ラジオ『ミヨシ・クラウン!』〜バレンタインなスペシャル〜
バレンタインに間に合った…
<オープニング『puzzle』>
「皆さんこんばんは! バレンタインって何? ミロクです!」
「お菓子の会社の戦略かな。ヨイチとー」
「毎年なんか貰うけど、菓子なら甘さ控えめなやつで頼む。シジュだ」
「三人そろってー」
「「「344(ミヨシ)です! よろしくお願いします!」」」
「シジュさん、毎年なんか貰ってるんですか……」
「去年はホストやってたし、お得意さんがくれるんだよ。俺の仕事内容を知ってる子とかは万年筆とかポストカードとか」
「シジュって字を綺麗に書くよね。この前の祝い事で『のし』書いてくれて助かったよ」
「ハイスペックシジュさん……」
「いや、別に普通だろ」
「あれってすごく緊張するんですよ? 俺は営業の時、総務の女性に頼んでました。会社絡むと失礼のないようにしないとだから、自分じゃ無理だって思ってましたよ」
「そんなもんかー」
「そうそう、今日はスペシャルなんだって? 何をするの?」
「バレンタインにどんな言葉が欲しいかみたいなアンケートを、リスナーさんに募集したそうです。それを俺たちが読み上げるというコーナーをやります!」
「へぇ……それって需要あるのかなぁ」
「オッサンに言われて嬉しい言葉か?」
「例えばですね……
『これ、俺に作ってくれたの? 嬉しいよ、ありがとう。……ん? 俺は甘いもの好きだよ。だから後でいただくよ。チョコも君も、ね♡』
うわぁ、すごいです。すごいです恥ずかしさが!!」
「甘い。やめれ」
「無理だよシジュ。今日はこんな事ばっかり言わされるデーだよ」
「俺は今日、甘い言葉絶対言わないマンになるんだ」
「何バカな事言ってるんですか。はい、これを読む!」
「うわあああ、やめろおおお……なになに?
『バレンタインか、チョコありがとなー。ん? 俺が本命? 何言ってんだ、オッサンを揶揄うんじゃねーよ。本気だぁ?……じゃあ、もらっとく』
これいいのか? 本気でもらっていいのか?」
「シジュ落ち着いて。相手の親御さんに許してもらってからだよ」
「落ち着かなきゃいけねぇのはヨイチのオッサンだろが。何で冷静に混乱してるんだよ」
「いやぁ、あまりの演技の上手さに、つい」
「ドラマで培った力が、演技に活かされていますね!」
「唐突に番宣(番組の宣伝)入れるのやめろよな」
「じゃあ、次は僕かな。
『チョコをあげるからお返しよろしくって、お返し欲しさにチョコをくれるの? 悪い子だね。一ヶ月後じゃなくて今夜にでもお返しをあげるよ。……お仕置き、して欲しいんでしょ?』
ねぇ、何で僕のは黒い感じなのかな?」
「うーん、なんでですかね」
「俺からは何も言えねーな」
「シジュ、ボーナスをカット」
「何で俺だけ!」
「ミロク君は可愛いから」
「可愛いは正義って本当だったんですね」
「なんか違う気がするぞ……」
「一旦CMです!」
<CM>
「ラジオ、ミヨシ・クラウン! 今日はバレンタインなスペシャルということでお送りしています!」
「ここからはアレだな。バレンタインに欲しいもの、だ」
「僕は何でも良いよ。甘いのは嫌いじゃないけど、自然な甘さの方が好きかな」
「ヨイチさんはコーヒーもブラック派ですよね」
「コーヒーそのものを楽しみたいんだよね。そういえばシジュは甘いもの苦手なんだよね?」
「甘過ぎなきゃいいぞ。ビターチョコとか酒と合うしな」
「そういえば、バーでワイン頼んだ時に、チョコが一緒に出てきたことがありますね」
「ああ、あそこのマスターな。必ず酒に合うアテを出してくれるから嬉しいよな」
「シジュお酒の話じゃなくてお菓子の話なんだけどね……ミロク君は?」
「俺、マカロン好きなんですよ。でも甘すぎないマカロンが食べたいんです。歯ざわりが好きなんですけど甘すぎるんで。まぁ俺にはバレンタインなんて縁のない話なんですけどね」
「な・に・を・言ってるんだ?」
「いひゃい、いひゃいれふよ、ひじゅひゃん!」
「こらこらシジュ、ミロク君のほっぺが餅のように伸びて、戻らなくなるかもだから。やめときなさい。僕たちの年齢は戻りづらいんだから」
「今年は違うだろ? 俺らのかわいこちゃん達がいるし、お前を好きだと言ってくれる子に悪いだろうが」
「そうでした。俺が間違ってました。今年も頑張ります。バレンタインのリア充撲滅運動を……」
「何でそうなるんだよ!」
「毎年ネットのイベントに参加してましたし、今年もちゃんと参加しないと」
「そこは律儀にしなくても良いと思うよミロク君。あと残念ながら今年から君は『狩られる側』だからね」
「狩られる側……だと!?」
「いい加減自覚しろミロク。参加すんなら体重増加は必須だぞ」
「それは困ります。体重増えると肩こりと腰痛が酷くなるんですよ」
「オッサンか」
「オッサンだね」
「ですね」
「さて、落ち込んだところでドラマの番宣しようか」
「そうだな! ミロク頼むぞー」
「はい! 僕ら344(ミヨシ)が出演している新番組、ドラマ『戦国武将の家臣が出来ました!』は、来週の土曜夜九時からの放送です! 原作・脚本は俺の大好きなライトノベル作家、ヨネダヨネコ先生ですよ! 原作の小説は『俺のクラスに戦国武将が転移してきた件』という題名です!」
「ミロクは高校生の役なんだよなー」
「僕とシジュは教師役なんだけどね。ふふ」
「絶対無理があると思うんですよ……皆さんノリノリでOK出してくるから不安だらけなんですけど」
「大丈夫だって。さっき伸びた餅みてぇなほっぺも元に戻ったぞ」
「若いねミロク君」
「なんか嬉しくないです……」
「んじゃ今日はこの辺で、か?」
「そうですね。せーの」
「「「344(ミヨシ)でした!また次回!ハッピーバレンタイン!」」」
<エンディングテーマ『chain』>
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