キャンプに行きたい!
3月1日(金)晴れ
もうすぐ春ですね。
迫りくる太陽の季節を前に、日に日にたかぶるアチキの想い、聞いてくださる?
アチキ、キャンプに行きたい! なんかね、ちょっとそこのコンビニで肉まん買ってくるぐらいの感覚で、ぶらりとキャンプにお行きなさるアクチブなご家族のユーチューブとか見てるとさ、まじ大自然サイコーって思うわけえ。
水は冷たい。火は熱い。夜は暗いし、虫は痒い。夏は暑いが、木陰は涼しい。そんな当たり前のことを、ぜひ子供たちに体験させねばと、パパっち焦るわけ。
イオンとか、ららぽーととか行くとさ、アウトドア用品店をウロウロしながら妻といつも悩むのよね。テントから何から、初心者がグッツを一式揃えたら、いったいいかほど掛かるんかしらんとか。大金掛けて購入したものの、すぐ飽きちゃって、ドブ捨てだったらどうしようだとか。
逆にアウトドアに泥沼の如くハマっちゃって、仕事どころじゃなくなっちゃって、その挙句、事実上の野宿生活に陥ったらどうしようだとか。
うおおおおお、キャンプに行きてえ! おら行きてえだよ! だって行てえんだ!……でも怖い。
なんかね、何度イメトレしても、脳内ですでに大惨事。
木漏れ日の下、家族で和気あいあいとテントを張る。まあ、毎度毎度ここまではいいんだけどね。
ここから僕の想像の中ではいつも、
どこからともなく飛んできた一匹の蛾が、害虫恐怖症の妻の顔面に止まる。
閉所恐怖症の次女が、テントの中で常軌を逸する。
暗所恐怖症の長女が、夜中に情緒不安定になる。
そこからともなく聞こえるオオカミの遠吠えが、徐々に遠吠えじゃなくなる。
風音や虫の音や草木の擦れる音から、いるはずのない異形の世界の住人の言葉を汲み取る。
「おい、うまそうな人間だぜ、喰っちまおうぜ」
嫌ああああ! 来るんじゃなかった、キャンプなんつぇえええ!
……もうね、行く前から、後悔しかない。
イメトレなんだから、こっち都合でハッピーエンドでいいのにね。とっほほほおおお。
ああ、キャンプ。ねえ誰かアチキを連れてって。憧れの。大自然の。




