの6名中の生産を兼任する4名は生産に籠る。

 従業員も特別ボーナスと、レド達にはよくしてもらっていることもうあり、奮起して働く。

 そうやって生産した一覧

 ▽生産活動完了、生産品の一覧

 □□□□□□□□□□

 名称   パンツスーツ一式(男女別)

 素材   布製・革製

 品質   ☆×3(クリエイト級)

 耐久度  60/60

 装備効果 80:80(DEF/MDF)

 特殊効果

 雷撃無力化:雷撃Lv3まで無力化

 備考

 パンツスーツ一式(男女別)、レザーブーツ、レザー内蔵ロングコートも含む衣類。

 □□□□□□□□□□

 名称   アクセサリー一式(ピアス、ネックレス、ブレスレッド)

 素材   骨・爪等

 品質   ☆×3(クリエイト級)

 耐久度  30/30

 装備効果 元素魔法耐性・暗黒魔法耐性・神聖魔法耐性Lv3

 特殊効果

 雷撃壁:サンダーウォールを創り出すLv3

 備考

 アクセサリー一式、ピアス、ネックレス、ブレスレッドタイプを採用。

 □□□□□□□□□□

 名称   スティック飴(蜜柑味)

 素材   飴・特殊薬品

 品質   ☆×7(クリエイト級)

 耐久度  140/140

 効果

 HPリジェネード:HPが自動回復していくLv7

 MPリジェネード:MPが自動回復していくLv7

 TPリジェネード:TPが自動回復していくLv7

 攻撃力上昇:ATK/MATK上昇Lv7

 防御力上昇:DEF/MDEF上昇Lv7

 敏捷性上昇:AGI上昇Lv7

 照準性上昇:DEX上昇Lv7

 備考

 ステック型の飴のような形状の特殊ポーション。有名な調合士の薬品により圧倒的なバフ効果を生む。

 □□□□□□□□□□

 名称   防御コーティング剤(塗料タイプ/染料タイプ)

 素材   コーティング剤・塗料・染料

 品質   ☆×3(クリエイト級)

 耐久度  30/30

 作製方式 ハイブリット方式(素材増加方式&上位分解降下方式)

 効果   Lv3までの物が100個以上、主力な相乗効果

 備考

 コーティング剤としては極めて有効な物。防御に特化した狙いは、極めて有効な防御効果を持ち、特に遠距離攻撃への防御効果には目を見張る。

 □□□□□□□□□□

 名称   攻撃コーティング剤(塗料タイプ/染料タイプ)

 素材   コーティング剤・塗料・染料

 品質   ☆×3(クリエイト級)

 耐久度  30/30

 作製方式 ハイブリット方式(素材増加方式&上位分解降下方式)

 効果   Lv3までの物が100個以上、主力な相乗効果

 備考

 コーティング剤としては極めて有効な物。攻撃効果に特化した狙いは、極めて有効な攻撃効果を持ち、特に物理系の遠近攻撃能力には目を見張る物が有る。

 □□□□□□□□□□

 名称   攻撃コーティング剤(塗料タイプ/染料タイプ)

 素材   コーティング剤・塗料・染料

 品質   ☆×3(クリエイト級)

 耐久度  30/30

 作製方式 ハイブリット方式(素材増加方式&上位分解降下方式)

 効果   Lv3までの物が100個以上、主力な相乗効果

 備考

 コーティング剤としては極めて有効な物。攻撃効果に特化した狙いは、極めて有効な攻撃効果を持ち、特に魔法系の遠近攻撃能力には目を見張る物が有る。

 □□□□□□□□□□

 名称   星空の記録セットシリーズ廉価版

 素材   上記のもの全て

 品質   ☆×1:2:3(ランク1~3)

 耐久度  10:20:30(ランク・装備品によって変動)

 作製方式 上記に記録

 効果   上記の廉価版的な性能

 備考

 星空の記録のセットシリーズ第1弾。廉価版とは思えない最高峰ものと言える様な性能を誇る。値段設定にもよるが、極めて高い性能を誇る。ただ本家ほどの性能はない、あくまでも廉価版の中では、と言える様な性能である。

 □□□□□□□□□□

 夕方に売り出した物は飛ぶように売れた。廉価版シリーズはそのお手軽な値段設定と、上質な素材から作られたことと、有名な調合士のレドが調合した薬品により、高い性能を誇る為に☆×3等の物は直ぐに売り切れ、☆×2等の中間的なランクの物もすぐに売り切れ、☆×1の物は僅かに残るかに見えたが、初心者たちに飛ぶように売れていった。


 □夕食後の自由時間


「ようウルカ」

「レドか」

「こう言う自由時間に遭うのは久し振りだな」

「平原合戦前位か」

「そうなるな」

「リアルではどれくらいの身長だ?」

「184cm」

「そうか。大きいのだな」

「なんだよお前らしくない、そんな顔をするものじゃないぜ?」

「どんな顔だ?」

「ホッと安堵する中に、切なさや、辛さや、色々な顔情が浮かんでは消える様な顔だ」

「色々と有るのだ」

「リアルは世知辛いからな」

「いつかリアルで会おう」

「別にいいぜ。一応言っておくが俺は男だぞ」

「正直な話だぞ」

「おう」

「私は身長が大きい、私より長身な女性がいてホッとしていた」

「そうかよ。まっ別によくね」

「お前らしい台詞だ」

「まあそういう事なら一つ教えておく。ガキの頃、小学校の頃はデブだった」

「意外だな」

「ナイツ・オブ・ナイツをプレイしてから、騎士道にはまり、ひたすら毎日3時間のトレーニングを積むようになってから減量してな、あの頃からかなら身長も伸びた。予想を言えば190cmは超えると思うぜ。男は高校生になると伸びるからな」

「確かに、どれくらいだ?」

「ん?3サイズか?」

「それなら知っている」

「じゃあリアルの方の」

「殴るぞ?」

「冗談だって、ゲーム歴の事だろ?ざっと今年で10年だ」

「長いな」

「1度目のゲームはデータがぶっ飛び、二度目のゲームもデータがぶっ飛んで今は亡きゲームさ」

「・・・」

「じゃあ俺は行くぜ」

「ああ」


 そうやってウルカは別れたレドは、PTの私有地の借家の中を歩く。

 遭遇したのはユキカゼだった。その後を追うようにアリサが現れる。


「わふ!」

「ユキカゼ待って~ってレド!」


 テイマーのアリサは無類の動物好きなのだ。暇さえあれば動物の面倒か、従者の世話かともいえるような程の世話好きだ。


「くぅーん」

「おうユキカゼ。アリサと遊んでいたか?」

「わん!」

「そうか。なるべく遊んでもらえよ」

「わふ?」

「たくさん遊べば大きくなるからな」

「わん!」

「という訳でユキカゼちゃーん」

「くぅーん」


 何があったのかはわからないが、白狼にしか見えないリトルフェンリルのユキカゼが、尻込みする様にレドの後ろに逃げる。

 アリサは気にせずににじり寄る。


「アリサ?」

「別に酷い事はしないわよ」

「ユキカゼが怯えているぞ?」

「なんでかしらね」

「何をする予定なのだ?」

「衛生よ」

「えいせい?」

「体を洗ったり歯磨きしたり散髪したり」


 アリサが当然の様に言うが、ユキカゼは聞くのも嫌なのかレドの足元に隠れて怯えていた。可愛いと言えば可愛いのだが、なんとも可哀想で助けてやりたくもなるのだが、必要かどうかははっきりとしていた。


「野生の動物ってそんな事はしないからゆっくりと教えないとね」

「必要とはわかるが、何か可哀想だぞ」

「じゃあ。ユキカゼちゃんが虫歯になって死んでもいいの?」

「そいつは」

「寄生中とかついて臭くなってティアちゃんが触るのよ?」

「そいつはそうだが」

「こんなにもっさりとなったら暑いし、何より夏になったらすぐにばてるわよ?」


 反論のしようがないほど正しいのはアリサだ。そんな主人が押されているを見てユキカゼは足元で蹲る。ここなら安心だという信頼感が暖かい。


「ユキカゼ」

「くぅーん」

「今後の為にアリサに捕まっておけ頼む」


 突然の裏切りにユキカゼは飛び上がって逃げ出す。


「ユキカゼちゃん逃げちゃあ三倍よ」


 アリサの言葉にユキカゼは猛然とダッシュする。

 アリサが後を追う。


「ユキカゼすまん」


 次に遭遇したのはヒリュウだ。

 エルフのヒリュウはパンツスーツ姿のを格好で台所で調理していた。


「ようヒリュウ」

「あっ。レド~」

「料理か」

「うん。今出すね」


 ヒリュウが作っていた料理はハヤシライスだ。


「こいつは美味そうだ」

「でしょ?」

「頂きます」


 食べると確かにハヤシライスだ。

 しかも何杯も行けそうなぐらい美味しい。

 レドの食べる様をヒリュウは嬉しそうに眺めていた。


「好い味だ」

「そう?へへ」

「好い嫁さんになるぜ」

「じゃあ。レドが貰って」

「好いのか?」

「冗談だよ調子に乗るな」


 そう言って互いに笑う。


「ヒリュウは料理が上手だな」

「昔から得意なんだ。懐かしいよ」

「前々から疑問だが好いか」

「いいよ?」

「なんで僕なんだ」

「それ?他に聞くことがあるんじゃないかな?」

「3サイズとか?」

「聞いたら鉄拳制裁だよ」

「下着の色とか?」

「それも鉄拳制裁」

「んじゃあ体脂肪率とか?」

「はいはい。おふざけはここまでね」

「了解」

「まあ僕って一人称は何故か使うようになったと答えておくよ」

「意外にアニメの影響とかないよな」

「無きにしも非ずかもよ」

「へいへい」

「レドってさ。女になってどんな気分?」

「超複雑」

「だろうね。なにとかダイナマイトボディって奴」

「なりたくてなった訳じゃねえよ」

「そりゃあそうだよね」

「リアルより長身になったしさ」

「ちなみにリアルの身長は」

「184cm」

「大きいね。僕からすれば巨人だよ。リアルでもチビでさ」

「いいじゃねえか。小さくて可愛らしいだろ」

「ありがとう」

「服も選び放題じゃないか」

「そうなんだよね」

「デカいと何かと不便だぞ?」

「服も選ぶしね」

「ああ。不便だ」

「だよね。でさ。正直なところだよ」

「おう」

「このままでもよいかなって思うんだ。このままずっとって」

「そんなに居心地が良かったか」

「うん」

「だが、二つあるから違いが分かるものだぜ」

「うん」

「分かっているならよいのだがよ」

「レドは優しいね」

「優しい女なのさ」

「そういう冗談をいう所も好きだよ」

「ありがとよ」

「本当に色々と合ったね」

「これからもっと色々とあるぞ」

「全くだよ」

「しかも高校3年間丸々あるしな」

「だよねえ。ワクワクしちゃうよ」

「何が不安なんだ」


 レドの言葉にヒリュウは驚くこともなく、薄く口元を緩める。


「やっぱりリーダーだねレドは」

「伊達にしてねえぜ」

「うん。信用はしている」

「もしかして壊れるんじゃないかって思うのか」

「・・・すごく怖い」

「ヒリュウ、考え過ぎは良くないぜ。互いの事でよくないことに繋がる」

「分かっているけど、時々さ。壊れるんじゃないかなって思う事があってさ。怖いんだ」

「おめえも難儀な女だな」

「手間暇がかかるんだよ。女の子はさ」

「まあ少し待て」


 席を立ってから、システムキッチンにもたれかかるヒリュウの頭を掴んで胸に当てる。


「ほらほら安心安心」

「凄く弾力があるね。でも僕は子供じゃないよ」

「いつものお前に戻れ、いつでも待っているから」

「ありがとう。」

「手間暇がかかり過ぎるぜ全くよ」

「もうちょっとこうしていたい」

「はいはい」


 暫くこうしてから離れる。


「落ち着いたか」

「うん。じゃあ料理に戻るよ」

「おう。またな」


 次に会ったのは双子だった。

 1m79・5cmもある全長のダネルNTW―20の二挺を使い、巨大なバックパックを背負うフェルパーの少女のツグミ、2mもある巨大な十文字槍を使うウェアウルフの少年のユウヤだ。


「レド兄ちゃんだ」

「レドさん」

「おうチビッ子達。元気そうだな」

「兄ちゃんがデカすぎるんだよ」

「ユウヤ!」


 ツグミの突っ込みのダネルの銃口が頭を殴りかけるも、ユウヤは十文字槍で受ける。


「成長したなユウヤ」

「昔のままと思うなよ」

「そう?」

「待った。トリガー禁止」

「撃たれていればヤバかったな」

「なんてレドさん似合う」

「なんかクール系って感じだぜ」

「うん。凄く格好いい」

「ハードボイルドって感じでさ」

「そうそう」

「銃と酒と煙草って感じだぜ」

「うん。イメージに合うな」

「女アバターを誉められてもな。まっ礼は言うぜ」

「格好いい」

「渋い」

「かもな」

「おお。大人の余裕」

「大人の女?それとも男?」

「リアルじゃあ少年だ。がり勉のな」

「「ええぇぇぇぇぇ」」

「そう驚くなよ」

「でも」

「うあ」

「勉強するからゲームの時間が取れるのさ」

「じゃあゲームのために勉強するって感じなのですか?」

「おう」

「トレーニングとかは」

「毎日朝方3時間だ」

「すげえ」

「大きくなりたければ動いて食べるのが一番だ」

「大きくなりすぎだよ」

「私も頑張れば」

「ああ。デカくなりたいのか?」

「はい」

「俺も」

「食べて動けば、当然の様に伸びるさ」

「「そうなんだ」」

「まあデカくなりすぎると今度は服選びに困るけどな」

「あるかもしれません」

「そうなのか?」

「俺みたいなのがフリルスカートでも履いたらどう思う」

「似合わねえ」

「イメージダウンダウンです」

「そういう事さ。で何か聞くことでもあるか」

「そうだぜ。兄ちゃんは何処に住んでんだ」

「リアルのネタばれは禁止さ」

「おう」

「まあそう遠くないかもな。一応日本人だし」

「アバウトですね」

「かもな」

「渋い」

「格好良さが何倍かの割り増しです」

「はは。ありがとよ」


 双子からは頼れるリーダーであり、様々な事を教えた恩師の様であり、また年上の仲間でもあり、男性でもあるが、女性の様なアバターなので不思議な物だ。


「お前さんらも大きくなれば、色々と厄介なことにぶち当たるが、今は単なるガキでいいのさ。そう背伸びはするなよ」

「子供は背伸びをするものだぜ」

「違いない」


 とレドが快活に笑う。

 こう言う清涼感のあるところがレドの持ち味だと双子の共通の見識だ。


「じゃあ俺は行くぜ」

「ういっす」

「押忍」


 今度遭遇したのは従者のセリル、フォルスト、フォルゼン、アイリスの四人だ。

 ドリアードの女性従者のセリル、ドリアードの女性従者のフォルスト、エルダーナイトの男性従者のフォルゼン、ニクシーの女性従者のアイリスだ。


「よう元気そうだな四人共」

「これはレド様」

「ちぃーすレド」

「・・・(こくり)」

「元気だぞ」

「フォルストの教育か?」

「はい。ドリアード淑女の嗜みを覚えてもらうべく」

「要らないよう。マジ要らないって」

「ダメです。よいですか」

「俺はこのままでもいいんだ。マスターはそう言ってくれた」

「ダメです。貴方は主に失礼のない女性にならなくてはなりません。特に言葉遣い」


 いつもの教育ママモードらしい、フォルストはうんざりとした顔で嘆く。

 フォルゼン、アイリスはそんな仲間に何とも言えない顔で眺めていた。


「相変らずだな」

「レドどうにかしてよ」

「ダメですよレド様」

「まあいきなりは無理だろ。そう簡単に身につくのなら誰も苦労はしないさ」

「それはそうですが」

「何事も焦りは禁物だぞセリル。ゆっくりとゆっくりと教えていくのが一番だ。フォルスともいきなりあれこれ言われて困るだろ?」

「凄く大変だぜ」

「ノンビリと根気よく、そう5年ぐらいを考えて行動しないと」

「5年も続くのかよ」

「それ位なら確かに身に付きますね」

「長い目こそが最も確実なのさ。セリルもあんまり口煩く言う物じゃないぜ」

「はい」

「フォルストも解ってやんな」

「どっちの味方なんだよ」

「お前が立派になって欲しいという心はわかるだろ」

「そりゃあまあ」

「少しだけ理解してやれ。少しだけでいいんだ」

「分かった」

「いい子だ。じゃあ俺は行くぜ」


 四人に見送られ、次に会ったのはティアとピローテスだ。


「お母さん」

「マスター」

「よう二人とも。姉妹仲良く元気そうだな」

「うん」

「マスター、何か御座いましたか?」

「機嫌が良い様に見えるかピローテス」

「はい」

「まあ仲間と会ってきた。いやぁ好いね」

「お母さん抱っこ」


 ティアが甘えて来たので、レドが抱きかかえて持ち上げる。


「お母さんの匂い」

「甘えん坊だなティアは」

「うん」

「マスターもすっかり母親ですね」

「なんだ?そんな顔をして」

「マスターは、このままでよいのですか?」

「よくはないさ」

「なら」

「でもまあ。この刀京の間はずっとだろ?」

「でしょうね」

「なら少しの間のアクシデント割り切るさ」

「ならよいのですが」

「なに、直ぐに戻るだろうよ」

「はい。信じています」

「それでティアと何をしていたのだ」

「ティアが戦いたがるので剣を教えるべきか悩んでおりました」

「それはまた。まあいいんじゃないか。どのみちあちらこちらいくだろ?自衛位は必要だと思うぜ」

「ならよいのですが、ただこんな小さい子に教えるのはなんというべきか」

「悩むってか?」

「正直に言えばそうなります」

「なら聞くがピローテス」

「はい」

「ティアがキルされてもよいのか?忘れたのかNPKを」

「それは、そうなのですが」

「あの時は助かったかもしれない、今も狙っている者が要るかもしれないのはわかるだろ?そういう悪意がある者が要るのも仕方のない世界の一面なのだから」


 ピローテスは答えずに悩むんでいる様子だ。

 幼い妹の様なティアを本当に戦いを教えてもよいのか、それがヒロ―テスを悩ませる。

 間違ってはいない筈なのだが、どうしてか心理的な抵抗を感じるのだ。

 主であるレドはそんなピローテスの表情から読み取ってはいるが、厳しくも、優しいレドは今は厳しく言う場面だ。


「ピローテス、力無き者が力でねじ伏せられる場面を見たことがないのか?」

「私は解ってはいるのですが、どうしてかティアに教えるのはどうしても、そもそもティアを戦闘に参加させるのも私は好きません」

「ピローテス、子供のようなことを言っているぞ」

「かもしれませんが、私にはどうしても無理です」

「しっかりしろピローテス。お前の妹の様なモノではないのか?その妹が倒さりてもよいのか?それをしっかりと判断しろ」

「・・・私は反対です」

「分かった。そこまで言うのなら教えなくてもよいが、回復魔法なんかは大丈夫だろ」

「はい!」

「ティア。ピローテスから色々と学べよ」


 いつの間にかティアは寝ていた。

 静かだなと思っていたら寝ていたのだから静かだった。


「個室で寝かせるか。ピローテスに一緒に寝るか」

「え?いえ、その何か恥ずかしくて」

「俺が女の場合のみだぞ?」

「なんかマスターは女性の時はとても優しいです」

「そういう優しい女なのさ」

「マスターは男性です」

「今は少しだけ違うのさ。まあ行くぞ」


 ティアを担いだまま、個室に行き、寝室に寝かす。そのままピローテスとも寝台に寝転がり、川の字になって寝る。


 ◇◆◆◇


 朝方。毎朝の訓練を行ったレドが、お寝坊さんのティアを起こし、そのまま抱きかかえてからピローテスに渡し、ピローテスが衛生を教えながら色々と世話する。

 朝方の朝食などに色々とあり、午前中の店を営業する。

 相変らずのパンツスーツ姿のレド、朝から色々な客が来るが、馴染み深い客も来たりするので奥にこもって生産する暇はない。

 ピローテスのファンクラブである戦乙女騎士団はレドの姿を見て、黄色い声を出す。


「む。お前らか」


 ピローテスがこう言うが、心なしか安どの顔だ。

 『戦乙女騎士団』の固定PTの6名。

 騎士団はエルフ系で占められるために、全員が金髪や、銀髪や、美形やらなんやらで構成された美少女達だ。

 騎士団長(リーダー役)の両手騎士剣を持つ魔法騎士のユララ、副団長(サブリーダー役)の中盾と片手剣を持つ聖騎士のパティ、参謀役&ヒーラー担当のモノ、弓使い&銃使いの後衛アタッカーのローラ、後衛火力の元素魔法の使い手のトーマ、爆弾やポーションなどのプレイスタイルのアイテムシューターのレベッカの6名だ。


「ピローテス様、この素敵な方は?」

「マスターだ」

「主という意味でしょうか?」

「名前はレドだ」

「はて、レドと言えば」

「元からのマスターのレドだ。リアルの性別は男だが、とある謎の液体を被って現在は女性化してしまった。しかも体格の方はリアルより大きいらしい」

「よう久し振りだな百合百合騎士団」

「この小バカにしたような口調は確かにレドだ」

「別にバカにしてはしていないぜ。百合も一つの道だしな」

「まあまあ素敵なお声」


 こう言うそっちの道を歩む6名なのだ。

 ただ身内は禁止らしい。

 ガン細胞のように広がるのが本望だそうだ。

 付いたあだ名が百合百合騎士団だ。

 質の悪い一団である。


「スクショを取らせてもらえませんかお姉様」


 金髪の縦ロールのユララがこう言う。


「ああ。別にいいぞ」


 レトがあっさりとOKを出す。

 見栄えの点に置いていえば確かにレドは長身を除けば相応に確かだ。

 モデルのような美人でもある為に、そっちの趣味のある女性は嬉しそうにスクショを取る。

 レドも決してノリの悪い人ではないために、悪乗りして色々と決めポーズをとる。

 そっち系の人達は喜ぶこと喜ぶこと。


「ピローテスお姉様との」

「そっちはダメだ。これだけは守れよ」

「いけずぅ」

「話は変わるが俺は個人戦に出るが」

「私達はPT戦に出ますわ。応援よろしくお願いします」

「たぶん個人戦とかち合うから無理かとは思うが、可能だったらしておくぜ」

「はい」


 何やらとある百合百合アニメのような話だ。

 常連の誰かがそう呟く。

 ちなみにリアルでは男のレドからすれば別にどうでもよい、女じゃないので圏外だ。

 どこまでいっても刀京のみの事なのだと割り切っていたからだ。

 つまりどうやってもこの少女達の願望は叶わない訳となる。

 そっち系の人達もそこは解っているらしく、リアルで会おうとか付き合おうとかは言わない。あくまではアバターでしかないと割り切っているからここまで言えるのだ。

 女性でも羨むようなスタイルの、男性でも長身な分類に入るアバターでも、それはアバターの中でしかないために、中の人は全くの別人であることも理解した上での事なのだから、簡単な遊びでしかないのだ。


「マスターも人が良いですね」


 ピローテスがしみじみという。

 ティアは先程から静かなのは、レドの近くの椅子にある椅子に座りウトウトとしていたからだ。


「別にいいさ。どうせ刀京の間だけだ」


 レドのハスキーな声でいう。豊満なバストの上で手を組み、そのままバストに手を置く。

 男性ならついつい長身とか、そんな理性をぶっ飛ばすような豊満なバストだ。

 中には素直な人もいて、揉ましてくれと素直いに言ったら、近くの客にボコられた。

 ピローテスは全くのノンケなので、そっち系の人達の欲望はよくわからないし、理解しようとも思えない、またそんな道を歩むぐらいなら剣の道を歩んだ方が良いとも考えるタイプだ。つまり人の持つ趣向の分野が違うのだ。

 時々そっち系の人に求婚されたり付き合ってくれと言われたりはするが、さっぱり理解できないために断る。

 そんな訳でそっち系の人達からは鉄壁とも呼ばれたりする。


「もしマスターがそのままだと私は哀しいです」


 ピローテスのアルトボイスでそういう。本当に悲しそうな顔だ。黒目の目を伏せ長い銀の睫毛が伏せられる。


「でも私は信じます。マスターがいつものマスターに戻ることを」

「だな。割と近いのかもしれないぜ」


 レドのハスキーな声でいう台詞には真実味がある。ピローテスには直ぐにそれが予想でき、PVP大会、プレイヤー同士の大会に、当然の様に優勝すれば賞品も大きいだろうという事だ。

 そう思うとやっと力が抜けた。

 不思議と視界が揺らぐ、レドの顔がぼやける。


「ピローテス?」


 レドの声が聞こえる。この声には怪訝な感情も気遣う様な響きも有る。

 気付くとレドの両手がピローテスを支え、ピローテスは両手で顔を覆い泣いていた。


「泣くことはないだろ」

「ですが、やっとマスターが帰ってくる。やっとなのですよ」

「泣き虫な従者だな」

「マスターが泣く事を、止める事を、教えてくれなかったからです」

「そんなのありかよ」

「やっとやっと」


 ホロホロとやっと帰ってくると思える。

 元々の姿が戻ってくる。いつものような姿が戻ってくると思うと涙がこみ上げる。


「お姉ちゃん泣かないで」


 ティアが心配そうに見つめる。ピローテスは何度も頷きながら、涙を何度も拭う。

 それでレドはやって理解した。

 ティアにとってみればレドの姿は母親なら、ピローテスにとってみれば男性時のアバターは父親の様なモノなのだと。感情こそ違えどベクトルは一緒だ。

 ピローテスは元々は初級のエルダーでしかなかったが、レドの特殊アイテムによりダークエルフに成れたのだ。それを長い間にレドに尽くした来たことを考えれば、向けうる感情も大きい物なのだ。このゲームでは自らの意思で主人を選ぶことが出来るのだから、嫌いな主人に従う必要は全くないのだ。

 しかし故に一つのことに繋がる。

 男性を取ればピローテスは喜ぶがティアは悲しむ。女性を取ればティアは喜ぶがピローテスは悲しむ。どちらか一方しか取れないのに、どちらかを捨てるしかない二律背反なのだ。二者択一の究極の選択肢だ。


(どうせいって言うんだ)


 そう思わずにはいられない。


「これはいよいよ勝つしかなくなったな」

「はい。勝ってください」

「お母さん?」

「安心しろ。考えがある」


 そう言って片手でティアのおかっぱ頭を撫でる。ティアは不安そうな瞳からにへらと柔らかく、温かく、年相応な顔になる。


「店は任せる。少し生産所にこもるぞ」

「はい」

「お母さん頑張って」

「おう」


 レドは考えが浮かばなくても兎に角勝ち残って優勝するしか道はない。この為に持ちうる全てを使うしかないと決断した。

▽星空の記録紹介其の2

レド:星空の記録のリーダー。アルケミスト&ナイト&テイマー&サモナー

特徴:186cm。髪色は白髪に近い銀髪、瞳の色は黒、肌の色は褐色。

種族:ダークエルフ 性別:男性+女性(理由は下記に記載)

とある謎の液体を触れた為に、女性化してしまったレド、体格はリアル基準より少し高めになってしまい、初めてレドを見るプレイヤーからの正直な感想を言えば巨人族の女性、90以上のバスト、60台はウェスト、90台のヒップとスタイルも凄い数値。主にパンツスーツを着込み、ロングコート等も着込む、愛用するのは銃器系の武器であるグロッグ18Cの二挺。調合士としては腕前は健在で、今では高い知名度を持つ。


ウルカ:星空の記録のサブリーダー。ニンジャ&サムライ

特徴:160cm。髪色は黒、瞳の色は黒、肌の色は白色

種族:ヒュム 性別:女性

このゲームが初めてであるが、『始まりの七日間』よりプレイし、プレイできないのが苦痛と感じるタイプの女性プレイヤー、忍者プレイを楽しみその系統の装備や服装に徹し、侍も時折行う、所謂の所の和風プレイを楽しむ人。アバターは和風美人のような所ではあるのだが、性格の方は生真面目でありながらも男性アバター時のレドに突っ込む突っ込み役、参謀的な側面もあるサブリーダーでもある。裁縫師としては人気もある。


アリサ:テイマー

特徴:165cm 髪色は白髪に近い銀髪 瞳の色は銀色 肌の色は乳白色

種族:ハーフエルフ 性別:女性

このゲームが初めてであるが、『始まりの七日間』よりプレイするヘビープレイヤー、女性ながらも大鎌を愛用し、銃器ではグロッグ17Lの二挺、ベネリM3を愛用する所謂の所の近接特化の様なバトルスタイルのプレイヤー。テイマーでもあり従者の二人に強い愛情を示す愛情深い世話好きな女性、性格の方はややクールな一面もあるが基本的に明るい、生産プレイヤーとしては人気のある装飾品を作る細工師。


ヒリュウ:テイマー&サモナー

特徴:157cm 髪色は淡い桃色 瞳の色は碧眼 肌の色は雪色

種族:エルフ 性別:女性

このゲームが初めてであるが、『始まりの七日間』よりプレイするプレイヤー、女性ながらハルバードを振り回し、銃器ではアリサとの規格合わせから同じようにグロッグ17L、ベネリM3を愛用する近接特化の様なプレイヤー。サモナー&テイマーでもあり、二人の従者を連れる。性格の方は陽気で明るく、一人称は僕である。生産プレイヤーとしては驚異的な調理アイテムを作ったり、菓子アイテムを作ったりする有名な料理人。


ユウヤ:侍の双刀士

特徴:145cm 髪色ははちみつ色 瞳の色はハシバミ色 肌の色は黄白色

種族:ウェアウルフ(狼人) 性別:男性

このゲームが初めての第2弾組の初心者プレイヤーこの双子の弟。侍プレイを好み、愛用する双刀、十文字槍、銃器はP90を愛用する。近接型ファイター・タイプの指輪使いであり、近接戦闘を主要としたバトルスタイルを持つ、男は物理という独自のポリシーから、物理防御型の相手は苦手、魔法攻撃型も苦手、生産スキルもない為に、それ程高くはないプレイヤースキルを持つも、高い成長率を誇る。


ツグミ:武道家の格闘士

特徴:145cm 髪色ははちみつ色 瞳の色はハシバミ色 肌の色は黄白色

種族:フェルパー(猫人) 性別:女性

このゲームが初めての第2弾組の初心者プレイヤーこの双子の姉。かつては武道家として格闘士であったが、現在では強襲型アサルト・タイプの指輪使いであり、愛用する対物狙撃銃ダネルNTW-20カスタムの二挺を使う強力無比なガンナー。背中に背負う巨大なバックパックを背負い、狙撃より巨大な弾頭でぶっ飛ばす銃器大好き少女に大変身、プレイヤースキルをひたすら努力で克服しようとする秀才型。

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