表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女が異世界にやってきました!  作者: そら・そらら
第2章 炎の魔法少女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/874

2-12 城の中

 魔法少女は魔力が尽きても、着ている服を魔力に変換してある程度は戦闘を続けられる。

 けど、それも限界のようだ。


 変身が解けつつある少女は悔しさと羞恥心で顔を真っ赤にしている。

 人前で裸になっている状態に一瞬だけ呆然としながらも、すぐに我に返った。


「くそっ! 覚えてやがれ!


 捨て台詞を吐き、くるりと反転して背中を向ける。むき出しのお尻が目に入って、僕は思わず目を逸らす。


 そのまま少女は猛烈な勢いで駆け出して、逃げてしまった。


 たぶん、わずかに残った服も完全に魔力に変換して、裸になりながら全力で離脱する選択をしたのだろう。


「待って! 逃さないから!」


 すかさず追おうとするルミナスだけど、背後からドタドタと大勢の人間がかけつけてくる音が聞こえて、立ち止まった。



 十数人の兵隊。さらにそれを率いる、いかにも老練といった雰囲気の男が僕たちに声をかける。

 特に、いかにも奇妙な格好をしているルミナスに目を向けて。


「これはどういうことだ? なにがあった? 大きな音や戦闘音が聞こえたが、どうなっている? 誰か説明しろ」


 この状況でブレイズを追うために走れば、必ず止められるだろう。

 僕たちの雇い主はこの兵士だ。正確には、その上にいる街。下手に揉め事を作るべきじゃない。


 ああでも。説明しろって言われても、どうしたものかな。

 ヒカリは違う世界から来た魔法少女ですなんて、素直に説明してもわかってくれそうにない。


 それでも僕たちは、街が調査している人物の目撃者になってしまった。

 噂になっている泥棒ではなく、悪人の顔を焼く女の方だけど。


 このまま解散させてくれるはずもないし、詳しく話を聞きたいと言ってきた。


「詳しくは署で聞かせてもらうってやつかー」


 変身解除したヒカリが、少し疲れた様子でつぶやく。


「しょ?」

「ああうん。この兵隊さんたちの本部? 詰所かな? とにかく事情を聞かれる場所。警察の本部のことを警察署っていうの」


 ヒカリの世界では警察なる組織が治安維持を行っているとは聞いている。

 こっちの世界では領主に仕える兵士がその役目を負っていると教えたら、少し驚かれた。




 とにかく兵士に同行する。

 別に悪いことをしたわけじゃないから、扱いが悪いってわけではない。僕たち五人と伊達男とで、街の中心に向かう。


 通されたのは城の中だった。兵士が多く駐留する場所だし、兵の管理を行う部署が城の中にあってもおかしくないか。


「わたし、お城なんて初めて入りました。リーンさんは」

「あたしも初めてよ。入る用事なんてなかったし。街の兵士に目をつけられて、連行されるなんて出来事とも無縁だったから」

「おかねもちのやしきとは、すこしちがうね」

「ええ。機能性重視という印象です」

「それはほら。お金持ちは見栄を張るから。高そうな家具とか置物とか置いて見せつけるのが好きなのよ」

「リーンのいえも、おかねもちだから、そうしてたの?」

「そうよ。商人だし、来客に取り扱ってる品を紹介するって意味もあったらしいけど。でもここは、そういうのって少ないわね」

「今みたいに、住民が訪れることもある場所ですから。城の中には領主様の住居区間もありますし、そこはまた雰囲気が違うかもしれませんね」


 旅の経験が豊富な三人の会話を聞きながら、城の中を兵士に連れられて歩く。


 僕も家はお金持ちだったから、言ってることはよく理解できる。

 この城の内装は、過美ではなく上品なものって印象を受ける。


 城自体は建てられて年月の経った古いものだけど、石造りのためにボロボロになったという印象は与えない。

 手入れも修復も行き届いているから、街の権威の象徴としての役割は果たしている。


 だからこそ、それ以上に金持ちだとか権力者だということを、ことさらに誇示する必要はない。そんなことだろう。


 ここは街の住民も訪れる場所。ここぞとばかりに権威を示す内装の作り方もあるだろうに、ここの主はそうしなかった。


 領主の人柄がなんとなく伺える。

 この街では市民からの評判がいい領主だと噂を聞いているけど、本当なのだろう。




「やあ。お仕事ご苦労さまです。お手数取らせて申し訳ございませんが、いくつかお尋ねしたいことがあります。よろしいか?」

「は、はい。わかりました……」


 通されたのは応接室のような場所。対応したのも、兵士ではなく城の職員。というか為政者のひとりだ。


言葉遣いこそ丁寧だけど、押しの強さみたいなのを感じる。あるいは下賤の者に対する横柄さと言うべきかな。


そんな彼は、城勤めをそれなりに長く続けているらしい壮年の男。自分を司政官と紹介した。


街の運営に関わるの仕事に就いている者。領主の下につき、いくつかの政務を司る者。

この街には、この司政官という職員が数名いるという。街の支配者層の中では、かなりの上の立場にいる者だ。


 こんな夜中なのに仕事をして、ご苦労なことだ。


 僕たち五人まとめて事情を聞くそうだ。伊達男だけはなぜか別室に通された。


 とにかく、取り調べって感じではないはず。別に罪人じゃないのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白ければクリックお願いします。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ