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オッサン(36)がアイドルになる話  作者: もちだもちこ


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51、オネエ来襲と控室の三人。

何とか今日の更新ですm(_ _)m

「お久しぶりーん」


全身オレンジ色のスーツに、ムキムキマッチョなオネエ口調のプロデューサー、尾根江加茂が現れたのは今まさに収録現場に出かけようとしていたところだった。

フミが慌ててお茶を用意していると「大丈夫よマネちゃん、すぐ出かけるでしょ?」と止めさせた。

とりあえず会議室に通し、三人は尾根江に一礼し席につく。


「アニメの挿入歌、なかなか評判良いみたいじゃない?これで三人のキャラクターは、登場回数が減らなくて良かったわね」


「そうですね。僕らの歌の流れる回数が増えると嬉しいですね」


「あら、気づいていたの?」


「直前のアニメーションの変更は不可能に近いと教えてくれる人がいましてね。そういう煽りで売る姿勢は共感は出来ますが、僕の性には合いませんね」


サングラスの奥にある尾根江の目が怪しく光ったように見えたが、さすがのヨイチは物ともせず平然とそれを返し、シャイニーズスマイルで微笑んだ。


「さすがの微笑み!惚れ直しちゃう!」


クネクネと身を捩らせる尾根江をシジュは不機嫌そうに見ている横で、ミロクは面白いと思って見ている。


(こういうのってバレたらどうするんだろう?もみ消すのかな?)


幸いにも敵役三人のキャラの魅力と、事前のイベントでの宣伝効果もあり、視聴率は大幅にアップした。主人公は十代で子供っぽいが、敵は大人という年の差がある設定も、視聴者の何かを色々とくすぐったらしい。

世の中何がウケるか分からないものである。

ただ、ひとつ確かなことは……


(その『ウケる』事を読んでいた尾根江さんの『読む力』は本物ってことか)


「それでね。今回の深夜のアニメ音楽番組出演の事なんだけどね」


うって変わって真面目な雰囲気になった尾根江に、三人は知らずに背筋が伸びる。


「これは私とは関係ないの。ネットで評判になってたミロクくんの事を知った番組プロデューサーが、『ミクロットΩ』に関わっているのを知って、これ幸いにと自分の番組に出させるようオファーしてきたのよ」


「そうなんですか。それが何か?」


「何か?じゃないわよ!あいつウチのアイドルの出演断ったくせに、私が関わってないと思っている子達にはホイホイオファーするのよ!」


「……はぁ」


ヨイチが困ったような顔で返事をする。尾根江はキーキーとハンカチを取り出し、口にくわえて引っ張っている。古風な人だ。

ミロクはふと気づく。


「それって、尾根江さん所は俺たち以外アニメに関わってないからじゃ?」


「そのグループの一人が声を担当していたのよ?」


「じゃあ、その子だけにして欲しかったんじゃ?」


「……」


尾根江は黙り込んでしまう。微妙な雰囲気の中、フミがそろそろ時間だとヨイチに耳打ちする。


「ごめんなさいね、あのプロデューサーとは昔色々あったから、変に勘ぐっていたかもしれないわ。そもそも私がプロデュースしてることは極秘だからきっと大丈夫よね」


「ではそろそろ行きますね」


「ええ、行ってらっしゃい」


いつもの調子を取り戻した尾根江はミロク達に投げキッスを送るが、三人ともスッと避ける仕草をした為、キーキー言いながら事務所を去っていった。


(なんだかんだ心配してくれてたって事かな?)


ミロクは少しほっこりした気持ちになっていると、くいくいっとジャケットの裾を引っ張るフミがいた。


「ダメですよミロクさん。そんな顔してたら尾根江さんの毒牙にかかっちゃいますよ」


「え?」


それってどんな顔なんだと思いつつも、フミの裾クイ(服の裾をクイっと引っ張るの意)の可愛さに頬を緩ませ、シジュから「だだ漏れ禁止」と後ろ頭にチョップされるミロクであった。













控室に通されると、フミが「メイクさん呼んできます」と慌ただしく走っていった。

用意されているペットボトルの水でミロクは喉を潤す。思った以上に喉が乾いていたことに気づく。


(結構緊張してるのかも……)


「今日の収録、ヨイチのおっさんに任せた」


ポリポリと美味しい粉が付いている煎餅を食べていたシジュが、お茶に手を伸ばしながら何でもない事のように言う。


「え?なんで?皆で話そうよ」


「俺もヨイチさんに任せます。アイドルトークといえばヨイチさんですよ」


こくこく水を飲んでたミロクもシジュに乗っかる。


「いやいや、シジュは喋る仕事だったし、ミロク君だって営業してたじゃないか」


「俺は女の子の話を聞くのが得意なだけで、喋りは不得意だ」


「俺なんて自社製品を売る営業トークですよ?アイドルには不要なスキルですから」


「おいおい二人とも……とにかく番組の打ち合わせがあるから、どういう進め方をするのか確認してから考えよう。344(ミヨシ)の出番はそんなに多くないだろうし」


ヨイチが困った顔をしていると、ドアをノックする音が聞こえる。ドアを開けると番組スタッフが「打ち合わせ良いですか?」と言ってきたので、三人とも了承をする。


困ったな……とヨイチは考えていたが、とりあえず番組スタッフの話を聞こうと、そちらに集中する事にした。









お読みいただき、ありがとうございます。


なんとなくTwitterしていますので、もし宜しければ……

あまり呟きませんが、生存確認などに使えると思います(^_^;)

@himasen_saya


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