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オッサン(36)がアイドルになる話  作者: もちだもちこ


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104、サイバーチームの暗躍と、ランチする女子二人。

誰か止めて……

事務所とは違う階に如月事務所のサイバーチームはある。

当初事務所内でひっそりと活動していた部署だが、思った以上の活躍を見せたため、社長のヨイチがほぼ諦め……期待して、子会社のようにしたのだ。

実際どういう事をしているのかはチームメンバー以外把握していない。彼らは独自のルートで情報を仕入れ、それを上手く使って商売、技術提供などをしているようだ。

だが、彼らの一番の仕事は、オッサンアイドルユニット344(ミヨシ)の活動をサポートすることである。

大恩ある社長のヨイチには迷惑をかけないを前提に、344(ミヨシ)の情報を世界へ配信、各SNSへのプロモーションはもちろん、344グッズも今や『限定』と名付けて多種取り揃えている。


そんな彼らは、今回重大なミッションをインポッシブルからポッシブルにさせなければならない事態となって、頭を抱えていた。


「何故、ミロク氏に『我らが力になりますぞ!』などと言ってしまったのか」


「すまぬ。まさかそのような内容とは露知らず……」


「大恩ある殿(ヨイチ)も、この件では色々悩んでいる様子。インポッシブル出来ずとも協力せねばなるまい」


「ぐぬぬ……なにぶん、我らには理解出来ぬ領分ゆえ、解決も難しい」


「フェロモンを抑える……というヤツか。ミロク氏のチートスキルは我らにも通じるくらい強力だからな」


むむむと唸るサイバーチームの面々。その時、受付の女性から声をかけられるが、彼らは頭を抱えたまま動かない。彼らは集中すると外音が耳に入らなくなるのだ。

困った受付の女性に、大丈夫だと言う宅配業者の男は大きく息を吸う。


「山奥洞さんからー新作フィギュアですよー!!」


「「「「「なんですと!?」」」」」


受付の女性が怯えるくらい、息の揃った声で振り向くチームメンバー。宅配業者の男は慣れているらしく、その内の一人にサインを求める。


「今度は何やってるんすか。大きい荷物を仕入れる時は事前に連絡をして欲しいんすけど」


「む、仕事ではない。これは内密だがフェロモンの事だ」


「……は?」


「フェロモンを抑えるにはどうすれば良いかという話でな」


「はぁ。で、分かったんすか?」


「分からぬ。そもそも我らのスキルにフェロモンは無い」


「はぁ。でしょうね」


男はサインされた伝票を受け取ると、荷物を手渡し立ち去ろうとして何か気づいたように振り返る。


「皆さんにはフェロモンがないんなら、皆さんみたいにしたらどうすかね?」


「我らみたいに……とは?」


「格好とか、体型とか」


「……ほほう。お主、なかなかやるな」


「そりゃ、どもっす」


変な人達だと思いながらも、悪い気はしないと少し笑って出て行く宅配業者と、その後再び盛り上がるサイバーチームは『ミロクフェロモン抑制計画』を少しずつ練っていくのであった。












「フミちゃん、こっちー」


「ミハチさん! お久しぶりです!」


CMやら新商品やらのゴタゴタがひと段落ついたミロクの姉ミハチは、フミを誘って地元のカフェでランチに誘った。それでも土曜は午前だけ出勤との事で、ミハチはスーツ姿だ。

フミは完全オフのため、シフォンブラウスとフレアスカートというカジュアルな格好でいた。少し肌寒いかと思いジャケットを持ってきたが、今は天気も良く日差しが暖い。せっかくだからとテラス席に座ることにした。


「こうやって会うのは初めてね」


「そうですね。叔父がいつもミハチさんの事を惚気るので、何かいつも会っている気分になります」


「ええ? 何を話されてるのか怖いかも……」


少し頬を染めて恥ずかしそうに微笑むミハチは、年齢を感じさせない可愛らしさを見せ、テラスの外を歩いている男性達の視線を集めていた。


(さすがミロクさんのお姉さん……)


感心したように見てると、ミハチは咳払いをして姿勢を正した。


「ヨイチさんの話はいいのよ。今日はフミちゃんの話なんだから」


「私の、ですか?」


「ええ、ミロクにメロメロでフミちゃんが困ってるから、どうにかしてやってってヨイチさんが」


「ええええ!?」


「ふふ、私もフミちゃんとはゆっくり話したり遊んだりしたかったの。だから今日は楽しみだったわ」


「あ、あの、私……」


「言っとくけど、フミちゃんがミロクの事を好きなのは、フミちゃんに関わる全員が知ってるわよ」


「え、ええええ!? 私隠してたのに!?」


「……フミちゃん隠してたの? ごめん、そっちが驚きだわ」


ミロクに接する度、頬を赤らめ目をキラキラさせて、いつもミロクの姿を追いかける彼女を見て、「好き」以外何を感じ取れというのか。むしろそれ以外を探すのは無理だろう。


「え、ミロクさんも私の気持ち……」


「まぁ、嫌われてないとは思ってるでしょ」


「そ、そうですよね。嫌ってたらマネージャーしませんものね」


さすがにフミが可哀想になり、ミハチはミロクの側の考えを誤魔化しておく。言わずもがなミロクはフミの気持ちに気付いているが、フミが動かない限りは現状維持の姿勢だ。


(まだ若いものね。ミロクがヘタレっていうのもあるけど……)


さてどうしたものかと、ミハチは小さくなって震えている茶色の仔犬のようなフミを見て、とりあえずご飯だと店員を呼ぶことにした。










お読みいただき、ありがとうございます。


サイバーチームの詳細が不明すぎるんですけど……

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