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恋の魔法が解けた時 〜 理不尽な婚約破棄の後には、王太子殿下との幸せな結婚が待っていました 〜  作者: 鳴宮野々花@書籍4作品発売中


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47. アレイナの策略(※sideダリウス)

 俺が問いかけると、アレイナは俺の腕を強く抱きしめながら俺を見上げて微笑んだ。


「ふふ……っ、私考えたの。互いの両親の前で宣言するのよ。私が妊娠したってね」

「…………は…………えぇっ?!妊娠?!」


 思いもかけない言葉に、思わず大きな声が出てしまった。


「シーッ!もうっ!誰もいないからって大声出さないでよ!……考えたのよ。もうこれしか方法はないわ。私が身籠もっているってご両親に言うのよ。そして私は学園を退学して、あなたと急いで入籍するの」

「……っ、そ……そんな嘘……、どうせすぐにバレるだろう…。無茶だ、アレイナ」

「バレたっていいのよ!できるだけバレるまでの時間を引き延ばすの!!それまでに私たちが結婚していればいいんだから」

「いや、お前が妊娠していると言えば、ご両親が医者に診せるに決まってるだろう!すぐにバレる」

「それについてもしっかり考えてあるわ!そこまですぐにはバレない。大丈夫よ、ダリウス。…ね?私を信じて。お願い。…私はあなたと絶対に結ばれたいのよ。あなたと離れることなんて……か……考え、られないわ……っ!」

「……っ、…アレイナ…」


 ついさっきまで冷めたとか面倒くさいとか思っていたはずなのに、こうして潤んだ瞳で見上げられ腕に縋りつかれると、その可愛らしい仕草に胸が甘く締めつけられる。


「あなたと別れるぐらいなら……死んだ方がマシよ。私、お金も名誉も、地位も権力も……そんなもの、何もいらない……!ただあなたとのこの真実の愛さえ守り抜いていけるのなら……他には何もいらないのぉ……っ!」


(……か…………可愛いことを……!)


 こいつ……、そんなにも俺のことが好きなのか。歴史あるフィールズ公爵家の娘として生まれ、贅沢な環境で悠々と育ってきたはずのアレイナが、……俺さえいれば何もいらないなんて……。そんなにも純粋に俺のことを愛しているのか……。


(……真実の愛ってやつは……何て尊いものなんだ……)


 アレイナの深い愛に感動した俺は、彼女の体を強く抱きしめた。


「……なぁ、アレイナ……。互いの家の損失は甚大だ。立て直していくのは容易なことじゃない。……正直に言うとな、俺には自信がないんだ。だって俺は…」

「何言ってるの!大丈夫よ!!あなたは私が愛したたった一人の人だもの!この私が、人生で唯一愛した人なのよ。私はちゃんと見抜いてた…最初から。あなたには特別な力があるって。きっと領地経営の才能だってあるに決まってる」

「……本当か?アレイナ…」

「本当よ!あなたはディンズモア公爵家の一人息子なのよ。自信を持って!私が生涯、あなたをそばで支えていくわ!」

「……俺を、助けてくれるのか?卒業して領地の仕事をやることになったら、お前も手を貸してくれるか?」

「もちろんよ!私にできることなら何だってやるわ!何でもする!だからお願いよ……ダリウス。二人で互いの両親を説得しましょう。どんな困難が立ち塞がっても、この真実の愛だけは守り抜かなくては……!」


 アレイナの言葉を聞いているうちに、俺はだんだんと自信がみなぎってきた。……そうだよな。いくら王太子妃候補からは外れたとはいえ、アレイナはあの由緒あるフィールズ公爵家の娘なんだ。実力はその辺の女たちの比ではないはずだ。この子に任せていれば、きっと上手いことやってくれる。家の立て直しのための妙案も次々出してくれるだろう。

 ……うん、大丈夫だ。俺たちなら、きっとやっていける。


「……分かった、アレイナ。お前の案でいこう。二人で互いの両親を説得しよう」

「…ダリウス……ッ!!ありがとうダリウス!ああ、嬉しいわ……!私たち、真実の愛を貫くことができるのね?!」

「ああ、そうだよアレイナ。この真実の愛だけは絶対に守り抜こう。たとえこれから先どんな困難が待ち受けているとしても、きっと二人なら乗り越えられるさ」

「……嬉しい……っ!ああ、よかった……本当によかった……!!」


 この難しい状況の中で俺との愛を貫くことを、こんなにも喜んでくれるなんて。


(愛の力は偉大だな。…よほど自信があるのだろう。このアレイナならば、死に物狂いで頑張ってくれるはずだ。彼女に任せていれば、きっと大丈夫だろう)


 全力でしがみついてくるアレイナを優しく抱きとめながら、俺はこの真実の愛に全てを賭けようと決意したのだった。






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