第九百三話 反応あり
「んぅー……」
「ふぁぁ……。ん? えっ、朝なの……!?」
どうやらミカより先に目が覚めてしまったようだ。それはいいとして、お昼だったはずなのに朝になってる。いつ夕飯を食べたのか、いつ寝たのか、全く覚えていない。それにお互い裸のままなのに強くミカは抱きついてきてるから朝から理性が危うい。
時間を快感に潰してしまった少しの後悔。
なんて。たまによくあることだよ、俺とミカなら。
「おはよう、ミカ。起きて」
「ふぇ……」
「ほーら」
抱き上げてキスをする。どうやら目は覚めてくれたみたいだ。歯磨きする前のキスは何千何万何億の菌が口から口へと移動するらしいけど、そんなの気にしてたらいちいちいちゃついてられないよ。
「ふぁぁ……お夕飯?」
「ううん、朝」
「え、朝!? ……まあ、結構あることよね」
二人で意味もなく急いで順番にシャワー浴びて、着替えて、少し多めに朝ごはんを作る。ちょっとやりすぎたというだけでそれ以降は普通の日と変わらない。
「いやー、まさか昼から始めて起きたら朝なんてねー」
「んふふー、有夢のエッチー」
「その言葉をそのままそっくり返そう。……別に予定ないしいいじゃない」
「うん、お仕事休止するって言わなきゃよかったね、この様子なら」
「だねー」
朝ごはんをモリモリ食べる。個人的には納豆の気分だったけど、こんなに時間があるならミカと今日もいちゃつく事になりそうなので、臭いものはやめておいた。
昨日の話もあったし、朝からだけど親子丼にしてみたり。食べたくなっただけだけど。
「ところでイチャついた後に親子丼ってそういう意味よね?」
「え、どういう意味?」
「私と家族になりたい!」
「なりたいけど違うよ」
昨日、二人と話をしてる間にふと親子丼が思い浮かんだんだよね。つまり深い意味はない。
「そうなの……有夢の返答次第では今から赤ちゃん作っても良かったんだけどなー」
「昨日、何回その話ししたのさ」
「お夕飯食べたかどうか忘れたくらいだもん、覚えてないよ」
ミカは相当パラスナさんに子供ができたことを羨ましがっている。俺だっていいなとは思ったけど、やっぱり責任とか背負わなきゃいけないし、その覚悟ができてないから、何度言われてもダメなんだ。
「まあ、私も半分冗談だけどね、今すぐってのは」
「え?」
「本気で真面目に考えちゃって……えへへ、いいお父さんになりそうね」
考えていたことが読まれていたみたいだ。確かにミカは普通なら先のことをしっかり考えてから行動するから、むやみやたらと子供を欲しがったりしないんだ。
「むぅ……ぷくー!」
「ところで有夢」
「ぷしゅー……ん?」
「トズマホ鳴ってるけどいいの?」
「ほんと?」
お話に夢中で聞こえてなかった。なんやかんや言ってまだ寝ぼけてるのかもしれない。
ポッケからトズマホを出してみると、あんまり朝から嬉しくない着信音が鳴っていた。
「……その音って……」
「SSSランクこ魔物だね。ったく朝っぱらから。ご飯食べてる最中だけどこればっかりは仕方ないからね。行ってくるよ」
「あ、私もいく!」
「じゃあそうしようか」
素早さを発揮させて朝ごはんをかっこんでから、俺とミカはそのSSSランクの魔物が現れた現場へと空を飛んで向かった。
前回は孤島だったし、そこに居たのもたまたま人懐っこいドラゴンだったけど今回はどうだろう。
場所はヘルの森。あそこはしょっちゅうAランクやらSランクやらが発見されるメフィラド王国城下町の近くにある割には危険度が高い場所。ラハンドさん達にミカが発見された場所でもある。
それにしてもヘルの森かぁ………うん、あそこなら何が居てもおかしくないや。
「こっから何か見える?」
「探知はできてるけど、目視はできないね」
でも反応はかなりでかい。森の中に隠れているに違いない。いっつもここは木とかが邪魔で上から見ても下から見ても横から見ても視界が開けてないんだよなぁ。
「近づいてみるよ」
反応がある場所まで降りてみる。逃げてるだろうから当たり前かもしれないけど、魔物の反応はこのSSSランクの魔物以外ない。
やはり反応はあるしサイズもあるはずなのに姿は見えない。
「もしかして、地面の中に隠れてたりして」
「あはは、でもそれはたしかにありそ_____________にゃん!?」
突然、地面と空がひっくり返った。というよりは俺自身がなにかに吊るされたような、そんな感じ。
よくみると足に植物のツタのようなものが絡まっており、それが俺を宙づりにしてるようだった。
「おわー、大丈夫?」
「いきなりでびっくりした。ミカの言う通り地面の中だったね」
「えっへん」
「もう離してもらおうね」
手刀でツタを切って脱出する。宙ぶらりんから抜け出し、そのまま中に浮くことでやっと見れたそいつの姿は、超巨大植物。大きな花の真ん中に口と目玉が一緒になったような器官が付いてて気持ち悪い。ミカも一緒に上がってきてそれをみた。
「うへぇ、趣味悪いお花」
「母さんの店でもあんなの扱わないわよ」
「誰だって扱わないよあんなの」




