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オッサン(36)がアイドルになる話  作者: もちだもちこ


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115、おまけ!アニメ緊急発信〜モフモフ編〜

オッサンの着ぐるみパジャマって…

「あれ?大倉さんはログアウトしたんですかね?」


「ログアウト言うな。眠いからもう部屋に帰るって言ってたな」


「年寄りは一度起きると寝付けないんだけど……」


ブツブツぼやくヨイチに男性カメラマン無言で着ぐるみパジャマを渡す。そして三脚を用意しカメラを設置すると、カンペに「テープが終わるまで三人で適当に話していること!」と書いて三人に見せる。


「これ、ミロク君の部屋にあった『モフモフわんころ餅』だよね」


「あ、これ灰色のですね。フミちゃんいつの間に用意したんだろう?」


「オッサン着替えてこいよ。カメラを三脚に設置してるってことは、この人もログアウトするんだろ?」


「あ!ずるいです!ログアウト言うなって俺には言ったくせに!」


「オトナはイイんだよ」


「俺もオトナですけど!」


「この場合、女性経験を言う」


「大事にしてるんです!」


「こらこら、弟をいじめないように」


あっという間に着替えてきたヨイチを見て、カメラマンはカンペに「ログアウトしまーす」と書いて部屋から出て行った。灰色のモフモフに身を包んだヨイチは、なぜか楽しそうにしている。ちなみにミロクは嬉しそうに着ていて、シジュは仏頂面で着ていた。

ヨイチの寝ていたベッドに入り込む三人。何故ならカメラがそこを向いているからだ。


「これ、今のやり取りも撮ってたのか?」


「撮ってたんじゃないですか?」


涼しい顔で言うミロクに、何故かシジュの方が慌てる。


「お前、そんな軽く……全国的にお前がDTだと知られるんだぞ!?」


「いいじゃないですか。『俺に初めてを教えてくれる?』とか言いたいじゃないですか」


「ミロク君、それ、外で言うの禁止ね」


「何でですか?」


「お前、自分のフェロモンが災害級なのを自覚しろよ?」


「そんな、酷いです……俺、ランクSの冒険者に討伐されちゃいますよ……」


「災害級フェロモン王子ねぇ。なんだか格好いいあだ名がついて良かったんじゃない?」


「良くないです!」


茶色のモフモフなミロクは、ヨイチの寝てたベッドで「うがー」言いながら転がりまくる。弟の奇行を見守る兄二人は「さて」と、居住まいを正す。


「せっかくこういう機会を貰ったし、僕らもアイドルらしく告知とかしてみないかい?」


「着ぐるみパジャマでキリッとされてもなぁ……ん? ミロク?」


「クンカクンカ……おにいちゃんの匂い……」


「おい、その先の発言は危なくないか? 大丈夫なのか?」


「俺の使ってるボディソープに似てる……」


思わず布団に突っ伏すシジュは、しばらくしてガバッと顔を上げる。


「本当だ。なんか甘い匂いがすんぞ」


「よく分かったね。似たような香りのボディクリーム使ったんだよ。ホテルって乾燥するから肌に悪いでしょ?」


「シジュさんは、なんかスッとする香りがしますね」


シジュに顔を近づけて、クンカクンカするミロクを「嗅ぐな!」とそのままガシッと掴んでボディプレスを放つ。


「俺のはユーカリだ。化粧品のCMやってるから肌年齢は落とすなって言われてるし、しょうがなく風呂上がりに使ってんだよ」


「偉いねシジュ。僕は毎回マネージャーに言われて思い出すよ。ミロク君は?」


「俺は姉さんにスキンケア仕込まれてるんで。シトラス系のをここに来る前に貰って、早速使ってます」


ニコニコしているミロクに、ヨイチとシジュは首を傾げる。


「何だ。急に大人しくなったな」


「どうしたのミロク君?」


「あの、俺、姉はいるけど兄はいないから……三人で同じ格好してるし兄弟みたいだなって。そしたら俺は末っ子だから、おにいちゃんに甘えられるなって妄想してました」


あははキモいですよねーと笑うミロクに、みるみる目を潤ませるヨイチとシジュ。そのままガバッとミロクに二人は抱きついた。

モフモフ越しの胸筋も健在だと、息苦しさにもがきながらミロクは冷静である。


「おにいちゃんっていつでも呼んでいいんだよ!」


「お前はもう弟みたいなもんだ! 遠慮すんな! 好きに呼べよ!」


何故か号泣する兄二人に、ミロクは「そんな泣かせるようなこと言ったかな?」と首を傾げる。


「あ、告知とかするとか言ってませんでした?」


「ズズッ、そうだったね。アルバム制作を今しているから、それとかどうかな?」


「お、おう、そうだな。アニメ『ミクロットΩ』の挿入歌の三曲と、アルバム用に数曲入れて作る予定だ」


「予約特典も豪華なのを考えてるみたいですね。俺、すごく楽しみなんですよ」


「そうなのかい?」


「この前の撮影したダンス! 二人ともすごく格好良かったですから!」


「「!!」」


目の中に『尊敬』という文字が見えるかのような、キラキラ輝く視線受けて、思わず赤面するヨイチとシジュ。こういうミロクの真っ直ぐな感情を受けるのは嫌いではないが、いかんせんオッサンには気恥ずかしい。


何やら甘酸っぱいような空気の中で、三人のモフモフ座談会?は終了となった。

そして、『モフモフわんころ餅』キャラクターのグッズを出している会社は、この番組放送後に多くの問い合わせを受けることとなるのは、また別の話である。





お読みいただき、ありがとうございます。


会話多めですみません。

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