近頃のトイレ事情
2月20日(火)晴れ
僕は仕事で、学校や公衆トイレの新設・改修工事に係わっている。
というわけで、今日なんて日は、近頃のトイレ事情で特記すべき話題を二つほど書きます。
数年前、ジェンダーレストイレが盛んに計画される次期があった。旧態依然とした社会的性別が顕著なトイレは廃止するべき、という動きがあったのだ。
室内の扉や壁の色は、従来のような、男性=黒・青 女性=赤・ピンクという固定概念を見直し、同色とした。男性像・女性像の象徴となるトイレピクトグラムも当然ながら廃止。入口のところに、同じ字体で『M』『W』のマークをさりげなく掲げた。打ち合わせの段階で、僕は何度も異議を申し立てたが、設計士は「そういう時代なのだから仕方がない」とのことで、まったく聞き入れてくれなかった。
ところがどっこい、現在は、もっぱらこのような設計は鳴りを潜めている。多少のジェンダーレスへの配慮はあるものの、基本的には従来の設計に戻った。理由は明白。間違えて異性のトイレに入るというトラブルが多発したからだ。だろうね。感想は、この一言に尽きる。
あと、とあるお笑い芸人が、多目的トイレで性行為をうんぬん、という騒ぎがあって以降、業界から「多目的トイレ」というワードは、瞬く間に消えた。「多目的」という言葉の中に「該当行為」も含まれるという誤解を避けるためであろうか? その代わりに、一時期「みんなのトイレ」という言葉が登場した。しかし「みんな」の中に「該当行為を目的とする人々」も含まれる恐れがあるという判断か、最近はあまり見かけなくなった。
かつての「多目的トイレ」のことを、近頃は「バリアフリートイレ」と呼びます。直訳すると「障害となるものを除いた便所」。上手いこと言う。これは定着するかも。




